平成29年3月1日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、五條病院リニューアルオープンに係る1件でございます。
 それでは、知事から説明をよろしくお願いいたします。


案件:南和広域医療企業団 五條病院が平成29年4月にリニューアルオープンします
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 南和広域医療企業団の中心病院が稼働して1年になります。関係病院である五條病院のリニューアル工事を行っていました。4月1日にオープン、営業は3日からだと聞いていますが、その内覧会、竣工式典が3月19日に現地で行うということについてお知らせするものです。4月1日に開院し、3日から患者の受け入れ開始ということです。

 報道資料に記載していますが、県立五條病院の跡地を再整備し、約20億円をかけたリニューアルとなっています。これは、南和広域医療企業団が整備することになります。県が支援をする「奈良モデル」の一つの典型ですが、跡地にリニューアルをして再オープンということで、もとの県立五條病院と違って回復病床を中心に、45床でスタートします。もとの予定は90床でしたので、あとの45床につきましては、需要を見ながらどのようにするか検討していくということになります。一般病床として、まずは45床で運用開始するということです。

 南和広域医療企業団は、大淀町福神の南奈良総合医療センターが232床、これは急性期中心の病床になります。それから、旧吉野病院である吉野病院が96床です。それから、この五條病院が90床のキャパがありますが、吉野病院の96床ある療養病床の稼働率がそんなに高くありませんので、慎重を期して、一般病床45床でのスタートということにしています。来年1年経ってから、様子を見ながらですけれども、今のところ療養病床を45床として追加運用する目標にしています。

 それから、新しい試みですが、4月から、朝の8時から夜の18時まで10時間、五條病院前を通る奈良交通路線の路線バス全てが、病院内のバス停である「五條病院玄関口」を経由することになりましたので、来られる方は便利になると思います。内覧会は3月19日午後1時です。お知らせ申し上げます。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に係るご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

南和広域医療企業団 五條病院が平成29年4月にリニューアルオープンします

NHK:
 南奈良総合医療センターを核として再編をするときに、役割分担をして、医師を南奈良総合医療センターに集約して、五條病院は療養病床にするということだったと思うんですけれども、それを一般病床にせざるを得ないということについて、療養病床以外に何か理由があるのか、あるいは一般病床にすることで医師が足りなくなるなど、そういう体制面が大丈夫なのかどうか、そのあたりはいかがでしょう。

知事:
 供給側の事情というよりも、需要側の事情に基づいて判断しているように思います。ご発言がありましたように、南和の3つの病院の役割ですけれども、南奈良総合医療センターに急性期を集中しました。今まで、南和には3つ急性期病院が並んでいましたが、全部ダウンしていたということですので、急性期病院を1つにして、他の2つの病院を地域病院にしました。地域病院の意味は回復期と療養と2つの機能があります。今、回復期の需要があって、南奈良総合医療センターの232床は稼働率が満杯の状況です。そうすると、急性期は処置が短いので、早く処置が終わったら、回復期については南奈良総合医療センターではなく、その他の関係病院へ移っていただいて回復期治療をしていただくことが望ましいわけですので、一般病床と言っていますが、回復期を中心に、リハビリやその他のいろんな手当てを中心に活動してもらうというコンセプトです。

 療養についてですが、今も普通の病院の療養病床は、全国的に廃止が決まっています。療養は病院でも療養できますが、回復期を過ぎて家にお帰りになるまでの間、もう少し様子を見て時々治療ということが一般的な表現です。今、在宅医療を奨励していますが、病院の病床での療養期を過ごすのを、なるべく短くして、早くご自宅を生活の拠点としていただこうということです。もし悪化、急変すればまた病院に戻ってくるという往復の考え方が、今出ています。地域医療構想と地域包括ケアの考え方です。病院の需要がだんだん変わってきているというのが実情です。

 病院の療養病床の意味は多少変わってきて、全体的には需要が縮小傾向にあると思います。五條病院をリニューアルしたときは、療養病床と一般病床で合わせて90床と言っていましたが、療養病床の需要が減ってきているということと、どちらかというと在宅医療に向けていこうという傾向があるので、五條病院の療養病床の設置については少し様子を見て行いたいと思います。療養病床の意味も必ずありますが、その量的なものは見合わせようということです。また、90床のうち、一般病床と言っている回復期の需要が、さらに旺盛になるかもしれないということです。

 従来の療養病床だけでなく、施設が医療を提供したり、施設に併設した診療所から医療の提供を受ける形態や、さらには「サ高住」と言われるような住宅を提供して、近くの診療所から医療の提供を受ける、ケースも出ています。療養期の過ごし方については、いろんな施設の類型が複数出てきています。病床の療養手当てだけではなくなってきていますので、療養病床の提供の仕方については、そのような動向や世の中の様子を見て判断しようと思います。

 需要があれば療養病床の看護師や理学療法士等といった方の充当を考えなければいけませんが、吉野病院の様子を見てみますと、南和でも急性期の需要が確かに大きくて、南奈良総合医療センターの病床が満杯ということは、南和の急性期の救急搬送もすごく増えています。これは役目を大きく果たしたのではないかと思っています。急性期後の手当てのあり方というのは、地域医療病院で請け負うという方法としてはよかったと思いますが、リハビリと療養をどのように分けるかという課題があろうと思っています。

NHK:
 今お話の出た、南奈良総合医療センターの病床が満杯になっているということで、救急は全部受けると言っていたものが受けられないといった影響については大丈夫ですか。

知事:
 南奈良総合医療センターはいっぱいです。従来はもっと流れていたわけですけれども、今、救急を受け入れている件数は、旧3病院の救急受入件数の合計をはるかに上まわっているわけです。このように、急性期に力を入れた病院をつくったことは成功だったと思います。これまでも、救急患者は北・中和に流れていたわけですが、南和で受けられなくなると、また県立医大など北・中和へ戻ってしまうということになります。今は、北・中和からどんどん南和へ戻っており、今の状況だと南和の人はほとんど南奈良総合医療センターの急性期で間に合っているということです。

 ドクターヘリが4月から運航されると、この南奈良総合医療センターが大きな拠点になりますが、ドクターヘリが患者さんを運んでこられると、この救急病床は今でもいっぱいになっていますので、より合理的に病床操作というか、退院調整をしないといけません。南奈良総合医療センターは手当てがいいから長く居たいと言われる患者さんが結構多いらしいんですが、五條病院が整備されましたので、きれいになった五條病院で回復期を過ごしていただくことになると、この南奈良総合医療センターの急性期病床も空いてくるだろうと考えています。

 この4月からそういった運用をし、232床でも足りなくなるのか、様子を見ないといけないと思いますが、今、相当受けてもらっており、南和の医療、南和の急性期患者は、この南奈良総合医療センターで大体診れるような状況にまでなってきましたので、230床は適切な量だと思います。北・中和には県立医大病院などもありますし、232床でうまく運用すれば、南和の急性期患者さんはほぼ収容できるのではないか思われます。

 病床は、在院日数が長くなれば空きませんので、在院日数を短縮して、回復期には他病院に移ってもらって患者数を上げることが課題ですので、そのようなことも考えて運用できればと思います。後方病院という回復期を受ける関連病院が同じ企業団の中にあり、3つの病院が一つの束になって連携が図られるということも一つのメリットだと思います。様子を見て運用が合理的になるように図っていきたいと思います。

NHK:
 ありがとうございます。

司会:
 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、その他の質問も含めましてよろしくお願いいたします。

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奈良県庁の働き方について

奈良新聞:
働き方改革に関連する質問ですが、1点目は、県の各出先所属の三六協定締結の進捗状況について。2点目は、知事部局も含めて本庁職員に対する働き方改革について。3点目は、先月から始まったプレミアムフライデーの導入について、お話を伺えればと思います。

知事:
 働き方改革については、数年前から勉強会をし、日本人はなぜ働くのか、働く動機の研究などの始めており、西洋人と日本人の職業倫理は大分違うことがあって、西洋のほうはマックス・ウェーバーに遡るわけですけれども、日本の徳川時代も二宮尊徳や石田梅岩など立派な方がおられるということが、奈良県が行っている勉強会の中でも出てきました。奈良県の働き方改革ということで、県庁の職員あるいは民間の事業所も含めて勉強しようということです。先ほどの病院の働き方改革も大きな課題です。県がステークホルダーに立っているような組織の働き方改革というのも、大きな課題だと思っています。

 その中で、ご質問の県が直接管理者になっている県庁という事業所あるいは出先所属の管理についてのご質問ですが、三六協定締結は、確か年度内に52事業所を対象にしていたと思います。

担当課:
 あと残り1件です。

知事:
 今日時点で三六協定は51まで締結したということで、あと1件も大丈夫かな。

担当課:
 はい、大丈夫だと思います。

知事:
 三六協定締結は、現場の労働者と管理者の協定ですので、年度内に52出先所属と三六協定を結んでいただくという目標でしたが、今日時点で51所属と締結し、1所属が残っているということで、おそらく年度内に全出先所属と三六協定は結べると思います。

 2つ目は、本庁の働き方改革をどのようにするかということですが、当面大事だと思ってきていたのは、時間外勤務の縮減ということです。今年の、今週の月曜日からか、残業の多い所属には注意書を出しています。残業は管理者の指示に基づいて行うということが基本です。ワーカーの自発的意思に基づくのはサービス残業になりますが、サービス残業はプラスの残業代をもらわないという意味が入っていますけれども、これは強要するわけにいかない残業パターンですし、してはいけない残業パターンですので、逆奨励といいますか、やめてくださいということが県庁の立場です。

 部局毎の注意書の発行枚数を管理し、残業の様子を見える化しています。

県庁の働き方は、時間外勤務の縮減が大きな目標ですので、注意書の発行枚数の管理について庁議で報告させ、残業管理を行っています。私が直接管理することはないんですけれども、見える化して部局で管理し、部局の管理状況を庁議で報告してもらうということを始めました。見える化を図って、アテンションをもっと強めようということです。

 また、その中で、改善しないといけない点については、あまりにも偏りがあると、どういうわけだろうかとなるんですが、季節的に偏りが出てくる可能性もありますので、そういった事情をサーチライト方式で探って対処するというように、ターゲットを当てることができます。全般的に上から燭光弾のように広く光を出してもよく見えないが、細かく見るための方式として、サーチライト方式を採用しており、注意書と連動して、どこにサーチライトを当てるのかというやり方で、残業管理を始めたところです。以前から行っていましたが、アテンションを上まで持ってくるということを始めたわけです。

 もう一つは、プレミアムフライデーがスタートしましたが、奈良県庁もプレミアムフライデーを実行できたらと思いますが、できれば、私が率先して実行したいと思いますけれども、なかなか難しいです。記者の皆様にもなかなか難しいかもしれません。私などは休めれば体力の回復がいいのにと思ったりしますが、その分、土・日曜日にいろんな業務で働いていますので、プレミアムフライデーというのは、週の貯まった本当の自分の仕事を片づけるフライデー化になってしまっています。実施すれば、金曜日に行事を入れないということにもなりかねませんが、率先してプレミアムフライデーが実行できたらと思います。

 それから、民間の事業者の方は、プレミアムフライデーというのは、まだぴんとこないかもしれませんが、セクター別働き方改革を行うために現場をリサーチし、セクター別にヒアリングし調べるように職員に指示しています。プレミアムフライデーを実行できるセクターがあれば奨励していきたいと思います。民間の方が金曜日の午後を休めるようであれば、県内旅行を奨励したいと思います。遠くではなく、金曜日の午後は県内のオーベルジュにでも泊まっていただいたり、南和の無料バスで十津川村などに行っていただいて、土曜日の午前中に帰宅していただいたりという県内旅行です。プレミアムフライデーは、「休む」という、働く面での要請もありますけれども、「消費の喚起」という面も大きな目的であるように思います。金曜日の消費をどのように結びつけるかということは各地域の課題だと思いますので、そういうことについても、アイデアとして職員と話をしています。

 これからのことですので、普通の通達のように、「休め」というわけにいかないのが働き方の現場だと思います。県は直接関与という形ではないと思いますけれども、いろいろな現場と接触し、情報交流を増やし、奈良県における働く場の改善を具体的に調べながら、いろんな会話あるいは介入ができれば、県がステークホルダーになっているところに対しては、多少のアドバイスもできるのではないかと考え始めています。

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教育に関する知事の考えと教育現場に対するサポートについて

時事通信:
 先日開催された、「奈良県教育サミット」で、知事は、いじめなどに対処するモデル教室をつくってみたいという趣旨の話をされていたと思うんですけれども、その後、そのエリアが固まっておられたら、どんなイメージを持っておられるか教えてください。

知事:
 先日の「奈良県教育サミット」の大きなテーマが、いじめ、不登校です。いじめ、不登校の対処には、アンガーマネジメント、感情のコントロールということがありました。そのコントロールについて教えていただいた内容は、怒り、アンガーの中には、悲しみや小さくなってきた楽しみ、喜怒哀楽をよく察知する教員の見立て力、周りの人や親の見立て力もありますけれども、教員の見立て力をスクールで強化することが大きなポイントでした。見立て力は交感力とも言われ、その交感力が大事だと言われています。これは、アメリカの現場で習われた早稲田大学の本田先生が持ち帰られた理論ですが、今度は理論ではなく実践理論です。こうしたらよくなったということを教えてもらって実践しようといったフィールドの話ですので、いいことが起こるなら奈良県でも実践し、いじめ、不登校対策のモデル教室をつくろうということです。見立て力、交感力とともに、先生に必要なのは褒め力というか、褒めることだと思います。見立てて、どういう感情があるのかをなるべく察知して、褒めると元気になるよということです。

 土庫小学校で、すごく自尊心が発達したという報告が出ています。小学校単位でも教室単位でもいいので、土庫小学校のような実践していただける場を増やしていきたいと思います。そうすると、不登校あるいはいじめが減ってくると思います。不登校という自分へのいじめ、学校での他人へのいじめ、それらをなくすことです。いじめることは快感ではないだろうけれども、きっと違う感情があるのではないかと思います。教室では、教師の見立て力や褒め力などの役割が大きい。見立て力はよく聞いて、よく褒めることだとおっしゃっていましたので、そのようなことを実践する学校をつくっていこうということです。

 土庫小学校に続く例ははまだ聞いていませんが、これは私の主観的な見方ですけれども、「奈良県教育サミット」での雰囲気が、当初開催していた3年前とは随分変わってきたような気がします。各教育長も、随分と話の熱心さが違ってきたように思います。当初は、最初に文部科学省の出している教育統計を出したら、私のテーブルにいる某市の教育長は、「こんなのはうそだ。」と言ったんです。もうびっくりしたけれども、そんな雰囲気でした。その後、統計やこういった例を、各首長もとても熱心に聞いていただいたと感じていて、「奈良県教育サミット」も雰囲気が変わったと感じました。土庫小学校でのいじめ対策が、実践理論に基づいてやっていただいているとは思いませんでしたが、誇らしげに成果を強調されたので、うれしいことだと思いました。現場がやればあんなに変わるんだという実感ですので、他の学校でも実践してくれたらいいと思います。

 とりわけ、義務教育の小・中学校が大事です。高校もありますが、高校生になると体力もついてくるので、いじめとなると悲惨になるんです。しかし、悪いほうに発達する芽は小・中学校から育まれているということになります。小・中学校は主に市町村教育委員会の分野ですので、「奈良県教育サミット」の場で感応していただき、うちでもやろうかと言って学校と相談してくれる教育委員会が出てくるとうれしいと思いますが、まだ具体的な反応は届いていません。このことについては、県教育委員会からの情報交流になりますので、その後どうだろうかと、また聞いてみたいと思います。

時事通信:
 県として、県教育委員会として支援するとしたら、どのようなサポートメニューが考えられますか。

知事:
 土庫小学校のケースを広く紹介したり、「奈良県教育サミット」でレビューされましたので、それを市町村教育委員会が、この土庫小学校や他県の例もありますけれども、土庫小学校の例は他県でも聞いてもらえるような例だと思います。そういったことを実践の場で行うための手引を、技術協力、技術支援のようになりますけれども、そういうことが地道なサポートの一つになると思います。現場をつくるということです。関心があるんだけれども、一緒にやってくれないかという教育委員会が出てくると、そういったサポートを行うのが県教委の役目です。

 今度、いじめや不登校対策を本田先生らと一緒に行い始めたのは、むしろ教育委員会よりも知事部局なんです。教育委員会が行わなかったというわけではないんですけれども、知事部局も熱心にやるぞという構えです。権限的には、私立学校に対して県は予算を出しているという権限、関係があります。市町村教育委員会に対しては、県の当局は直接ではありませんが、教育振興大綱の実践という中で、いじめや不登校対策を大きな課題にしています。県の教育振興大綱は知事がつくることになっていますので、大綱の実践で協力してやろうという形が、今までの「奈良県教育サミット」の勉強会から実践教室に脱皮できれば、すごくいいことだという印象を明るい感じとして持たせていただきました。いい実践現場が出てくることを願っていますし、県も実行のお助けをしたいと思っています。

 こういったことは現場がないと動けません。現場は市町村の小・中学校が中心になると思います。私立ももちろんありますので、実践していただける学校があれば支援したいと思いますが、これは想像ですけれども、私立は、いじめ対策を行っていると、そんないじめがあるのかといった評判を、多少気にされるかもしれません。

時事通信:
 細かい話になるんですが、「奈良県教育サミット」で並河天理市長が、土庫小学校の先生は個人負担で早稲田大学に行って勉強されたので、そのようなことについては公的にサポートする仕組みが必要だと指摘されましたけれども。

知事:
 そうですね。研修や勉強に行くためのサポートが、現場の先生に対しては課題かもしれません。研修の時間をとらなければいけませんし、一般的なことですけれども、研修も仕事のうちだと思います。

 この前、働き方改革のシンポジウムを日曜日に開催しましたが、来られた先生が「働き方改革を日曜日にするんですね。私も大変だけどみんなも大変ですね。」とおっしゃったので、研修は平日のほうがいいのかなと思ったりしました。シンポジウムは、多くの人に来てもらいたいので、土・日曜日に開催することが多いんですけれども、平日に開催すると、平日の時間が本当に足りなくなりますので、研修は業務として、公費で先生に行ってもらうという風習になればいいと思います。公務についておられる方は、そういうふうになってくるのも一つだと思います。

 研修については、教育研究所で実施していますが、「招き入れ研修」よりも「押しかけ研修」のほうが自発的な意思が強くて私はいいと思います。ある場所で何か習いたいんだという時に、費用は出ないけれども自費で行きなさいというような、私は若いころには、勉強代は自費で出すもんだという環境でしたので、外での勉強は大概自費だったんですが、今どきは公費で支援をして、自発的にあそこへ行って勉強したいというときの研修費を支援するということも必要になってきている気がします。極端に言えば、アメリカのどっかに行って勉強して帰ってきたいと、2週間出張旅費くれませんかといったときに、良い研修であれば支援できるようなお国柄になってくればいいと思います。

 日本は、プログラムはあって、そのプログラムに、手挙げ方式で行く者を出すという方式ですので、少し主体性が低いような気がします。行ったら凄いプログラムだったということが多いんですが、これまでは自分で探して、行って、その費用は自分で出せよという感覚が強かったと思います。私の若い頃は、勉強は休みに自分の金でするもんだというように教えられた世代で、それはそれでよかったんですけれども、やはり平日の勤務時間に行って、公費で自分の行きたいところへ行くということもできるようになったほうがいいのかなと、個人的には思います。そのようなことが制度化できるのかどうかは、これから研究しないといけないと思います。

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インフルエンザにより受験できなかった生徒に対する救済措置について

NHK:
 これから高校入試が始まりますけれども、インフルエンザで受験できなかった生徒を救済する措置が、全国の自治体で広がっていますが、こういった対応への知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。

知事:
 どういうわけか、大学も高校も中学校も冬に試験がありますので、雪が降ったり、風邪を引いたりします。家族は受験生の子供が風邪を引かないように、腫れ物にさわるように扱っておられると思います。しかし、勉強を続けていると、体力が弱ってきて風邪を引きやすくなってくるわけです。試験があるタイミングでインフルにかかって受けられなかったということは不幸ですので、いい形の救済ができればと思いますけれども、試験日をずらしたとしても同じことになりますので、個別救済ということになるのではないでしょうか。

 他の受験生と平等性を確保するということでは、試験問題はすでに公表されているので、後日、再試験ということになると、同じ試験問題は出せないので、別途試験問題を出すということになると思います。すると、同じレベルで競争ができるのかということになります。後日の再試験のほうが易しかったり難しかったりすると、同じ点数でボーダーラインを切れるのかという技術的な問題が出てくると思います。どのようにすればいいのか、すぐには思いつきませんけれども、違う試験問題であっても、公正に試験の結果を判断できるような仕組みについてはどういうテクニックがあるのかということになります。

 論文式であれば、同日でなくても、後日書いてもいいと思いますが、回答式、選択式の問題であれば、質問の難易度で点数のレベルが違ってくると思いますので、偏差値で判断してもいいのかもしれないですね。後日受ける人が優秀な人ばかりだと、すごく偏差値が上がって振り落とされる傾向が出るけれども、それについては許容してもらうとか、テクニック的にいろいろと考えていただいて、偏差値そのもののレベルを補正して、同じ偏差値にして、偏差値の基準を補正した上で、偏差値の何割かは救うとか落とすという公平に扱うテクニックを採用して、後日、再試験を行うことがいいのではないかと思います。

NHK:
 基本的には具体的な検討をしたほうがいいということでしょうか。

知事:
 検討したほうがいいと私は思いますけれども、これは知事の権能を多少越えているような感じもしますので、あくまでも個人的な所感ということになります。試験の権能は教育委員会ですので、政策に反映されるべきかどうかは教育委員会の判断になります。少し踏み込んで言ってしまいましたけれども、感想というステータスにとどめておいていただけたらと思います。

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衆議院議員選挙区の区割りについて

NHK:
 衆議院議員選挙区の区割りの見直しについて、衆議院議員選挙の検討が進んでいますけれども、4月に首相に勧告という、前倒しの話もあるようで気になっています。このことについて、知事がどういう意見を区割り審に言ったのかということはなかなか公開しにくいとは思うんですが、基本的なスタンスとか、こういうイメージを伝えたとか、例えば飛び地は嫌だとか、人口の偏りはだめだとか、可能な範囲で求めていることを教えていただきたいんですが。

知事:
 区割りについては、区割り審があり、それに対して知事が事前に意見を言いなさいということになっていますので、各県知事さんたちも意見を言っておられます。奈良県がどういう意見を言ったのかということは、最終的に区割り審が出てきた意見を公開されるということになっていますが、事前に公表すると、区割り審の判断に影響は与えないとは思いますけれども、よしんば与えたり、知事が言っている意見に偏りがあれば、どうしてこうしないのかという運動が起こったりするといけないという慮りがあろうかと思いますので、区割り審が確定するまで公表しないことが適当だと思います。

 その上で、どういうことを言ったのかとお聞きになっておられますので、どこまで言っていいのかわからないんですけれども、区割り審からは、奈良県は4区が3区になるときの区割りを、できるだけ納得感のあるように、あるいは合理性のあるような考え方を示しなさいとアドバイスされ、ごく事務的なことであり、当然なことですので、4区が3区になる場合にどこで区切るかということになると思います。奈良でいえば、縦に切るのか横に切るのかということがあるのではないでしょうか。南和の4区は横に切っています。北和のほうは、生駒市が入っているので縦に切られているような感じがしますけれども、それを横にするのか、縦にするのか。奈良市は、都祁村が入ったので分かれていると思いますけれども、奈良市を分けてはいけない何か原則があるようです。

 市はできるだけ分けないようにということや、もっときつい制約は、飛び地をつくらないようにという感じでした。ある区の間に他の区が入るということがないようにということですが、それは別に県に言ってもらわなくても、区割り審で判定されればいいだけの話なので、県が意見を言うときには、先ほど申し上げたアドバイスを心がけて言いなさいということだけだったと思います。飛び地があってもしようがないんだという意見があれば、他の合理性を主張するんでしょうけれども、飛び地をつくらければいけないという合理性も別になかったように思いますし、区割り審の方針の中で知事意見を言いなさいということだけだったと思いますので、そんなに大した意見は言わなかったという記憶があります。具体的にどのように言ったのかと臆測されるのは避けたほうがいいのではないか思います。

NHK:
 たまたま生駒市の話が出ましたけれども、やはり生駒市をどちらにするのかということなんでしょうか。

知事:
 そういう議論になるのかなと思います。横にするといったら(奈良市と同じ選挙区に)生駒市が入ってくるし、縦だと今の2区がそのまま縦に生駒市から矢田丘陵の西や東までおりるイメージになるのではないかと思って、区割り審は、横のほうが合理的なのか、縦のほうが合理的なのか、合理的というのは何なのかということです。地勢の合理性というのもある程度あると思いますし、交通の合理性というのもあるとおっしゃって、両方あるような感じがします。損得を越えた意見を、地元や区割り審は考えられると思います。選挙区は候補者にとっては損得、票の計算そのものであろうと思いますけれども、割り切りはあまり政治的には考えられないのではないかと思います。単なる知事の考え方というか、知事の現場の見立ての程度だと思いますので、あまり注目されなくても区割り審が合理的に判断されるのではないかと思って、気楽に考えています。先ほど申し上げましたように、どんなタイプの、どんな考えだったのかということも、記者の皆様の網にひっかかって、奈良県知事の意見として出るのはあまり好ましくないと基本的に思っていますので、知事の意見は、奈良県の地勢に基づいたご報告といった程度ではないかと思っています。区割り審の判断が絶対だと思っています。

NHK:
 ありがとうございます。

司会:
 よろしいでしょうか。
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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