平成28年6月9日(木)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見をはじめます。 本日の発表案件は、お手元の2件でございます。知事より発表していただきます。よろしくお願いいたします。


案件:ムジークフェストなら2016 いよいよ開幕!!
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 1つは行事です。ムジークフェストの5回目が今週の土曜日から開幕いたします。そのご案内でございます。

 資料に内容を書いてございます。日程は、長さは変わりませんが、今年は公演会場の数が増えております。これまでの経緯の資料があるんですけれども、もしお求めでしたら後で配ります。開催日数は、大体ここ数年、16日間で変わっておりません。公演会場が、最初の年は40カ所でありましたが、2年目から100になって、今度は約160になります。去年は137でありましたので、公演会場の数は大変増えております。それから、公演数が去年は304で今年は約300ですので、公演数は約300になりました。それから、市町村の場所が、最初奈良市と生駒市の2か所だったと思います。今年は26の市町村で開催いたします。39市町村のうち、26が開催場所に入ってきたということで、広がってきました。それから、連携する市町村、主催もしますという市町村の数が去年は8でございましたが、今年は18になりました。

 それから、来場者数は、去年は約10万人でございました。よく来場者数は問題になりますが、広場で行う行事の来場者と、建物の中で行う行事の来場者というのは、大分数え方の精度が違います。広場で行うものもありますけれども、来場者数は去年で10万人を超えております。連携イベントというのは、「オクトーバーフェスト」なども入れますと、オクトーバーフェストの来場者数は売り上げなどから計算されるようですけども、去年で既に約14万人になっております。今年の来場者は10万人を超えて、11万人を目標に考えております。5回目になりましたが、だんだん発展・定着してきているように思いますので、そのような報告をつけ加えさせていただきます。
 

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案件:近鉄奈良駅前に「ぐるっとバス」専用のバス停を新設しました
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
それから、2つ目のご報告案件でございます。「ぐるっとバス」専用のバス停を近鉄奈良駅前に設置いたしまして、6月11日(土曜日)のムジークフェスト開会に合わせて、ぐるっとバスを運行いたします。

 ムジークフェストやオクトーバーフェストの会場まで車で行くのはなかなか大変なので、どのようにアクセスすればいいのか、時々お問い合わせがありますので、奈良市内であればぐるっとバスを利用すると会場へのアクセスが便利ですよ、と言っております。県外から来られる方が近鉄奈良駅で降りられて、ムジークフェストのパンフレット(「ぐるっとバス」の案内も掲載)を見られて、「ぐるっとバス」はどこだろうか、と初めて来られてもわかりやすいように、駅前の行基広場の前に設置をいたしましたので、そのご報告でございます。

 以上でございます。

司会: それでは、ご質問のある方はよろしくお願いいたします。

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質疑応答

消費税増税再延期について

時事通信:
 消費税の増税の再延期が正式に5日、総理から表明されましたが、知事の受けとめというのはいかがでしょうか。

知事:
 消費税の10%までの増税は、むしろお願いをしていたことですので、その点からは、再延期というのは今までの要望にはそぐわなかったと思います。増税に賛成と言っておりましたのは、社会保障の財源になるということです。社会保障がやはり大事でございます。社会保障の現場のサービスの担い手は地方公共団体ということで、今、地域包括ケアシステムの確立とか、いろいろなケアの充実という面、あるいは子育て支援というような面が入っておりますので、消費税増税が先送りになって社会保障の充実に遅れをとらないようにと、この時点では思います。

 社会保障の財源がある限りで延期されると聞いております。やはり増税をして充実を図るということ。社会保障は、現世代で分かち合う、負担を分かち合うということが、やはり大原則ですので、将来に負担を回して現在の福祉を行うということには、私は反対です。現在の、分かち合いの中での助け合いということが、制度設計の根幹であると思いますので、国には大きな借金ができますけれども、将来にツケを回して現在の福祉を享受するというのはちょっと違うように私は思います。それで、消費税は社会保障のために当てるというのは正しいことではないかと思っております。

 一方、いつのタイミングでやるのかというのは、経済情勢と、もう一つ国の信任といいますか、財政の信任度にかかっていると思いますので、信任が揺らいでくると大きなことが随分揺らいでまいりますので、その点は大変心配であります。これは地方政府の大事な判断のポイントでありますけれども、信任は揺らがせないということを判断の上でされたはずであろうかと思います。国債の消化など、多少動きがあるように聞いておりますので、大きなポイントは、負担を先送りしないと。消費増税先送りは、負担を先送りしないということと、国の信任を揺るがせないということが大きなポイントだと思います。

 それと、経済の状況で、経済を安定的に持続させる。高度成長というのは望むべくもありませんが、経済を安定的に持続させるというのは大事な点でございます。消費増税が安定的成長といいますか、成長は1%でも成長といえば成長ですけれども、安定的持続にさお差すのかどうかというのは、多少わからないとこがあります。消費増税で揺らぐのか、もっと根本的なことで、需要が外に消費という形であらわれてないのかということは、もっと大きな話だと思います。そのような点が、今度の参議院選挙では、アベノミクスの総括という点で議論になる、そうなればいいのかなと思います。

時事通信:
 ただ、先ほど、後の世代に負担を先送りしないと仰ったのは、民進党が国債を使って、ということを言っていますが、そのことも含まれているのでしょうか。

知事:
 はい。

産経新聞:
その関連で、消費増税を再延期することによって、県の財政にどのぐらい影響があるのかという試算は出ているんですか。

知事:
 試算は行いました。県レベルの財政にはあまり影響はないですが、市町村の財政に大きく影響するような試算を聞いております。子ども医療費助成を県単でやっておりますが、子ども医療費助成の今のレベルでありますと、今の財政でやり切ることは大丈夫なわけです。奈良県は市町村財政が、県よりも脆弱ですので、増税で予想していた収入と、入らなくなる収入の差は、市町村の方に大きな差があるように聞いております。

産経新聞:
 具体的にどのぐらいの値で聞いておられますか。

知事:
 県内市町村の減収の総額は100億円ぐらいです。大まかな報告を受けただけですが、100億円レベルの収入が入らない見込みだと聞いております。もし必要でしたら、担当課に説明させます。

時事通信:
 それは資料をいただけますか。

知事:
 資料を出すようにいたします。試算ですので、必ず現実になるものかどうかはわかりませんが、そういう事情があると、それを回復するように、補正など、予算で国のほうで措置されると思います。措置されない前提で、試算をしたということです。参考までにということで、後ほど資料提供と、説明をさせていただきます。

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リニア中央新幹線の延伸前倒しと政府陳情について

産経新聞:
 リニア中央新幹線の話なんですが、JRが、名古屋から大阪までの区間が最大8年前倒しになるという話が出ていますけれども、これについて知事のご感想をお聞かせいただけますか。

知事:
 建設前倒しは国が財政措置も考えますよということで、その結果、財政的なものが前倒しになりますよというのが「骨太の方針」に入りました。それと並行して、リニアの中央新幹線に関する総理への陳情を申し込んでおりましたが、実は月曜日に行ってまいりました。一部報道されておりますけれども、官邸でのぶら下がりがありました。そこで多少ご報告しましたけれども、リニア前倒しの公的措置というのを「骨太の方針」で入れていただいてありがとうございました、と感謝を申し上げて、前倒しを現実に実行するには、環境影響評価を、前倒しで早くしないと実現できないということを申し上げました。環境影響評価をするということは、駅位置・ルートを確定することになります。駅位置・ルートを確定しますと、地方公共団体が前倒しで協力することができる。地方公共団体が前倒しで協力できる内容は、土地の取得、地下を走るにしても工事の立坑の土地や駅の土地、明かり区間の土地は必ず要りますので、土地の取得の協力、それと土砂処分の協力、これは工事費に直結いたします。それから住民の方のいろんなご意見の調整や説得。その3つが地方公共団体のできる大きなことであります。JR東海は全部自分でする気構えでおられますが、それは大事なことですけれども、地方の協力があったほうがスムーズにいくのではないか、という観点がございます。その協力をさせていただくに当たっても、駅位置・ルートの早期確定、そのためには、環境影響評価の早期着手が必要だということをアピールしてまいりました。

 なお、駅位置・ルートが早期に確定いたしますと、駅周辺の整備というのは時間がかかりますので、駅周辺の整備に都市計画などを策定していく中で、民的資本がどんどん集まってきます。新横浜がそうでありましたように民的資本が集まりますので、景気対策にもなるといったようなことを、三重県、奈良県、大阪府で言ってまいりました。そのほか、駅の位置は、リダンダンシーの観点から奈良市付附近駅というのを確定してくださいということを言ってまいりました。そのような陳情が月曜日に実現いたしましたので、ご報告いたしますとともに、JR東海のほうも、官邸とJR東海との調整を受けて、柘植社長が発言されていると思います。

 大事なことは、8年前倒しよりもっと早くできることですが、東の区間が完成してから取りかかる、また、目処がついてから取りかかる、ということですけれども、並行して取りかかれるんじゃないかということが西の区間からの願いでありますので、その点を、どのように西のほうで早く取りかかれるのかということと、東のほうの工事が相当長くかかりますけれども、西のほうが「接続列車」になるよりも「並行列車」になるように、前には進めないとしても、並行して進めるというイメージです。並行して進めることは可能だと思います。それは駅位置・ルートが確定すると、いろんな環境整備が地方はできますから、地方公共団体ができることを申し上げてまいりました。したがって、そういうような動きについては、奈良県として歓迎でございます。

 要望書は、もしご興味がおありでしたらお渡ししますけれども、今申し上げたことが書いてございます。では、後で要望書をお渡しするということにさせていただきます。

 それから、陳情の内容では、リニアだけではなくて、それは3県の陳情でございますけれども、奈良の仏像海外展開催に向けての要望を、奈良県からいたしました。オランド大統領とサミットの前に会談されたときに、「ジャポニスム2018」というのをパリでやることを合意されました。奈良県は、「奈良の仏像海外展」というものを企画して、今、準備を進めておりまして、国際交流基金の理事長から、このジャポニスムとちょうど時期も一緒になるし、趣旨も一緒になるので、ジャポニスムの一翼を担う奈良県の企画を、場合によっては中心企画として位置づけていいかと電話がありましたので、お役に立つなら結構ですよと言った経緯もありました。総理がその仏像の海外展、今年はイタリアに行きますけれども、総理の肝いりだと聞いておりましたので陳情いたしました。

 もしこの陳情書も、よかったら、先ほど申し上げた要望書と併せてお渡しいたします。報告が遅れましたけれども、官邸の陳情については、事後なら言ってもいい、ということでございましたので、三重県知事と私と大阪府の副知事と3人で行ってきましたことを申し上げました。

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「奈良の仏像海外展」に関する政府陳情について

産経新聞:
 海外の仏像展示は、具体的にこういう仏像がいいというのは、知事の中でイメージがあるんですか。

知事:
 そうですね、陳情書にも書いたんですけれども、せっかく海外で展示をするのに、奈良のトップクラスの仏像を海外の著名美術館に展示したいと思います。奈良のトップクラスというのは、日本のトップクラスであり、世界のトップクラスであります。それを知ってもらいたいという思いがございますので、それを一番に総理にアピールしてきました。総理は、なかなかトップクラスが出てこないんだと言われて、そんなつぶやきがありましたが、トップクラスの仏像で、どういうものを出すかということは、私は余り知識が豊富ではありませんので、これはトップクラスで、これはその次だというランキングは余りわかりませんが、社寺所蔵のものでございますので、それぞれご都合があるように思います。今、調整してお願いに回っているところであります。

 海外展示に際して、ジャポニスムと一緒になるということは、政府も奈良の仏像展示に協力するということで、日本の文化発信に一緒に協力してやろうということで盛り上がってきております。これは大変よかったことだと思います。奈良の仏像がなぜヨーロッパに行くのか、フランスのギメ美術館と大英博物館です。ギメの館長が今週奈良に来て、面談するんですけれども、奈良の仏像は、ギリシャのアレキサンダーが中央アジアに行き、又、インドで発祥の仏教が西漸をして、紀元後1世紀ぐらいに邂逅しました。ギリシャのヘレニズム的な美術観と仏教の思想が邂逅して仏像ができたと、ガンダーラでできたと言われております。それがバーミヤンに展開して、さらにヒンズークシュ(山脈)を越えて中国に入り、韓国に入り、実に遠くのこの奈良まで届いたというような仏教美術が多いように思います。そのいわれとか、仏教ではインドや中央アジアの神々が祀られていることも多く、そのいわれというようなことも、いいストーリーを展示できると思います。日本の大昔の紀元前3世紀、アレキサンダーの東征からずっとつながったその文化の伝播の流れがありますよというようなストーリーにもなりますので、オリンピックにふさわしい企画になるのかなと思って発想しておりました。そのようなことが実現できたらいいと思っております。たまたまリニアの陳情に合わせて総理陳情ができましたので、併せてご報告をさせていただきました。 

 

 

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リニア中央新幹線について

奈良新聞:
 リニアの話に戻ります。6日の陳情のとき、京都府の知事も別に行かれたんですか。

知事:
 行かれてません。

奈良新聞:
 その3県だけですか。

知事:
 3県だけです。名義も3県だけです。来られるなら歓迎です。三重-奈良ルートへ京都府の知事が来られることは歓迎します。この奈良ルートで奈良市附近ということで陳情するのに、京都府知事が入ってこられたらいいのになと思っております。

奈良新聞:
 リニアの関係で、JR東海側が奈良市附近のルートは変えないということを言われたとか。

知事:
 前から言っておられるんです。

奈良新聞:
 改めてそういう情報を知事が入手されているということでしょうか。

知事:
 いえいえ、前から言っておられるんです。

奈良新聞:
 改めての話ではないと。

知事:
 前から言っておられます。関西ではそのように、前から言っているんだということが報道されていないだけだと思います。

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奈良市月ヶ瀬の違法土砂掘削地の今後の対応方針について

毎日新聞:
 今週の6日に月ヶ瀬の調査結果が出ました。危険性は早急にはないということで、長期的な監視をしていくというような報告だったんですが、知事はこの間の会見で、行政代執行ができるか検討はすると仰っていたかと思います。今、改めて行政代執行などを、どのように今後考えていかれるかというところを教えていただけますか。

知事:
 月ヶ瀬の案件で、行政代執行すべきという申出書が、オンブズマンの方から出ていたと思います。行政代執行を含む申出書が出ていますので、その申出書に答えるように、事務的に準備をしております。そして、行政代執行の是非も含めてお答えすることになると思います。

 今の感触ですけれども、行政代執行というのは、まず、その本人が是正をすべきというのが、行政代執行の要件としてあるんですね。行政が代執行して求償する。今までの事例だと、葛城市で、土砂が崩れて道路まで土砂が降りた。これは河川でも同じですが、公有物である道路まで被害が及ぶと、土砂を流す原因になった山の上の土地所有者が除去するのが原則になります。それを待っていると、道路が開通できないから代執行するというのが原則であります。葛城市で行政代執行をして、道路分は土砂を除去しましたけれども、その麓の民地、私有地までは代執行の対象になりませんでした。

 今度の案件では、道路とか公有物がないですので、隣地の私有地との関係になります。隣地の私有地が危うくなるということで、代執行できるかどうかが一つのポイントだと思います。法律家にも相談して代執行のできる範囲かどうか、もしできる範囲を逸脱すると県が勝手にやったということになって求償もできなくなります。余計なことをしただけだということになりますので、その点をよく見極めて判断するということになると思います。

 それにつけても、私有地であっても崩れるかどうかというのは、代執行以前の話で、まず監視をしましょうということです。民民の土地であっても監視をしましょうということまではやっております。崩れるかどうかの監視は継続する。専門家に、崩れる兆候があるかどうか、継続監視してもらうことにしております。

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砂防指定地に関する行政対応マニュアルの作成について

NHK:
 知事、関連して、6月に業務マニュアルをつくって、今後7月1日の条例改正に備えたいというお話がありましたが、どういう状況でしょうか。

知事:
 はい、議会が始まりましたので、議会に条例改正に伴うマニュアルをご報告するのが一番だと思います。6月17日の建設委員会が、この関係での最初の議会の活動でございますので、行政対応マニュアル、砂防指定地の違反行為の再発防止のための行政対応マニュアル、監視に行くとか、何をするか、民民の土地であっても苦情処理があればとにかく現場へ行くといった行政対応マニュアルを6月17日の建設委員会で報告させていただくということを正式に発表いたします。発表直後に皆様にも公表、ご説明をさせていただきたいと思います。

NHK:
 その内容について、建設委員会後、詳しく説明いただけると思いますが、今かいつまんで言えるとすれば、どういうところがポイントになるのでしょうか。

知事:
 そうですね。それは6月17日、建設委員会への報告後で、皆様に報告させていただくことでお許し願いたいと思います。今度の行政対応のことをずっと見ていますと、砂防指定地という、法の建てつけが悪いのはわかっているけども、行政対応はそれを超えてきちんと対応すべきではないかというご質問は、なるほど鋭いご指摘だな、とは感じました。法の建てつけが悪いので、行政対応がてんやわんやした面もあると思いますけれども、それを超えて、砂防指定地という中での行為制限があるということです。その行為制限を逸脱するようなものというのは、条例の精神で罰則強化しておりますので、まず監視ということをしっかりしなきゃいけないと思います。

 その監視は、期限が切れたらどうかというのが、もう砂防指定地の行為制限という行政責任に対しての、多少、法のたてつけという観点から、曖昧さが残っていたと思いますが、やはり土が崩れたりすると、民民の土地であったり、道路であったりしても驚かれると思います。行政は砂防指定地を全面的に公有地として管理しているわけではなく、行為制限をかけているだけなんです。行為制限、砂防指定地という、明治にできた法律らしいんですけども、そういう場所が、もとは裸の山になるといけない、という趣旨での砂防指定地だったようです。今は法目的が多少進化、変わってきているように思いますので、それを踏まえると、土地の形状が変化をして隣地にも、あるいは公有地にも影響するかもしれないということについては、監視を効率的にしなければいけない。行政期限が過ぎているとか、行為制限をした面積から逸脱しているとかということは、監視がまず第一だと思います。それは常時監視、報告を受けて、それを聞いていたという今までの行政対応から、前へ踏み出した監視という方向にしたいと思います。

 今までは、無許可で土を入れたとか、許可面積の外をいじったとか、期限を過ぎていじったとか、安全という以前に、外形的なことを逸脱したときに、今までは、もう行為をやめてください、という指導にとどまっていたわけです。罰則もないし、指導しかないと、土木事務所が思っていた気配があります。これについては、罰則つきの条例ができるということが、大変大事な点だと思います。罰則を背景にして指導を強化するということは、口頭指導だけではなしに、措置命令というようなことも視野に入れることが可能になりますので、どういうときに措置命令をするのか、やみくもに出すと、民間の、民有地の中の行為制限を過剰にするということになってもいけませんけれども、措置命令を厳格にするというのが必要だと思います。

 それからもう一つは、そういう法の建てつけの曖昧さ、何のために何をするのかということが曖昧になっていたところを、この行政対応マニュアルで厳格にしようということです。3つ目は、通報が許可期限の後にあったとか、監視に基づく情報が組織内に共有されないで、担当がその都度書いているメモが散在していたという、行政の悪かった点があったと思います。それは、共有すると部内の公文書になりますが、ここで公文書というのは、対外的に権限のある者が発した文書という意味での公文書ではないんですが、部内の共有文書として確立した共有文書か、それとも私的なメモなのか。今、私はこうしてメモをとっていますが、これは共有文書でも公文書でもありません。私がこのメモを職員に渡すと、共有文書に発展するというようなことでありますが、そうしない限りは私(わたくし)の文書ということであります。

 職員が書いたものが、部内の共有文書になるのかどうかという、情報管理が随分曖昧だったと、私から見れば思います。情報管理、情報共有をしっかりするという観点で、行政マニュアルを実行します。その3つが大事なポイントだと思います。監視と、措置の実効性と、情報の共有性、その3つが行政対応マニュアルのポイントだと思って、私のほうからは、それらがちゃんと入っているかどうかというようなことで指導しています。

 マニュアルができつつありますので、6月17日に議会に報告した後、マニュアル自身も全部公表させて、内部文書というか、行政の中の、文字どおり「マニュアル」でありますけれども、お知らせさせていただきたいと今、指導しています。

NHK:
 関連して、先ほど市民オンブズマンからの処分の申出書のお話がありました。その中で、「その他の事項」のところで、今回の県の対応というのは重大な過失があったとか、大失敗だったというようなことを踏まえて、職員に何らの責任が問われないというなら、県職員の規律やモラルは保たれるはずがないんだと、憂慮すべき事態だと。職員の懲戒処分は知事の専権事項だが、多くの住民は注目しているというようなことが書かれているんですが。

知事:
 そうですか。

NHK:
 知事は、以前、私と少しやりとりさせていただきましたが、何か怠っていた部分があったのかどうか、逡巡されていた部分、その後、お考えの変化があれば聞かせてください。

知事:
 先ほどの流れで、皆さん大分こうお互いに共有部分がふえてきたと思いますけれども、法の建てつけから来て、いろいろ職員と対話している中で、意図的に怠ったというような感じは、あんまりしないんですね。あるいは隠蔽したという感じはしないんですけれども、法の建てつけが原因になっていると思うんですが、こういうものだ、という思い込みがあったというような感じはします。だから、何か怠ったとか、怠った場合、過失的な怠りかどうかという点が大事なんですけれども、相当、全体の法の改正の進化、世の中の進化についていけていない面はあったと思います。

 それと、文書管理ですけれども、文書管理の共有文書と、私文書と、私文書は偽造という罪がありますけども、これは民民で契約するのが私文書で、内部文書を、これは本人が書いても偽造でも何でもないし、思い違いであっても、書いたのは事実だけど、内容が間違っているだけでありますので、そのような扱いをどうするかというのは、余り意識しないで行政をしてきた。それは悪いことでもないんですが、そのようなものが、どこでもそうなんですけども、実態であったと思います。それが行政の責任に反映されるときに、きちんとしているかどうかというのは、いつも常時吟味されなければいけません。その上で、改善するというのが基本的なことであります。

 改善の途中で糾弾されるべき行為があったかどうかというのは、それは申出書にはありますけれども、それはこちらの責任で判断させていただきたいと思います。そのようなことの感触はどうかと今お問い合わせがあれば、申出があったことは一つの事実でありますので、それをどのように見立てられるのかは皆様の見識ということになると思いますけれども、今の感触は、そんなに意図的な怠りではないと感じます。今の私の、管理者としての感じは、意図的な怠りではない。

 意図的にサボったか、というところまではいかないですが、組織の情報共有などにあらわれていますように、個別の対応で、今までどおりの対応をしてきただけだと思っています。それはもう少しきちんとしなければいけなかったんじゃないかと思われる節がありますので、今度のマニュアルに反映しようとしています。外から見られますと、随分怠ってきたとか、懈怠だと見えるかもしれませんが、それは、行政の中ではこうだということを、なるべく情報開示して、このような環境とか意識の中で行ってきました、ということも、できるだけオープンにしていきたいと思います。それを一面の情報としてご理解の上、皆さま方のご判断を仰ぎたいと思います。

 だから、今の観点、私の、職員を監督する立場からは、その故意、過失の類いはあまりないように感じるんですけれども、申出書に答えなければいけませんので、申出書の吟味の中で判断していきたいと思います。

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ハザードマップ等の情報公開に関する整合性ついて

NHK:
 ハザードマップなどの情報公開の仕方について、奈良県内のどこにどのような危険があるかということを、例えば、大規模な盛土はこういう地域にありますよ、というマップを公開されていたり、最近だと土砂災害警戒区域のマップをネット上に発信したりしておられます。しかし、これはネット上に発信しただけで報道発表はされていないので、どれだけ知られているのかが非常に疑問で残念なんですが、そうやって発信している情報がある一方で、落石については、この前も仰っていたように、2,000カ所ぐらい危険な場所があるというのを県が把握しているけれども、担当課にそれを見せてくださいと言っても、公開はできないというような話になる。なぜですか、と言うと、観光への影響だったり、資産価値への影響だったり。そういう話というのは、多分盛土でも同じであり、土砂災害警戒区域でも同じであるはずですが、対応がばらつきがあって、でも県民としては危険な情報は知って、県としては安全を守るための情報を発信すべきだと思うのですが、そのあたりの、相反する対応をどのように考えますでしょうか。

知事:
 統合的な報道といいますか、発表体系がないんじゃないか、というご指摘だと思います。危険な状況の発表の仕方ということになると思います。

 基本的にレッドゾーンとか落石とか、私は報告を受けていますが、発表することについて反対される方もおられます。というのは、レッドゾーンの公表に反対されますのが、自分の土地の地価が下がるから、ということで抵抗のある中、調整の上、確定して発表するという手続を踏んでいます。

 落石のほうは、どのレベルのリスク情報を発表するかということになると思います。リスク情報の発表の程度は、リスク管理者が管理するものでございますので、最終的にはリスク情報を把握した者の責任ということになります。知りたいと思われる方と、知られたくないと思われる方の競合だと思いますが、発表していいようなものは、できるだけ発表するのが基本であると思います。リスク情報の、発表情報コントロールということになると思います。

 統合的にどう考えるのか、リスク情報の情報所在について、全体的にバランスをとるべきではないかという、報道機関から見た観点だと思いますが、大事な点です。どのようなリスク情報を、どのような気持ちで処理すればいいかということを、体系的に勉強してみたいと思います。

 今までの対応は、私の見るところであれば、調整を積んで、誰も余り文句を言わないところはどんどん発表しよう、といったようなことであったと思います。文句を言われたり、というのは風評被害になると言われたときは遠慮しようという対応だったと思いますが、これは必ず「遠慮」というものが、リスク情報については、リスク情報から損を被る人の立場ということも勘案いたしますと、ちょっと及び腰になるとこも理解できるところでありますので、それをどのような場合に、どのような発表をするかということを、少し統合的に検査してみたいと思います。

 皆様からは、全部発表しろ、ということになろうかと思いますが、リスク情報の管理ですから、落石箇所でもあっても、よく「落石注意」と書いてある、これはどういう意味かという、落石注意情報を現地でやるのと、全体で発表するのと、どう意味が違ってくるのか、そういうところまで考えなければいけません。「落石注意」と書かれても、落ちたときに下を通るとアウトになってしまいますが、余り上ばかり注意していると、「落石注意」と書かれた看板が並んでいると、上ばっかり見て「足元注意」が疎かになるんじゃないかと、冗談を担当に言ったこともあります。注意情報の発信ということにもなりますね。危険リスク情報は、注意情報の発信と裏腹でありますので、その体系を整理したいと思います。

 今仰ったことは、レッドゾーンと落石情報、あるいは洪水情報、いろいろなリスク情報、注意してくださいという、注意喚起につながる情報について、当事者の注意情報につながるのは当然ですが、そういう危ないところには行かないでおこうという、発信量が多くなると観光客が少なくなってくるというのが、現地からいつも出てくるクレームなんです。それをどの程度まで発表するかどうかということの調整、理屈を立てることが必要だと思います。

NHK:
 また調整の結果をぜひ教えてください。

知事:
 そうですね、大事な点だと思いました。

司会:
 ほかにご質問ございませんでしょうか。
 幹事者さん、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。

知事:
 では、資料は幹事社様を通じて出します。

 

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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