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180ミリリットルの秘密

 今でも、お米を炊くときに「合」という単位を使いますが、なぜ1合は180ミリリットルなのでしょうか。
よく考えてみるとずいぶん中途半端な数字です。実はこの1合という単位、人が1回に食べるお米の量が基準になっているのです。1合というのは体積の単位ですが、重さにすると米1合は150gで、米1合を炊くと約320g(お茶碗2杯分)のご飯になります。

 また、1升ビンでおなじみの1升は1.8リットルで10合、1斗カンは18リットルですから100合ですね。そして10斗が1石なので、1石は1000合です。1食1合で1日3食とすると1日に3合、これに旧暦の1年である360日をかけると1080合で約1000合、つまり1石になります。
 「10合=1升、10升=1斗、10斗=1石」という関係を示した記述は「大宝律令(701年)」のなかにみられますが、1合は人一人が1食に食べるお米の量、1石は1年間に食べるお米の量をもとにして決められていたのです。

 一方、同時代の条里制では面積を表す単位として反(段)が使われていました。1反というのは1石のお米がとれる田の面積で、1反は360歩と決められていました。1歩は3.3平方メートルで今でいう1坪に当たります。つまり、1坪というのはもともと1日分のお米がとれる面積だったのです。1石(180リットル)のお米は重量にすると150kgですので、この時代の1反当たりの米の収量は150kgだったことになります。

 このような単位の決め方は合理的ではありますが、人一人の食べる量というのはあいまいですし、1反にとれるお米の量は土地や気象条件によって異なります。時代がたつにつれて、地域によって1枡(1升)の量が異なるようになり、農業技術の進歩によって1反あたりの収穫量は増加して1石以上のお米がとれるようになりました。
 それを全国規模で統一したのが、豊臣秀吉による「太閤検地(1582年~)」です。このときに1反=1石ではなく、田のよしあしによって石高を数段階に設定する(これを石盛といいます)とともに、1升枡の大きさが4寸9分四方、深さ2寸7分と定められました。この1升枡の体積を、現代のメートル法の単位で計ってみたら、たまたま1.8リットルで、1合は180ミリリットルだったというわけです。
 こんなところからも、お米と日本の文化との密接な関係をうかがい知ることができます。

2006年3月
奈良県農業技術センター
普及技術課 専門技術員 黒瀬 真