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温度を測る

 生活の中で温度といえば、毎日の天気予報で知る気温、部屋の冷暖房、風呂の湯加減、冷蔵庫内の冷え具合、それに風邪を引いたときの発熱などが思い浮かぶでしょう。このように、温度は様々なかたちで私たちの生活に関わっており、サイドボードの上や冷蔵庫、リビングの壁など、身の回りでいくつかの温度計を目にすることができます。
 農業の場面でも栽培する作物に合った温度管理が必要で、ハウス栽培では保温や暖房、それに換気などによって気温や土壌の温度が調節されています。例えばキュウリやナスなど、果実をとる野菜の多くは昼間の気温は二十五℃、夜は十五℃くらいが生育に適しており、レタスやホウレンソウなど葉を食べる野菜はそれより五℃から十℃低い気温が良いと考えられます。
 ところで、簡単そうに思われがちな気温測定ですが、これが意外とやっかいなものなのです。測定する位置・高さ、温度センサーの種類や感度、日射の影響の排除、測定間隔、データの処理や記録方法など、目的に応じて考えなければならないのです。例えばハウス栽培で気温を測る場合、冷たい外気が入ってくる窓の付近や暖房機の近くは避けて、栽培環境を代表する位置に、適当な日覆いと風通しを確保して温度センサーを取り付けます。
 これは、ヒトの健康状態に直接関係する体の内部に近い温度を測定するために、使いやすい手のひらなどを避けて、わざわざ体温計をわきの下や口の中で使用するのと考え方は同じです。
 温度計の種類は、水銀やアルコールを利用した棒温度計のように物体の体積変化を利用したもの、金属や半導体の電気抵抗値や異なる金属の接点に生じる電圧を読み取る方法などが用いられます。他にも非接触で物体の表面温度を測る放射温度計などもあり、目的に合わせて使い分けます。
 ただし、いくら精密な機械で温度を測定しても目的にかなった方法でないとかえって間違ったシグナルになりかねません。屋外では、日覆いがないために、本来よりもずっと高い値を示す場合も珍しくありません。温度計はそのセンサー部分の温度を示しているにすぎないのですから。センサーそのものを計りたい対象の温度にできるだけ近づけることが、ポイントといえます。

2005年4月
農業技術センター
生産技術担当 統括主任研究員 黒住 徹