全国知事会議(H19/7/12~13)に係る知事コメント
於:日航ホテル熊本

項 目 ・国への要望・提案書について
・地方支分部局の廃止について
・税源移譲について
・首長の多選について


<国への要望・提案書について>
 「平成20年度 国の施策並びに予算に関する提案・要望」について議論。
 地方の医師不足に関して、1982年の閣議決定で医師の抑制策を打ち出した国の見通しの甘さに対する批判及び国に対して早急に対策を求める意見が各県知事から相次いだ。

奈良県知事発言
 医療には看護師が不可欠という実情をふまえ、看護師の不足をもう少し大きく取り上げていただきたい。
 病院と病院、病院と診療所、医療と介護と福祉の連携が、うまくいかない実情がある。地方では、あるものを利用せざるを得ないが、国の制度が阻害しているなら支障事項として交渉しなければならない。その際に、要望を紙で置いてくるだけでは物足りない。
 例えば、委員長と役所で交渉の会議を持ち、その結果を知事会に報告いただくことで、ずいぶん実質的に進むのではないか。言葉勇ましいよりも実質的に進むことを強く望む。

(奈良県知事ほかの提案を受け、今後の全国知事会の行動方針として盛り込まれた。)


<地方支分部局の廃止について>
 全国知事会の地方分権改革推進特別委員会委員長(山田京都府知事)から、内閣府の諮問会議である地方分権改革推進委員会の「中間的なとりまとめ」に対して、全国知事会として提言すべき内容について説明。国の権限移譲について意見交換がなされる中で、地方支分部局の廃止に伴う都道府県への権限移譲について議論が及んだ。

奈良県知事発言
 (「第二期地方分権改革への提言」について) 一の都道府県単位の地方支分部局を原則廃止というのは、反論される可能性がある。二重行政解消の観点から、あるいは、地方で出来るものは都道府県やブロック単位でも廃止する、と言った方がより通るのではないか。
 国のネットワークの中で行う、登記、登録、車検、社会保険庁などの地方・都道府県単位の事務所は、地方では難しく、二重でない部分もある。その点は緩和して、書きぶりを考えた方が良い。


<税源移譲について>
 国と地方の税収の割合を現在の6対4から5対5へ国から地方へ税源移譲をめざすことについて、地方税制小委員会委員長の石井(富山県)知事から、5対5の移譲に伴う地方間の税源偏在の試算が示され、それを元に意見交換がなされた。

奈良県知事発言
 (国と地方の税源配分を)5対5という目標は、現実的に相当無理ではないかという印象。
地方交付税が地方固有の税としながら、国の税源に入っている。地方交付税の総額を増やすことは、国の税源を増やすことになる。5対5がさらに遠ざかることを主張することにもなる。地方共有税では、さらに同じことが言える。工夫はできないのか。
 税源のない地域にとって、税源移譲は格差発生のもと。奈良県は、20万人が大阪に通勤している。税源が昼間大阪に行って、夜、財政需要が帰ってこられるということ。20万人の夜間人口の増は、財政的には大変。
 この税源移譲の問題が、住民にもう一つ共感を呼んでいない面があり、見方によっては、国と地方がお金を奪い合っているだけにしか見えない。世論や住民を納得させるには、どういう戦略にすればいいのか。国・地方を含めた公的セクターの責任や仕事を明確にし、責任分担や役割分担を提示する必要がある。
 場合によっては増税になるかもしれないが、「金をよこせ」という前に、「仕事があるから金がいる」という考え方の方が、住民も共感を得るのではないか。地方にはコストのかかる仕事だけが来て、税源は全体でしか来ないというのが、三位一体ではなかったか。
 我が国は現在、グローバル化と地方分権が同時並行的に進展しているという大変難しい状況。グローバル化になれば、資本の自由に対するコンプライアンスとして、国家の役割が増加し、変化する。そのうえで、国・地方の責任分野を明確にする必要がある。まず、仕事の分担をはっきりさせてから税源というのが、プレゼンの順番にもなるのではないか。


<首長の多選について>
 総務常任委員会委員長(石井岡山県知事)から、自治体の首長の多選について、条例で制限できるよう、国へ関係法令の改正について全国知事会として働きかけるべきか否かについて、議論がなされた。

奈良県知事発言
 法律で一律に制限すべき。これは個人を選ぶのではなく、制度を選ぶ選択肢。
 民主主義では、権力の弊害を抑制するのに、制度を争点にして個人の信任投票をしてはならない。郵政民営化も危なかった例。多選による政の権力の弊害や制限をどう見るか。10人良い知事を残すより、1人の悪い知事が出る弊害の方が大きい。1人の悪い知事を排除する制度が必要。
 こういう制度は、地域によって差が出るべきものでは無い。この地域は3選、この地域は5選、この地域は無制限というような制度はありえない。
 法律で定めるべきか否かに関し、国・地方のあり方について法律で定める中に入るのではないか。
 能力があって、大変人格の良い人であっても、時代の流れに地域が取り残される危険性が十分ある。地方分権にあって、さらに権力を地方によこせというような権力の持ち主は、より謙虚に対処すべきだ。

(この問題については、多様な意見が出され、意見が一致しなかったため、全国知事会としては、今後も引き続き議論することで合意した。)