平成28年4月13日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件はございませんので、ご質問等ある方はよろしくお願いいたします。

質疑応答

児童虐待が疑われる生駒市2歳男児死亡事案について

産経新聞:
 生駒市で2歳の長男をプラスチックの収納ケースに入れて殺害するという事件がありましたが、通報を受けた県が生駒市に伝えて、対応はしていたようですが結局保護には至らなかったということで、その対応について今後検証などはされるのでしょうか?

知事:
 検証はします。私も事件が起こって報告を受けたのですが、大変悲しいことです。行政的な対応という面からですが、県の中央こども家庭相談センターに通報があり、何かいじめられているかもしれない、泣き声を聞いたというような内容で、住所も特定できましたので、そういう通報があったときは、市に連絡するというのが普通であります。県は子どもさんが連れて来られて虐待の証拠があれば一時預かり、あるいは保護をいたします。今回の場合は、市に通報して、市も対応して、現地にも行ったと聞いています。市が行った限りでは、そのときは顕著な危険性が見れなかったと、報告の概要としてはそのように聞いております。しかし、結果は大変無残なことになってしまったということです。

 これは刑事事件でもありますが、行政対応としてどのように扱えばいいかという課題を突きつけられているものでもあります。行政対応で、こういうことは、よく起こりますが、今までの考え方であると、家庭内のことだから余りおせっかいをしてはいけないという、私的自治の考え方がずっと続いていましたが、ケースによっては「ちゃんとお子さんの顔を見せてください」とか、これから起こり得ることとして、「認知症のおばあさんの顔見せてください」とかということまでできるか、手探りで今、動いている現場の対応です。インターフェースの対応は、今大変揺れ動いているように認識をしています。どの程度のお節介ならいいのか。お節介をし過ぎてもいけないが、余りしないと家庭内で事件、事故が起こるというケースが大変増えていくと思っています。だから、「何か泣き声が激しい」とか、「いじめがあるかもしれない」というような通報をいただくことは歓迎しておりますので、通報があったら駆けつけて見守ろうということまではしているのですけが、今は見守りの仕方、お節介の仕方がどの程度まで必要かという、その対応にいつも悩んでしまうという事を申し上げた。こういうことを起こさせないようにするにはどうすれば良いかが、今、我々の一番大きな課題です。このケースを採り上げて、審議会で検証させていただきたいと思います。

 また、市と県の役割はある程度決まっていますが、どのように連携すれば良いのか。県は、一つひとつの家庭まで行って、通報があったらみんな行く、という直接の見守りは余りしないようになっているようですが、生駒市の話ですが、ちゃんと対応されたように報告を受けていますが、インターフェースは一応は市の対応ということになりますので、こういうことが起こらないようにするには、市の対応も含めてどのようにすればいいか、行政として、このケースを検証する審議会と別に、県の中でも、今後の対応のあり方の研究を至急するように命じました。

産経新聞:
 その審議会は、いつまでに開くとか、目途は立っているのでしょうか?

知事:
 すぐにでも開くことになると思います。「奈良県子どもを虐待から守る審議会」というものがあるので、すぐにでも開いていただきたいと思います。審議会は、ケースを勉強するので、それと並行して、行政のあり方というものは、私のもとで至急研究し、もう一度あり方を見直したい。

 子どもが虐待をされたときは、学校でわかったり、病院に運び込まれてわかったり、その児童が来ると、親元には帰せないという面は割と機能しますが、家の中でいじめられているようだというケースは、先ほどの繰り返しになりますが、どこまで入り込めるのかということも含めて、考えたいと思います。お節介だと当事者であるご家族の方は言うかもしれないが、結果がこうなることを思うと、そのとき子どもさんが出て来て、元気にされていて、体に傷があるなどの現象は見られない時は、どうするのか。そのようなことも含めて大事なケースだと思っていますので、勉強したいと思います。審議会のケーススタディーと並行してやりたいと思います。生駒市とも一緒に勉強したいと思います。ほかの市も役に立つ勉強ができるかもしれないと思います。

産経新聞:
 県に入った通報の内容ですが、「(子どもが)いじめられているかもしれない」という文言があったのですか?

知事:
 どういう通報だったかということですね。

担当課:
 「泣き声が聞こえる」というだけで、具体的に「いじめ」という言葉は出していなかったと思います。

知事:
 泣き声が激しいからいじめられているかもしれないというようなことは観察の結果なので、それは私が言っただけで、県への通報は「泣き声が聞こえる」だったと。

担当課:
 はい、「泣き声が聞こえる」という内容です。

知事:
 親切に近所の人が言っていただいたということだと思います。「せっかく通報いただいたのに」というのが、ご質問の動機でもありましょうし、我々の勉強の大きな動機でもあります。

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奈良市月ヶ瀬での許可量を超えた土砂掘削について

産経新聞:
 奈良市の月ヶ瀬で、県の指導に従わずに大幅に許可希望を超す土砂の掘削をしていたということで、奈良県警に三重県の業者が告発されたということですが、この事案については知事はどのように把握されていますか?

知事:
 随分報道されたことを承知しています。この事案を整理してみますと、私有地ですが、このように危険に土砂を取って売る、という業者が他にもいます。このケースは三重県伊賀市の業者が、奈良県の許可を一応取って、京都府との県境の奈良県側を深く掘ったというケースです。奈良県の中でしたので、やはり奈良県としては問題だと思います。

 何が問題かということになりますが、私有地を掘ることに対する規制は、家でスコップで掘るくらいは許可も要らないが、私有地で傾斜地になっているところを大きく掘ると、下のほうが危なくなる可能性がある。急傾斜地に砂が流れ過ぎないようにという観点から、余り掘り過ぎると下の方の他人の所有地に悪い影響を与えるかもしれない、自分の所有地でも余り掘り過ぎてはいけないということになっている。条例もある。それに違反していたというのが振り返ると本質的なことだと思います。

 振り返ってみますと、2つのタイプの違反が行われているように思います。

 1つは、この許可期限が平成23年7月まであって、許可期限後も約2年近く掘っていた。平成23年7月に許可が切れて、その後、黙って平成25年5月まで2年近く掘っていた。その時点で掘っている事が分かったので、許可期限切れてるので掘ってはいけないと県が勧告、忠告をしたが、その後も平成25年5月から同年10月まで約5か月間掘り続けた。許可がなくなっているのにさらに掘ったということが1つの違反であります。

 もう一つの違反は、許可を受けていた地域に隣接する自分の所有地を無許可で掘っていたという森林法上の違反があります。その告発をしたというのが今回の対応です。

 検証しなければなりませんが、何か手抜かりがあったのかということです。私有地とはいえ、びっくりするような掘り方をしないように、どこまで掘ったら違反になるのかというこを、少し曖昧なとこがあるので、はっきりしなければいけない。条例の罰則ですが、こういう曖昧なことですと、大丈夫だと思っていたと口争いで済んでしまうのはいけないので、例えば立米で、ここまではいいですとすると、他人の家だったら土をとる権利はそこまでですが、自分の土であると、立米は、もう少し掘ってもいいと思っていたと言い逃れられる現実があるように思います。

 他人の財産が下にあると、土が流れて他人の財産を傷つけるということは、公の介入が許される場面になってくるので、これ以上してはいけないということをはっきりさせる検証をしたいと思います。今回のケースは、明らかに法令違反でありますので、告発したわけですが、あそこまで掘り進められたのかということが一番大きなポイントでありますので、曖昧さが残っているとすれば、明確にして、ここからはすぐに罰則がかかるということをはっきりと指摘するような、行政の姿勢にしたいと思います。

 今までがどうだったのかということは、私にも責任がありますが、私有地の中を掘るときに、スコップで土を掘り出したというのはいいが、他人に迷惑をかけそうになるとだめというのが基本だと思います。急傾斜地の地面を買ってやるときに、やはり私は厳しくしたほうがいいと思います。所有権の制限になりますが、他人の敷地・所有権に迷惑をかけるようなおそれがあるところは、より厳しくしたほうがいいと思います。

 奈良県が甘かったのかどうかというのは、私の自問自答しなければいけないところなので、もう一度検証しますが、こういうことが起こっていますし、ほかでも土取りで他人へ迷惑をかけるというような事例が議会のほうでも注目をされています。私の手元の資料にも、砂防指定地等管理条例違反の報告が5件あります。全て県境で、大阪府、京都府の県境でされて、奈良県域でされているんですね、奈良県の許可で。業者さんは5件のうち、3件が大阪の業者で、今度の1件が三重の業者と、1件が奈良の業者です。地面を買って土を掘るということで、私有地の中での作業ですが、砂防指定地の管理というのは、傾斜地ですので、それが他人の財産を侵すことに危険性を増してはいけない、防止するのが基本的な役目だと思うので、所有地ではありますが、厳しくやるのがいいかと思います。

 砂防指定地等管理条例の罰則を厳しくすることが3月の議会で承認され、7月から施行されます。条例の改正はしましたが7月からの施行なので、その前の事案でありますので、その新条例施行後の様子も見なければいけないが、基本的には厳しく運用するという方向にしたいと思います。

 どのようなマニュアルでするかということは、行政の仕事ですので、厳しくするマニュアルというのはどのようにするのか。私有地の中ですから、繰り返し何度も同じようなことを言ってますが、どこからはだめだということを言って、それをどうストップさせるのかということが課題のように思っています。ほかの案件もたくさんあるので、そのように感じております。

産経新聞:
 ほかの案件の中で、今回と同じように告発されたものは、ないのですか?

担当課:
 5件の中に、さっきの月ヶ瀬の1件と、もう1件告発した案件がございます。

知事:
 告発があったのは、もう1件はどこ?

担当課:
 生駒市の北田原です。

知事:
 資料がありますので、簡単に読みますと、許可内容より著しく急勾配に盛り土した。平成23年11月違反発覚以来、4年4か月間是正しなかった。まあ似たようなケースですね。再三口頭及び5回の文書是正指導命令を行い、是正工事の実施を指導中でありますが、これも告発したということであります。なかなか言うことを聞かないという点では同じでありますが、言うことを聞いてもらうようにするにはどうすればいいかということは、行政の示達にもよりますので、併せて見直したいと思います。

 今申し上げた、そのような違反として報告されているものが5件ありますので、ほかの様子も見ていかなければなりませんが、いずれも急傾斜地の土地を買って、急傾斜地だから家が建たないが、どうしても角度が急になるので、危ない。何度も言いますが、少しでも採ってはいけないかというと、そういうことはなく、余り急に採ってはいけない。平たく言えばそんな話なので、どこまで、どんな形で規制するのかということです。その規制の対応を少し検討したい。研究して、きつくするような方向で行政対応を研究したいと思います。マニュアルを作りたいと思います。

産経新聞:
 その5件ですが、住所と関連みたいなのものを調べていただけますか?

知事:
 資料で渡します。この1枚ですので、その場所もありますので、この地図と2枚資料を、皆さんにお渡しいたします。

時事通信:
 先ほど厳しくするマニュアルという表現されましたけども、それは条例自体を変えるのではなく、規則か何かが変わるということですか?

知事:
 そうですね、条例は砂防指定地等管理条例の罰則などが変わってこの7月1日から施行されるようになっていますので、その実行を有意義にするために、行政の対応がきちんとできるかどうかということはもう一度見直したい。行政マニュアルです。条例までいかない、マニュアルを想定しています。

時事通信:
 要するに、数字が入って何立米とかというのをそこに入れるという話ですか?

知事:
 そうですね、一番課題なのは、言っても聞かない人をどうするかということ。何回したら告発するとか、もう一つは、代執行というものがあるが、公の河川などは、いろいろとできる。また、道路にあるものは、取り除くのは所有者の責任なので、(所有者である)県が道路から取り除いて、その費用を求償するというのが典型ですが、私有地の中で危ない土を掘ったことによる代執行というのは、土を埋めに行くとかということになるのでしょうが、あまり例がないように思います。代執行は直接的ですが、「ダメ」と言ったときに、言う事を聞かないケースは、警察に介入してもらうというのが一つ。告発して罰金をもらったり、有罪になると事業に差し支えがあるので、止められるということになるので、一つのはっきりしたやり方だと思います。その他、行政的に手段があるのか、危ないことをやめさせる手段があるのかということを研究して、それを行政マニュアル化しようと思う。今回のケースでも、18回注意をしていますが、聞く耳を持たない三重の業者さんがおられたので、バカにされているのではないのかと職員を叱っているのですが、平たく言えば、もう少し聞いてもらえるようなやり方はないのか、ということになると思います。そういうマニュアルを行政として研究しようということです。

時事通信:
 当然公表するものですよね?

知事:
 公表してもいいと思います。

時事通信:
 いつぐらいまでにまとまりそうですか?

知事:
 至急したいと思いますが、難しい課題があれば、今どこまで出来るのかという法的な課題があれば、7月1日に条例が改正しますので、その様子を見ながらマニュアルを作るというのも一つあるかと。

作って、7月1日に備えるということもあると思いますが、7月1日の条例にマッチするようなマニュアルをまずつくっておくのが必要かなと思います。5月、6月に作っておいて、7月1日の条例とともにこの新マニュアルで対応するようにスタートするのも一つ。今のやりとりで、このように言葉が出たのですが、そのように思います。

毎日新聞:
 先ほど行政代執行という話がありましたが、今後この月ヶ瀬の土地に関しては、かなり傾斜もひどくなっていて、業者のほうから一応改善の計画も出ていると思いますが、あの業者の規模からしてかなり大量の土を戻すというのは、もちろん行政がやるべきことなのですが、難しいところも実際あるのかなと。この現状を県としては今後どうしていこうと考えておられますか?

知事:
 まだアイデアが出ません。写真も見ているのですが、すごい量です。しかし、戻すというのが、どのようにするのか、すぐにちょっと思い浮かびませんが、他人の財産を傷つけないように、あるいは災害を誘発しないようにというのがとても大きな目的なので、その観点から、これでは危ないことになるということが言えるのかどうかというのは、検証といいますか、よく見なければと思います。今までは、これまでやってきたことが違反だということですが、やったことがこれからどう危ないのか、ということはあまり研究していない。見るからに危なさそうだというのはおっしゃるとおりだと思いますが、ではどうするのかということなんです。考えてみたいと思います。

 すぐに危ないことが起きるというふうには、担当は思ってないようですが、茶畑の中のようで、勾配になっている所をすごい急角度で削ったということで、危ないかもしれない。上のほうに、もし家でも建っていたら危ない。上は茶畑ですが、削ったのは自分の地面だからいいと言われるかもしれないが、私有地との関係で、我々の行政が関与する根拠というものを探らなくてはいけないと思います。他人に心配をかけるような崖を作ってはいけない、いや、心配ないというような言い争いになっている。そのようなことも含めて放置しておいていいのかどうかという質問ですが、研究したいと思います。

NHK:
 すぐに何とかなるとは担当は思ってない、というお話があったのですが、それは業者がそう思っているようだということなのか、県の担当者が、あそこは安全だと思ってらっしゃるということなのか?

知事:
 まだ思っているかどうかもわかりません、安全だという報告も受けておりません。業者は、自分の所有地だから大丈夫だと思っておられる、というような報告もありますが、県の担当はそのようには思っていません。危ないかどうかもまだ分かりません。

NHK:
 取材をする限り、あの崖が崩落すると、茶畑も崩落して、そこで作業している人が万が一その時にいたら何かがあってということがあるように思いますが?

知事:
 茶畑で作業場のようなので、崩落する、落ちるかもしれないというのは予想されます。これは私でも写真を見たら予想するわけで、担当が思っていないわけではありません。。

NHK:
 例えば差しあたって、そこにセンサーをつけておいて、その間に安全策を考えるとか、どういう指示をこれからされるのか?

知事:
 それも含めます。もう一つ、上の茶畑が京都府にあるので、京都府とよく相談します。県で許可をしたところ、たくさん土をとり、京都府側が危なくなる。その危なさをどのようにはっきり認識するかという課題です。大丈夫だとはもちろん思ってはいないが、どのように危ないのかということがもう少しはっきりしないといけない。これだけ削ったら、見るからに危ないように思うが、茶畑が崩れるようなことなのかどうかということは、まだ検査というか検証していないようなので、それはしなくてはいけない。今、危なそうなものを放置するのかということですが、放置はしません。

NHK:
 検証して、何らかの対策をとっていくと?

知事:
 これまでのことと、これからのことというように、質問がありましたが、これからのことも大事ですので、この茶畑は場合によると、崩れるかもしれないので注意しなさいということだけで済むかどうかですけど、砂防の世界では、雨が降ったときは崩れやすい、というのが通常です。雨が降ると崩れるかもしれないと行政が言うと、どういう根拠で言ってるのかとなるので、なかなか土のことを言うのは難しい。ただ、実際に働いている人が知らない間に行って崩れ落ちたとなると、人災というか、人への被害ということになるので、そのときに困難なのは、削ったから崩れたのか、普通でも崩れるのか。雨で崩れたんだと言うかもしれませんが、そのあたりをよく考えて、行政の対応をどこまで輪郭をはっきりしてできるのかどうかということになると思います。

 大きな被害になる可能性があるので、予防の際は厳しく運用したほうがよい。何か法的な根拠や、実証データがないと、行政が「これはいけない」と、なかなか言えないので、苦慮するところです。危なそうに見えるので、「もう茶畑へ入ってはいけない」というようなことは、すぐには言いにくい。まだはっきりと調べ切っておりませんが、知恵を出して、危ないことを避けるようなことから考えていきたいと思います。危なそうだということは十分認識をしております。

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消費税再増税について

時事通信:
 消費税の再増税ですが、現在の経済状況をどうご覧になるかということと、上げるべきか、上げるべきでないか、どのようにお考えか、ご意見があったらお願いします。

知事:
 何度か申し上げていますが、基本的には、消費税を10%に上げないと日本の社会保障はもたないと思っています。そのタイミングですが、経済を破壊すると元も子もないという意見もあるので、それが来年4月の再増税が時期が適当かどうかということで先送り論が出ていますが、経済の動向との見方になると思います。1つは、基本的には10%に増税することは必要だと思いますが、一方、その増税をしても経済体制が揺るがないようにするというのが実は大事だと思います。タイミングもありますが、経済体制がもつようにするということが日本経済の課題だと思います。

 いま「消費が弱い」と言われていますが、私は投資が弱いと思います。外国人観光客の消費がある程度支える面もある。量的にはそう大きくないが、今までなかった消費が国内で発生している。

 もう一つは、国内の消費が高齢化で弱っているので、新しい消費を作るということも大事なので、消費を作るには、研究投資とかをしないと作れない。だから、消費のためには投資が必要だというのが私の考えです。どのように投資をすればいいのか、まだ知恵がいろいろと要る。これは行政の知恵だけではなく、民間の知恵がいると思います。

 私は、国がそのような方向で回ることを強く希望している者の一人であります。例えば、奈良県の場合、ホテルの投資は民間の投資です。県や公共事業と一緒に一つの民間投資を誘発するPFIの手法をいろいろ使おうとしています。PFIを使いますと、民間投資がプライベート・ファイナンス・イニシアチブで、むしろ「P」は「パブリック」のイニシアチブで民間投資を誘引するというパターンがあるのではないかと思っています。

 小さなことでは、公の投資、イベント投資という意味では、イベントをたくさんするとお客さんが動いて、日ごろ使わないお金を外で使う。これも消費喚起の一つ。大立山まつりでは、まちの飲食店が2~3回転でにぎわったという話を聞きますので、それも一つのパターンだと私自身は思っています。イベントという投資は、一つの景気刺激のように思います。公共団体の観点からする投資ということになりますが、民間の方の投資を誘発する公の投資というのも大事だと思います。今まで公共事業というのは、単発でしていましたが、民間の投資を誘発する公共事業、というような投資が必要かと思っています。

 大きなことでは、リニアの駅が決まれば民間投資を誘発します、ということを言っているが、なかなか聞いてもらえない。そのような類いのことを、アイデアを連発して、日本の経済の基本条件をよくしていくというのが基本的なことだと思います。ご質問の第一は、(消費税増税は)このタイミングでいいのか、ということですが、経済のタイミングを見るのは専門ではありませんが、私は基本的な日本経済の条件をよくする知恵を何か出さなければいけないという考えです。

時事通信:
 それは、中身のいい補正予算を組んで、消費税を上げられる状況にして、予定どおり上げるべきだというお考えだということですか?

知事:
 そういうことですね。具体的に言うと、補正予算を組んで、その対応が消費喚起、消費の直接喚起だけではなく、将来の消費を呼び出す投資を喚起するような補正があればうれしい、といった感想です。私は補正予算を決める立場ではありませんが、地域経済を喚起したいと強く思っている立場として、民間の投資を促せるような補正予算や、あらゆる規制、昔で言う規制緩和で民間投資を呼ぼうということが余り勢いがなくなってきていますが、規制の対応で投資がもし呼び起こされたら、より望ましいと思っています。そのような知恵を中央政府が出してくれればと思いますし、我々地方政府としても、この奈良の場で投資がもっと出るように研究しているところです。国の助けがあると、県の公共事業、民間投資を呼び起こす公共事業がやりやすいと思います。

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政府要望「名古屋-大阪間の大型通過交通 TDM」について

毎日放送:
 昨年、知事が、名阪国道の通過交通に関して国のほうに要望を出されていましたが、改めて主に訴えたいことは?

知事:
 数年来、国へ要望を出していました。去る4月に、国の社会資本整備審議会の道路分科会というところへ呼ばれて、意見を言ってきました。内容の概要は、なぜ奈良公園に大型トラックが、それも他府県ナンバーのトラックが多く走っているんだろうと思って、それはどうも天理のインター、無料インターに、無料区間のある名阪のインターを通って、この公園を通って行くんだということに数年前に気がついて、調べると実際にそうでありました。

 それは構造的な課題があって、大阪以西、神戸以西から、名古屋以東に行くこの間は、3つの大きなルートがあります。トラックが渡るのに3つの料金の差がある。実際に一番上の名神が6,830円、中の新名神が7,860円、この名阪国道が3,470円であり、大変な差があります。その結果、名阪がヘビーユースになっている。新しい道路が使われず、古くてカーブの多い名阪国道は危ないので事故率も大変高い。西名阪の流通量よりも、名阪の流通量が1万台以上膨れ上がっている。これは途中の支線からトラックが流入しているということです。これは、おかしいのではないか、というのがクレームのもとです。

 一方、東京のほうでは、地点が同じだったら料金を同じにしようということを研究し、そのようなことが実現できました。関東で実現できたのだから、今度は関西でも、何か有料道路の料金のあり方をきちんと整理してもらわなければ困ります、と言ったら、中央政府の検討が本格的になってきて、奈良の事例が取り上げられたというように思います。

 取り上げられたことは有難いが、有料道路というものは、有料道路をつくって、さらに先にネットワークの範囲を広げて延伸するということが従来のやり方。名阪のように、先に無料道路を作ってしまうと、後で有料道路ができても、有料道路は流行らなくて、無料道路がそのまま、より流行ってしまうといった、なかなか難しいケースだと思う。

 埼玉や栃木などに行く大型トラックが、3,000円から5,000円安くなるので、わざわざ道路が混んでいる時も混んでいない時も通っていかれる。一般道路は無料なので、どこを通ってもよいが、この奈良公園の中を通らなくてもいいだろうと、奈良県としては思う。公舎が近くなので、住んでいると朝は結構やかましいので、意見を言ってきました。まだ結論は出てませんが、研究対象にしていただいているようです。

毎日放送:
 地元の方は利用するとき無料で、一部の有料化も検討という、その棲み分けということですか?

知事:
 そうですね、これは国が決めることですが、具体的な提言という形では、ヨーロッパは皆そうですが、スイスもドイツも、北欧から地中海に行くトラックや、最近では、東欧から、フランスや西海岸へ行くトラックが頻繁に通る。ドイツのアウトバーンは無料ですから、ドイツ国内でガソリンや軽油も買わないで、悪い排気ガスだけを残していくと、ドイツの官僚が何十年も前からクレームをされていました。どうなったかと思っていたら、有料化し、大型トラックだけ課金をするようになった。ドイツではGPSで課金をしていて、区間通過をすれば、GPSで把握ができ、ナンバープレートに対応するIDがあり、口座に課金される。日本の有料道路制度では、まだそれほどGPSが発展していなかったので、ETCでゲートで課金するという方法で、お金を払うということからETCが進化したが、ヨーロッパのほうでも、箱にお金を入れたらゲートが開くというものが、まだ多く残っています。ドイツではGPSで、その区間を大型トラックが、国内、国外にかかわらず、ここを通ると課金するということをされているようです。

 名阪の無料というのは、わざわざここを通って危ない目に遭うのは、公共政策上問題ではないかと。もっと良い安全な道路ができても、3,000円、5,000円高いだけでこちらに来るというのは、経済的理由は分かりますが、審議会でも言いましたが、通過交通ばかり増えるのは困ると、奈良県は言っているだけです。生活道路にもなっているので、軽自動車なども大型トラックと一緒に走っていると言いました。宇陀方面に行くのに走ると、すごい大型トラックの列が並んで坂を下りたり上ったりしている。下りるほうが怖いですね。そのような道路になっているので、京奈和自動車道の料金制も含めて、ちょっと検討してくださいと言いました。このように、基本的には大型の通過車両は、上の名神、新名神と同じような料金レベルにする。名神、新名神の料金を下げるという方法もある。3つ並んでいる有料道路の料金を同レベルにすると、この奈良公園を通過する車両も減るのではないかといったような、ざっくりした提言はしてきました。名阪は、地元の軽自動車などの生活道路になっている面もあるので、(地元の車両は)無料にしてくださいと。技術的には検討が要りますが、できないことではないように思います。主張の概略は、以上です。

毎日放送:
 国のその反応というか、手応えというか、実際に直接言われてどのような感じでしたか?

知事:
 国がわざわざ意見を求めて、東の関東圏が片づいたので、関西圏を何とかしなければと思っているターゲットになったことは確かだと思います。有料道路制の知恵がどうなるかです。奈良県の言葉で言えば、賢く使いましょうという言い方です。せっかく道路に投資しても、新しく立派な道路が余り使われないで、古い道路がヘビーユースになっているというのは何かおかしい。古い冷蔵庫などは安くなるが、古い道路は古いから安いというわけでもなく、料金制で動くので、並行した道路の有料のレベルというのが課題です。割とユニークな課題が奈良で発生していると思いますが、国に知恵を出してくださいということを強く言って、今、国もどんな知恵が出るかわかりませんが、この奈良の名阪のケースが、とてもユニークなケースだと認識していることはわかっていました。このような形で公に認識されたと思っています。

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「奈良国際映画祭」に対する奈良市の補助金廃止について

奈良新聞:
 感想で結構ですが、大立山まつりの話が先ほど出たので、お聞きしてます。奈良市のことで申し訳ないのですが、河瀬直美監督の「なら国際映画祭」という奈良市のイベントに対しての予算が、奈良市議会で削られたということでした。分野は違いますが、県の議会でも、大立山まつりについては予算をめぐっていろいろとやりとりもあり、反対意見もありましたが、奈良市であのようなこと(市議会で予算が否決されたこと)が出てきたということで、何か感想みたいなものはありますか?

知事:
 なぜ映画の予算が削られたのですかね。議会の削減の予算、修正予算になぜ映画が入っていたのですかね。

奈良新聞:
 文化なり文化資源に対することは県もやっているので、そういったことに特定した質問なのですが。

知事:
 あれは議会の修正ですよね、なぜ議会が削ったんでしょう。ちょっと教えてください、というのが再質問です。何か不思議に思った面がありまして、市議会のことだから、特に県から問い合わせるということもしないままです。奈良市は、ほかも文化予算がいろいろあります。文化とかスポーツも予算をとっておられるのに、なぜあれだけ削られたのか。あれだけではないかもしれないが、些細な感想で申しわけございませんが、その程度のことであります。

奈良新聞:
 「なら国際映画祭」自体には、県としては関わりはなかったのですか?

知事:
 ないです。

奈良新聞:
 ああいう予算を削られることについてはどうですか?

知事:
 市議会のことなので、私もどうしてだろうか、と思った程度です。

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奈良市月ヶ瀬での許可量を超えた土砂掘削について

読売新聞:
 先ほどおっしゃっていた18回も注意しているのは、月ヶ瀬のこの件についてですか?

知事:
 月ヶ瀬です。

読売新聞:
 この業者に対して18回も県が注意したということですね?

知事:
 そうです。

読売新聞:
 あと、平成25年の5月から10月までの5か月間の許可というのは、具体的にはどういう許可ですか?

知事:
 平成25年5月からは、許可は何も出ていません。

 平成23年7月1日、平成25年5月に発覚し、県が注意に入りました。

司会:
 ほかにご質問ございませんでしょうか?

 それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

知事:
 どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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