損失の補償の主な種類

土地等の収用に伴い、土地所有者及び関係人が受ける損失は、裁決で定めるところによって起業者が補償しますが、原則として、各人別に、金銭によって、補償することになっています。
なお、事業の認定の告示後に新たな権利を取得した者は、売買等により既存の権利を承継した者を除き、関係人には含まれず、損失の補償を受けることができません。また、この告示後に新築、増築などした建物等については、あらかじめ知事の承認を受けた場合を除く外、補償を請求することはできません。
そして、裁決手続の開始の登記があった後においては、原則として権利の移転等があっても、そのことを起業者に主張することができません

損失の補償の主な種類は、次のとおりです。
注意マークがついているものは、意見書により請求し、又は要求することが必要です。その請求等の内容を収用委員会が検討したうえで、補償の必要が認められたときに限り、補償を受けることができます。

土地に対する補償

(土地が収用されるとき)
この補償は、一般的には土地の対価ですが、近傍類似の取引価格等を考慮して決定されます。

(土地が使用されるとき)
この補償は、一般的には地代ですが、近傍類地の地代及び賃料等を考慮して決定されます。

また、これらの価格算定の時点は、事業の認定の告示があった時に固定され、以後権利取得裁決の時までの物価の変動に応じた修正がされます。ただし、支払請求があった場合には、支払期限までの修正がされます。
認可を受けた都市計画事業にかかる価格算定の時点も、同様に事業の認定の告示があったとみなされる日に固定されます。
 

権利消滅に対する補償

(土地の収用により土地に関する所有権以外の権利が消滅するとき)
この補償は、土地に対する補償と同じ方法で決定されます。
なお、抵当権消滅に対する補償等において、個別に見積もり難い場合、この補償は土地所有者の受ける補償に含められます。

(土地の使用により土地に関する所有権以外の権利が制限されるとき)
この補償は、土地使用により当該権利の行使が妨げられる程度に応じて決定されます。
 

残地に対する補償

(同一の土地所有者に属する一団の土地の一部が収用されることにより残地が生じるとき)

残地補償

土地の収用により、残地の価格が減じる等残地に関して損失が生ずるときは、その損失が補償されます。

注意 残地収用

土地の収用の結果、残地が著しく狭小となるなどの事情により、残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、その全部の収用を意見書により請求することができます。

残地の工事の補償

土地の収用により、残地に通路、みぞ、かき、さくその他の工作の物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生じるときは、これに要する費用が補償されます。 
注意 また、この補償の全部又は一部に代えて起業者が当該工事を行うことを、意見書により要求することもできます。
 

土地の使用に代わる収用の請求

注意 土地の使用が3年以上にわたるとき、土地の使用によって土地の形質を変更するとき、または使用する土地に土地所有者の所有する建物があるときは、その土地の収用を意見書により請求することができます。
 

替地による補償

注意 土地所有者及び土地に関する用益権を有する関係人は、土地に対する補償金又は権利消滅に対する補償金の全部又は一部に代えて、替地により損失を補償することを意見書により要求することができます。しかし、損失の補償は原則として金銭によるものとされていますので、替地による補償が認められるのは、金銭補償では替地の取得が難しく、従前の生活が維持できないなど特別の事情がある場合に限られます。
 

移転料の補償

(収用または使用する土地に建物等の物件があるとき)
収用する土地にある建物等の物件及び使用する土地にあってその使用に支障となる物件は、移転しなければなりませんが、これに要する移転料は補償されます。この算定は、通常妥当と認められる移転先及び移転方法を認定の上、明渡裁決の時の価格で行われます。

注意 なお、物件が分割されることとなり、その全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、物件の全部の移転料を意見書により請求することができます。また、移転料の補償に代えて起業者が物件を移転することを意見書により要求することもできます。そして物件を移転することが著しく困難であるとき、又は物件を移転することによって従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、その物件の収用を意見書により請求することができます。そしてこれらの補償の算定は、明渡裁決の時の価格によることになります。
 

その他の補償

離作料、営業上の損失の補償、その他土地を収用することによって通常生ずる損失は補償され、明渡裁決の時の価格によって算定されます。しかし、精神的損失や公租公課などに関するものは補償の対象外です。

以上のほか、土地収用法には、損失の補償について詳しい定めがありますので、ご参照ください。
 

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