注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

バイオマス資源の利活用

  今年の夏は、真夏日が続き、台風の本州上陸も相次ぎました。地球温暖化が進んでいるのではないかと思われます。
 地球温暖化の要因は、温室効果ガスが大気中に排出されるためで、温室効果ガスの主なものは二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどがあります。
 近年、地球温暖化対策やエネルギーの安定供給の確保といった観点から風力やバイオマスを利用した再生可能で温室効果ガスを排出しない新エネルギーが注目されています。

 バイオマスとは、生物由来で化石資源(主に石油)を除いた資源をいい、草や木などの動植物そのもののほか、稲ワラ、野菜くず、廃材、家庭から出る生ごみなどの廃棄物もバイオマス資源となります。現在、実用化されているバイオマス資源を利活用した例は次のようなものがあります。
1.ナタネからとれる油や廃油の燃料化(バイオディーゼル燃料)
2.サトウキビや稲ワラから燃料製造(エタノール)
3.家畜排せつ物や生ごみを原料にバイオガスプラントによるメタンガス、発電、温熱利用
4.身近なところでは、堆肥製造施設による堆肥利用
 バイオマスは処理(燃焼)過程で発熱しながらCO2と水になります。このとき放出されるCO2は、生物が生長するとき光合成により大気中から吸収したCO2であるため、バイオマスは温室効果ガスの1つであるCO2を増加させることはありません。このことをカーボンニュートラルといい、バイオマスがクリーンエネルギーとして扱われる理由です。
 ただし、カーボンニュートラルとはいえ、資源の処理過程、処理施設への資源の輸送時などに環境に影響を及ぼすこと、化石資源を利用した場合に比べコスト高となることなど、技術課題は残っています。奈良県農業技術センターにおいても、効率的なバイオマス利用技術の確立のための研究に取り組んでいます。

 バイオマス資源の利活用は、農業・農村にとっても、持続的農業のための良質な土づくり、環境負荷の低減、魅力的な美しい景観づくりに貢献すると考えられます。環境保全に軸足をおいた社会や経済構造へと転換するためには、市民の理解と一人一人の日々の行動様式に環境保全への意識を持つことが重要です。

 

写真:(いずれも2000年10月撮影)
ドイツ北西部ミュンスター近郊農村の風力発電とバイオディーゼル向け菜の花栽培(写真 上,左右)
デンマーク西部オーフス市のバイオガスプラント(写真 下)
撮影場所詳細(ただし普通のアルファベット表記)
ドイツ:Nortrhein-Westfalen(州) Sassenberg-Fuchtorf(市or町) Elve(村or集落)
デンマーク:Aarhus市 Aarhus Nord-Biogas Plant

2004年10月
奈良県農業技術センター
研究企画課経営情報係 主任研究員 平岡美紀