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田んぼの中の小さな生き物(カブトエビ)

 田植え後の水の中を見ると、いろんな生き物が盛んに動き回っているのがみえます。
オタマジャクシやザリガニの他、カブトエビ、ホウネンエビなどが見られます。
 それらの内で、カブトエビとホウネンエビについて今回お話します。

 カブトエビの大きさは2~3cmで、外観は天然記念物のカブトガニに似て、頭部に甲羅、続いて後ろに2本の”しっぽ(尾鞭)”があり、体色が茶褐色から緑かかった茶色で、大きさから一見オタマジャクシに見間違える格好をしています。水中の泥をかき分けて泳ぎ、幼草の定着を妨害したり雑草を食べることから「水田の草取り虫」とも云われています。水温が上昇すると仰向けで泳ぐ姿がおもしろいです。また甲羅の前方に一対の複眼があり愛嬌があります。

 一方、ホウネンエビは一見メダカに似ていますが、よく見ると2~3cmの細長い体の両脇に11対の脚を盛んに動かし背を下にして泳いでいるのが解ります。カブトエビと違い甲羅は無く、体色は無色から腹部が緑色、尾部が赤味がかったのもいます。地方により「たっきんぎょ」「なえきんぎょ」とも呼ばれ、江戸時代には「豊年」の字から縁起が良いと金魚屋が売っていたようです。

 カブトエビは節足動物・甲殻網・鯉脚亜網・背甲目・カブトエビ科、ホウネンエビは甲殻網・鯉脚亜網・無甲目・ホウネンエビ科に属し、名前にエビが付きますが、いわゆる伊勢エビなどのエビの仲間ではなく、ミジンコに近い種類です。田植え後の6月から7月にかけて見られます。寿命は2,3週間から1ヶ月程度で、その間に土中に産卵して成体は死にます。稲刈りが終わり水が無くなっても卵で生存しており、翌年再び田んぼに水が入れられると田植え後に卵から孵化したカブトエビやホウネンエビが発生します。
 これらの卵は硬い外皮で覆われ、暑さ寒さの温度変化に強く、乾燥状態で数年間も生き続けられるといわれています。そのため、2億万年前の三畳紀以来ほとんど形が変わらず生き続け、カブトガニとともに「生きた化石」の一つに数えられています。

 これらの小さな生き物は、水田の宅地化や休耕田等水田の利用形態が変わり全国的に少なくなっているものと思われます。

kabutoebi

2005年7月
農業技術センター
土壌・水質保全チーム 総括研究員 小野良允