注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

DNAで鑑定せよ!

 毎日いいことも悪いことも様々なニュースが新聞紙面を賑わせています。日本中に報道された数あるニュースの中でも、DNA鑑定の結果が極めてクローズアップされて報道されることがあります。

 このDNA鑑定という言葉は、近年、耳にする機会が増えてきました。この方法は親子鑑定や犯罪捜査における犯人や被害者の特定などに利用されています。犯罪捜査の場面においては世界中で導入され、現在では、その鑑定結果の正確性から、指紋や歯の治療痕で個人を識別する従来の手法よりも格段の信頼性を得ていると言えるでしょう。

 このように、今日では欠かせない技術になっていますが、テレビの報道番組や新聞報道で見る限りでは、ちょっと縁遠いもののように感じられます。しかし、この技術は決して犯罪捜査でのみ活躍しているものではないのです。

 DNA鑑定はヒトに対してだけではなく、他の動物や植物など、多様な場面で利用されています。なかでも日本人の主食である米については、鑑定することがビジネスとして成立するほどDNA鑑定への需要が多くなっています。米だけに限らず、麦類や豆類でも鑑定をビジネスとする企業が出現してきました。農作物にとどまらず、ウナギやウシ、ブタなど商品価値が高く、いわゆる「ブランド」となる種類が存在する動物種でもDNA鑑定が可能となるよう技術開発が進められています。このような動物や植物のDNA鑑定は品種や原産地の鑑定、さらには遺伝子組換え作物か否かの鑑定に利用されています。その鑑定結果により、食品の偽装表示や農産物の不正な輸出入を食い止めることが可能になると考えられます。しかし、万が一、誤った鑑定結果が出てしまうと、大きな社会混乱をも招きかねません。したがって、鑑定技術をより確実なものとするために、膨大な量の基礎実験データの蓄積が必要であり、各生物種における鑑定技術の開発は容易ではありません。

 奈良県農業技術センターではイチゴ品種の「アスカルビー」をできるだけ簡単な方法で、しかも確実に鑑定するための技術を開発しようと研究しています。「アスカルビー」は奈良県が育成、品種登録した品種で、いわば奈良県民の財産です。この貴重な財産を自分たちで守るべく、このようなDNA研究に取り組んでいます。こうした研究の積み重ねにより、DNA研究は今後もますます進歩していくのです。

図 DNA鑑定のイメージ
2005年1月
奈良県農業技術センター 資源開発チーム 技師 野村貴浩