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植物の光合成が地球の温暖化を防ぐ?

 最近、地球全体の温度が少しずつ上昇する地球温暖化が大きな問題になっています。温度が上がると北極や南極の氷が溶けて水位が上昇して陸地が水没したり、異常気象で農作物の生育に影響が出ます。この地球温暖化は、主に石油や石炭を燃やした時に出てくる二酸化炭素が主な原因であると言われています。二酸化炭素は熱が地球の外へ出ていくのを防いでいます。この現象を温室効果といい、大気中の二酸化炭素が増えると地球の温度が上がってしまうのです。このまま規制や対策を行わずにいると、21世紀末には平均気温が数度上がり、海水面が数十センチメートル上昇すると予測されています。この地球温暖化を防ぐために植林が試みられていますが、何故植林が地球温暖化防止になるのでしょうか。
  植物の中の葉緑体が太陽の光を使って、葉から吸収した二酸化炭素と根から吸い上げた水から、でんぷんなどの栄養素と酸素を作りだします。これは光合成と言われ、植物が持つソーラーシステムと言っていいでしょう。すなわち、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収して植物は生育するのですから、植林して地球上の植物が増えれば、それだけ光合成によって二酸化炭素が消費されることになり、結果として二酸化炭素の量が減少して温暖化を防止できるのです。また、植物の量だけでなく、個々の植物の光合成能力を高めることも有効だと考えられます。
 地球温暖化や砂漠化を解決する手段として劣悪な環境下(高温、乾燥、強光など)でも生育可能なスーパー植物の作出に関する研究が大学等で行われています。さらに、植物がより効率的に光合成が行われるように、光合成に関係する酵素の遺伝子を導入して光合成を強化する研究も行われています。これらの研究は植物の持つ能力を高め、生産性を向上させるのにも役立ち、将来的には農作物の収量増加に貢献できると期待できます。
 当センターにおいても、上記の光合成増強遺伝子をシクラメンへ導入して、より効率的に光合成のできる植物体作出の研究に取り組んでいます 。

   写真:「光合成増強遺伝子を導入したシクラメンの不定芽」              写真:「光合成増強遺伝子を導入したシクラメンの植物体」
2006年1月
農業技術センター
資源開発チーム 総括研究員 浅尾浩史