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環境保全型農業とは?

  皆さんは、環境保全型農業をご存じでしょうか。一言でいえば環境に優しい農業のことです。農林水産省では「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」(環境保全型農業の基本的な考え方より)としています。今回は、この農業の特徴を紹介します。
 これは、自然がそもそも物質を循環させる働きを持っているので、これを存分に生かして環境を汚染しない持続性の高い栽培を目指そうとする点に特徴があります。工業の分野では製品がおのずから循環するものではありませんので、例えば、家電リサイクル法というような法律を作って人為的にリサイクルさせる必要があります。しかし、農業分野の一部の集約化した農地などでは、この自然の持つ循環機能の能力を超えて資材が投入されてきた結果、環境を汚染することも指摘されるようになりました。だからといって、やみくもに農薬や化学肥料を減らしたりしては、生産性、つまり収量や品質が保証されないことは明らかです。このように生産性を落とさずに環境に優しい農業を実現するには、土づくりなどを充分することで化学肥料や農薬を減らしたり、工夫して使用することで農業の本来の循環機能が充分働くようにすることが大切になってきます。
 こういうと、すぐに有機農業のことを思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、無農薬・無化学肥料だけが、環境保全型農業ではありません。農薬や化学肥料だけに頼るのではなく、多くの技術を組み合わせて環境に優しい農業を実現しようとするのが環境保全型農業の一つの姿だといえるでしょう。その代表的なものに、IPMといわれるものがあります。これは「総合的有害生物管理技術」といわれ、病害虫の絶滅を目的とするのではなくて、経済的な実害が生じない程度に病害虫の密度を抑えることがポイントになります。さらに、農薬を排除するのではなく過剰な使用を戒めるとともに、環境に悪影響を与えないよう配慮することが求められます。
 当奈良県農業技術センターにおいても、このような課題に鋭意取り組んでいます。


環境保全型農業のイメージ
家畜糞

作物の収穫クズ

稲・麦藁、バーク
(樹皮)




農 地 還 元

家庭や学校給食からの生ゴミ

食品産業からの残渣

食物残渣などが農地に還元され、再び農産物ができるという自然循環の模式図
(農林水産省ホームページ画像を一部改変) 

2005年5月
奈良県農業技術センター
研究企画課 課長 吉田勝二