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ホテイアオイとミズアオイ

ホテイアオイとミズアオイは共に水生植物の仲間でミズアオイ科に属します。
ホテイアオイは、夏の金魚鉢を飾る水生植物としてお馴染みですが、中南米原産で、明治時代には観賞用として日本に入っていたようです。
 ホテイアオイは、多年草で浮遊性であり、暖地では枯れずに繁殖し、水路や湖面全体を覆い尽くします。このため元々生育していた植物を駆逐するだけでなく、船舶の運航に障害がでたり、水面に日光が当たらなくなるため、水中の酸素不足を引き起こすことにより、水質もかえって悪くなるとして害草の一つとしてあげられています。
 しかし、暖かい気候と富栄養化(窒素やリンを多く含むこと)した水域では1週間に2倍に増殖する旺盛な繁殖力に着目し、近年、水中の養分を沢山、体内に吸収し蓄える作用を利用して水質浄化植物として活用されています。また、青紫色の可憐な花は景観形成植物として、県内、橿原市、新庄町など各地で栽培されています。
 現在の奈良県の気候では、越冬が困難ですが、岡山県以西や、暖流の影響する石川県では越冬し過繁茂することが確認されています。そのため、従来から生息していたアサザやトチカガミなどに取って代わろうとしています。
 一方、ミズアオイは、古くには日本各地でみられ、古くは「菜葱」と云って食用にされたようです。ミズアオイの形はホテイアオイに似ていますが、ホテイアオイのような浮き袋は無く、花は淡い青紫色で9~10月に開花します。また、ミズアオイは冬に枯れる一年草で種子で繁殖します。
 ミズアオイは近年、湿地の開発などで少なくなっており、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧植物の一つに数えられ、環境への関心が高まりとともに、NGO活動により種子の無料配布が行われている所もあります。奈良県でも明日香村で保全と増殖がなされています。
 このように、開発などで従来日本に生息していた植物が無くなり、外来種が過度に繁殖すると、植生の単一化が進み環境悪化の原因にもなります。
我が国の原風景を保ち、在来種の多様な植生を保全するためには、ホテイアオイやボタンウキクサなど外来植物を安易に水田や水路に捨てない配慮が必要です。

2004年8月 
奈良県農業技術センター 
環境保全担当 総括研究員 小野 良允