優良賞5

 女性が子育てしながら仕事ができる社会へ

                              智辯学園奈良カレッジ中学部 1年 黒田 莉央

 今年の四月、我が家に赤ちゃんが誕生した。初めは、すごく可愛かったが、五月に入って、夜や昼に関わらず、泣き声ですごくうるさく感じるようになった。
「もう、赤ちゃんなんていらないっ。」
時々、喋れない赤ちゃんに、言葉で八つ当たりしてしまう時がある。夢にまで見た弟なのに、いつか赤ちゃんが欲しいと思っていたはずなのに、いつの間にか、赤ちゃんが嫌いになってしまった。
 私と三才下の弟が、「うるさい、うるさい。」と言っているのを、聞いている母が時々悲しそうな顔で見つめている。きっと日本中のお母さん達が、赤ちゃんを育てた時、育児がつらくて、情けなくて泣いたことだろう。
 それは何故か。
 答えはたくさんあると思うが、今の日本は少子高齢化だ。だから、今の日本はその対策を取っていると思うが、ニュースや新聞等でよく見聞きするのは、「高齢者のために、介護や医療を提供しよう。」そんなことばかりだ。少子化の対策をしっかり取らなければならないのではないか。
 先進国である日本は、他の先進国と比べ人が少ないように感じる。また、未来の日本を背負っていく私たちは、他の世代の人たちと比べ、やはり少ない。もっともっと一人の女性が子供を産む人数を増やさなければならない。今、一人の女性が産む子供の人数の割合は一・四人だ。私が思うに最低二人は必要だと思う。昔は、もっと子供の人数が多かった。それは、女性がまだ男性のように外で仕事をするという時代ではなかったからだ。でも、今は違う。現代では、女性は男性のように外で仕事をしている。だから、子供がいると仕事に専念できなくなったのではないか。
 話を戻すが、私の母は今、開業医をしている。でも、普通なら、赤ちゃんができると仕事はできなくなる。なぜ、母が仕事をできるかというと、ベビーシッターを雇っているからだ。付け加えると高額な時給を払ってベビーシッターを雇っている。でも、そんなことが出来るのは、母のようにある程度の収入がある人だからこそである。子育ての為に仕事を辞めなければならない女性だって、たくさんいるだろう。しかし、子供を保育園に預けようと思っても、四月にならないと預けられないのが現実だ。
 私は、今までこんなに子供の人数を増やさなければならないと言っているのに、自分自身、子供はいらないと内心思っている。なぜなら、先程述べた理由があるからだ。また、私は仕事がすごくできる人になりたいのが夢だ。だから、仕事に熱中している時に邪魔されると嫌だ。そう思ったのは、つい最近のことだ。それは、母の状況でそう思った。母は、朝から夜まで本当に休む暇がない。私は、母のように仕事をしながら、子育てをしていく自信がない。だから、子供がいても、一杯、仕事ができるような社会をこれから作っていって欲しいと思う。
 それは国が変えていかなければならないが、国が女性の立場となり、どんなことが女性に必要なのか、または、どんなことをしたら女性はこまらないのかを考えていくことが必要だろう。また、そのことを口頭で言うだけではなく、しっかり、実行できる態勢にして欲しいとも思う。
 例えば、今、横浜市は児童待機人数がゼロである。それは、女性の市長さんに変わってからのことらしい。
 このように、中心である人が女性であった為、女性からの視点で、今の社会を見たからだろう。でも、それが女性が中心にならなくても、男性でも女性の立場になって考えることは、必ずしも不可能であるまい。
 私は、こんなに横浜のような素敵な市を全国に広めていき、女性が子育てしながら仕事ができる社会を築き上げていってほしいと思う。