就任式あいさつ
平成19年5月7日 第1会議室
 
○はじめに
 
 皆さん、おはようございます。このたび奈良県知事に就任いたしました荒井正吾でございます。
 これから4年間一緒に仕事をさせていただきますが、よろしくお願いしたいと思います。
 最初の日でございますので、簡単に就任のご挨拶をさせていただきたいと思います。
 どのようなタイプかは、仕事の中で追々わかっていただけるかと思いますが、33年間、中央の役人をしておりましたし、6年間国会議員をしておりました。すべて税金で職業を賄っていただいた者でございます。
 改めて思い返しますと、その間、闘ってきたと言うか、仮想敵と言いますか、目標と言いますか、何だったのかなと言うふうに思い返しますと、自分なりでございますが、それは『既成概念』と『慢性疲労』だったような気がいたします。

 
○『既成概念』に取り憑かれないように
 
 『既成概念』と『慢性疲労』というのは全く質の違うものでございますが、2つとも取り憑かれるとなかなか大変なことでございます。特に公務をしておりますと、どうしてもその場その場の仕事に追いまくられてしまいますので、慢性疲労がたまってしまい、慢性疲労がたまりますと、脳が固くなって既成概念に頼ってしまい、悪い循環に入ってしまう。フレッシュな発想が出ないようになってしまいがちでございましたので、30数年間、いや、国会議員時代をも含めて言えば、40年間、既成概念と慢性疲労に取り憑かれないようにと思って、闘ってきたような気が致します。成功したかどうかはわかりませんが、とにかく引き続き仮想敵であることは、間違いないと自分では思っております。
 特に組織の中では、既成概念という既製服があって、既製服に合う人はいいですけども、既製服が合わないのに無理して着てる人は、大体わかってしまうんですね。「公務員だから無理して既製服着てはるな。」「既成概念の輪っかをはめて仕事してはるな。」と、なってしまいます。多分実際の仕事の現場に行くと、「ああしたい。こうしたい」という思いが湧くことは、普通のことでございますが、既製服がありますと、ついそれに袖を通して、その既製服に身体を合わされてしまうことが起こります。
 例えの話でございますが、既製服しか着ないというのは、それなりの仕事ぶりになるわけでございます。しかし、既製服に自分を合わすんじゃなしに、服を自分の思いに合うように着こなすことができたらなと思ってきました。その時の既成概念というのは、我々の世界では、なかなか強敵でございますので、それには共に闘っていきたい、というふうに思っております。

 
○上司は県民
 
 知事部局の仕事は、基本的には県民のサービスに努めるということが第一であり、そのことが、目的のほとんど全てであろうかと思います。公務員全般に言えると思うんですが、公務員の上司は、大臣でも知事でもなく、国民であり県民が上司でございます。政治家でもないわけでございます。政治家と公務員は、民主主義の中での三権分立ですから、これには緊張関係にありこそすれ、上司であってはいけないわけであります。選挙民の意思をどのように斟酌するかという、組織をもった公務サービスであるわけでございますので、そのサービスが県民ニーズに合ってるかどうかというのは、いつも検証されなきゃいけないわけでございますが、上司は、政治家でも知事でも大臣でもないということが本質じゃないかというふうに思っております。

 
○環境の変化に対応
 
 それから、最近、公務をめぐる環境というのは、やはり相当変わってきてると思います。今日は、全く立場は違いますが、フランスの大統領がサルコジという人になったわけでございますが、彼は、環境が変化したことを訴えて、大統領に当選したと思われます。世の中の環境の変化があるのに、県政だけが変わらないというわけには、いかないわけでございます。ただどのように変わっていいのかというのは、余り他国の真似してるだけでもいけませんので、環境に合わせて、それからニーズに合わせて、限られた資源をどのように活用するかという、現場の独創的な知恵が要る仕事じゃないかというふうに思うわけでございます。独創的な知恵が要るということは、既製服がなかなか合わない場合がありますので、寸法をとり直したり、仕立て直したりしなきゃいけない面があろうかというふうに思っております。
 それから、最近の公務の仕事についてみても、アクションをして、それを評価し、検証し、またアクションする、そのようなぐるぐる回りのような仕事が、今はやりと言いますか、そのような方が効率的じゃないかと言われている世の中でございます。奈良県政が、世界の流れの、遅れの象徴にならないように、せいぜい世の中の潮流を見ながら、仕事をせないかんじゃないか、というふうに思ったりするわけでございます。
 昔、ある大臣のおっしゃった言葉ですが、「仕事は真剣になっても深刻になるな。」というお言葉がございました。つい真面目にやり過ぎると、真剣になっていることが、深刻になってしまう面があろうかと思います。そのようなときは、よく不真面目の勧めという教えがございますが、余り真面目過ぎても壁に突き当たったら1歩下がる。横によけてみるなりして仕事を見直すということも、今どきの変化する環境の中では、大事かと思っております。そのようなことを思いながら、何十年も公務の場で格闘してきた者でございますので、力は大分衰えてると思いますが、そういう気持ちの持ちようは、今も余り変わらないとこが、あろうかと思いますので、自己紹介のかわりに披瀝させていただいた次第でございます。
 4年間、今後ともチームワークが大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。