平成29年2月1日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は2件の発表案件がございますので、知事からご説明をお願いいたします。


案件:『さわって楽しむ体感展示』記者内覧会 『奈良県障害者芸術祭HAPPY SPOT NARA 2016-2017』オープニングセレモニー開催のお知らせ
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知事:
 最初は『さわって楽しむ体感展示』ということです。記者の皆様方を、2月3日の内覧会にご招待申し上げたいと思います。また、「奈良県障害者芸術文化祭」のオープニングセレモニーを2月4日の土曜日に東大寺大仏殿で行います。

 障害者の方を対象とした『さわって楽しむ体感展示』については、最近は、健常者の方についても、「さわって楽しむ」という芸術作品の楽しみ方が出てきています。大英博物館などで行われている「ハンズオン」と言われる楽しみ方です。古代の美術品の複製品は「レプリカ」と言っていましたが、東京芸術大学では、最近は「クローン」とおっしゃっています。その東京芸術大学でも、美術品の手ざわりを楽しんでもらうために、美術品のクローンをさわって楽しむことが芸術作品の楽しみ方の一つになってきています。奈良県では、従来から障害者の方だけではなく、健常者の方も参加する「奈良県障害者芸術祭」について取組を行っていましたが、その延長でこのような催しを実施します。

 とりわけ、今年は「全国障害者芸術文化祭」と「国民文化祭」を一体開催しますので、芸術品の展示、楽しみ方について、体感ということもテーマにしていきたいと思っています。その一環ということで、『さわって楽しむ体感展示』の記者内覧会のご案内ということです。

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案件:「奈良県働き方改善シンポジウム」を開催~働いて良しの奈良県を目指して~
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

 2つ目は、「奈良県働き方改善シンポジウム」開催のご案内です。2月19日に奈良女子大学のS235教室で行いますが、このシンポジウムは、どちらかというとキックオフということになります。奈良県では「働き方改革」の勉強をここ数年進めていますが、その後、国も「働き方改革」という同じ言葉で標榜されるようになり、やはり今は「働き方改革」が必要な時期になっていると思います。

 これからの奈良県の「働き方改革」の進め方として、セクター別の働き方改革の研究をしようと思っています。いろんな事情がセクター毎に発生します。とりわけ、就業地別有効求人倍率に注目していますが、労働局が発表された12月の統計では、奈良県の就業地別有効求人倍率が1.40倍と、史上最高の有効求人倍率となり、「人足らず」ということになっています。これは、職場にとってはなかなか働き手が来てくれないという状態でもありますので、逆にそれぞれのセクターが働き方を改革して、働きやすい職場、職域にしないと、人口減少、若者減少の中で働き手が来ない「人枯れ」になってしまうことも危惧されますので、セクター別の「働き方改革」研究を行おうと考えています。その一環として、キックオフ的なシンポジウムを2月19日に開催するというご案内です。

 私からは以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件についてご質問をお願いいたします。

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質疑応答

「奈良県働き方改革」の今後の取り組みについて

NHK:
 「働き方改革」について、これからセクター別の研究をしていくとおっしゃったが、少しイメージがしにくかったんですが、例えばこんなものをこういうふうにするというような具体例を教えてください。

知事:
 セクターの例としては、例えば、看護師さんの働き方はどのようになっているのかというようなことで、気になるのはサービス業の働き方です。それから、今、国の「働き方改革」の中で、賃金の話と、電通の問題もあった時間外労働、残業の話、過労についても大きな問題となっています。職場、セクターによって随分と違う面がありますが、総じて厳しくなっている面はあると思います。働き方については、ヨーロッパの例を見ても随分と改革が進んでいますが、働く現場の様子を見ると、国の法律で右向け右というわけにもいきません。在庫が効く生産主体の業種であれば、在庫調整で働き方の時間割りをなだらかにすることはできますけれども、サービス業ではお客様との関係で待ったなしですので、臨時雇用での対応という形になります。

あるいは、もう少し最近の状況ですと、職場の転職ということが常態になりました。

 現在のハローワークは、職が無いので探すという昔の「職安」というイメージではなく、職はあるけれども、自分に向いている職を探したいという求人・求職が結構増えてきていると労働局長もおっしゃっていました。転職が常態化、普通の形になってくると、希望退職をするときに退職金が払われるのかといったケースについても、けりをつけていかなければいけないと思います。

 日本は、解雇がない、終身雇用が中心の国でありましたが、終身雇用を希望する人も、希望しない人もいると思います。終身雇用という言葉は、一つの企業での終身の雇用ということが本来の意味ですけれども、60歳、65歳を過ぎても、また職場を変えてでも働きたいという方も非常に多くいらっしゃるので、地域での雇用が確保できるような雇用のあっせん環境が変わってこなければいけないと思っています。その一環としての「奈良県働き方改革」ですけれども、国もブラック企業はいけないという政治的な判断をされてきていますし、賃金を上げなければ経済の消費が回らないというマクロ経済の判断もあると思いますが、そういった経済と社会的な問題との関係で、働き方が日本の大きな課題になっています。外国人労働者の問題もありますが、そのようなことを全部県でやるわけにいきません。

 どのようなセクターを研究するのかという例えとしては、看護師、医療従事者、あるいは教員、公務員もそうです。公務員は、県の公務員だけではなく、市町村の公務員の働き方についても総じてどうなのかということを考えたいと思います。知恵の一つとして、保健師の足りない市町村で共同採用のようなことができないかということが考えられます。あるいは建築労働者のような非常に季節性というか受注産業の業種や、小売業、サービス業など現場で繁忙の波がある業種で、パート従業員が多い職場で働く契約はどのようなことになっているのか。幼稚園の先生も含めた教員については、公立の学校は教育委員会所管の職場であり、がっちり守られているということが実態ですけれども、その周りにいる方の職場は非常に不安定になる傾向があるので、それをもう少し均すという意味もあります。教育委員会所管の教員の働く環境のグレードを下げるという意味ではなく、知恵を出して均していくということです。均していけば、教育委員会所管の職場で働いておられる教員の働き方も楽になる可能性があると思います。何でもかんでも教員が行うのではなく、教員はこれ、教員以外の周りの人はこれといったようなことが、働き方改革の一つとして出てくると思います。

 イメージ的なことが多いですが、これから、セクター別に現場に密着して研究しようと思っています。「奈良県働き方改善シンポジウム」は、その一環としてのキックオフ的シンポジウムの開催という位置づけとなっています。

NHK:
 これから何ができるか探っていくということでしょうか。

知事:
 これから、なるべく現場に密着して研究していこうと思っています。

NHK:
 看護師不足や保育士不足といった社会問題についても解決につなげていきたいということでしょうか。

知事:
 そうですね、セクター別の有効求人倍率には凸凹が物凄くあります。医師、医療従事者、看護師など「コメディカル」と言われるような方、あるいは保健師などの医療関係従事者については、高齢化社会に向けてケアをしなければいけないが、待遇面でマッチしないと人材が来ないんです。幼稚園の先生や、保育士もそうですけれども、そのような現象だけが報道されたり取り上げられたりしていますが、構造的な問題が潜んでいるように思いますし、国が全部するというわけにもいかないかもしれません。地域が勉強しても、現場の実勢、実相が分かれば、国中心で動き出した「働き方改革」に貢献もできるのではないかと思っています。

司会:
 発表案件についてのご質問はよろしいでしょうか。
 では、ほかの案件につきましてもご質問をよろしくお願いいたします。

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C型肝炎治療薬の偽造品について

毎日新聞:
 C型肝炎治療薬の偽造の件で、厚生労働省も流通ルートの確定をされているところだと思うんですけれども、県としても流通ルートの確定や今後の対策などについて、いま一度お伝えいただければと思います。

知事:
 そうですね、C型肝炎治療薬の偽造品がこれまで5件、奈良県内で販売されました。現場でさらに売られる可能性がないかということが奈良県あるいは国にとって一番大きなことです。このことについては、県内の全薬局の調査を進めています。偽造品が購買者の手元に届かないようにすることが一番大事なことだと思っています。それから、その延長で、これまで買って、手元に置いていた偽造品を服用した方がいないかどうかということも大きなことです。売られた現場からどのように流れていったか。そして危険な事例が発生していないかということについては、発見された偽造品以外に、置いてあったり売られたりした形跡がないというところまで、大体の調査で進んできています。今は、安心していただけるのではないかと思われるところまで、奈良県が調査いたしました。流れた後、服用された方もおられますけれども、症状が悪くなったという報告は受けていません。川下のほうをフォローして調査するのが奈良県の役目ですが、このことについては、あんまり心配がなく大丈夫だろうというふうに報道されるのではないかと思います。

 次は、どうして偽造品が流れてきたのかという川上の流通ルート解明の話がありますけれども、卸は奈良県内ではないので、今のところどうして奈良県だけにたどり着いたのかということは不思議ですけれども、流通ルート解明の中で、そういうことが川上で起こらないようにするということは、国の関心事項でもありますし、また、奈良県も協力をしなければいけません。それから、卸は県外の業者ですので、国が中心になって調査していただかなければいけないので、奈良県としては、小売販売業者に卸の偽造品がどのように届いたのか、小売販売業者から卸に遡って行う調査に協力することが基本だと思っています。

 だんだんと調査は進んでいますが、卸が東京都下であるということはわかってきました。厚生労働省が中心になって卸の流通ルートを点検されているので、全容はいずれわかってくると思いますが、偽造品がどうして卸で発生したのかは、奈良県ではまだわかりません。だんだんと流通ルートが絞り込まれていると仄聞(そくぶん)しているわけですけれども、確定的なことはまだ伝わってきていません。奈良県独自の調査にはなりませんが、小売の現場が奈良県内ですので、どこから来たのかという流通ルートや、取引の仕方によって偽造品の混入が防止できるのであれば、偽造品の混入はこの薬だけに限らない可能性もありますので、どうしてそういうことが起こり得たのかということは大きな話だと思います。

 奈良県が協力できることは、全面的に協力していきたいと思います。小売の現場で偽造品が売られないようにということについては、奈良県に一義的、全面的な責任があると感じています。現場が偽造品を売っていない、売られたところに被害が発生しないということを調査し、おおむね発見された以外にはなさそうだというところまで調査が進んでいます。全薬局調査をしており、大半の結果が出てきていると聞いていますが、未回答がもう少し残っています。

NHK:
 細かい部分の確認ですが、服用された方もいたが健康被害はなかったということでしょうか。

知事:
 報告では、健康被害はないということです。

NHK:
 偽造品が何名の患者さんの手元まで行ってしまって、服用されたんでしょうか。

知事:
 C型肝炎の患者さんは把握できています。偽造品を買われた方が奈良市内で33名、奈良県内で24名、京都府内で5名ということです。奈良県の役目である追跡調査を行い、全員との確認がとれました。その結果、服用された方は56名おられますが、その56名の方からはC型肝炎ウイルスは検出されてないということが確認され、副作用が発生していないことが確認されたというところまで調査が進んでいます。

 また、治療中の6名につきましては、薬剤の形状に異常がないことを確認しました。また、偽造品を返品された方は、治療薬自体を服用されていないということです。

NHK:
 製品として服用していないということですね。

知事:
 治療薬を全部調査しました。偽造品だけを追いかけるということではなく、この治療薬を買った人を全部調査したら、治療中の6名の薬剤については形状に異常がないことが確認されましたので、本物だったということがわかりました。1名は偽造品を返品されましたが、服用されておらず、販売後の被害は発生してないということがわかりました。

 しかし、間違った薬を飲まされると大変なことになるということが、今回の事件の本質ですので、どうしてそういうことが起こったのかということに当然焦点が当たるところです。奈良県にとっては、その後販売されていないかを調べることが大きな役目ですので、今申し上げた調査をしました。その結果、ハーボニー配合錠を買った人を全部調査しましたが、偽造品は既に発見された5本だけであり、そのほかは流通していなかったことがわかりました。5本の偽造品が流れてきた流入調査をしなければいけないのではないかというご質問もありましたが、流入調査はルート調査ということになり、これは国と一緒になってやらないと、県外から流入している可能性があります。業界の流通ルートは複雑な経路のように感じますので、もちろん県だけではできないと思います。

奈良テレビ:
 今、県内の全薬局の調査を進めていらっしゃるということなんですが、いつごろまでに完了する予定で、今どの程度進んでいるのか教えてください。

知事:
 これは悉皆(しっかい)調査といいますが、新たな偽造品が発見されないかを調査しました。県内には薬局が534施設あります。534のうち、奈良市内が145です。さらに病院が76、卸36、合計646の調査をしています。これは発表していいのかもしれませんが、今朝、私のところに資料が届いていますので読み上げますと、本日2月1日8時時点での回答状況は、87%です。今646施設と申し上げましたが、回答が560あります。そのうち、取り扱いがあった施設が63、取り扱いがなかったのは450、過去に取り扱いがあったのが47です。

 現在、全調査のうち87%に達しており、もう少しで全数の回答が来るだろうと思います。治療薬の販売元はギリアド社ですが、仕入れ先が販売元のギリアド社から直接卸している卸以外の経路がある場合には、新たな流通経路ということになりますので、流通経路の確認等が必要になってくると思います。今までのところはそのような状況です。

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奈良大立山まつりについて

関西テレビ:
 先週末まで「奈良大立山まつり」が行われていましたが、お越しになられた人数等々は知事の耳に入っていますでしょうか。

知事:
 入っています。

関西テレビ:
 人数をお聞きしてもよろしいですか。

知事:
 はい、発表したとも聞いていますけれども、確定値は2万6,363人です。速報値では2万6,243人だと聞いていましたので、確定値のほうが120人増加したということです。

関西テレビ:
 昨年度と比べると、大分減ったように思うんですけれども、少し早いですが、総括して、知事としてこの数字に関してはどのような受け止めをしていますか。

知事:
 そうですね、曜日別の入場者の変動が激しいので、去年と比較してその理由を担当課から聞いています。わかっていることは、去年は土・日曜日にすごく来場者が多かったということです。去年は1月30日の土曜日が1万7,000人、日曜日が1万9,500人と聞いています。今年は、土曜日が1万5,450人、日曜日は朝の出だしはよかったんですが、雨天となったために昼からぱったりと来場者が止まり、夜のイベントもなくなりましたので、5,000人という報告です。一つは、土・日曜日に雨が降る、降らないの差が大きかったのではないかと思います。去年と単純比較すれば、日曜日については去年の1万9,500人が今年の5,000人と、約1万5,000人近く差があったということです。

 もう一つの差は、今年は水曜日に始めて日曜日で終わることになりましたので、出だしの平日が少なかったんです。去年の初日は雨のせいもあり1,500人でしたが、今年は晴れたにもかかわらず、初日が1,000人で、2日目が1,500人ということでした。こういうお祭りは、初日が平日だと、なかなか出足が遅いのかなという感じがします。開催初日を何曜日にするかということが一つの課題のように思います。といいますのは、去年は金・土・日・月・火曜日と開催したんですが、月・火曜日でも6,000人~7,000人の来場者があったんです。今年は、日曜日が最終日でしたが、雨天の影響で5,000人でした。平日に開催する場合は、金・土曜日を挟んだほうが勢いがつくかもしれないという感じはしますが、これは試行錯誤になると思います。初日を週の前の方に持ってきたのが、出だしの人出の少なさに一つ大きく関わってきていると思います。

 それと、計測方法なんですけれども、去年は大極殿院の中で大極殿院に入る人を計測しました。大極殿院の中と外を往復する人は重複して計測していた可能性があるということは、去年も説明しました。今年は、平城宮跡の外で計測しました。平城宮跡の中に入った後、出入りされる方もいらっしゃったかもしれませんが、そういった方の率は大変低いだろうと予想されます。去年は、大極殿院の中に出入りされた方の全体のフローを計測したと発表しましたが、それはそれで、数字としては計測値ということになります。今年の計測方法では、平城宮跡の外で計測すれば平城宮跡に来た方の実数に近いということになりますが、手間がすごくかかるんです。去年は来場者数について騒ぎになりましたので、今年はなるべく正確に計測しようということで、平城宮跡の6箇所の入り口全てに人員を増員配置し、計測したということです。

 あとは、来られた方々の印象や改善点意見は去年もありましたし、今年もありますので、夜のお祭りとして改善点を重ねながら進めたいと思っています。全体として、お祭りに来られた方の評判はとてもいいように思います。出だしのお祭りは、まだ成熟してないところがありますが、参加いただいただんじりやイベントなども増えてきており、市町村も力が入ってきていますので、ありがたいお祭りだと思っています。

 人数の計測については、今申し上げたところまでとりあえずの分析をしています。

関西テレビ:
 去年はもう少し広い範囲で計測していたが、今年はもう少し範囲を絞って、人数も割いたということで、少し計測方法が変わったという理解でいいでしょうか。

知事:
 今年は範囲を広げて、大枠で調べたということです。

 去年は平城宮跡の中の大極殿院の入口が3カ所あり、その入口で計測しましたので、大極殿院への出入りを繰り返される方がおられると、プラス計測されるということを申し上げていましたが、計測範囲を広くすると、多くの計測人数が必要となりますのでそこまでは考えていませんでした。計測手法についてはいろいろとチャレンジがありましたので、できるだけきちんと計測しようということで、出入りの人数を除去するには範囲を広くして調べる必要があり、人数はかかりますが、計測箇所は6箇所にも増えました。計測方法については、去年同様、通った人数を調べたという説明を申し上げていますのでご理解願いたいと思います。

 今年は平城宮跡の外で調べました。すると、一度会場に入った人を重複して計測することが、概念的ですけれども、ほとんどいないはずだということです。去年は、平城宮跡内の大極殿院の出入りを調べましたが、大極殿院の外は調べていませんので、今年の計測方法でどれだけのバイアスがあったのかは正直わかりません。ただ、全体で、去年の5万1,000人と今年の2万7,000人という数字の違いは、計測方法が違うということと、曜日などによりその日の出入り者数が違うということになります。

関西テレビ:
 人が入っている範囲としては今年のほうが広がったけれども、人数は結果として減ってしまっているということになるんですか。

知事:
 繰り返しますけれども、広がったというのは、計測する範囲を広くして重複する人数を除去したので、人数としては狭まる可能性のほうがもちろん高いわけです。

関西テレビ:
 今年は去年の人数の半分ということが正しい人数という形になるんですか。

知事:
 去年と今年では計測方法も違うということを申し上げているので、単純に去年の半分ということではないんです。同じ計測方法なら、今年は去年の半分ということになりますが、そのあたりをご理解願いたいと思います。

 誤解があるといけないので繰り返しますが、去年は大極殿院内への出入りがあるということを公表して計測していました。大極殿院内に出入りがあると重複計上する可能性がありますので、大極殿院内で計測をすると、重複除去はなかなか難しいと思います。今年は範囲を広くして調べましたが、人数が増えるわけではないんです。平城宮跡に来られた方は大概が大極殿院に行かれますから、今年は重複除去ができたということです。範囲を広く調べたから人数が増えるというようにおっしゃったが、それは誤解だと申し上げておきたいと思います。

 去年と今年は単純に比較できない面がありますが、日によってどうして増減があったのかという理由は確定的には言えませんが、去年より爆発的に増えたという感じではありません。すごく減ったかどうかというのは、お祭りですので曜日毎の分析、比較をすると、去年の初日は1,500人でしたが、日曜日は天気に恵まれて2万人ぐらいだったんです。平日と土・日曜日ではこれだけの差があるということですので、人数的には土・日曜日に天気に恵まれるとすごく増えるということです。しかし、増えても1万5,000人~2万人止まりですので、お祭りの主催者として1日に3万人、4万人が来るようなお祭りではないということは当然推察できます。日にどのように割り当てられるかということですので、冷静に分析すると、このようなお祭りを持続するためには、どのような知恵を働かせばいいのかと思います。

関西テレビ:
 去年も、知事はこのお祭りに関しては伸びるイベントだとおっしゃって評価されていらっしゃいました。お天気はどうにもならないと思うんですけれども、曜日等々の課題も含めて、来年度も実施するお考えは今のところありますか。

知事:
 来年度も、予算を要求するということになります。奈良の冬をにぎやかにするイベントは、「なら瑠璃絵」や「若草山焼き」などがありますが、「若草山焼き」と重ねて開催したことが、土曜日の来場者数が伸びた原因だと思います。苦情の一つには、大極殿院の中で「若草山焼き」を見る場合、若草山方向に木があるので少し見にくく、朝堂院など大極殿院の南のほうが見やすかったという話もいただきましたので、会場の設営場所の工夫が必要になるかと思います。私も、「若草山焼き」を平城宮跡会場で見ましたが、少し距離があるので、もう少し近くのほうが花火などは迫力があるのではないかと思いました。しかし、近くで見ても平城宮跡から遠い距離で見ても、やはりそう悪くはないなと思いました。私が座っていたところからは、だんじりが邪魔になってあまり見えなかったので、会場の工夫が少し要るのではないかと思いました。そのような工夫はしたいと思いますけれども、冬に大きなお祭りを開催するのは、一過性のお祭りですのでなかなか大変なんですけれども、「ムジークフェストなら」でも、「奈良マラソン」でも、いろんな工夫をしながら年々改善されていますので、「奈良大立山まつり」についても、改善を続けていきたいと思います。改善しないと、お祭りは持続したり成長したりできません。

 なお、「あったかもんグランプリ」を実施しましたが、特に南和の皆さんの熱の入れようがすごかったです。「おいしいものを頑張ってつくったんや」とおっしゃっていました。南和の皆さんは、気合の入れ方が全然違っていて、比較してはいけませんが、参加意欲も北和の皆さんとは大分違っていたように思います。

このお祭りの開催で、だんじりの出展や出演、あったかもんなど、いろいろな地域の伝統芸能が奈良県には豊富にあるということが改めてわかりました。

 奈良の伝統芸能は県内各地に散らばっており、これまでは大都市近郊、人口の集まっている地域の伝統芸能が成長し盛り上がるという傾向がありますけれども、人口が散らばっている地域のお祭りという伝統だけが残っている場合は、このように集めて展開することにより、またその地域のお祭りに見物客が来ていただくという回帰も進んでおり、そのような兆候も出ています。各地域のだんじり出演の意図についても、「奈良大立山まつり」に出演することで、例えば御所市の夏のススキ提灯を見てきてくれる人が増えたとか、地域で細々と伝統芸能を続けておられた方が、非常に引き締まってその維持に向かっていただけたという地域振興のいい面も報告されていますので、そういう意味合いもあったのではないかと思います。

 「奈良大立山まつり」は入場料をいただいていません。入場料をいただくとなればカウントも正確にでき、主催者として興業に直結するわけですけれども、とにかく無料で楽しんでもらおうという県主催のお祭りですので、地域の振興の参加で冬のイベントを行おうという全体の目的、多角的な目的を申し上げましたけれども、そのような目的のもとに開催していますので、そういった面での効果はあったのではないかと思います。入場者数も大事ですけれども、入場料を取っていないお祭りですので、全体的に良い方向に進めば、奈良県の冬のお祭りということで評判が立てばいいと思っています。

奈良新聞:
 先ほど、会場の問題についての話が出ましたが、平日に取材に行くと会場全体が広過ぎて、人がまばらで寂しい印象があったこと。もう一つはシャトルバスの件で、乗客を降ろす場所とメーン会場までの距離が結構あるという問題もあると思うんです。それともう1点、やはりなかなか県民への周知、浸透がし切れておらず、まだまだ認識されてないという部分もあるんですけれども、その3点をどのように改善するのかということをお聞かせください。

知事:
 平城宮跡は、広いというメリットもありますが、会場までの距離が遠いということもあります。今年の「あったかもんグランプリ」はとても評判がよかったんですけれども、立って食べなければならず、食べる場所から大立山の観覧場所までが少し遠いんです。今度、大極殿回廊をつくる大きな建屋ができましたが、来年はもう一つできます。文化庁から、大極殿院の中での飲食は許可しないと言われていますが、大極殿院の中で座って大立山を見ることができればいいのにという声もあります。そうしますと、大極殿院の前で開催するというコンセプトが不便だということとバッティングしているように思います。あったかもんを食べてから大立山を見るのではなく、食べながら見ることを希望される意見が多かったと聞いています。

 そうしますと、今度の会場や大立山の巡行を南へ持っていくことにより、お祭りの目の前で座りながら食べることができる場所が設営できるかどうかということになります。大極殿院の南には朝堂院と朱雀門前という広場がありますけれども、朱雀門前を会場にした場合は、その位置にバスターミナルができ、バスで入ってきてすぐにお祭りがあるということになります。大極殿院は遠くにしか見えないけれども、「大極殿院前での開催」から、「大極殿院を見ながら開催」というコンセプトに変わったほうがいいのかどうかということが一つあると思います。来場者の利便性からすると、大極殿院前での開催は不便だという声がありますので、巡行なり、催事の場所をどこにするのか、来年の大きな課題の一つだと思います。

 400円でおいしい出汁と野菜などが入ったあったかもんを、気合いを入れて提供していただいています。座って食べたいとおっしゃる方に場所を提供するには、催事の近くで食べることができるかどうかによります。朝堂院での開催の可否については、これから文化庁にかけ合わなければいけませんが、朝堂院は昔、宴会場でしたので、行政催事の場所である大極殿院とは少し意味合いが違いますので、そういったゆかりからしても、朝堂院で開催できるのではないかと思いますが、まだ決めてはいませんけれども、そのようになったほうがいいかもしれないと思います。

 地面のぬかるみなどの整備は必要です。また、朱雀門前が交流施設として整備されますので、朱雀門、朱雀大路のような広い場所についてもいい場所になり得る可能性もあります。メーンの催事の場所と、特に夜間の来訪者のアクセスをもう少し考えると、平城宮跡会場が広過ぎるというハンディキャップを改善できる可能性もあります。

 それから、シャトルバスについては、西大寺駅からですと徒歩では少し遠く、JRのシャトルバスも並び、一時に混み合いますので、シャトルバスの充実も大事だと思います。シャトルバスの充実と、一見すごく膨大な広場に夜来られるので、どこに行くんだろうかと一瞬寂寥感が漂うような感じがありますので、来年は、にぎやか感が周りを覆うようなお祭りにするための場所の工夫ができればと思っています。

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新たに国土交通省が指定した「開かずの踏切」が西大寺駅周辺整備などに与える影響

朝日新聞:
 先日、国土交通省が「開かずの踏切」の指定を行いましたが、前回の会見でお伺いした、平城宮跡付近の渋滞の解消対策や、平城宮跡内を通る近鉄線の移設などに関連する踏切が4カ所ほど含まれていて、内1本が県道だと思うんですけれども、今回指定されたことで、近鉄線の移設などの事業に影響や後押しになるなど、関連はあるのでしょうか。

知事:
 県が積極的に検討している西大寺駅の立体交差については、踏切をなくすことにもつながりますが、立体交差と平城宮跡内の近鉄線の移設は非常に関連のあることです。西大寺駅周辺の渋滞は、踏切渋滞なんです。今回は、西大寺駅の西側の4カ所が難踏切だということで指定されましたが、東側にも佐紀町などの難踏切があり、順次指定されるかもしれません。西大寺駅周辺は、国が難踏切だと指定されたり、西側にしろ東側にしろ、とても踏切閉鎖時間が長いということが現象的に出ていますので、県としては、近鉄線の移設が一つの検討課題だと思っています。

 西大寺駅の南側のトンネル道路のように、国道、市道毎に線路の下に道路を埋設するといったことを一挙に解決する手法が連続立体交差ですので、西大寺駅のように踏切が周りに多くてこれだけの渋滞のある場所では、連続立体交差は普通の手法だと思います。西大寺駅の連続立体交差を行う際に、平城宮跡内の近鉄線の移設を一緒にしたほうがいいのか、しないほうがいいのかということについては議論のあるところです。移設しないほうが経費は安いかもしれませんが、踏切が存置されます。とりわけ、新大宮駅の踏切付近には、京奈和自動車道の地上部、西九条佐保線が、大宮小学校横の道路を拡幅して入ってくるんです。

 あの踏切は、平城宮跡の東側では大きな踏切です。踏切問題は、列車の本数も関係しますが、自動車の通行台数も大きく影響します。西大寺駅周辺と近鉄奈良線で一番大きな自動車通行台数がある踏切が新大宮駅の踏切なんです。しかも、今度、京奈和自動車道の本線が入ってきますので、新大宮駅の踏切問題は西大寺駅の東側の大きな問題となります。これらの問題を一挙に解決するならば、近鉄線の移設も視野に入れた検討が必要だという思考、考え方をしており、県としては優先検討案だと思っています。移設だけが選択肢ではないと思いますが、この問題は熟慮、熟議しないといけないと思いますので、県、市、近鉄が、その時々に一歩踏み込んで頭を働かさないと、後に何も考えてこなかったのかと言われることが、その当時の為政者の恥になると思いますので、そういう周辺事情が煮詰まってくれば積極的に、できるだけオープンに検討を進めたいと思っています。

 交通は思い込みではなく、実際の現場の知恵です。問題解決には経費がかかりますが、連続立体交差は国の補助金が随分と出ますので、東京では連続立体交差がすごくダイナミックに進んでいます。関西でも進んできていますので、私はこの近鉄線だけが取り残されているという認識を持っています。何としてでも西大寺駅の問題を解決できるよう、解決の糸口を示すことができればと思っています。一方、検討が進んでいくと、解決の算段ができます。西大寺駅を立体交差させ近鉄線を移設するという案が優先的ではなく、並行して検討する案でもいいんですが、どの方向に優先検討するのかという検討を放置することは、県、市、近鉄の怠慢になると思いますので、怠慢のそしりを受けたくないがために一生懸命検討したいと思っています。

朝日新聞:
 ちなみに、東京や関西で進んでいる例としては、どのような駅が挙げられますか。

知事:
 随分前になりますが、近鉄沿線の布施駅が進みました。それから、駅の問題で有名な阪急淡路町も随分進んだと聞いています、淡路町が参考になるのではないかと思っています。

朝日新聞:
 東京ですと、どんなところが参考になりますか。

知事:
 東京の連続立体交差はすごいです。東京は、各鉄道路線の相互直通があるというところが関西と違うところです。例えば、目蒲線と地下鉄をつなげるなど、相互直通で進むとダイナミックです。関西でも相互直通が進むとすごく便利になると思います。関西広域連合でも発言したんですが、関西は相互直通していないことが発展を阻害する要因になっている、ということが私の持論です。例えば、阪神と近鉄が難波駅で相互直通していますが、当初、近鉄はやや消極的な面もあったんですけれども、現在、近鉄線の中で乗客数が伸びている唯一の線が阪神・近鉄の相互直通路線であり、そのほかの路線は人口減少の影響もあって減少しているんです。

 南北の相互直通は、大阪では極めて少ないんです。東西は、福知山線と片町線という木津から出ている列車が大阪の南を通っていて、これが相互直通のいい例です。今、なにわ筋線が相互直通を目指していますが、自己の利益を中心に考え、事業者同士が争うということが関西の特徴です。私は、運輸省時代にその関連の担当もしましたが、関東は相互直通のプランニングが随分前から行われていて、かなり離れていますが東武と東急を結んだり、JRも入って小田急から新宿に入り川越まで行くなど、すごくダイナミックなんです。すると、居眠りしていても電車は横浜まで行きますので、すごく日本らしくていいところがあるんです。東京は駐車場代も高く、自動車の保有台数は全国で一番少ないんです。奈良もそうですが、地方の方が自動車の保有台数が多く車社会となっています。車社会の一つの現象が、休祭日に奥まったところで渋滞するということで表れていますが、いい鉄道のサービスやバスのサービス、専用道路のサービスがあると随分と違ってきます。交通全体の計画性がものすごく大事だということが、関東と関西の例で分かってきています。

 ただ、駅周辺に渋滞という現象が発生すると、その対策を行う場合には大きな工事になりますが、連続立体交差による駅の高架化、地下化は基本的な手法であり、関東では随分と進んできています。大きな例としては、渋谷駅がありますが、あのような物すごく大きなことは奈良県ではできません。また、新宿のバスターミナルは、1,500億円をかけて線路の上につくっており、東京ならではの国の大きな事業ということで、随分とまちの効率性が上がると思います。西大寺駅の効率性が上がれば、商業、交流、サービス業も活発になると思います。関東の例と比べると、関西では違った議論がまだ多いように思いますけれども、だんだんとそのように理解が進めばいいと思います。

 ただ、行政もある面、考え方を提示していかなければ、世の中がよくなっていかないと思います。そのときに提示しないで、後でいい動きが出てきてから、俺もその時に言っていたと言うだけでは、役目を果たしていないと思います。どのように具体的な案を出していたかということが、行政にとっても事業者にとっても大事なのではないかと思います。案を出して論争することが、このような交通問題、計画問題では大きなことだと思いますので、そういったことが進展することを信じています。

朝日新聞:
 今回、国土交通省が指定したこと自体は、県としてはそもそも事業を進めていたので、直接的な影響はあまりないという感じですか。

知事:
 国が難踏切だと指定したことで、検討の意味が後押しされたようには思いますが、指定されたからといってすぐにできるような簡単な代物ではないと思います。先ほど、新大宮駅の踏切の例を出しましたけれども、東側の踏切もそのうち難踏切に指定されるかもしれませんが、佐紀町の踏切、新大宮駅の踏切の事情は変わりません。それから、日ごろ難踏切を使っている方のセンチメント、感情は、この踏切さえ何とかしてくれればいいということになると思いますが、本当は、広い意味で踏切全体に関係しています。事業者も行政も、全体のインフラのあり方をいつも検討していなければ、この踏切の電車だけを止めるというわけにはいかないということです。現象的なことだけではこの大きな都市計画の問題は解決できないと思います。

司会:
 よろしいでしょうか。
 幹事者様、よろしいですか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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