平成29年1月18日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件は、「奈良大立山まつり」に関する1件です。知事から説明していただきますので、よろしくお願いいたします。


案件:「奈良大立山まつり」開催まであと1週間!
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
本日の発表は、2回目となる「奈良大立山まつり」を1週間後に開催するというお知らせです。内容も固まりましたので、本日、改めてお知らせをする次第です。

 お手元の資料に、パンフレットも付けていますが、大変盛りだくさんな内容となっています。その中で、今年特記する事項を申し上げたいと思いますが、始まりの地、奈良にて、一年の無病息災を願う新年行事の祭りを5日間行います。

 「奈良らしい」という点につきましては、奈良にはいろんな社寺がありますけれども、昔から地域の風習として、「作り物」という伝統がありました。「作り物」に身がわりになってもらって、厄を落とすという行事ですが、その「作り物」を、奈良県では「立山」と呼んでいます。皆様も身がわり地蔵のようなものを持たれたこともあろうかと思います。広陵町や御所市では「立山祭」という名前も残っていますし、橿原市では「愛宕祭」という名前で残っています。「奈良大立山まつり」もコンセプトは同じで、「作り物」をつくって、厄を落としてもらうといったお祭りです。第1回開催からの繰り返しになりますが、奈良には、地域にこのような伝統行事がありますので、一年の無病息災を願うというより大きく集合的なお祭りにして、平城宮跡で展開しようという大きな内容になっています。

 伝統行催事の集合につきましては、昨年は14団体に参加いただき、だんじりや御所の「ススキ提灯」などに参っていただきました。今年の参加団体は23団体に増え、バラエティーに富んだお祭りになっています。奈良の伝統行事がこれほどあったのかということは、集まってみないとわからないものです。集まって展開した結果、御所市では、夏に行う「ススキ提灯」をご覧になるためにお越しいただくお客様が増えているという実績があります。ご参加いただく地域の方々から見れば、デモンストレーションという意味合いもあるお祭りになっています。

 「奈良大立山まつり」のハイライトは、「四天王大立山の巡行」です。広い平城宮跡を使えるということに大きな意味がありますが、四天王大立山が、毎日19時からこの会場内を明かりを灯して巡行するということになっています。

 あと、去年は多少静かだった気もしましたので、今年は音と光を取り入れようということで、和太鼓「倭~YAMATO」に共演していただきます。

 それから、去年は3日間、あったかもんのサービスをしていただきましたが、今年は、パンフレットの16ページから「あったかもんガイド」ということで掲載していますが、県内39市町村の「あったかもん」が出ます。わざわざ寒いところに来ていただいて温かいものを食べていただくという感じもしますが、各地域の「あったかもん」を競っていただきます。1食400円の「あったかもん」です。去年は、1日目が雨天であまり売れませんでしたが、残りの2日間で1万8千食を完売し、「何だ、もうないのか」とおっしゃられる方もいたので、今年は5日間販売し「あったかもん」を充実いたします。今年も内容をチェックしながらさらに改善に努めています。

 以上、ご報告をさせていただきました。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に関するご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答
NHK:
 去年は、どのぐらい人が来るのかよくわからない中での予想で、結果、多くの人が来てよかったという話になりましたが、今年はどのぐらいの来場者を目標に掲げるんでしょうか。

知事:
 去年の来場者数値についてですが、「予測」と「目標」とは少し性格が違うように思います。「予測」をして席を用意したり、食を用意することが「目標」の大きな意味です。「奈良大立山まつり」は、もとより入場無料ですので、そもそも、収入の「予測」をするために「目標」は立てないわけです。したがって、去年は「目標」という言葉を使いましたけれども、性格上、本当は「予測」であったと思います。初開催でしたので、「予測」に基づいて食の準備をしようということでしたが、予測が上振れしたと思っています。

 今年はそういう意味の「予測」「目標」というものは立てていません。去年の実績から見て、3日間行った「あったかもんグランプリ」を5日間にして、売り切れのないようにしようと思っています。あと、限られた会場の場合は、予測が上振れすると来場者に大変なご迷惑をかけることになるんですけれども、平城宮跡という、これだけ広い会場ですから、そういうことはあまりないのではないかと思います。

 改善点は、「予測の程度」ということではなく、アクセスや、暗さ対策、寒さ対策という点でしたので、その点については、改善により注力をしています。したがって、この「奈良大立山まつり」は、目標を達成しないと採算割れするというお祭りではなく、来場者は多ければ多くて結構だと思っています。そのような意味では、来場者数に基づいて、店の出し方、案内の仕方、アクセスの仕方などを工夫することが、広さが十分にある会場でのお祭りの準備だと思っています。

NHK:
 今年は、来場者数の計測はするんですか。

知事:
 もちろんします。計測については、目標を達成しなかったら損をするというわけではありません。昨年は、計測の仕方については良くやったと思いますが、計測方法についての議論もありましたので、さらに正確なカウントを行い、その方法についてもご紹介したいと思います。カウントがなぜ要るのかというと、「あったかもんグランプリ」以外の店はあまり出店されませんが、あったかもんのお椀の数を計るためです。普通の祭りであれば、テキ屋さんが今日は店を3つ出すのを2つにしようか、4つにしようかとかというふうに、出店の予測をされます。神社であれば、いくら参拝者が来られても順番にお詣りされればよく、狭い神社であれば混雑しないようにガードマンをつけられます。

 「奈良大立山まつり」も、あまりにも来場者が多いようでしたら、西大寺駅からのアクセスについては、よく注意しなければいけないと思っています。会場内は広いので、多くの来場者の受け入れは可能です。ブルーインパルスが来たときは、同じ会場で1日で8万人という計測がありました。そのときは、西大寺駅と、西大寺駅から平城宮跡へのアクセス道が随分混雑しました。「奈良大立山まつり」では、寒い中、暗い中でそのようなご不便をかけるのは、お祭りとして良くないので、そういった点の改善を図ろうということは考えています。サービスを徹底するために来場者がどの程度になるかという予測はしなければいけません。まとめて何人来場するといったことでなく、一時に多くのお客様が殺到された場合に、どうさばくかといったことに気を使っています。

 何人来場されたかということは結果の話なので、もちろん計測は行いたいと思いますが、性格上、計測の結果が採算に響くといった数字ではないものだと思っています。ただ、昨年は目標に達成した、しなかったという議論が巻き起こったということでしたので、計測については、その方法も含めてしっかりと行いたいと思っています。

NHK:
 お気持ちとしては、ブルーインパルスの際の8万人を超えたいというぐらいですか。

知事:
 いやいや、ブルーインパルスの際の8万人は1日で来られたから、相当混雑しました。「奈良大立山まつり」は5日間で行いますので、例えば、5日で10万人来られると、平均すれば1日2万人ということですが、5日間平均して来られるわけではなく、土曜日、日曜日により多くの方が来場される。雨が降ると極端に少なくなります。去年の初日も雨天で、1,500人という計測でしたが、2日目、3日目で3万人というふうにはね上がりました。約3万人が来られても、会場自体に「一杯感」はそんなになかったわけです。8万人来られますと、昼間でも「一杯感」がありました。しかもアクセスは大混雑しましたので、ブルーインパルスが飛ぶ時間に殺到されたという時間集中型でした。そういうふうになると困るんですけれども、今回はそのようなタイプではありません。ただ、夜の7時からの巡行がハイライトということで、その前後に来られる方が多いのではないかと思います。

 それと、お子様連れて来られた方は、夜は大変ですので、先ほど申し上げたように、昼間から遊んでもらえるような遊び場も設けようと思っています。冬の午後からハイライトまでご覧になる場合は、日差しのある時間帯から夜の寒くなる時間帯までかかりますけれども、暖かい時間帯にお子様にこの広い宮跡を楽しんでいただくということが大きな売りになるように思っています。

 全体の目標は、そういった「予測」という意味となりますが、予測ということで意味のある点は、準備のアクセスなり、あったかもんなり、会場は広いので観客が集中するかどうかは分かりませんが、出し物を見てもらう場所ということになります。しかし、巡行しますので、かなり分散して見ていただけると思います。会場内のアレンジについては、広さが割とメリットになっていると思います。

朝日新聞:
 今の質問と似た質問になるんですけれども、とはいえ、やはりアクセスの問題であったり、昨年はたしか車で行った記憶があるんですけれども、今年は平城宮跡に駐車場がなかったり、あと若草山焼きの日とかぶる日もあると思いますので、3日間を5日間にして、単純に1.6倍の来場者数ということなのか、予測としてはどのぐらいをベースに考えていらるのか、おおまかな数字でもあれば教えてください。

知事:
 そうですね、去年の実績がベースになると思います。実績では、5日間で約5万人でしたけれども、初日は雨天で1,500人でした。好天の2日目、3日目は、たしか1日あたり約2万人が来られたと思います。会場は余裕がありましたけれども、1日だけで2万人ですから、大変な数のお客様でした。もし、全日が好天で、週末も平日も均して2万人とすると、5日間で10万人ということになります。先ほど申し上げましたように、テキ屋であれば10万人来ればその何割に来店してもらうかという計算をして、総量で目標を立てて売り上げようということになりますが、今回はそういう計算はありません。5日間出店していただける方がたくさんおられますので、売り切れる店と売り切れない店が出てくると思います。去年のグランプリで優勝された方の店には行列ができるかもしれませんが、それは全体としての人の回り方ということになると思います。気になるのは、ピーク時の人のはかせ方ということですが、夜というハンデはありますけれども、1日8万人の例がありますので、例え1日に3万人強の来場者があっても大丈夫だというように設営しています。

 ですから、去年のベースを多少上回ったとしても、夜のイベントですし、1日2万人が5万人ということにはならないのではないかとは思っています、2万人でも、夜なのに随分来ていただいたと思います。今年は、1日のピークがどのくらいになるか、特に土曜日、日曜日ということになると思いますが、やはりピークは28日になるかと思います。若草山焼きが重ねてありますので、若草山焼きを見る良い場所ということで、その時間帯に混雑しないように、また、山を見ていてスリ被害に遭われないようにといったことを含めて、会場の落ち付きについて気を付けたいと思っています。

 会場内では、例えば、1日に3万人が来られると予測しても、一時に3万人が来られるかもしれませんし、あったかもんを買って帰られ、家で食べてから巡行を見に来られるという方もいらっしゃるので、そういった時間帯の波もあると思います。ドローンで会場を撮影すれば、時間帯の波の人の配置もわかるんですけれども、そこまではしていませんが、会場内は十分に余地があると思っています。

 予測する来場者のピークは、若草山焼きがあり花火が上がる日の、巡行の時間帯だと思います。やはり、こういうことは、皆様、よくパンフレットを見ていただいている気がします。それは今までの実績ですので、混雑や支障が出ないようにという配慮が何よりも第一だと、我々は思っています。

 無料で冬を楽しんでいただくという今回の催しでは、無病息災を祈る落ちついた気持ちでこの場にたたずんでいただくということが大きな目的ですので、結果としてどれだけお客様が来られたかというメルクマールは、どちらかというと官製のお祭りですので、こういうお祭りに来ていただいて奈良のまちがにぎわうように、お泊まり客が増えるように、まちで落ちついて食事される方が増えるようにといったことが、実際に若草山焼きではそうなってきていますので、そのように願ってお祭りをして、オフシーズンに減少していた宿泊客の底上げをしようということが、観光政策的な大きな狙いとなっています。

 この時期の予約状況については、時々、ホテル日航奈良や奈良ロイヤルホテルで会合があるときに支配人に聞くんですけれども、去年はとても高い占有率、稼働率だということでした。それは、県が宿泊クーポンの発行も併合していましたので、その効果もあるのではないかと思っていました。

 今年の予約状況は、宿泊クーポンの発行はありませんけれども、去年に匹敵するような予約状況だと聞いていますので、それは、この「奈良大立山まつり」の効果も一つ入っていて、狙いどおりと思っています。こういったことが続くことによって、「行くところではない」と思われていた冬の奈良を、「行くところだ」と転換させることが、観光政策上の大きな狙いですので、定着すると、そのようなことも現に起こりつつあるように思います。そちらのほうが私にとりましては大事な数字だと思っています。予約状況はどうだろうか、冬の落ち込みは緩和されているだろうかということを気にしています。お祭り効果の経済波及効果を、この時期にあわせて、その結果を調査していきたいと思っています。

司会:
 発表案件につきまして、よろしいでしょうか。
 それでは、その他の質問につきましてもよろしくお願いいたします。

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質疑応答

県立病院地方独立行政法人評価委員会経営改善会議について

時事通信:
 昨日、県立病院地方独立行政法人評価委員会がありました。借り替えの同意が見送られたということで、これは大変異例なことだと理解していますけれども、そのことについての知事の考えと、改革プランの中身で、病床数を増やすことが大丈夫なのかという趣旨の指摘が入ったと思うんですが、実際、総合医療センターの病床数増床をやめるという選択肢があり得るのかどうかについてお教えください。

知事:
 当委員会は、県立病院機構の赤字が大変顕在化してきましたので、大きな病院の建てかえや開業を控えて、改革をしようということです。今まで、県はあまり県立病院の経営に直接手を出していませんでした。病院というのは現場ですので、どちらかというと病院長を中心にやってもらっていたということが実情でしたが、改革委員会をつくり、レベルの高い有識者に検討していただき、やるべきことを確定することが狙いです。

 当委員会に対する県からの願いは3つあります。一つは、今後の病床の稼働率などの中期目標を立てているが、これでいいのかということ。もう一つは経営改善です。これは急務ですけれども、改革を行うためにはどのようにすればいいのかということ。3つ目は、さらに現実的なこととして、資金繰り、借り替えをどの程度行っていいのかということです。

 順番に申し上げますと、中期の改革目標は承認されたと聞いています。中期目標をつくって実行していましたので、それで結構だとおっしゃっていただいたのだと思います。

 もう一つ、改革プランについては、現に赤字が出ていますので、もちろん心配です。何が足りないのかを、外部の目で指摘していただくということです。それがだんだん明確になってきました。収入の増加もありますけれども、費用のコントロール、経営のガバナンスが不足しており、経費のチェックが十分に行われてなかったように感じています。そういった点を明確に指摘していただいたと思います。

 改革プランの中で、日常行うべきことはこういうことだと指摘していただいたので、あとはそれを実行していただくことになりますが、なかなか難しい点もあるんです。というのは、病院は総じてお医者さん任せであることが多いんですけれども、このように働いてもらうということを実行する統合的なマスターがいなかったわけです。それに、独立はしましたが、オーナーが県という県立の病院でしたので、こういう状態になれば、経営に関与しチェックすることは県の役目であると思います。

 その中で、病床数が540床になったのは、経営の観点からは多過ぎるのではないかという指摘があったように聞いています。これは、病院の建て替え後の病床数ですが、そのときに540床にした経緯について、今記憶していますのは、周産期の事故が起こって、南和と北和の病院のあり方が基本として問われました。そのときに、周産期のような急性期、あるいはがんのような高度急性期の拠点病院が北和にはありませんでしたので、その役割をこの病院で担おうということになりました。その当時の言葉を使いますと、高度急性期救命救急の「最後の砦」をこの病院に担わせようということでした。

 すると、当時、周産期の事故があり、県外搬送がすごく多かったので、県外搬送を少なくしようとしました。これについては、県立医科大学附属病院が頑張ってくれたので、県外搬送が激減しました。その分、産婦人科に随分と投資を行ってきたわけです。南和は、県立医科大学附属病院だけでいいのかということが課題でした。北和も、同じように周産期だけではなくて救命救急の整備をしようと考えました。北和の患者が大阪に流れていたということですので、最後の砦にしようと思いました。すると、救命救急については、ER型の24時間365日受け入れることのできる病院は、現在、この病院機構の奈良県総合医療センターということになっています。これは県で初めてのことです。

 そういった最後の砦の機能を発揮することになると、経営上も非常に負担が重くなります。政策医療と言われる部門です。それは経営に直結するので、この赤字は、県の政策医療としてはやむを得ない、必要な赤字だと思います。それ以外に、経営のずさんなことや、改善ができないゆえに赤字になっているということは改善しなければいけません。これは、自立的改善が望ましいわけですが、他者の目も入れて改善してもらおうということです。この改革委員会による他者の目で、政策医療は何かということをはっきり分けて検討いただきたいと思います。政策医療だから補助を出せという積極的な発言は控えておられましたが、政策医療で予算を出すのは県の責任であり、今後とも政策医療は何かということを明確にしながら予算を出していくということです。経営改善にしても、一時、経営の不備があっても、後に残らないように尻拭いをしていくという役目も、オーナーとしてはあるのではないかと思っています。それをどのように実行するか。それは経営改善と相まって実行するということが、今のステージの話です。

 540の病床については、最後の砦ということでそのような病床数になったわけです。民間の病院であれば、経営の観点から一番いいサイズの中で運営され、受け入れられない患者は他病院に行ってもらえばいいんだということになりますが、それは最後の砦ではないからできるわけで、経営に最適なサイズを念頭に置いておられるのではないかと思います。ですから、この病院の経営に最適なサイズは540床ではなく、もう少し少ないのではないかと言われると、きっとそのとおりだと思います。

 ですが、最後の砦の540床ではいろんなことが可能で、少しバッファーをとることは最後の砦としてはある程度必要だと思いますので、540床自体が間違っていたとは思っていません。実際に経営する場合は最後の砦という意味として、他の病院でできないことを引き受けることが、県民に対する県立病院機構の責務であると思います。例えば、私立奈良病院、近畿大学医学部奈良病院がある程度の患者を受けると言ってくれれば、病院機構の負担が減るわけです。最後の砦にかかる負荷が減ることについては、それはそれで望ましいことです。そうすると、最初は必要だと思って、北和ではこれだけしなければいけないと気張っていたことが、多少減ってくるという印象もあります。他の病院に頑張ってもらう分、県立病院機構の高度急性期の一部について負荷が減るということは、それはそれで結構ですので、その役割を分担しましょうということになります。ただ、経営については、他病院との競合という面も出てきますので、政策医療を除いて、経営をマキシマムに黒字転換することが大きな目標になります。それをどのように達成するかが今の課題です。

 繰り返しますが、病床数がそれだけあるからといって経営に直ちに直結するわけではありません。540床のフル稼働が目標だとは思っていないということです。最後の砦はバッファーが要ると思います。どのくらいのバッファーかは、これから周りとの関係を見ていかなければいけません。常時の運動性能は、どの程度のサイズで稼働して役目を果たすのかということは、これからの話ですけれども、現実の実績とその推移を見ながら果たしていきたいと思います。

 普通の病院だと他の病院で診ている患者をとってまで経営改善しようということになりますが、最後の砦である病院機構は、儲かるところだけを行うというセンスは、もとよりない病院ですので、足りない部分は一生懸命に行わなければいけません。ということは、採算の取れる、儲かるところだけを行うという考えは元からないが故に、経営が若干ずさんになってくるという面、傾向はいつもあるので、チェックをしようということです。ご指摘にはもっともな面はあろうかと思っていますが、他病院とは少し性格の違う面があって、最後の砦という政策論理が入りますが、そのことについては、これまであまり議論されていなかったように思います。

 さらに、借り替えについては資金繰りの話となります。経営が悪いから資金繰りを差し控える必要があるというふうに発言されたとの報告は受けていません。報告書に書かれたニュアンスとは少し違うように聞いています。借り替えは病院の政策というよりも、資金繰りの話になりますので、それがどの程度要るのか、余計な資金繰りによる金余りはだめだよということだと思います。どのくらい必要かということは、資金繰りで経営を見るという手法もあり、必要なことだと思いますので、借り替えの承認については、病院機構の経営実務から話を聞いた上で判断しようとおっしゃったように聞いています。経営改革プランの実行性の問題点と借り替えの問題点については、改めて分けて考えようということになったという報告を受けています。それは正しいご判断だと思っています。

 借り替えについては、それ自身経営の圧迫による借り替え需要が膨らむことになるわけですけれども、県立医科大学附属病院でも、医療費の支払いは、まず薬を事前に仕入れてその支払いを先にする、お医者さんの人件費を毎月払う、診療報酬なりが入ってくるのは若干遅れぎみになると、収入が後回しになり、恒常的に資金繰りも後回しになるという体質があるわけですが、支出が増えて収入が少なくなると、どんどんと資金繰りの需要が膨らんでくるということが病院の悪い兆候ですので、それをよくチェックしようということです。

 資金繰りは、経営を改善すると急速にしぼんでくるわけですけれども、そのようなことを経営改善の観点からよく見たいと思います。資金繰りがこれだけ現実に要るということはまた別の判断です。資金繰りが途絶えると患者の皆さんなどに迷惑をかけますので、こういう法人が倒産することはなかなかないんですけれども、本当にどれだけ要るのかということを確認されるのではないかと思います。そうしていただくのがいいと思っています。

時事通信:
 540の病床数の計画は変更するということですか。

知事:
 もうつくっていますので、540床あることがおかしいということと、フル稼働しないことがおかしいという2つは違うわけです。稼働については、元からフル稼働を目標にはしていませんので、最適稼働と必要稼働は違うかもしれません。必要稼働ということで、極端な例かもしれませんが、災害病床という概念があります。災害時には他に患者を受け入れる病院がありませんので、そういった場合には開放しないといけないと思っています。そのためには、ある程度病床を空けておく必要性もあろうかと思っています。それは稼働病床とはまた違って、リザーブ病床ということになりますが、最後の砦としてはある程度必要だと思います。どれだけ空けておく必要があるのかということは議論になりますけれども、540床はそのためにも必要だと思います。災害時、あるいは感染症が出たときに上層階を感染病棟とし、感染された方だけの隔離的な病床にするということも考えられます。今は具体的に考えてはいませんが、最後の砦の意味はそのようなこともあろうかと思っており、この県立病院機構の役目の一つだと思っています。経営の観点からは、540床をフル稼働することになると大変だと言われれば、それは当たっていますが、職員には、フル稼働しなければいけないということはないんだよと言っています。フル稼働する場合は他病院の患者をとらないといけないかもしれないし、逆に周産期などで県外に逃げている患者に帰ってきてもらう必要がある。例えば、現在がんの高度治療は奈良県ではできないわけですが、行うとなると投資も要りますし、患者に帰ってきてもらうとなると病床も必要になってきます。大阪が近いので、あらゆることを奈良の医療で完結しなければいけないということはありませんし、とりわけ緩行期であるがんなどの慢性的な重病についてはそのように思います。しかし、急性期になりますと、やはり近いところでの治療ということで、奈良が威力を発揮しないといけないと思いますので、最後の砦としての機能を果たさなければいけないと思っています。

 今、周産期の県外搬送に象徴されるように、急性期の患者がまだ大阪へ行っておられるかどうかは診療科ごとで違うと思います。多少行っておられる方もいらっしゃるように思いますが、できるだけ奈良で急性期の方の面倒を見たいと思います。運航予定のドクターヘリについては、南和から中和にある県立医科大学や南奈良総合医療センターが中心になりますが、北和の病院に搬送されるかもしれないし、三重や場合によっては大阪から搬送されてくる場合にも受け入れるという機能があろうかと思います。ですから、病院がそういう最後の砦としての機能を充実させると、県民あるいは隣接の府県の方は安心だと思いますが、どんどん赤字を出しても行うのかということについては、また別の観点になります。そういう意味で政策医療を行うには、多少の赤字はやむを得ないとは思っています。

 経営の技術が低いための赤字は極力抑えてほしいと思いますので、その点で手を入れる分野が残っているというご指摘をいただくための会議であり、よくわかるご指摘をいただき、実行あるのみと思っています。

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高畑町裁判所跡地の整備に対する周辺住民の申し入れについて

毎日放送:
 先週の木曜日に、高畑町の裁判所跡地利用について、近隣住民の方から知事あてに申し入れ書が提出されたと思うんですけれども、ご覧になりましたでしょうか。

知事:
 報告を受けています。

毎日放送:
 ご覧になって、反対されているということについてはどうお考えでしょうか。

知事:
 いろいろな反対はもちろんありますが、その反対の内容が大事です。あの地域の景観を阻害するという一つ大きな点があります。環境ということですが、例えば、高い建物が建つという景観阻害については、付近の住民の方の懸念は払拭されているように思います。高い建物は建たないと言っていますので、高い建物が建つと思っておられるとすれば、それは間違いではないかと思っています。あの鬱蒼とした中で、落ちつくようなものしか建たないという計画になっています。ご存じだと思いますけれども、あの場所は、古都の特別保存地区でありますが、元は国有地で、国が民間に払い下げようとしましたが、民間の人が変に高い建物を建てないようにしようと、わざわざ環境維持のために県が平成17年に買い入れた所ですので、県がそのような建物を建てるつもりがないということは理解していただきたいと思います。

 この地域の周りには私的な保養所があります。申し入れをされた方も自己の保養所を持っておられますので、そもそもそういう宿泊施設があるということ自体、自分自身供用されているのではないかと思います。宿泊施設が建っていてはいけないということではないという前提で反対されているのであれば、景観維持を求めておられるのかと思います。景観は大丈夫です。景観維持のために庭をパブリックにしようという計画です。昔は私的な保養所であった跡地ですが、パブリックにしようという計画ですので、一部の自己の社員や従業員あるいはお客さんのゲストハウスのためだけに使われるのではなく、一般にオープンに使うような志向があり、それは大事なことだと思っています。公園は公の園ですので、広く利用されるアメニティーも必要かと思っており、その趣旨にはかなっていると思っています。ご理解を賜りたいと思っているところです。

毎日放送:
 近隣住民の方々がおっしゃるには、やはり1部屋当たりの面積がかなり大きくとる条件になっているので、富裕層向けというか、高級なホテルを誘致するというビジネス目的なのではないかとおっしゃっていたんですけれども、そのことについてはどうお考えでしょうか。

知事:
 あの場所の雰囲気に合うような宿泊施設が大事だと思います。周辺の住民の方に対しては、私どもも聞き取りをしていますが、多数の方はそういうことも含めて賛成していただいているんです。報道機関の皆様の調査や、アピールされる方がいらっしゃると当然皆様はお聞きになるわけで、周辺住民についてどの程度の割合で諮るかということは別にして、当然、周辺住民の方の聞き取りも県で行っていますが、多数の方はそれで結構です、アメニティーは大事ですから、それと環境は大事ですから守ってくださいとおっしゃっており、それは守りますとお伝えして、納得していただいていると聞いています。それが一番の基本線です。

 一部の方の反対があるのは承知しています。我々は、その一部の方の反対が全体の公の目的にかなうのかどうかということを判断しなければいけませんので、その点は適切に判断していきたいと思っています。

毎日放送:
 反対している住民の方々からは、県がホテルの誘致ありきで進めていて、その対応も不誠実だとおっしゃっているんですけれども、何か思い当たる部分というのはありますか。

知事:
 ホテルもその計画の中に入っていますが、ホテルと公園の維持ということで、高さと内部についての環境維持が大きな目的になっており、内部についても大事だと思っています。

 周辺には保養所がたくさんあります。反対されている方も、自己の保養所を持っておられます。それはプライベートな宿泊施設であり、リゾートホテルというのはそういうものを言うのではないかと思うんですけれども、それはそれとして、個人のビジネス目的とは立場が違うので、その方が反対の主役かもしれません。

 周囲の住民の方の反対理由という高級ホテルについてですが、いいホテルが来ても、周辺の住民の方はあまりそのホテルには泊まられないと思うので、大きくても小さくてもあまり騒がしくならないほうがいいと思われるのが普通だと思います。小さな部屋のホテルは、人の数も増えるということですので、広い部屋のホテルがどういうふうに困るのか、周辺住民の方がそのようにおっしゃっているということについても多少首を傾げるんですけれども、反対されている方はそのようにおっしゃっているかもしれません。それはどういう意味なのかと思っています。周辺で個人の家に住んでおられる方が、上等なホテルが来ると困るというのはどういうことなのかと、今いただいたご質問で考えています。

毎日放送:
 あと、今、鬱蒼としているところにいる野生動物が住処を奪われてしまうのではないかということもおっしゃったんですけれども。

知事:
 そこまでおっしゃっていますか。どんな動物がいるんですか。

毎日放送:
 ムササビなどがいるということをおっしゃっていたんですが、その点についてはいかがですか。

知事:
 ムササビは保存したほうがいいのかな。

毎日放送:
 その点についてはどうお考えなんでしょうか。

知事:
 周囲には保養所があるけれども、保養所にはムササビはいないんだろうか。生態系はできるだけ維持しようと思っていますけれども、ムササビまで保存する必要があるのかはわかりません。古い知事公舎では、アライグマやイタチやタヌキが時々目の前に出てくるんです。それも保存すべきかどうかということは、また別の観点になり、どこで維持すべきなのかということになります。あの地区だけではなく、周りも公園ですので、住む場所はたくさんあるんです。あの場所がホテルになると、ムササビに迷惑をかけることになるのかどうかについては、まだよくわかりません。

毎日放送:
 それと、やはりどうしても近隣住民の皆さんは、県の対応についてご不満を持たれているようで、ホテルは要らないのではないかとずっと問い続けているのに、県はホテルありきで進めているとおっしゃっているんですが。

知事:
 いや、ホテルは要らないのではないかと言われている住民は、今、保養所を持っておられる方が中心のように聞いています。記者の皆様もあの現場を見に行かれたかもしれませんが、県は他の住民の方とも接触しており、多様な意見が住民の方にもおありになるということはぜひ踏まえていただきたいと思います。広く意見を聞くという心は持っていますので。

 自分の意見が通らないから不満だということはいつもある話ですので、報道機関の皆様も、それをあまり強調されているわけではないと思いますけれども、いつも思い出しますのは、近鉄奈良駅の行基前広場の屋根をつくるときに、ある方が、9割が反対ですよとおっしゃいました。しかし、今アンケートをとると9割が賛成ではないでしょうか。

 この件については、よく調べたいと思いながら進めていますが、一部の住民の方は自分の主張が通らないと、県は強硬だとおっしゃる傾向が私の経験から見てあるように思っています。後になって、いいものをつくってくれたねと言っていただけるように、その点については、お約束として慎重に実行しているつもりです。今、一部とおっしゃいましたが、こちらの一部とあちらの一部の意見があるということを伝えるのは、記者の皆さんのお仕事です。こちらの一部もあちらの一部も意見があるのではないかと思いますので、広く意見を聞くことは当然必要です。反対されている方を除外するということでは全くありません。しかし、そのとおりするかどうかは、広く意見を聞いた上で判断することだと思っています。申し立てされる意味が、本当に聞くべき内容なのかどうか、どういう動機で言っておられるのか、公の目的にかなうかどうかということが、私どもが考えなければならない一番大きなことです。公の場所のグレードを上げるということが県の大きな役目ですし、それは周辺の住民の方にとってはむしろプラスになる面がありますので、ホテルというのは一つの形になります。県が直営するわけでもありませんので、営業のためというよりも、高級なホテルであるほど環境維持に熱心です。できるだけそういう環境維持に熱心な上質なホテルに来ていただきたいと思っています。

毎日放送:
 あの場所をホテル誘致も含めて整備する目的はどういったことでしょうか。

知事:
 そのことについては何度もご質問を受けており、また説明会でもお答えしていますので、できればその資料などを見ていただければと思います。繰り返しになりますので詳しくは申し上げませんが、奈良公園の環境維持とアメニティー向上が大きな目的です。

毎日放送:
 先ほど、多数は賛成をされているとおっしゃったんですけれども、知事の感覚でいうと大体何割ぐらいの方が賛成をしているとお考えですか。

知事:
 全体数は計っていません。近鉄奈良駅の屋根の件についても、何割というのはポピュレーションといいますか、聴取した中身によりますし、こういった件は国民投票のように多数決で決める種類のものではありませんので、その動機、内容をよく精査して、しかもそういうことについて対話を進めていくと理解が深まってきます。その進行をよく見ていただくと、だんだん動機がよくわかってきます。私的な動機に基づくものは、最終的には排除されるべきだと思っていますが、もちろんそのようにはおっしゃらないわけです。その片棒を担がされることのないようにするのはもちろんですが、判断を詳しくしていきたいと思っています。目的は、環境維持とアメニティーの向上ということです。

毎日放送:
 知事としては、今回申し入れ書を受けた上で、今後、計画について変更などは考えていらっしゃるんですか。

知事:
 考えていません。今の計画に変更はありませんけれども、説得を続けさせていただきたいと思っています。他の住民の方と同様のご理解を賜りたいと思っています。

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平城宮跡内の近鉄線移設案について

NHK:
 平城宮跡内の近鉄線の移設なんですけれども、賛成という意見の一方で、古代と現代が融合していい景色だという意見もあるのですが、その必要性をどう考えるのかということと、仮にその計画を進めるとして、お金もかかるし、期間もかかるし、さまざまな調整も必要になると思います。実現についての可能性はどのぐらいあるのかという2点について聞かせてください。

知事:
 近鉄線の移設は、実は西大寺駅改良と一体なんです。西大寺駅のように複雑で、あれだけ踏切が閉まったままの駅は、今はもう全国的にも珍しくなってきています。世界の最難関駅のトップクラスに位置します。私はその分野で仕事をしていたのでわかっています。地元の人は、こんなにも踏切が閉まってばかりでは困るよと言われているのが実情です。

 先日の瓢箪山駅での事故では、車庫もあるので1時間も踏切が閉まっていたということが実態です。西大寺駅は今ではもう古い体質の平面交差駅だと思います。近くでは布施駅は立体交差です。西大寺駅の周辺の渋滞問題を解決するには、立体交差にしなければいけないと思います。路線が2つ交わっているので、階段で駅を立体にしなければいけないと思っています。例えば、2階、3階でそれぞれ大阪行き、橿原行きということになればと思います。

 これは近鉄の仕事ですけれども、かなりの費用が必要であり、近鉄だけではできませんが、改良を行うことになった場合に、駅のホームを今のままの方向に向けるのか、近鉄線の移設が必要になるのかは、かねてからの議論でした。近鉄線が平城宮跡内を通ることについては、一つは乗っている人にとって眺めがいいということだと思います。一方、平城宮跡がこれから整備されてきますと、線路を見てあれは何ですかとおっしゃる方が必ずおられます。平城遷都1300年祭の際も、お見えになったVIPの方がそうおっしゃって、近鉄もそれを気にしておられます。

 それから、平城宮跡内を通ると、西大寺駅を立体交差にしても、平城宮跡のすぐ西の踏切に線路が平面に降りてきますので、降りずにそのまま平城宮跡内の線路を上げるのか、あるいは、地下を通すことは地下水の関係でできないと思いますが、現在の線路位置で地下にすることができれば、今のままのルートで解決できるわけです。しかし、眺めがいいからという理由になると、地下もだめだということになりますので、眺めがいいから線路位置はそのままということは一つのタイプの意見だと思います。それを実現して残すべきかどうかは、総合的な判断になります。電車から平城宮跡を見たいがために、西大寺駅を今のままにしておいていいのかということが大きなポイントになるというのが、問題点の整理になります。

 経緯ですけれども、この問題については私が参議院議員時代から深い関心を持っていて、何とかならないかと案をたくさんつくってきました。移設しないでそのまま存置して埋設することも考えましたが、高架は難しいが地下も難しく、木簡の流れを阻害するという考古学的、木簡学会的な見地からは難しかろうと判断すると、現状のままで地上の線路ということになるわけですが、そうなると、今度は玉突きで踏切問題が発生することになります。西大寺駅の改良が、手つかずで終わってしまうということで行き詰まってきたわけですので、一つの考え方としては、移設が可能かどうかということになります。西大寺駅の立体化が可能かという検討を、個人的にも庁内でも随分前から始めていましたが、その中でもたくさんの案が出てきました。そのうちの一つが、近鉄線を大宮通りに移設するという案です。移設場所については、三条通りや、さらに南方という考えもあるわけです。あるいは、極論に言えば、西大寺駅-奈良駅間を廃止し、バスや路面電車に替えるという案もありました。いろんなことを検討した中で、まず優先して検討する案は何かということで、西大寺駅の立体化と、大宮通りへの線路の移設という案が、優先検討対象案として浮上しているということが実情です。

 まず、検討対象案の絞り込みを行ったということになりますので、この案しかないということではありませんが、こういったことを検討する手法として、効果の一番大きいもの、なるべく実現の可能性のあるものを優先案として絞り込んで、実現の可能性を徹底的に追求しようとするのが普通であり、今は、そういったことをこれから行えるのかという段階です。まだ具体的に提示もしていませんが、この件については県だけではなく、近鉄と奈良市も検討に加わってもらわなければいけませんので、この案を最優先検討案として検討していくかどうかを、もう少し詰めて固めたいという今の段階です。

 その中で、県が発表したわけではありません。どういうわけか、ああいった報道がなされましたが、報道されたような案を県が考えていることは確かです。

 繰り返しますが、これまでの経緯があって、今の段階では優先検討案を抽出しているところであり、その案を近鉄、奈良市、県で検討しませんかという、その前の段階であるということです。優先検討案を検討しようということになれば三者で検討し、周辺住民や県民に諮っていく中で、移設は困るという意見も、移設をすべきだという意見も出てくると思うので、この検討案を中心に、実現の可能性についての課題が抽出されてくるということが普通です。このようにしか、この大問題、難問題は解決できないのが普通ですので、そのような手順を踏んでいます。

毎日放送:
 完成は何年ぐらいを目標にするんでしょうか。

知事:
 次のステージは、三者がこの検討案で検討することですが、その検討結果によって計画が決定するわけではなく、検討案に致命的な行き詰まりがあれば、また別の案を検討するわけです。普通なら、この案でいけるかどうかという検討については、1~2年はかかるのではないかと思います。課題を抽出し、さらに周辺住民の方の意見をお聞きすることが必要です。要は実現性、フィージビリティーを抽出することに、スムーズに進むケースであっても、これから2~3年はかかるように思いますので、2~3年以内にこの案でいこうということが固まったときに、どのようなところを都市計画で行い、どのような予算の分担で行うかなどを決定するために、また1~2年はかかると思うので、着手までは最短でも5年ぐらいはかかるように思います。

 そこから工事がどのくらいかかるかということになりますが、こういった工事は、2~3年で完成というわけにはいかないと思います。車庫の移設ということもありますので、5年はかかるのではないかと思います。現線がありますので、現線の活線施工という、線を生かしたまま工事を行うということは、とても難儀なことですので、大変な手間や予算、時間もかかるのが常です。西大寺駅の立体交差の場所を現線の上にするかどうかについても検討課題になりますが、工事の段取りができても、どこかで現線の活線施工を行う必要がありますので、これは事務方との打ち合わせはしていませんが、私の今思いついたもくろみとしては、5段階ぐらいが順調にいき、最短で完成しても最低10年はかかるように思っています。

 このようなことは、今行わないと、20年、30年、50年と放置されることになるということを、このような計画の常として言いたいんですけれども、鉄道の合理化、踏み切りとの調整については、いろんな場所で担当がものすごく練って検討しています。とりわけ、近鉄が車庫や駅をどうするかということについては、地域との折り合いに深い関心を持っていただかないと実現できませんが、もちろん近鉄だけではできないので、このような事業については、国庫補助金が大幅に入ってくるのが常です。連続立体交差、街路事業の補助ということで、東京ではどんどん街路事業の連続立体交差が進んできています。関西でも進んできていますが、奈良県全体としては西大寺駅が取り残されているという感じを持っています。それは、一つ一つ積み上げた研究体制がなかなかできなかったことも、一つの要因としてあるのではないかと思います。これも、近鉄が研究しようと言ってくれないとなかなかできませんので、その点も期待しているところです。

 このような報道がなされましたが、移設の方針が決まったわけではありません。県が検討案を提示し、まずこの案を検討しませんかという呼びかけから始めることが一番いい方法だと思っています。そのような段取りを踏まないと実際に物事は解決できません。しかし、解決しないで放っておいていい駅かというと、そうではないでしょうと申し上げたいと思います。

奈良新聞:
 関連ですけれども、平成20年だったと思いますが、国営平城宮跡歴史公園の基本計画が出てきたときに、ただ今の近鉄線の移設という話が上がっていたと思うんですけれども、やはりこれが一番の前提ということになるんですか。

知事:
 今までも案としてはあったんですけれども、繰り返しになりますが、西大寺駅の改良と平城宮跡内の線路の移設は一体的なものですので、ホームの向きも違ってきます。移設しないならそのままですし、南に移設するとなると、多少でもホームは南に向く可能性があります。前から案もあって、実は私が参議院議員時代にこの研究を個人的にしたんですけれども、そのときは移設を前提としないで、西大寺駅の立体化だけを検討していました。移設はなかなか難しいだろうと思っていました。

 その後知事になり、平城宮跡の国営公園化が実現したんです。国営公園化すると、これから大極殿院や大きな建物ができてくるんです。そうなりますと、こう言ってはなんですが、先ほど申し上げた公園のアメニティーという面からすると、近鉄線が目障りになるのではないかと公園関係者からは見るわけです。電車に乗っている人からすると、近くに大極殿院などすごい建物の間を電車が走り抜けるということになりますので、それぞれ立場が違うということになります。世界遺産、国営公園の中を電車が走っていていいのだろうかという議論がより大きくなるように思います。そのときに解決策を考えていないと、怠慢に近くなるのではないかと思います。

 電車から平城宮跡が見えるように移設するということで、多少離れますが電車が大宮通りを高架で走るという案もあるかもしれませんので、平城宮跡を見たいという方に対しては、そういう代替案も可能です。平城宮跡の近くや中を見ながら通り抜けることは、なかなか難しいかもしれません。今は、南に朱雀門、北に大極殿と左右に見えるわけですが、大宮通りの南から、朱雀門も大極殿も同じ方向に一緒に見ることができるという案も可能ではないかと思っています。大極殿院が完成し、大極殿、大極殿院、朱雀門、中の遣唐使船を一連のものとして、大宮通りから見ることが可能な線路建設ということもあり得るということですので、そのような案が出てくれば良いという人も増えるかもしれません。

 今はそういう案はなく、私が勝手に申していることですので、決して固まった案でも何でもありませんが、そういうことにご心配の向きがあって反対される方もいらっしゃるかもしれません。見るという観点からは、そういう案もあるということを申し上げておきたいと思います。これがいいというベストな案に絞るのはなかなか難しい状況です。近鉄の前身である大阪電機軌道が平城宮跡内を買収し、100年以上前から電車を走らせています。その後、平城宮跡を整備することになりましたので、近鉄にとっては、電車を走らせたところが遺跡だった、世界遺産になってしまったという思いがおありで、近鉄は先住民ということになります。鉄道業界では、先住民が一番の権利を持っておられますので、なかなか移らないぞと言われたら、手がなくなるんですけれども、西大寺駅については困難性がありますので、駅をどのようにするのかということに対しては、関心を持っていただいているように感じています。この案でどうかということをまず検討しますが、どうしてもだめだということなら次の案に移ることになります。順番に移っていくと、どんどん時間が経つことになります。その絞り込みの検討についてはまだできていませんが、そのようなパターンで行わないと物事が進まないということは十分知っていますので、県、市、近鉄がこの案を念頭に置いて、まず検討から始めるという覚書を締結できればいいと思いますが、まだこれからの話です。普通あるようなパターンとしてはそういうことが考えられるということです。

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干支の当たり年、誕生日についての感想

奈良新聞:
 小正月も過ぎてしまったんですけれども、今年は酉年で、知事は当たり年ですね。

知事:
 恐縮です。6回目になります。

奈良新聞:
 それで、おまけにということでもないんですけれども、今日、お誕生日ですよね。

 何か感想などありますか。干支などは信じるほうですか。

知事:
 そうですね、1月生まれは、前の年の干支もかかっているとよく言われて、前の年はさる年ですね。別に知恵があるわけではなく、非常に個人的なことになりますが、とり年はついばんでこつこつするタイプで、小さなことをついばんで、こうこつこつと歩くという面では、私はやはりとり年なのかなと思っています。干支もありますし、このような仕事をさせていただいているという感じです。ですから、これまでの経験も多少ありますので、目に付いた奈良県で行わなければいけないことを一生懸命させていただく、あるいは努めなければいけないということですので、干支の誕生日を迎えますと、そういう気持ちで、気持ちを堅持、かたくなに守っていきたいと思いますし、させていただく気持ちと、すべきことには精魂を込めて努めさせていただくという気持ちで、小まめなことをついばむという、性分に合った仕事ぶりしかできませんけれども、そのようなことを続けさせていただくといった気持ちです。

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生駒市西松ケ丘の違法盛土地内の行政代執行の方針について

毎日新聞:
 生駒市の西松ケ丘の違法盛土の件で、以前行われた住民説明会の中で行政代執行の方針について説明を聞きました。今週が業者からの返答期限となっていますが、行政代執行はどういうスケジュールで行うことになりますか。

知事:
 まだ決まっていないとの報告を受けていますけれども、条例違反で告発するということは聞いていました。土盛りを違法にされた方に、是正をするようにという命令を公示送達しましたが、返事がありませんでしたので、是正命令に従わなかったという意味の条例違反で告発を行うということです。

 個人の違反であり、法的な手続としてはその個人が是正するということが筋ですので、行政代執行を行う場合は、その個人が是正しないことが確定されることが一つの大きな要素になっています。告発して、段取りを確認し、是正すべき個人が全くしないということを客観的に確認できたので、行政代執行もやむを得ないと思います。行政代執行の要件のもう一つは、行政が代わって執行する緊急性や、環境についての事情があるということを確認するという大きな要件もありますが、2つ目の要件については、おおむね調査が進んでいます。本人が是正しないならば、行政が代わりに是正することになると思います。

 行政代執行をいつ行うかということですが、今は、具体的な方法やその範囲についての検討を行っている段階だと職員から聞いています。いつ行うかについては、決定までもう少し時間がかかると思います。何年もかかることはないと思いますが、最後は違反した個人が是正しないということによって確定するのですが、是正計画書の提出期限が1月16日で切れましたので、告発までしておこうということです。告発がどういう結果になるにしろ、是正計画書の提出がなかったということは確定しましたので、行政代執行ができないわけではないと思います。

 すると、今後の見通しを再確認し、行政代執行をすべきかどうかという最終的な判断の段階に来ていると思いますので、そう遠からず必要な手続に入り得ると思いますが、本日時点では、まだ、いつ行うかは確定してないという報告を受けています。

毎日新聞:
 年度内にも行うのですか。

知事:
 私の目論見というものはありません。こういうことは、危なければ早く行わなければいけませんし、違反した個人が是正を行わないことが確定すればでき得るということになりますので、その2つのバランスになると思います。今回の件は、「危ない」という客観的なことと、「怖い」という主観的なことが入り混じっているように思います。もちろん主観的なことも大事ですが、主観的に怖いとおっしゃっている方に対しては、怖くはないんです、ということも言ってきているわけなので、そういったことも最終的に詰めておかなければいけません。行政代執行は行政の経費で行うことになりますが、違反した個人が行方不明となっていますので、その個人から是正にかかる経費を取りはぐれる可能性もあります。しかし、取りはぐれる恐れがあるから行政代執行を行わないというわけではありませんが、今回は取りはぐれる可能性が高いケースですので、行政代執行に踏み切るためには、緊急性や必要性の程度が高くなければいけないと思います。そういったことをできるだけ客観的に計らなければいけないと思います。主観的に強く主張すれば県はやるんだということではないと思いますので、主観が客観に寄り添っているかどうかという再チェックは要るかと思います。

 これまで、形状の調査を継続して行っていますので、直近の調査結果も関係してくると思いますので、その結果を最終的に判断して行うことになります。どのようなタイミングになるかという報告はまだ受けていませんが、現在私が得ている情報では、年度内に行うかどうかについても申し上げられない状況だということです。

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C型肝炎治療薬の偽造品についての県の対応について

共同通信:
 C型肝炎の治療薬「ハーボニー」の偽造品が、昨日、奈良県内で確認されましたが、一義的には国で調査されるものだと思うんですけれども、薬局側も正規ルートではないところから入手をしていたという話もありますし、これから県で何かしらの調査や、指導について予定はありますでしょうか。

知事:
 はい、そのように指示しました。担当は県の薬務課になりますけれども、流通に係る話になります。どこかから来た偽薬が奈良で販売されたということが事実です。同様の件は他の地域でもあるかもしれないと思いますが、奈良であったという事実は確かですので、他に同様の件はないのか、心配で薬を使えないということのないようにしなければ、販売している薬局の信憑性、信用に係る話ですので、県がきちんと対応しなければいけないと思っています。

 卸と小売がありますけれども、小売において、偽薬が混じっていないかという全部調査を行うように指示をしました。調査の仕方はどのようにするのかというと、この偽薬は形状で分かるということですので、置いてある薬を売るときは、必ず買い求められる方に偽薬が混じっていないかどうかを見せるようにするということです。おそらく、全量を広げてみないと、最後の1錠に偽薬が混ざっているかもしれませんし、上側の3分の1だけ取り出しても、下側の3分の1に偽薬が数錠まざっているかもしれませんので、小売である薬局の店頭で全部並べて、全品このとおり本物だという確認を徹底しなければいけないと思います。通達だけではだめだと指示しました。すると、買い求められる方にとっては必ずこの薬で大丈夫だ、本物だということを確認して購入いただけることになりますので、全ての薬局で行っていただくということが、一つ、小売の段階で行うべきことだと思います。

 もう一つは、小売の薬局は、卸から来た薬の中に偽薬が混じっているかどうか、一目ではわからないわけなんです。どの段階で偽薬が混在したのかを確認するためには、薬品メーカーと卸の関係を考えなければいけません。メーカーが薬の封をした場合、メーカーの段階では大丈夫ですが、卸の段階で誰かが封を開けて偽薬が混在した可能性がありますので、開封されたかどうかのチェックを卸の段階でできるのかということになりますが、工夫をしてチェックしなければいけません。卸は、奈良県で3件あるということですが、それが全てかどうかわかりません。今は3件が卸しているけれども、他にも卸す可能性がありますので、卸の段階でのチェック方法を確立し、実行するようにという指示を担当課に出し、改めて私に報告が来るようになっています。この件の内容報告を受けたのは、この会見の直前でしたので、そのように指示をしました。

 もう一つ、さらに悪質ですけれども、混在させるために封を開けたということが考えられます。封を開けたかどうかをどのように調べるのかというところまで徹底しなければいけませんけれども、そもそも、箱を偽造して全量を偽薬に入れ替えたり、偽薬を半量混ぜて売る悪質の卸が、奈良県内にはなくてもどこかにあるかもしれません。卸は製薬会社から直送なのか、もとの卸があるのか、それをたどる必要性があると思います。奈良で売られた薬がどこから来たのかという捜査のような調査をする必要があるということと、他に偽薬が売られていないという確認を徹底しなければいけないと思いますので、対応を徹底するよう先ほど担当課に指示をしました。どのように徹底するかは間もなく私に報告がありますので、また実務的に報道させていただきたいと思います。

司会:
 この後、知事の予定もありますので、申しわけございませんが、幹事社の方よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:
 ありがとうございました。ご質問をありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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