平成28年11月10日(木)知事定例記者会見

司会:
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件は、お手元の1件です。知事より発表していただきますので、よろしくお願いいたします。


地方消費税の清算基準の見直し提言について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 発表という形にさせていただいております。地方消費税の清算基準の見直しについて、来年度の税金が政府・自民党税制調査会で決まるタイミングでございます。かねてから地方消費税の清算基準について見直しを提言してまいりまして、一部その方向で改正していただいた面もございます。今年は大事な年でございますので、国への働きかけと党税調の要路の方々にも働きかけを始めておりますので、何をしているのかということを、記者クラブの皆さんにご説明させていただければと思います。

 奈良県の立場を申し上げますと、地方消費税の意味は、消費をした人が、その消費地において、消費したものに地方消費税をかけるべきだというものでございます。国税である一般消費税は国が集めますので、外国に持ち出すものを引けば良いだけですが、地方消費税は、その地域で消費した消費にかけるということが基本だという立場でございます。

 ところが、消費をどこで行ったかという統計がございませんので、売上税であれば、売り上げがあったところで集めれば済むわけでございますが、消費税ですので、その各段階で払われてきたものを清算することが必要です。その地方消費税がしっかりと消費地に還元されているのかどうかが奈良の一番の関心事でございます。とりわけ、地方消費税が社会保障財源になるということなら、税収の帰属が論理的でないと、社会保障の支出のほうにも影響があるというのが奈良の主張であります。

 奈良がなぜこのようなことを言うかと申しますと、例えば大阪で消費されると、よく寝巻きを例に出しましたが、冷蔵庫や家電、テレビを大阪で買われて大阪で消費される奈良県民はほとんどいなくて、自宅へ搬送して使われます。ところが、今の統計は販売統計ですので、大阪の消費になっているというのが基本的なクレームであります。それを多少見直していただいたんですが、まだ徹底していないところがあるので、改めて、さらに勉強した結果を国、あるいは税制を決められる人たちにお伺いしようかというようなことでございます。

 少しややこしいかもしれませんが、お手元の資料に沿って、どういうロジックでそのようなことを言っているのかということを申し上げたいと思います。

 最初が、全国知事会の資料でございます。今申し上げましたように消費の統計がないから、供給の販売統計で配分されていることが、奈良にとっては一番弱いところでございます。販売統計が、サービス業につきましては「経済センサス活動調査」というものがございますし、販売については、「商業統計調査」というものがございます。それでは消費の実態に合わないんじゃないかというので、わからないところは人口基準にするとか、サービスについてはサービスの従業者数に置きかえて、代替するという手法が行われてまいりました。

 その代替の人口や従業者数、とりわけ人口の代替の比率が不十分だというのが奈良県の基本的な主張でございます。例えば、要求の内容に出てきますが、家電の販売は、どこで消費されているかわかりません。それは家電の売り上げを全体から除外して、その分は人口に代替したほうが実際に近いという主張でございます。

 それは知事会でも、人口の比率を高める方向で見直すようにと言っています。それは最終消費を把握できない場合に、ということです。家電の例をとりますと、家電の最終消費地が奈良なのか、兵庫なのか、大阪なのかがわかれば、その消費地に従って計上すれば良いのですが、全て大阪で計上される、関東では秋葉原に計上される、新宿のヨドバシカメラで計上されるというのは、税金の配分、地方消費税の配分としては極めておかしいというのがポイントです。そのような主張を繰り返しても、改善されていませんので、統計が見直されたこの時期にぜひ主張しておきたいという内容です。

 知事会のポイントを言いましたが、奈良県の提言のポイントが2ページ目にあります。まとめて書いてありますけれども、統計基準が変わりまして、サービス分のシェアが上昇しました。サービスの従業者がいるところでは、サービス消費が行われているはずだと類推されているのですが、サービス分のシェア上昇分を、従業者基準の比率の引下げ、人口基準の引上げが過去の改正で行われました。それがまだ徹底できていないということを言っています。これは少しややこしいので、後でもう一度説明します。

 それから、家電のケースはわかりやすいと思いますが、正確に都道府県の最終消費を把握できないものは除外をして人口基準にしようということが基本になります。例えば、インターネット販売はどこで消費されたかわかりません。インターネットの会社の本社は、奈良にも多少ありますけれども、東京や大阪に多いです。すると消費地と販売地、インターネットによる販売地は全く違うということは大体わかりますが、それを回復する手法は、そういうアイテムの販売額は販売統計から除外して、その分の割合は人口に置きかえましょうというのが基本的なやり方ですので、それを徹底してくださいということです。

 インターネット販売、カタログ販売はそのとおりだと、それは除外しようというところまでは来ているんですが、人口基準で置きかえるというところまでまだ行っていないことが一つのポイント。それで、除外するのは、インターネット販売だけでなく、家電・家具・寝具なども同じです。とりわけ大都市の近辺でありましたら、家電・家具などは量販店、あるいは大都市にある量販店で買って、配送が便利ですので、近所の電気屋で大きな冷蔵庫・テレビを買うということはほとんど見られなくなってきています。そういう販売消費の実態がありますので、それは除外して、その分を人口基準で引き上げてくださいというのが奈良県の主張でございます。

 それから、情報通信とか旅行業、競馬・競輪など、都道府県別の最終消費が把握できない、地方消費税の最終消費が把握できないものについても、同じように除外をして人口基準の比率に代替してくださいというのがその次のポイントです。

 また、社会通信教育の場合、テレビで受講されると、それは東京にある本社に収入が入るわけですが、消費地は全国に散らばっております。このような部分がアイテムとして計上されておりますので、統計上把握できるこのようなものは除外して、それは人口で、もっと細かく言うと、その受講した人の居住地で割るのが良いんですが、その受講した人の居住地を調べるという手間がとても大変になりますので、総じて除外して、人口で割り振ってくださいという理屈を言っております。

 持ち帰りの飲食もそうですが、持ち帰りの人はどこまで持ち帰るかわかりません。例えば、東京で帰るときに駅弁を買うと、駅弁を食べるのが、東京で食べたら東京消費、新幹線で静岡通過のときに食べたら静岡消費、家まで持ち帰ったら奈良消費みたいになるのかいうと、そういうことにはなりませんので、東京で駅弁を買うと、他の駅弁もそうですけれども、駅弁を買った場所は消費地と違うことが多いです。その場で駅弁を食べる人はごく少数だと考えますと、それを除外して人口に代替した方が、それでも正確ではないですけれども、まだ実態に近いと、このような理屈を言っております。

 それから、サービスの学術研究なども、学術研究の消費地はどこかといったおもしろい議論もありますが、学術研究は大学で行うということになると、その大学で勉強される場合もあったり、セミナーがあったりすると、その消費地というのはその場で消費されるとも言えるんですが、専門・技術サービス、学術研究となると、どこで実際消費されているかわからないというのが実情でございます。仕向地主義というのが、どこで消費されているのかがわからないときは除外をして、人口比率に代替しようということです。

 それから、3つ目が、これも正確に把握できないという点では同じですが、非課税取引のうち医療・福祉の分野では、実は消費税分を上乗せするということになっています。非課税でお金を払っていないのに医療費・受診料・入院料を支払ったら、それが医療の販売として計上されて、大阪にしろ、奈良にしろ計上されるということになっていますけれども、それもおかしいのではないでしょうか。

 これも少しややこしいんですけが、その支払いが、個人の支払いの場合と、支払いのもとが保険料の場合と、個人の自己負担と保険料で支払われる場合がございます。それはくるくる回ってしまうので、これをどう整理するのかということを理屈立ててやるのはとても難しい面があります。どこが消費地なのか、あるいは誰が消費の負担者なのかということは、保険の負担者なのか、その保険料をもらって支払っている個人なのかということですが、これは整理するのが難しいので、そのような、非課税になっているものは除外をして人口基準に代替すると整理ができないかという主張です。
 
 最後に、例えば東京、大阪は昼間人口と夜間人口が違います。埼玉は東京に、奈良は大阪に行っていろいろ消費される。それは持って帰られるもの、店舗販売で大阪で、先ほどの家電やそういうアイテムを持って帰るのはわかるんですが、目薬買って帰ったとか、まちで子どものおもちゃを買って帰ったということは、すぐにわからないわけです。おもちゃだって、大阪の人がおもちゃ買ったら大阪の家へ持って帰るのかということがわからないわけで、ただ昼間人口の多いところは、県外から来て買って帰る人の割合が多いのではないかと類推されます。

 その県外の人が来て買って、お父さんが家に買って帰るのは、やはり大阪の消費、東京の消費になっておりますので、やはり最終消費地は居住者のいるところで、子どものおもちゃを大阪の子どもに渡すと限りません。奈良の人は奈良の家にいる子どもに渡すのが普通であります。奈良の人で大阪に子どもが住んでいる人もめったにおりませんので、家へ持って帰られるといったようなものは、正確に把握できませんが、昼間人口の多いところはそういう比率が高いだろうということを類推して、店舗販売の2分の1を昼夜間人口割合で割ることにより補正するといったようなテクニックを提言しております。

  最初のことは、清算は消費統計でできるのが望ましいわけでございますけれども、供給側の統計でされているのが一番の脆弱な、地方消費税の清算基準の一番弱いところでございます。これが根本でございます。それを補正しながら、販売統計は75%ですが、人口基準、従業者基準、サービスの代替が従業者基準、物販の基準が人口基準のように考えられておりましたが、その割合が把握できないのは、こちらのほうへ回していったほうがバランスがとれるんじゃないかという先ほどの主張でございます。それが27年度で多少改善されましたが、まだ十分ではないというのが今回の主張の基本でございます。

 これが増税をされて大変税収が増えてきて、しかも社会保障財源に充てられるということでございますので、もっと根本的なことを言えば、ドイツのように社会保障財源に充てると、社会保障財源はその使途に鑑みて人口基準で全部配分すると。社会保障財源は人口一人一人の財源が同じほうが良いという政治的配慮があって、そのようにされているわけでございます。ドイツのように人口基準で、あるいは高齢者人口割合を補正して配分したら、と主張したことがございます。基本的にはそのような主張をしたいと思いますけれども、それは大変大きな改革になりますので、それに至るまでこのような改善を積み重ねて、最終的にはそちらに持っていってもらえないかというふうに思います。これは社会保障財源に充てるという増税分だけでもそのようにしたらどうかということを主張した経緯がございます。

 全国知事会で、さっき申し上げましたように、繰り返しになりますが、最終消費を把握できないものについては、消費代替指標として人口を用いるべきだと思います。これは与党も政府も同意されております。そのとき算定における人口の比率を高める方向で見直すべきだと。この方向としては同意されております。その内容がまだ不十分だというのが、奈良県の主張でございます。

 どのようにまだ不十分だと考えているのかということが、具体的提言の中にございます。最初に、販売統計の採用が変わりました。この27年度改正では、サービスのシェアが上昇するということで、サービスが上昇すると未把握の代替、未把握の分がもう少しわかるだろうと、サービスの内容はわかるだろうということで、それまではわからないからといって従業者数の基準が12.5%になっていたわけですが、サービスのシェアが上昇すると内容がわかってくるから、従業者数の比率を下げてもいいだろうといった趣旨の改正が行われました。従業者数比率の引き下げ、その結果、人口基準の引き上げが行われたわけです。これは未把握のシェアが少なくなったからだという理屈のように理解されるますが、基本的には、未把握の場合は人口基準に代替しようという流れに沿ったものでございます。これは未把握の部分が少なくなったから、代替指標の従業者数比率を下げたと理解されます。その改正はよかったのですが、まだ徹底していただけておりませんというのが、繰り返しになりますが、提言の内容でございます。

 そのときに、その方向は同じなんですが、徹底されていないというのは、消費地と異なる場所で計上されていると考えられる、旅行業とか情報通信、旅行の商品をどこで買うかというと、消費地は随分違います。奈良の人が北海道に行くのか、長野に行くのかは別にして、東京、大阪の旅行エージェントで買ったのは、大阪の消費だというわけにはいきません。むしろ大阪の消費というものはほとんどなくて、そこで販売しただけだということは明々白々です。それを除外しようというところまではよかったんですが、除外した分について、人口比率への代替が行われなかったというのが、大きなクレームでございます。不十分でないかと言っております。

  次に、29年度に向けての提言ということでございます。統計の、平成19年の商業統計から、26年の商業統計の置きかえがあります。これによっても、サービス分のシェア上昇があります。先ほど27年度改正で行われたと同じように、サービス分のシェアが上昇しますと、その消費の帰属地はよりわかるようになるから、従業者基準の割合はさらに引き下げて良いんじゃないかということです。商業分が減って、サービス分が増えますので、従業者基準を引き下げ、人口基準の引き上げを行ってください、27年度見直しのさらなる徹底をやってくださいというのが、1番目でございます。

 2番目は、販売地と消費地が異なると思われる販売内容、通信・カタログ、インターネットの場合については除外して、人口基準に代替するようにということです。そのほかに、先ほど申し上げた家電・家具・寝具というものも販売統計の中に入っておりますので、それらも除いて人口基準にしてくださいという、曖昧さを少しでも薄めてくださいということです。

 3番目は、27年度改正で除外された旅行業、例えば大阪で旅行商品を買い、北海道へ旅行したら、消費地はどこか。奈良県の人が買ったら奈良県の消費というように、お金を払っているのは奈良県の人でございますので、そのような消費は大阪の消費か北海道の消費かわからないので、奈良県の人の消費ということで、地方消費税は奈良県の消費ということにするという観点から、統計から外すというところまではよかったのですが、人口基準の引き上げが行われなかったので、この除外は何のためにしたのかということがわからないと言っているわけでございます。

 また、先ほどの持ち帰り、駅弁のケースで言いますと、持ち帰りの消費は除外できるアイテムになっていますので、項目はわかっていますので除外をして、それを買う、持ち帰る人はどこで消費するかかわからないんだから、人口基準にしましょうということです。

 それから、最終的には、医療・福祉については、最終消費地で地方消費税負担の統計に上がるわけですが、非課税の統計を消費税の対象にしているのはおかしなことです。それは非課税取引を除外して人口基準にしてもらったほうがわかりやすいので、とりわけ増税分を社会保障財源に充てるという観点からは、すっきりしてほしいということです。

 人口基準の比率を増やすようにということを、税制のロジックで、税制の論理で主張していますので、そんなに奈良県が得するものばかりではない、損するような主張は、基本的には少ないですが、放っておくととても損をする。論理の矛盾が拡大すると思って、今年の税制改正ではやむにやまれない気持ちで訴えに出たわけでございます。

 また、先ほど少し申し上げましたように、昼間人口の多いところは、他地の消費が販売統計に計上されているんじゃないかということを類推しております。どのように補正すべきかというのはなかなか難しいですが、昼夜間人口割合が、東京が大変多いわけです。東京に昼間にお客様が来て買って帰られる。これは、例えば出張に来た帰りに、奥さんの化粧品、あるいは子どものおもちゃ、子どもの本を、あるいは自分の本を買う。奈良で買えば奈良の消費税になりますが、東京の書店で買ったときは、飛行機で帰ったときはどうなるのかということで、それはたまたま東京にいて買うのに便利だから、私もよく東京で本を買いますけれども、これが東京の消費税に計算されていると思うと悔しいなと思って時々は控えますが、奈良でなかなか買いに行く時間がないので、東京で出張の合間で、東京駅を通るときは本を買ってしまうんです。わかりやすい例ということで、そのときは昼夜間人口、昼間の人口がふえたら他地消費がある程度多いだろうということを類推して、昼夜間人口割合で補正したほうが納得感がある。税金は納得感が必要ですので、このような事例を見てみんな納得しているのかといったことを、政府と党税調の要路の方々に訴え始めたということでございます。

 最後に、基本的に消費統計というものがない中で、地方消費税が成り立っているわけです。それを社会保障財源にするということになれば、意見として割り切ればドイツのように人口基準で全部やる、それは譲与税のようになりますが、地方消費税という、独立した地方税にするのであれば、余りにも中途半端な統計に頼り過ぎているんじゃないかというのが、奈良県の主張でございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

司会:
 それでは、発表案件につきましてのご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答
時事通信: 
前回、2週間ぐらい前、税制調査会で発表された内容をアップデートされたのですか。

知事:
 そういうことです。奈良県税制調査会で議論していただいて、学者の方ばかりでしたが、こういう主張は理屈にかなっているんじゃないかと言われました。先生方は、このような計算もしたかったけれども、なかなか計算データがないと。県としては実収に影響しますので、一生懸命計算して、計算書をつけて出しますというように税制調査会で報告して、これは理にかなっているとおっしゃっていただき、勇気をいただきました。今年は力を込めて、タイミングでもありますので、要望活動をします。

 なお、これは知事会の地方税財政常任委員会の委員長である富山県の石井知事が、27年度の税制改正にも全国知事会の中でも調整、応援をしていただきましたが、昨日電話をしまして、個別の陳情もしますと言いましたら、全国知事会でも議論しましょうと言っていただきました。

 なお、近畿ブロック知事会では、福井県の西川知事が人口基準でしたほうがいいという意見を持っておられて、そのようなことを近畿ブロック知事会でご発言いただき、西川知事にも、個別の具体的な提言をしたいということを電話いたしました。頑張ってくださいと申されました。

時事通信:
 富山県知事とのお話というのは、奈良県の案を知事会で議論しましょうということですか。

知事:
 知事会の地方税財政常任委員会でも、奈良の意見を言ってくださいと、お誘いがありました。大都市に税収が集中し過ぎている。大都市は、集中し過ぎていようともらうものはもらう、現状維持に傾かれるので、そういう判断を政治的にしてもらわないといけません。

 奈良県は理屈を言ってお願いをしているつもりでございますけれども、大都市からはそんな理屈聞けないと、こうおっしゃるのが知事会の議論でございます。知事会の中で調整して、出すと、何だかんだといって取りに来るのか、みたいな感じになってしまいます。しかし、税制は理屈だというのが、奈良県の、とりわけ地方消費税、社会保障財源にすると差があると困るというのが切なる願いであります。その点は委員長の石井知事もよくわかっていただいて、奈良県のラインに沿って知事会の中を調整していただいているのが実情でございますが、今回の具体的な提言につきましても、委員会で議論しましょうと、また意見言ってくださいと言っておられます。個別の陳情はどうぞ、ということでございました。

時事通信:
 家具・家電・寝具のお話というのは、今回アップグレードした部分ですか。

知事:
 そうですね。

時事通信:
 このタイミングでこの話を入れたというのは、どういう狙いがあるのですか。

知事:
 通販も家電も同じではないかということです。今までは寝巻きと言っていたんですけれども、家電も家具も統計上、除外することができるということがわかりましたので、それは除外して、人口基準で代替するアイテムに加えてもらおうということです。基本的には、統計上除外して、除外すると昼夜間人口補正にも関係なくなりますので、除外して人口基準で代替にしようということです。

 人口代替だと、大阪の人のほうが金持ちだから、もっと家電を買っているとか、そういうクレームはあり得るんですけれども、しかし、それは消費統計がないとそこまでは詰められません。今のように、販売で、大阪に計上しておくだけの話はおかしいというのが奈良県の主張です。人口代替のほうが平等じゃないですか。理屈の勝負では多少勝つのかなと思っています。

時事通信:
 このように、除外する一方、統計基準のウエートや人口基準の比率を見直さないことには、いずれも本県の配分額がさらに減少することとなり、理論的にも受け入れられないということですか。

知事:
 そうですね。これをしないと、不平等さが定着したり増したりするというのが、切なる願いの原動力になっております。

時事通信:
 東京へ行かれますが、こういう方にこの話をしますというのは、今のところ決まっていますでしょうか。

知事:
 アポは入れております。党税調の、インナーの人たちといいますか、税調会長も含めて、今までも会いに行っております。旧知の人たちですので、話は聞いてもらえそうです。

時事通信:
 総務大臣はアポを取っておられますか。

知事:
 総務大臣もアポを入れております。国会があるので、時間がなかなか取れませんでした。基本的なところは、夏の政府要望のご説明の際に、このような税制改正の要望を直接大臣に説明いたしました、そのときはカタログ販売のことを要望いたしました。カタログ販売の除外については考えていますとその場で高市大臣がおっしゃいましたが、それだけでなく、人口基準の代替ということをきちんとしてくださいということを、念を入れてお願いしなければいけないと思っています。その後の要望についても、その場で大臣が前向きに言っていただいたポイントもあるんですが、やはり税制でございますので、詰めていただけなければなりません。要望の内容を具体的に申し上げるように、事務的にも進めております。

奈良新聞:
 その関連ですが、この県の提言の中に35%という数字が具体的に人口基準で出ています。少し前の産経新聞の報道で、与党税調で、35%という数字がもう既に出ていたと思います。その辺が見事に一致しているように思ったんですが、それは何かありますか。

知事:
 35%というのは、奈良の主張か、党の税調の独自の主張かはわかりませんが、たまたま合ったのかよくわかりませんけれども、党の税調の事務局に入っておりませんので、こういう主張はもうやり始めておりますので、このように全部取っていただくと、こういう数字になります、という計算は、しっかりと精査しないと、この数字が出てきません。もし35%で落ちつけば大変ありがたいですが、最後までわかりません。

奈良新聞:
 事前に県から独自にまとめた、それを党の税調にお話をされていたことはないですか。

知事:
 しばらく前ですが、党税調の要職の方々にこの要望はいたしました。その方々が聞いていて、そのときの感触では、よく理解していただきました。同じようなことを思っていた、と言っておられました。役所からは、こんなに正確には上がってこないと感じもいたしました。だから具体的に計算をして持っていくと、ああ、こういう数字なのかと思われたような感じもありました。もとからそのようなことは知っていたということではなかったように思います。ただ、言いぶりのロジックは見事におわかりになる人たちですので、ロジックはそうだなと言っていただいて、大変意を強くいたしました。もう少し党税調の要路の方々にもアピールしようということで、今日の午後から行きますけれども、明日に、会っていただける方には会わせていただこうかと思っております。

NHK:
 清算基準の要望が仮に実現したら、一体配分は幾らぐらい増えて、そもそも取り損ねていた総額がどのぐらいなのかという試算はあるんですか。

知事:
 結果が出れば喜んで発表したいと思いますが、とらぬタヌキの皮算用とタヌキ扱いにされる可能性もあります。まだこれからですので、選挙の結果と同じで、これだけ得票がありそうだというのは余り候補者は発表しませんので、申しわけありませんが、計算はしておりますけれども、あまり喜び過ぎじゃないの、どのようにするかは、俺たちが決めるんだからと言われそうですので。一つ言えることは、こういうことを訴えないと、統計の不平等さが拡大して、奈良は損をするということがわかっております。損が拡大すると、減収になるということです。

 だから、こういう理屈に合うようなことで見直していただいて、それでも減収になるんだったら、他の原因で、消費が少ないから減収になったと納得ができるわけです。制度上の不正確さで減収になるのは、訴えに行く責務が、私の立場からもあるように思います。やむにやまれぬ気持ち、気持ちを先行させてもいけませんが、ない知恵を絞ってお願いに行くといったような感じでございます。これは予算と違って、「えいや」で決めていただくのではなくて、制度でございますので、制度が理屈に合うか、とりわけ税制は理屈に合うかどうか、多くの人の納得感があるかどうか、きちんとしてくださいと本当に言いたいです。消費税はややこしい税制であり、売上税と違います。しかも社会保障財源に充てるからといって増税をされるというタイミングですので、その場合は納得感のいくようなことをしてほしいと思います。

 正直、成績でいうと、東京にばかり集まって、あのようにお金が集まるところはいろんなことを、オリンピックでもできるんだというようなことにもなりかねません。社会保障の財源と言っているのだから、社会保障の行き渡っていないところ、行き渡っていないからお金を配るということになると交付金とか補助金になります。税金でドイツみたいに人口当たりで平等に割り振って、それで各地で工夫しなさいというほうが、社会保障財源としては平等な配分になる、税金の配分としては良いんじゃないかと思います。ドイツで採用されていることを訴えてきておりますが、全て人口代替というのは、今までの経緯からして大変遠い世界の話ですので、今の制度の上で少しでも改善してくださいというのが奈良県の今度の提言です。将来的には社会保障財源に全面的に使うということになれば、ドイツのような人口基準あるいは高齢者人口の割合を加味した基準というのが、使途と税収、目的税的になりますが、目的税的な税収・税源ということになれば、より国民の方に納得感がいく税源になると思います。

時事通信:
 東京から出ている記事等を見ていると、実現は複数年後のような書き方をしていたり、見ていたりする人も多いのかなという感じがするんですけど、あくまで奈良県としては、29年度改正で実現ということですか。

知事:
 来年度の税制改正に反映させてくださいということです。先送りは嫌です。先送りは糾弾してほしいぐらいです。前の訴えの時に、多少改善してもらった感じもありますが、基本的には消費統計でできたらそれに越したことはなく、そういうことを勉強するとおっしゃったんですが、供給統計を消費統計に変えるということはとてもできないなというのが今の感覚です。総務省の方が、消費統計を、さっきの産業連関表を勉強して、回るようにするとおっしゃったんですが、そんなことはできっこないじゃないかと、そんなことでだまされたわけじゃないけれども、一定の改善してもらったんで、そんなこともできたらいいなと思って引き下がってきたんです。今回は、せめてこういうことでもしてくださいというので改めて訴える気持ちになったのが心理的な動機です。

時事通信:
 産業連関表を勉強してという話は、いつのタイミングであったのですか。

知事:
 前の27年度改正のときのタイミングで、そのようなことを事務的におっしゃったことがありました。そのようなことができそうにないということがわかってきました。消費統計というのは、先ほどの例を一々見てもなかなか難しいです。どこの誰が消費したのかということがわかれば皆わかる。その手間が大変だと思うんです。だから、国で全部集めるわけですから、そういう付加価値税というタイプの、付加価値がついたところで全部、一応税務署が集めて、国に集める。国に集めるというのは良いんですが、地方消費税ということになるとすごく難しくなります。地方消費税、地方は売上税でやれとなればいいですが、消費税なら国に集めて譲与税で、ドイツのように人口で配分するというほうが、私は良いんじゃないかと、納得感があるんじゃないかと思います。総務省は譲与税は嫌だという感じですので、地方消費税という独自の税金とおっしゃっていますので、それなら、ちゃんとした税金にしてくださいと、少し荒っぽい言葉ですが、そういう気持ちです。

時事通信:
 先送りに関連するんですが、一部報道で、複数年とって、協議会を作るというような話を書いている社がありましたが。

知事:
 それは先送りのテクニックみたいな感じで、すぐにしてくれればいいのにというのが、陳情に行く側の気持ちです。協議会は先送りのテクニックですから、審議会・協議会は、私も国におりましたが、先送りのテクニックだと、こう反論してみたいです。

時事通信:
 協議会をつくるお話について、ご意見いただけますか。

知事:
 それで代替してもらうのは嫌です。とにかくしてくれれば良いではないですか。理屈上の反論があればしてくださいということです。

時事通信:
 実際に、協議会を作ります、みたいなお話というのは来ていますか。

知事:
 党の税調も政治家だから、協議会を作って収めようなどということはめったに言われません。彼らは○か×かです。協議会を作るというのは役人の発想だと思います。霞が関テクニックの最たるもの。先送りするのに協議会でこなそうとかというのは、いつものテクニックです。政治家はそういうことは、政治の中での協議会はあるかもしれないけど、これはもっと理屈の話ですから。あまり意気を上げていてもしようがありませんが、陳情する側ですので。

司会:
 それでは、その他のご質問も含めましてよろしくお願いいたします。

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質疑応答

知事のアメリカに対する考え

奈良新聞:
 あまり関係ないと思いますが、アメリカの大統領のことです。知事は、アメリカへも行っておられました。アメリカで仕事もされていた。アメリカは以前と比べて何か変わってきたんでしょうか。

知事:
 トランプショックです。マスコミにもトランプショックという見出しがありました。リーマンショックと少しタイプが違いますが、私自身はショックを少し受けています。

 それで、実は昨日、一昨日、アメリカ大使館からお誘いがあって、アメリカの大統領選をアメリカ大使館で一緒に見ようと、ケネディ大使からお誘いがありました。こちらで行事があるし、面白そうだけど行けませんとお返事しました。行かなくてよかったですが。感想としては、奈良県に直に影響はありませんけれども、多少関係あるのは、TPPが難しくなってるなということ。まだわかりませんが。今の時点で思うのは、投票行動ですね。反グローバル化のムーブメントというか、政治的エネルギーが強いという感じはあります。

 グローバル化で、とりわけ中国や、インドなど、昔、発展途上国と言われていた国が、グローバル化で発展したことは間違いないと思います。日本も、グローバル化の恩恵を受けて、資源のない国がここまで来ているように思います。グローバル化で取り残された人、あるいは損をした人が、政治的エネルギーになっているのかなと思うわけです。それは日本も、ヨーロッパも同じようなことだという感じがいたします。場合によっては中国でも韓国でも同じことが起こっている気がいたします。グローバル化で激しく利得を得る人、日本はそれほどでもないんですけれども、中国のような、あるいは韓国のようにグローバル化で、インドもそうですが、激しく利得を得る、発展途上国ではそういうことが、アメリカも格差というのが大きな政治的エネルギーになってきて、取り残された人がいるということは逆に、すごいお金持ちが出現した。そんなにお金持ちがいなかったら、そんな大きな取り残され感もないように思うんですが、アメリカは、アメリカンドリームが一つのエネルギーになってきたのに、アメリカンドリームというのはないんだと。

 とりわけアパラチア山脈付近の白人の人たち。昔栄えたデトロイト、ロチェスターのようなところに住んでいたことがありますけれども、GEが、私が行っていた地域内にあったんですが、GEの工場はないですね。今、最大の産業が私が行っていた大学の、大学とメディカルセンターだと最近聞きましたけれども、GEの人が、エンジニアというのは、やっぱりその地域のお金持ちで、エリートみたいに思えた。そんなのはなくなってきて、安定しなくなっているのかなと思います。

 大都市のスラム街というのは、人種では黒人の人が多かったのが、今は白人の人、大変逼塞しておられる人がおられるということかなと思います。それは目撃はしていませんが、そのようなことが、トランプ氏が随分吸い上げて投票行動に結びつけられたのかなと思います。これは反グローバル化の動きの政治力吸収ということで、大統領選でも政治力吸収ということになると、同じようなグローバル化の疲弊がある国は襲われるかもしれない。それは、ヨーロッパはまた少し「レフュジー」という、避難者、難民という課題と違いますが、ドイツのように移民とグローバル化による労働人口の導入によって働き方改革をして、立ててきた国もあります。

 ヨーロッパは、もう少し強いと思いますのは、社会保障が充実してきている。アメリカは社会保障、オバマケアが否定されているというようなことで、社会保障の充実とグローバル化の軋轢を止める意味があるように思いますが、日本も社会保障を充実して若者が地域で定住するように持っていく、ヨーロッパ流のいいところをまねるスタイルのほうがいいのかなという感じがして、アメリカ流の経済思想・経済体制でやるとアメリカの二の舞になってしまう。アメリカは強いところがありますが、日本は崩れると回復力がアメリカほど力強くないから、その辺りはマスコミの人もよく全体を見ていただいて、アメリカのショックが直に来るわけじゃないですが、いろんなタイプのショックが来るように思います。それはグローバル化の進め方、あるいは地域での安定的な人心の受けとめ方というように配慮しなくてはいけないのかなと思います。それは地方政治にとっても、雇用が地域で確保されるように、あるいは安心して子供をつくって子育てができるようにということを、今度のアメリカの選挙で、より一層充実しなきゃいけないのかなと思いました。

 そのためには、消費税を、先ほど地域にうまく回して社会保障、安心した社会を地域でつくるようにと申し上げましたが、地方消費税は、そのようにとても大事だと思ってきております。働き方改革と社会保障、地域の働き方改革と地域の社会保障、地域の子育て環境の整備、地域の女性、それと大事なのは、あまり貧富の差があると教育の平等性がなくなってくることです。教育は日本の最大のメイン、教育の平等性が明治以降達成されて、みんな教育熱心です。徳川時代から教育熱心だったんですが、それがより実現されたという点が日本の社会の強さでありますし、それを壊してはいけないと思います。貧しいときこそ教育熱心だというのが徳川の時代のことでありましたので、貧しくなっても日本は教育には熱心です。

 これも、地域で教育振興大綱を知事がつくるようにという文科省の動きがありますので、地域の役割というのはグローバル化を進めないといけないと思いますが、それを安定させるために地域が取り残されないように、グローバル化が進んで、景気の波があって、不景気が来るかもしれません。トランプショックが経済的にリーマンショック級になるかもしれません。不景気になると、地方で雇用が確保できないので東京に行ってしまわれるわけです。すると、また少子化が進むといったような悪循環が、その景気の波があるたびに起こってきました。

 景気が安定していると、地方に若者がいるわけです。生活しやすいし、ある程度の雇用があれば地方におられるわけですが、景気が悪くなると東京へ行くと何とかなると。昔は集団就職もあったし、東京に行って高齢者でもタクシーの運転手ぐらいできれば生きていけるというので東京に行かれた。もう大阪は見放して東京です。若者は三極に集まらない、一極、若者労働人口が東京にしか行かなくなってきたというのが最近の状況ですので、大阪も頑張らないとという感じがします。地域で雇用の確保というのがとても大事で、トランプ氏の選挙で、地域はそのように頑張らないと日本も大変になるんじゃないかなという感じが、昨日から今日にかけて頭をよぎっております。

奈良新聞:
 先ほどのお話にも出ましたが、近畿ブロック知事会議でも、知事が働き方改革の提案を座長として項目を上げておられて、そこでおっしゃっていたようなこととも連関してくるということでよろしいですか。

知事:
 そうですね、近畿ブロック知事会は今回奈良でさせていただきましたが、今まで関西広域連合も近畿ブロック知事会も、国への要望書をまとめるというのが基本の、メインのファンクションになっていました。要望書をどう言おうか、こう言おうかみたいな議論が多かった。それはそれでいいけれども、やっぱり近畿をどのように盛り立てるかという、内向きの議論をしようというのが奈良県の提言で、それは各知事さんが分られて、いい情報も出てまいりましたので、みんなの意見を集めて盛り上げようという、荒井さんの魂胆だねっておっしゃった知事さんもおられました。そういうパターンの発展形態があったほうがいいんじゃないかというのが私の考え方です。近畿ブロック知事会会長は持ち回りですが、会長をした機会に、そのメインのテーマで、少子高齢化、地域包括ケアの話と、働き方改革の議論をしましょうということで、皆さん、ものすごく関心を持って考えておられるんですが、一緒にそういった議論をしたことはなかったんです。近畿ブロック知事会でもなかったですし、関西広域連合でもなかった。ですから、もっと中の議論をしましょうということを折に触れて言っているんです。外に向かって物を言おうというような気配が強いんですけれども、外に向かって物を言っても、答えてくれるのが国、国もなかなか財政も悪くなって答えられなくなっているんじゃないですかと。

 最大の原因は、景気の波が地方で受けられるかどうかにかかってきているように思います。東京ほどでなくても、好調な地域もあります。それに関西が遅れをとってはいけないじゃないかというのが基本的な、奈良は田舎ですが、地域でもう少し良質な雇用を創出することが一番大事だと思います。若者が、こういう雇用がある地域は良いなと、生活環境は地方のほうが良いですから。良質な雇用環境が地方で達成されないといけない。グローバル化になると、昔の繊維とか中小企業の雇用が逃げていることは確かなんです。それが、日本はアメリカのように階層がそのようになってない。東京に行けば何とかなる。子どもが東京に行けば家がもつと、教育さえしておけばというのが今までの考え方だと思います。グローバル化に対応した地方というのは、やはり良質な働き方を確保する。ドイツがだんだんそういうようになってきて、今、独り勝ちです。「欧州の病人」と言われたドイツが、今は独り勝ち。10年経つとよくわかるので、日本もそういう方向で努力をしないといけないのかな、地方の努力も大事なのかな、というのが、改めてトランプショックを受けた、知事としての考え方です。

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近畿ブロック知事会議における働き方改革に関する議論について

共同通信:
 今お話に出ました働き方改革のことなんですけれども、よい情報が出たとおっしゃっておりましたが、あの会議の場でいろんな知事から取り組みが発表されて、在宅勤務を導入しているところもあれば、会議を30分で打ち切るというようにおっしゃっている知事さんもいらっしゃいました。その話を聞く中で、奈良県で取り入れていきたい施策はございましたでしょうか。

知事:
 いろいろ持ち寄りで、いいお弁当だとそれくださいみたいな、パクリと言ってますけれども、いいおかずがあれば、そのおかずをうちでも食べるといったようなものを探して、ショッピング、ホッピングをする風習があればと。その中で、今、京都だったかな、働き方改革の三者会議のようなものをされているんです。府市と経済界と労働界と。うらやましいのは、京都の経済界というのはそういうメンタリティーが強いのかなと。 働き方改革における日本の労働界の弱点は、企業内で改革しようというところ。ドイツの改革の要諦は、金銭解雇を容認して、地域内で雇用を確保しようという動きに転じたんです。これはすごく大きなことで、日本は企業内で確保してほしいというのが連合、企業組合の要求ですので、これを地域内で確保するという方向に転換できるのかどうかというのが、グローバル化対応でとっても大きなことだというように思います。そのような試みの一方で、京都のされている行政、経済界と労働界合わせて働き方改革の勉強をしようと、懇談会や協議会をしようというのは、その地域のトップが、産・官・労が集まるという会合はあるんですが、働き方改革にフォーカスしてやり出そうとされているのは、さすが京都だなと思って感心をいたしました。

 奈良でしようと思っていますのは、そういうトップクラスだけでなく、セクターごとの保育士の働き方改革、あるいは医療従事者の、看護師の働き方改革、あるいは学校の先生の働き方改革ができないかと思っております。公務員では県と市町村が共同で、公務員の働き方改革ができないか、あるいは小売店の働き方改革はできないかというようなことをもう少し勉強しようかと。これはほかの県にない発想であります。それも、これは産・官・労が集まってやるというのは少し象徴的な意味で、総論で終わってしまう可能性があるので、奈良は具体論で働き方改革が実行できないかということを希求したいと思います。

 その中で、女性の働き方改革というのはもっと独立して、とても大事なことであります。女性の環境整備というのは、それが少子化の、晩婚化の回復リカバリー、晩産化のリカバリーにつながらないか。これは地域のほうが達成しやすいように思い始めています。地域で努力したほうが実現するんじゃないかと思います。地域差はあるが、良いところの条件を整えれば、良い地域になるというセオリーでできないかと。国では全部はできない。国が地域差を埋められるのは、財政的な地域差を埋める制度は日本は充実していますが、その現物支給は自分で事業をやってないと地域差を埋められません。財政的には補助金とか交付金で地域差を埋めることをして大変すぐれた制度であります。社会保障が地域に行き渡ってとても充実してきています。

 働き方の差というのが何か弱いような気がします。ドイツの成功、ヨーロッパ、世界経済で調子いいのはドイツと、スウェーデン、オランダ、経済においてそんなところぐらいかという気がします。アメリカのシリコンバレーは、格差なしに経済発展してきている。日本もそこそこですが、経済が随分弱くなってきたという感じがしますので、地域ごとで改革志向で、働き方改革、女性の活躍促進、従来からある地域での社会保障の充実、地域の教育というのをまとめてする、しないといけない状況かなと思って、反グローバル化のムーブメントがあまり現実に伸びないように、トランプショックが日本型で蔓延しないようにと思っています。ショックを受けた後ですので、少し意気軒高な言い方をしました。

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地方財政計画に対する知事の考え

時事通信:
 地方財政計画の見直しについて、どのようにご覧になっていますか。

知事:
 相変わらずの喧嘩かなと思います。地方財政計画、今の喧嘩の状況はちょっとわかりませんけれども、大分昔の話ですが、塩川財務大臣が、国が台所でピーピー言っているのに、離れではすき焼き食べていると、大阪風にうまいことおっしゃって、こちらに来てみると、すき焼きを食べているわけでもないんだけれども、地域差があるということは確かです。地域差を地方財政計画の中でうまく埋められているかどうかということが、財務省のほうからの厳しい目が行ってもしかるべきかなと思います。経済の実勢が、雇用が、日本で経済がいいのは東京都、愛知の製造業、あるいは大都市というのは良いんですが、経済実勢に地域格差がある。それが税収に反映されて東京に集中する。それを、地方のイニシアチブを尊しとするのは、補助金、交付金の類いなんですが、あるいはインフラ、教育投資になるんだけども、それとともに不平等をなくすための地方財政計画のはずなのに、是正されてないんじゃないか。総務省が、いや、俺たちがやるから、俺たちがやるからと抱える傾向があるが、抱えてばっかりじゃないかと言うと怒るわけです。地方がそんなこと、参議院のときはそういうことを言って、地方財政計画の問題になったときに乖離がある、乖離第一弾がありました。そして、また乖離が出てきているのかなという印象。詳しく知りませんが、そんな感じがします。

 それは先ほどの税制の話でありませんけれども、結局「東京問題」のような気がします。東京に自然と集まるのを総務省が是正する責任があるんじゃないですかというのが地方行財政の立場なんですが、なかなか東京都を説得させるのが大変なような感じがします。税制でも大変だし、地方財政計画でも大変なような気がします。

 総量としてどうか、ということもありますけれども、偏差を、どのように納得感のある地方財政計画になっているのかということを、きりっとした地方財政の主計官だと追及するのかなという印象は受けますけれども、政治的なバトルだから、地方は甘くお金もらったほうが総じていいというのが知事会の見方です。それはそれで良いのですが、余り不平等だと困るんじゃないの、ということは思います。

時事通信:
 今回のそのバトルに関して、どこの知事も言っているのか。

知事:
 そんなことがまた起こっているのかなという印象なんですが、地方財政にしろ、国の交付金にしろ、回ってくればいい。

 一つ言えることは、地方財政で、遅れた地域に効くのは交付金・補助金なんです。この場所を整備しないといけない、この橋はだめじゃないかというのが補助金・交付金なんです。補助金・交付金が弱ってくると、奈良のようにインフラの整備がおくれて、道路にとって、道路の遅れたときは交付税では道路の整備を追っかけられないんです。補助金でしか追っかけられない。これはもう財政の鉄則なんです。

 補助金を充実してもらわないと立ってられないというのが、地方財政もあるが、地方財政はなるべく平等志向でやって、しかし、平等志向だから少しぬるいところがありますので、悪平等が温存される傾向もあり、チェックを厳しくしないといけない。お金が回ったところが財政悪いんです。昔の特交(特別交付税)の配分が厚かったところは地方財政が悪い。甘くするといけないのかと思います。適切に配分するのは相当難しい。補助金は事業があって出すんだから、事業がちゃんと成り立っているところに補助金・交付金が出ることはありがたい。奈良県みたいな遅れた地域では、補助金・交付金を充実させてほしいというのが、より大きな願いです。地方財政計画、交付税中心にやって、それはありがたいんですけど、しかし、遅れの格差は取り戻せないように思います。

 そして、今の地方財政計画をめぐるバトルは、交付金・補助金の陳情のほうが多いから、地方財政計画には関心はどちらかというとやや薄かったのが正直なところです。多分また相変わらずそういうことをしているのかなという印象です。

 しかし、これは地方財政の規律ということにもなります。地方消費税は割と地方によく回ってきました。それはそれでいいんだけども、ちゃんと回してくれないと、地方間で偏差があると納得いかないぞと、こう言っているのが先ほどの税金の話です。しかし、政治的には弱い立場ですので、なかなか国でも聞いてくれないかもしれないが、しかし理屈が通るような国に戻ったほうがいい。大阪の橋下元市長みたいに迫力のある言い方ができないから、荒井さん、何言っているかわかんないなと思われてるかもしれませんが、まあそんな気持ちであります。

司会:
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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