平成28年9月7日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めます。
 本日の発表案件は、お手元の1件です。知事より発表をしていただきますので、よろしくお願いいたします。


案件:『(仮称)登大路バスターミナル』起工式を開催
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 行事のご案内です。奈良県庁東の登大路駐車場をバスターミナル化するという検討をしておりましたが、調整が整いましたので、9月10日の午前11時45分から敷地内で起工式をしたいと思っております。

 内容は、以上でございます。

司会:
 それでは、発表案件につきましてのご質問をよろしくお願いいたします。

質疑応答
NHK:
 バスターミナルの起工ということですけれども、これに伴って奈良県として、ドリームランドの話や観光に寄せる期待、経済団体からの期待も大きいかと思いますけれども、知事としてどのような期待をしておられますか。

知事:
 県の敷地内で、県の事業でありますけれども、国から社会資本総合整備金をいただいてやっております。また、文化庁の許可をもらっております。奈良公園には、昔はトイレもなかった、日陰もなかった、座るベンチもありませんでした。例えば雨の時に、床に座ってお弁当を食べている修学旅行生のために、ベンチを奈良県庁の回廊に設置したら、というような発想がこの近辺にはあります。修学旅行生や、歩いて奈良公園に行く人が多いと思います。アメニティーのなさが目立っていました。アメニティーがないことを改善したいというのが目的の一つ。もう一つの目的は、県庁前で、朝、京都から来る貸し切りバスが大仏殿へ行ったり、あるいは夕方に大仏殿へ行って、夕方に県庁前から出ていくバスで混むんです。奈良に観光に来られる方が奈良にずっといてくれれば良いのですが、京都へ帰ったり大阪へ帰ったりするので、そういう交通渋滞があるのが奈良公園の玄関口、登大路の現状です。そこで、観光バスは登大路から東へ入らないようにしよう、登大路で停まって、大仏殿なり興福寺まで歩いてもらおうと考えました。

 ここで停まるとアメニティーの観点からいいのは、たむろして、このあたりはどういう場所だということを時間をかけて学習していただける施設は今はどこにもないので、例の大仏殿駆け込み見学をしてさっと帰るという、いわゆる「定番奈良観光」から脱却したいという思いがあります。そのための施設の設計になっています。

 アメニティーと交通渋滞対策では、県庁東のほうに入るバスの流入を少しでも減らしたいということでありますので、基本的に京都から、大阪から来る団体バスはここで人を降ろしてもらうという、バスのイン・アウトの設計にしています。そのようなことを研究してきた目的は、アメニティーと交通渋滞の解消ということでございます。

司会:
 ほかに発表案件につきましてのご質問はよろしいでしょうか。
 それでは、ほかの案件につきましてもご質問のある方はよろしくお願いいたします。

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質疑応答

カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致について

時事通信:
 カジノの関係でお聞きしたいです。

 先日、大阪の吉村市長がシンガポールへ行かれて、大阪のIR誘致の優位性の一つに、京都・奈良との連携が見込めるというお話を現地で会見されたようです。2年前にお聞きしたときは、知事は、カジノに対して非常に慎重なお考えを示されたと記憶しているんですけども、現時点でどう受けとめられるでしょうか。

知事:
 同じことです。カジノが奈良にできるということは余り雰囲気が合わないなと感じています。大阪、横浜、東京、沖縄等、カジノを建設されるのはそれぞれの地域の趣向ということになると思います。多分、吉村市長がおっしゃったのは、カジノは大阪でして、負けて慰めてもらうのは奈良に行きなさい、ということかもしれません。勝手に類推してはいけませんけれども。役割分担というものがあると思います。儲けさせてください、と事前に奈良に来ても神様は聞いてくれるかどうかわかりませんので、奈良にはカジノへ行く前か後に来るか、お賽銭を少し残して来られることはいいと思います。そういうイメージというだけで、冷やかしぎみに申し上げて申しわけありませんけれども、大阪が京都・奈良と協力してというのは、多分奈良にも作れという趣旨ではないと思います。

時事通信:
 京都・奈良には世界遺産があるので、そこと連携してということでしょうか。

知事:
 そうなんです。場所も、古都の近所、同じまちの東の端にカジノがあって、西が古都の地域だと、そういう地域は多少あるように思います。パリもカジノは都心から100キロ離れていたと思います。カジノへ行きたい人を、100キロ車で飛ばして郊外に案内したことがありました。カジノは都心にはないんですね。

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リニア中央新幹線中間駅に関する井戸関西広域連合長の発言について

奈良新聞:
 この間の関西広域連合議会の8月定例会で、井戸連合長が、リニア中央新幹線の中間駅について、構成府県市のヒアリングはしないという話をしていたんですけれども、それに関してご見解等お願いします。

知事:
 生駒市出身の広域連合議会議員の方が、中間駅は生駒がいいと思うと、広域連合で宣伝をされて、その上で各府県市の意向を聞くことはないのかと言われた。井戸連合長は、そういう気持ちはありません。中間駅は、国とJR東海が中心になって決めてもらえばいいですとおっしゃった。大変適切なご答弁だと思います。

 コメントは控えますが、奈良県内には、ほかにも手を挙げているところがあります。生駒市出身の広域連合議員の方が生駒はいいよとおっしゃったということです。

奈良新聞:
 京都新聞で、山田知事が、ヒアリングと広域連合内で候補地についての議論をしないのは別だという話をされていたようですが、それに関してはどう思われますか。

知事:
 どこでも意見は言えます。それと三重県・奈良県リニア中央新幹線建設促進会議で、井戸連合長が来られて、また川崎元運輸大臣が来られた。お聞きになったかもしれませんが、建設が近くなってくると京都の人が焦ったり張り切ったりされるだろうと思います。気持ちはわかりますけれども、賛同はできません。

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五條市の残土処分場における無許可開発及び、奈良市のリサイクル会社における死亡事故について

NHK:
 先日、五條の残土の問題で、住民の方々が県のほうに要望に来られましたけれども、今後県として何か具体的な対策についてご予定があるかということが1点。

 奈良市のリサイクル会社で相次いで死亡事故が起こっておりまして、業者さんの管理監督ということに関しては奈良市のほうの管轄かもしれませんけれども、労働局も関係している話でもございますし、実際事故があった場所が、奈良市だけではなく、大淀町等、県全域にわたっておりますので、県として何か対策はないかという、その2点についてお願いいたします。

知事:
 五條の残土は、ご要望がありまして、森林法違反だと思います。砂防指定地でも同じ事ですが、森林を、私有地であっても勝手に崩してはいけないということ。森林は崩すと土が流れたり水が大量に一気に流れたりして、下流や近所に迷惑をかけるかもしれないという観点の規制がございます。その許可を取らないで土地を触ると、明らかに森林法違反であります。その是正の指導はしてまいりましたが、是正をすると言っておられるらしいんですけれども、まだ是正がない。月ヶ瀬も同じだったんですが、是正する、と言って県の職員がだまされていたような感じがするので、もうだまされてはいけないと言っています。

 9月5日に、9月16日までに是正の計画を出しなさいと期限を切った文書を出しました。そして、16日までに計画書を出さないと、次は是正命令に踏み切ることになると思います。是正命令になると、告発等、違法ということを順番を踏んで告発等を行っていきます。自主的な是正に余り期待できない、それで時間をとってはいけないということを思っています。

 それともう一つ、住民の方が心配されているのは、土がこぼれ出す等の安全リスクが発生しているんじゃないかということです。だから、森林法違反は明白ですけれども、土が流れ出すかどうかは調べてみないとわからないので、手を入れた形状が安全かどうかを調査に行きなさいということを職員に指導しました。だから近々調査に行くと思います。それは森林法違反の調査ではなく、土の形状がすぐにリスクがあるかどうかという調査です。森林法違反だということは森林整備課の仕事ですけれども、だから土をいじったら危ないかどうかというのは、県の業務かどうかが明確じゃなかった。砂防法、森林整備法、河川法等いろいろあって、土地所有者に、自分の自宅の土をいじったら何が悪いのか、と言われたときに、危ないと心配ですという程度で、危ないかどうか調べていいですかというと、私有地だから来るなと言われるとできないわけです。森林法違反等、きっかけがあると、調べてもいいんじゃないかと思います。私有地に踏み込んで調査をするわけだから、あなたのやっていることは危ないかもしれませんよということを調べに行くという権限は、厳密に言うと明確には書いてないんですが、そこまで踏み込んでできるんじゃないかと思います。

 だから、職員の方は真面目だから書いてないことはしてはいけないと思っていた面もあるかもしれないんですが、法全体を見ると、土がこぼれて危険が発生するのを調べるまでは、まず、誰が是正するかは次の違法状態によるけれども、調べるまでは踏み込んでやるという基本精神を確立してきているように思います。その調査をするということにいたしました。当面その2つです。

 もう一つは、その土をいじったりするということにも関係いたしますが、土をいじるのは、やわらかい土ばかりでなく、岩を崩してならす、砕石をされる業者さんがおられて、痛ましい事故が起こっております。これは労働衛生、労働安全の話であります。トラックでも、この砕石業でも、労働安全は、安全の行政は基本的に国がされることになっていますが、県、市町村は、労働安全についてあるいは労働衛生についての基本的な知見が国よりは低いのが通常でありますので、逆に住民の、先ほどのような環境を守るとか、命を守るというのは基本的な業務としてあると思っています。労働者の安全を守るのは、一義的には雇用者ということになりますけれども、雇用者がしっかり労働衛生、労働安全を遵守しているかどうかというのは、労働基準監督署や労働局が、あるいはその業界の監督官庁がすることになっております。

 県として、無関心というわけではないですが、直接業者指導ということは多分権限的にはないと思います。しかし、どうしてそういうことが起こったんだろうかと、懸念と深い関心は持っております。

NHK:
 現時点では、県が具体的に何か指導に行く、調査に行くということはありませんか。

知事:
 そうですね、今のところはありません。
 それにしても、痛ましいことが起こり、びっくりしています。

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災害発生時の災害時要援護者(災害弱者)に対する県の対応について

産経新聞:
 8月末に東北地方を襲った台風で、岩手県の高齢者のグループホームでお年寄りが9人遺体で発見されたということがあって、改めて災害弱者への対策なんですけれども、県としては、今のところそういった施設に対しての災害時の対応というのはどのようになっているんでしょうか。

知事:
 災害時の対応は、紀伊半島大水害からちょうど5年目になりましたが、その後、紀伊半島大水害の教訓を生かすという形で勉強してきました。今、奈良県で言っておりますのは、まず第一に命が助かろうということ。命を助けるのは、まず自分の努力で、奈良県で想定できるのは地震・大水害・土砂崩れというのがメジャーな自然災害なんですけれども、まず命が助かりましょうというのが第一義の目的です。これは県と市町村の役割ですけれども、何よりもご自身がそのようなマインドを持ってもらうように、また環境整備をするようにというのを目標にして、それのための施策を充実させてきています。

 自分で助かろうというときに、今おっしゃった災害弱者あるいは寝たきりの老人、老人ホームの人たちというのは日ごろから助けが要る人たちですので、災害のときは余計に被害を受けやすいということは間違いありません。その人たちを率先して助けるのは、他人の力が平時以上に要ることは確かであります。岩泉の老人施設のケースを念頭に置いて、災害弱者の命を守るということを、学習しながら念入りにしようという気持ちになっています。

 災害弱者の対応は、平時のときは施設に任せておけば良いですが、災害時は、施設だけに任せないで周りと助けるということが大事です。岩泉のケースは、あのような雨が降ったときのリスクの感度、避難を早目にするということが必要だったと思います。弱者を安全なところへ、早目に避難所へ来てくださいということを言うだけでなく、連れてこなければいけない人たちであると思いますので、そのような事態が起こったときに、水害だと想定外ではなく、地震よりも想定しやすかった面があるんじゃないかと思います。地震はなかなか厳しいと思います。直下型地震で、急に起こると困る、というような感想を持っていますが、災害弱者の方については、多少の時間的余裕があって備えがある人に引っ張ってもらってでも、とにかく避難してもらうということが鉄則だと思います。

 「命が助かる」ということを、今度は災害弱者には「命を助ける」ということをどう対応できるか。しかし、命を助けるご本人の方、施設に入っておられる方がご本人でなかなかできないのは、基本的に災害避難は市町村の役割になっていますけれども、市町村がそこまで意識が強いかどうかというのは、失礼ですけども、少し離れて県が見ますと心配なところもあります。どこがどうとは言いませんけれども、熱心なところばかり、備えが十分なところばかりではないのが普通であります。岩泉の、他だったら備えがあったかもしれないとか、そういうことは行政の備えで助かる、厳しい災害にも命が助かるかもしれないというのはいつも起こることでありますので、行政は、備えをして、そのときに努力をすると1人でも2人でも命が助かるということを思って心構えをしなければいけないと思います。現場の市町村、本人、周りの施設長、大川小学校みたいに、施設管理者のマインドがとても重要だということはわかっていますけれども、それをさらに助ける市町村、あるいは県が、それぞれ現場の状況に対応して備えをして、少しでもとっさに起こることに対応できるようにしておくというのが鉄則だと改めて思います。

 奈良県の市町村と施設には、文書でも改めて点検をお願いいたしました。しかし、想像がすぐにはできない可能性がありますので、他の地域での経験を我が身に置き換えて想像して、こういうことが身近に起こったらどうするんだろうかという図上訓練のトレーニングが必要かと思います。県からアドバイスできることはしていきたいと思いますが、例えば岩泉のケースは、夜間の当直の人が1人だったんです。夜間はいつも寝ておられることが多いので、平時は1人でも済むかもしれないけれども、大雨が降りそうであれば、1人では足りないかもしれない。大雨が降りそうであれば、1人でなく2人、3人にしておいてくださいという指導やマニュアルはありません。岩手県にもないし、奈良県にもないので、そのようなことが要るんじゃないかということを検討し始めてもらっています、管理体制の増員ということです。

 災害弱者に対するリスクが増したときの施設管理、災害弱者の管理体制の増員というようなテーマで検討を始めています。すぐに立派な知恵は出ないですけれども、一つ一つ気がついたことを実行のテーマにしていきたいと思っています。

産経新聞:
 担当課はどこになるんですか。

担当課:
 施設そのものは長寿社会課です。防災につきましては防災統括室です。

知事:
 災害弱者の観点からは長寿社会課です。災害時の対応というのは防災統括室です。取材があれば、防災統括室に聞いてもらうのがいいと思います。

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リニア中央新幹線に関する国の雰囲気の変化など

時事通信:
 先ほどのリニアのお話のところで、川崎二郎議員が来られた。これは非常に大きな意味があると思いますが、どのように理解したらいいのか教えていただけますか。

知事:
 去年も来られました。

時事通信:
 中央の空気は大分変わってきたという感じですか。

知事:
 そうですね。挨拶でも申し上げましたけれども、自民党の会議の中では、竹本直一議員がされているリニア建設促進の特別委員会。これは東京から大阪までというものです。川崎議員が議連会長という形でされておりますのは名古屋以西の促進議連です。前回の会議は、随分雰囲気が違って、先生の数も増えました。一昨日ありました三重・奈良ルートの建設促進大会も随分雰囲気が変わってきたように思います。それでJR東海がすぐにできない養生期間が要るといって、2027年の完成から8年、財政養生をしないといけない。それは財政投融資を3兆円今の東京-名古屋の建設につぎ込むことによって、8年も養生はしなくていい。なぜそんな金利が安いのにそれで効果があるのかというと、固定金利だからだそうです。長期固定金利というのは金利リスクが発生しないので、今の3兆円を固定金利で長期間借りることができるというのは大きな財政支援であると、自民党のリニアの名古屋以西議連で、JR東海の金子副社長が発言されていました。

 それで、8年の養生はなしに、2027年、東の工事が完了するとともに、西の工事を開始できるようになりました。そのためには、実は環境アセスメントを工事開始前、奈良県の主張では5年プラスアルファ前に環境アセスの開始が要ります。環境アセスがないと工事は始まりません。そのことをお願いして、それは理解をしていただいてきております。だから何となくロードマップというのか、工程が視野に入ってきました。まだ西のほうはすごい先だけど、視野に入ってきたというような感じが皆さんが受けられたから、先生方がすごく元気になってきていただいているのかなと思います。

 2027年に工事が開始いたしますと、工事はおおむね10年程度ということでございますので、2037年に西も完成。そうすると今、2016年からですと完成が21年後となります。

 で、東のほうの工事の進捗が順調にいくかどうか皆心配しているわけですが、南アルプストンネルほか、名古屋駅、品川駅、難工事がありますので、川崎議員が東京の議連の会議でも強調されましたのは、新大阪駅に着くなら着くで良いけれども、新大阪駅の工事というのは大丈夫かと。品川も名古屋も大変だぞと言って、大阪府がメンバーに入っておられますが、大阪府、また大阪の財界も、お金を出すだけでなく、場所を早く決めて、新大阪の工事が遺漏ないようにしてくださいというのが、大阪も入って促進協議会をつくったらどうですかというご提案の一つのポイントだと思います。

 また、奈良も、今のところ3つの市が、2つの市とその他多くの市町村が要望、駅の設置場所について意見を持っておられますので、そろそろ絞ったらどうですかということを、川崎議員が言い始めておられます。

 だからそういう具体的な話が、前倒しの財政支援がどうなのかということが大きな焦点でありましたが、総理に直訴しようと思って、事務的に奈良県が申し込んでいたんです。安倍総理の日程は、サミットの前は難しいということで、サミットが過ぎて、急に来ていいよという話になったので、6月6日に、私と三重県知事と大阪府の副知事で、事務方3人で官邸に行ったという経緯がありました。

 そのときは財投投入は決まっていたんです。申し込んでいたときは決まってなかったんですが。申し込みはもうサミットの前から事務的にしていたんです。

 会っていただいて、三重・奈良ルートでお願いに来ましたということを安倍総理に申し上げ、財投投入、前倒し財政支援については感謝申し上げ、環境アセスを早くしてほしいんですと申し上げました。総理は、ああ、君たちか、という感じでしたが。

時事通信:
 先ほど、県内の3カ所の候補地をそろそろ決めたらどうかというお話も川崎議員からあったとおっしゃっていた。

知事:
 そういうことをされる方が、川崎議員初め、おられるということですね。

時事通信:
 知事の中で、そろそろ絞った方が良いという感じもあるんですか。

知事:
 JR東海との関係だと思います。政治的に押し込むのは嫌がっておられるので、合理的に決めるようにしたい。環境アセスがまだまだされておりません。東のほうの工事を見てみますと、地方の協力があるのとないのとでは随分工事の進捗が違うように私は思うんです。それをJR東海が地方の協力を仰ぐと工事費が安くなるなと本当に思い始められますと、いろんな話がもっと綿密になると思います。

 地方ができる大きな助けは、土地取得です。既存の駅と接続する用地買収が大変なんです。名古屋や品川はとても大変です。駅のホームは地下ですが、接続する通路等の確保が大変なんです。

 用地取得について、地方公共団体も協力体制にするということと、工事費に直接大きいのは残土処理です。トンネルばかりだから残土が大変出るので、残土処理を地方が協力するかどうかで全然違ってくる。奈良で出た残土は、海に捨てにいくとなると、とても高くつきます。今、県は、残土は買い取ってもいいと言っているわけです。するとすごく願ってもない話のはずなのですが、工事がまだ目の前に来ていないから、あまり心動かされているようには見えませんけれども自分で海に捨てに行くのと、目の前で引き取ってもらうのとでは、随分工事費が違うということは常識的に想像できます。

 そこから住民の説得です。そもそもリニアは来なくていいという住民の方もおられます。それは駅の位置にも関係します。JR東海だけで昔の国家工事のようにはなかなかできないと思います。そういう協力関係が構築されてくれば、西のほうはよりスムーズにいく可能性がありますので、それを信頼感を持って協議しましょうといJR東海には言っています。

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大阪府も含めた、「リニア中央新幹線建設促進会議」について

奈良新聞:
 関連になりますけれども、5日の三重・奈良会議で、今、お話に出た川崎議員のお話の中で、大阪が死に物狂いになってやってもらわないと、というお話も出ていたこと、知事も先ほど触れられましたけれども、川崎議員がそろそろ三重・奈良建設促進協議会、この促進協議会の看板をおろして、三重・奈良・大阪としてはどうかというようなこともおっしゃっていました。それから、今お話に出ていた6月6日に安倍総理にお会いになったときも、3府県で行かれた。今回、三重・奈良のときも新井副知事が大阪からは出席されていて、三重・奈良の連携ということを強調された。これは、キャッチフレーズ的な言葉を求めるようですが、三重・奈良・大阪で協議会の結成というような意気込みなんですか。

知事:
 これは、大阪府から副知事が来られて、関西広域連合の連合長が来られて三重・奈良ルートで参加していただいているというのは大変大きなことでありますけれども、川崎議員は政治家の勘で、そろそろ新大阪の駅のこともしないといけないということと、ルートを三重・奈良ルート、三重・奈良・大阪ルートでやらないといけない、ということと、もう一つは、その際は、東と西の「同時開業」を目指すのではなく、西については「早期開業」というように旗をかえたほうがいいということをおっしゃって、これはJR東海と融和的にもっと進めたらどうかというご示唆があったように思います。

 皆それぞれ大事なことだと思います。長期プロジェクトは、これが済んだからこれで終わったというわけではない。予選が一つ勝ち進んだというわけでもないと思います。やっぱり何十年のプロジェクトは紆余曲折がありますので、油断しないように努力をしないといけないと思っています。より明るくなってきているようには思いますが。

奈良新聞:
 まだ「三重・奈良・大阪」というところまではいっていないということですか。

知事:
 意外と早くいくかもしれない。しかし、いかないと進まないのかというわけでもないし、そういう機運になってきたということです。川崎議員があのように具体的におっしゃって、一つのステップフォワードという発言だと思います。何といってもJR東海が環境アセスを開始するというようにならないと、それは相撲をとる場で、時間ですといって行司が軍配を返す前に、周りの桟敷がもう時間だ、時間だと叫んでいるだけだから。環境アセス待ったなしとJR東海が自分で立つかどうか。そうならないと、三重・奈良・大阪は、大阪は桟敷の後ろの一席だったのが前へ来て一緒に座ろうということになっても、土俵で立ってくれないと相撲が始まらない。そんな感じなので、桟敷でメンバーがそろったからといって相撲が始まるわけではないですが、早く相撲が始まるように桟敷のメンバーもそろうと、それはいいことだと思います。

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リニア中央新幹線建設工事で発生する残土の買い取りについて

時事通信:
 残土処理のお話で、残土を買い取りますというご提案は、前からされていたんでしょうか。

知事:
 前からしています。買い取りといっても、そんな高く買い取るつもりはないです。みんな自分でしているのだから、トンネルの入り口へ置いてもらったら引き取るというような感じです。大量に残土が発生する状況ですので、残土処理計画ということは、もしそういう計画を一緒につくろうということになったら、JR東海が全部処理するから気にしなくていいよとおっしゃっても、そうしないほうがいいんじゃないかと思います。残土処理は何千億かかりますから、大きいです。公共事業に使えたら、それにこしたことはないと思います。

時事通信:
 それは、リニアの工事で出てきた土を県の公共事業で使うということですか。

知事:
 使うということも視野に入れてということです。JR東海は、トンネルを掘ってくれれば、県はその土を使うからというようにいくのが理想的ですね。

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五條市の残土処分場における無許可開発及び、奈良市のリサイクル会社における死亡事故について

知事:
 先ほどのご質問の追加の情報ですけれども、五條市の森林法違反は、9月2日に事業者から是正計画書の提出はありましたが、内容に不備があり、9月5日に、9月16日期限の補正の指示をしたというのが詳しい内容でございます。

 それから、奈良市の死亡事故は、業態としては産廃処分業だそうです。また、工場は、木材リサイクル工場になっておるようでございます。

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国民文化祭の今後のスケジュールや若者に対するPRについて

朝日新聞:
 先日、国文祭・障文祭のプレイベントがありまして、新井満さんのイメージソングも発表されたと思います。もういよいよ1年というところだと思うのですが、イメージソングの活用であったり、今後のスケジュール感であったり、また、プレイベントは大変渋い内容ということもあって、ご高齢の方が多かったのかなと感じたんですが、若い世代にもどうやってアピールされていくのか、知事のお考えがありましたらお聞かせください。

知事:
 プレイベントは、出演が五木寛之さんと、新井満さんと私ですから、高齢者しか来ないのかなと思ったりしました。今年の大芸術祭の橿原のプレイベントはファッションショーでしたが、若い方が多く来られました。だからジャンルが違うので、国文祭のプレイベントのほうは、国文祭の意義をしみじみとかみしめようといったような催しになったと思います。これもこれからの展開ということになると思います。文化の今を楽しむのは若い世代も年配の世代も、楽しみましょうというのも一つの切り口であります。若い世代も文化というものの中にゲームもあります。ゲームも文化だと思いますけれども、それ以外の違うジャンルの文化も楽しみましょうというのも一つのテーマになると思います。

 そして、これも高齢者の方が中心になるかもしれませんが、オープニングは、来年の9月3日、大仏殿の前ですることは決まっておりますけれども、そこで歌を歌いましょうと新井さんが、控室でおっしゃった。ああ、それはいいなと思って、テーマソングを歌うのは普通オープニングでもありますが、奈良らしい展開ということになると思います。

 毎年1回、文化庁が主催する国文祭の会議が2週間ほど前にありました。開催県と次期開催県と、その次の開催県と、3県来てプレゼンをしました。奈良の来年のやり方が大体固まってきたので報告を申し上げましたら、意見としては、障害者芸術文化祭と一体化して一緒にやるという、一体開催というのはとっても意義がある、難しい面もあるかもしれないけれども、頑張ってくださいとご意見をいただきました。愛知県が今年、国文祭と障文祭を同じ場所でやるんですけれども、オリ・パラと同じで時期がずれているんです。一緒にやるというのは初めてのことで、困難があるかもしれませんが、意味があろうかと思います。

 国文祭の文化庁の実行委員の中からは、障害者の文化祭をやると、関係者の方が中心になってしまうので、一般の人がなかなか障害者の芸術祭に足を運ばないから、触れ合う機会でいいんじゃないかという意見とか、奈良の文化祭はオープニングを大仏殿で行うことは報告しましたので、社寺を使うというのは他の県ではできないことだから楽しみですねと、このように社寺を使用したイベントを日ごろからもっと行われたらどうですかというような発言が複数ありました。大仏殿だけではなく、一般の社寺、ムジークでもそういうことをやり始めていますので、一般の社寺とか、特に平城宮跡とか大きなところを芸術、文化で使うというのは、奈良でできる大きな特徴のように思っております。いろいろな工夫をできるだけ凝らしたいと思います。

 県民の方にも盛り上がっていただきたいなと思います。ほかの府県に行くと、随分県の人が盛り上がっていて、奈良も頑張りなさいとおっしゃってくれます。県民の人が、奈良で国民文化祭やるんだから盛り上げてやろうと思っていただくようになればありがたいなと思います。

司会:
 ほかにはございませんでしょうか。
 幹事さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了いたします。どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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