注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

外来種の話

 みなさんは「外来種」という言葉をご存じでしょうか?
「外来種」とは、本来その場所に移動してくる事のできない種類のはずが、人間の手によって運ばれて来て、定着してしまった動植物のことを指し、明治以降だけでもおよそ1900種が定着しているといわれています。そして、それらは古来からその土地にいた生物(在来種)の生息場所を奪ってしまったり、農作物などに被害を与えたり、しばしば大きな問題を引き起こしているのです。

 少し例を挙げてみます。ブラックバス(オオクチバス)は、80年ほど前にアメリカより持ち込まれたとされていますが、約30年前から急速に分布を拡げ、現在では日本のほぼ全域に生息しています。ルアーフィッシングのターゲットとして人気を博する一方で、大型で肉食という性質のため、在来稀少種への影響が危惧されています。また、漁業への被害も著しく、琵琶湖などでは釣り上げたブラックバスの再放流を禁じる条例が定められたのはこのためです。

 アライグマは北米原産の動物で、可愛らしい風貌でペットとして人気がありました。しかし、成長すると気性が荒くなるため、逃亡したり捨てられたりする場合も多く、さらに雑食性で適応力に優れるため、そのまま野生化してしまうケースも多いと考えられます。野生化したアライグマは農作物に多大な被害を与えるほか、人に感染する病原体(アライグマ回虫)をもつ可能性も指摘されており、今後の動向が心配されるところです。

 他にも、様々な外来種をめぐる問題が発生しています。長い時間をかけて培われた環境が乱されるのはあっという間ですが、もとに戻すのは至難のわざです。事の原因は、意識的にしろ無意識的にしろ、人間にあると言っていいでしょう。世界中をいろんなものが飛び交う今の時代において、自然との付き合い方を見直して行かなくてはならないのかも知れません。


 農作物に被害を及ぼすアライグマ

2004年11月
奈良県農業技術センター
果樹振興センター 作物保護チーム 技師 米田健一