平成29年7月12日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件は、テレワークに関する1件です。
 では、知事からご説明をよろしくお願いいたします。


テレワークの試行について

知事:
 お手元の報道資料ですが、テレワークの試行を開始します。他の県でも実施しているところが増えてきています。2つのタイプのテレワークです。

 一つはサテライトオフィスです。耳成にあります橿原総合庁舎にある端末で、全ての常勤の一般職員がそこを勤務地にすることができる。南部に自宅のある人は、こちらにまで来なくても、今日は橿原で仕事するといって途中下車してもらってもいいというのです。奈良の立地からすれば耳成の橿原総合庁舎オフィスが頻繁にされるようになれば、今日の通勤は、奈良市まで来ずに、橿原でするという事を管理職との間で許可をもらえばできるというもので、通勤の労が省ける、苦労が省ける。そこで資料を作ったりする仕事が一日あるようであれば、ここで資料をつくらなくても、橿原で資料をつくって、最後にメールで報告すれば、それで済むといったようなコンセプトです。

 モバイルワークのほうは、移動時間も仕事しなさいといった感じなのか、出張の時などにモバイル端末を持っていって仕事しなさいといったようなことになるので、例えば災害の救助に行っている時は、災害の救助のためのモバイル端末を持って行くのが通常なので、そのような延長にもなりますが、そういう非常時の出張だけではなく、通常の出張時、また移動時間の時でもモバイルで仕事しなさいよといったようなことをテレワークの試行として実行するということです。

 両方のタイプとも、既に実行されている県が結構あるようですが、橿原のオフィスといっても会議場のようなものです。共通端末とプリンター1台があるということです。もし試行の現場、試行状況、を見学していただくときは、またご案内させていただきます。

 発表は以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に関するご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

テレワークの試行について

共同通信:
 今回、試行期間が3月31日まで設けてありますが、この試行期間に職員さんの受けが良かったり、業務が円滑に遂行できた場合、本格導入というのは来年度以降、考えていらっしゃるんでしょうか。

知事:
 そうですね。この試行は、仕事の仕方、効率的になるのか、職員の無駄な徒労が減るのかといったようなことを考えて、それを判断して、改善するところは改善して本格実施につなげるという試みです。その試行の期間中、色々な事が分かってくれば、これで調子がいいということになれば、そのまま実行します。改善すべき点があれば改善します。例えば、改善とか本格実行の想定ですが、サテライトオフィスは橿原の耳成だけなのか、ほかの、五條、宇陀でしないのかというようなことがもしあれば、どこにいても、仕事の内容によって、今日は自宅の近くのオフィスに来てすればいい。自宅のテレワークと出勤テレワークとは少し違う面があるので、人事管理上、耳成に行ったときに、出勤しましたという何らかの確認はすることになると思います。残業する場合は残業の登録が要ると思うので、そのようなことも、この試行のチェックポイントになると思います。

共同通信:
 続けてもう1点ですが、今回、この試行導入に至ったのは、職員さんのほうからこういうのを作ってほしいというような声が上がっていたのでしょうか。

知事:
 直に職員の要望があったのかと、まだ聞いていなかったので、そうだという返事もまだできません。多分そうかもしれません。それだけではなく、他の県でもやっているからということもあったかもしれません。また人事担当から答えさせます。

担当課:
 特に職員の方から何かが、要望があったというよりは、平成26年度から働き方改革でパーソネルマネジメントの検討をしておりまして、その一環として今回の試行ということを提案させていただいたということです。

共同通信:
 わかりました。

時事通信:
 こちら、平成26年から働き方改革での一環ということですが、奈良県としてテレワーク、サテライトオフィスとかモバイルワークというのを試行されるのは今回が初めてですか。

知事:
 初めてです。

時事通信:
 目的としては、効率化や改革を進めるとともにワーク・ライフ・バランス推進ということですが、効率化というのはもう、移動時間とかを短くすることもありますし、また移動中も仕事できるようにして効率化と、あと職員さんがあんまり、奈良市、本庁舎まで行くのは大変というところで、その2つを立ててということですか。

知事:
 私の感覚ですが、パーソネルマネジメントでどのようにしようかという研究をしてもらってる中で、テレワークというのは大きなテーマでいろいろ出て、自宅でテレワークをして、残業、テレワークみたいなのが通常ですが、奈良県庁の特徴として、とても県の北にありますが、職員の出身地とか実家は南の人が多い。だから、北に通うのはちょっとご苦労かなと。そのために南出身の人が、両親はまだ南、五條とか宇陀におられても、この近隣に住宅を求めて住まわれている方、通勤の負担を軽減するのに住まわれている職員の方も多いということはちょっと見聞きして、話の中で承知していたので、もし、色々な事情で、親が弱ってきてたらなるべく自宅にいる時間を長くしたいとか、こちらに家があっても自宅から通えることであればというような事情が発生するかもしれない。そのときはむしろ積極的にサテライトオフィスを利用するよというようなことができたらいいのかなと私はこの時点では思います。奈良県庁の特徴として、南部の人がこの北の端まで通っておられるという事情があります。逆に、京都でも同様ですが、木津川とかのほうは京都府庁に勤めるよりも、そういう選択肢はあまりない。たまたま入ったのが奈良県庁。しかし、それは自宅から近いので木津川の人が奈良県庁に来てるという人も、あるいは名張の人が来てるという人もおられる。サテライトオフィスがこういう県庁などではできると通勤が便利になるかもしれないというのが試行の狙いになるかもしれません。

 サテライトオフィス勤務が割と常態になれば、極端にいくと、週5日のうち3・4日はサテライトに勤めて、1・2日は上司の顔をうかがいに行くようになるかもしれない。人によると思いますが、これはやってみないと分からないので、みんなここまで来なさいという、いわゆる工場とは違うので、こういう考えで書類を整理して分析してやるということは、いつも言ってますが、ディビジョン・オブ・ワークで、仕事を切り分ける。マネージャーの大きな役目は仕事を切り分けて、何日までにこの仕事をして報告しろよ、プレゼンしろよという類いのが県庁の中心の仕事にもなる。それを集めて知事のところへ報告するというような報告、仕事の形態が多い。企画というような仕事はそうなっています。すると仕事を切り分ける、ミドルの仕事の人が切り分けた結果、君はこういう資料を持って帰って、この分析をして報告しろよというミッションを、小さな仕事のディビジョンのミッションを与えると、わかりましたと。3日、サテライトオフィスにこもりますから、通勤しますから、書類はすべてパソコンでとれますからというような仕事もあるかもしれないと想像します。そのようなディビジョンを分けてやる仕事の能力が発生すると、いつも来て、顔を見て、口で直接言わないと仕事が進まないかというようなことではなく進めば、県庁らしい仕事にはなるかもしれない。現場はまた違いますので。

 仕事のミッションを与える、パーソネルマネジメントの中でミッションを明確にする。文書でもメールでも、指示のステータスをはっきりするというのは大事だと、こう言っています。例えばこの書類は、皆さんにお渡しするのはTo be informed お知らせしますというミッションが書類のステータス。職員であるのは、複数に渡せばTo be discussed To be considered というとあなたはこれを検討をしなさい。To be examined と言うと何かチェックしなさい。To be repliedというのは必ずあります。言ったことを、To be replied in 3days というように書いてメールを出すと、名指しで、あなたの仕事のミッションはこういう、仕事の切り分けを、輪郭をはっきりすると、とても仕事がやりやすくなるんじゃないかというコンセプトです。そのときに、その指示の文書のステータスを、最後はTo be replied となるんだけど、To be repliedのときに、examined とか considered とか、何を examined すべきかということは指示して、いつまでに報告するように、それはそういう指示を受けたら、これ二、三日かかりますというんだったらサテライトでもできるというような発想になるわけでありますが、私のほうの立場と、ミドルからする仕事の指示というのは多少違うかもしれないと思いますが、私のほうは、来る文章はみんなTo be informedというものと、To be known とか To be acknowrledge 承知しといてくださいという、同じような言葉が informed と。それと、To be decided というのはミドルの間ではなかなか文章のステータスとしては出ないと思いますが、私のところに来る文章では To be decided 知事はこんなところに丸をつけるわけですが、例えば「本日知事定例記者会見で質問が予想される案件について」という文書が、いつも私の勉強のために作ってくれるのですが、それには、報告というところに入って、これ受けたら報告ということで入って、これを既決のところにいつも置くわけで、これは紙の、アナログでしかできない。これをメールですれば上等なのですが、私はそこまで能力がありませんので、そのときに検討というのは、検討という項目が上がって、要は私宛ての文書がでるので、検討というのは、知事ちょっと考えときなさいよというような、To be considered ということで、informed とconsidered はまたちょっと違う。informedは知るだけで、まずいいよと。検討というのは、検討した結果が出てくるが、さらにこちらの頭で検討しなさいよというステータスの項目がある。報告、検討、決定と、こう3つのステータスがあって、丸がこれ、報告となっているが、検討、決定というのは時々あって、誰かに人事を決めるときというのは、外の委員を決めるときはこれでよろしいかと、調整しましたということは決定と書いて、これだけで、決裁風で、正式決裁はこう何かあるのでサインをするのですが、事実上進めていいですかということを、こういう調整を進めていいですかということを書いてあると、それはもう決定というとこで丸をつけて返す。そういう division of work をうまくミドルの間でしてくれるといい、それがサテライトオフィス活用につながれば、通勤の手間とか、集まってこの部屋に座るというのが減ってきてもいいのかなというふうに思います。

時事通信:
 課題という面もあると思いますが、一般的には、出て行ってて、その部署内での連携がとれるのかというところや、それからサボらないかというところがありまして、連携という点ではさっきおっしゃってました、細かくディビジョンで仕事を分けていって割り振るってことで解決できると思うんですが、奈良県庁にそんな職員さんはいらっしゃらないと思いますけれども、上司の監視の目がないからサボってしまったりだらだらとしてしまったりとかっていうところをどうマネジメントするかという点はどうか。

知事:
 それは肝になると思いますが、顔を見ると、見られてるときは仕事してるふりをして、見られてないと仕事しないのかって、こう冷やかすんですけど、見られてなくても仕事するだろう、君たちはといって冷やかしてるのですけど。実際、見られてなくても、実際仕事して、書いてあるものを見れば、仕事してきた結果がどうかよく分かります。我々の仕事であるにせよ、よく考えてきたなというのと、どこかの文章をこちらに移しただけだなというのは割と分かるので、それはこういうオフィスワークの、おっしゃるのは基本的なところなので、ただ、日本人は一緒に集まって仕事をしてないと仕事していないような風習というか、そういうメンタルがあります。外国のオフィスは皆個室になっていて、見えるような個室であったりするが、カーテンが降りてて、ブラインドが降りてて、いるのかいないのか、仕事してるのかどうか分からないが、それぞれが仕事をして、必ずレポートを持っていって上司にレポートを報告して、上司と議論して、また修正、戻されたりというのはどの会社でもあります。それが、仕事の輪郭が曖昧になる、場合によっては塀が日本の組織であるように思いますので、そのディビジョンをうまくやるマネージャーがそろってると、野球でもスポーツでも皆同じですけど、チームプレーですので、それがうまくいくかどうかはその組織のカルチャーになってくると思いますので、テレワークというモバイルのメールの編集機能を使って、集まらなくても仕事をうまく切り分けられたら、いろんな、集まるストレスというのもあるかもしれない、集まってその組織のディスカッション(討議)をしなければいけないと思う。トゥ・ビー・ディスカスト(討議しなさい)という指令があれば、ディスカスト(討議)は対面でしろということだから、テーマを決めてディスカスしようというようなことが必ず要ると思いますけれども、そうでないときはディビジョン(分割)で個別にミッションを与えることができたら、ここに来なくていいよと、あいつがいないがどうしてるのかと、こういうふうな現場的な指示ではなくてもいいのではないかと。このまま2日後にレポートを送ることになっていますからというような会話が普通になってきてもいいのではないかというように私は思っています。さっきの事例から、パーソネルマネジメントで様々なことをやり始めている中で出てきているし、世の中でテレワークというアイデアが出てきているものの奈良県庁試行というようになると思います。うまく、改善点が出てくるかもしれませんが、奈良県庁カルチャーはワーキングカルチャーが非常に合理的になってくればいいというように期待はしています。

時事通信:
 わかりました。ありがとうございます。

朝日新聞:
 先ほど県庁の文化もあるというお話がありましたけれども、実際に取得される、されない、はやってみないと分からないですが、実際に選択肢が増えることは良いことだと思います。しっかりと運用されるのかどうか、また別の問題かと思っています。制度を取れ取れというものでもないですよね。一般の職員が気軽に取れるように、どのように制度を設計するのかということが一番大事かなと思いますが、それは上司の勤務評価もセットで変えるとか、そういう仕組みづくりというのはあるんですか。

知事:
 まだそこまでは行ってないんじゃないかと思います。私のレベルでもそういうことまで結びつけるというところまでは来てませんし、そういう評価と結びつけてやるというところまでの設計にはなっていないと思いますが、まず勤務のストレスを、通勤ストレスを減らすことになればといったようなことがあろうかと思います。出張ストレスは、逆に持たされるとふえるのかな。逆に、さっきはこちらの立場から言いましたけれども、しかし、持っていくと移動中にまとめてこいと、そういう器用にまとめられる人もいるかもしれないけれども、連絡事項は、調整事項というのは連絡ですから、連絡事項が、あいつがいないから連絡がとれない。それで、大体オフィスで電話して、何人かと連絡をして行ったが、その反応を見て、七、八人とか七、八の部局に、あるいは県庁内、県庁外の部局に打診、調整をして、丸、ペケ、三角を調整して、大体皆丸だからこの調整案は進めていいですというように、こちらにレポートが来るわけなんですけれども、その調整という過程は必ず行政には入りますので、それの調整を今だとメールで調整案を送付しますが、モバイルを持っていれば調整案を送付できるんじゃないかなと、こう想像いたします。だから、モバイルワークが使い勝手が良いようになるのは、調整しないといけない時期に出張が入った、その二、三日調整ができないが、いや、出張中でもメールを送って、それでも返事戻ってくればいいから、電話でかけるかわりにメール送信で、一斉送信で一斉返信があれば調整ができるよと、何かややこしいことがあると、電話かけようとか、そういう作業、調整という作業のモバイル性は多少あるのかなと、こう想像いたしますが、このミドルの中での仕事のやり方、マネジメントということになりますので、ミドルの仕事が楽して効率的になってくれればいいなと思います。

朝日新聞:
 自宅でというのは、選択肢としてはないんですか。

知事:
 自宅の延長になるかもしれませんけれども、先ほどミッションのディビジョン・オブ・ワークのミッションが明確になって、いや、二、三日でイグザミンをして、分析をしてレポートする。いや、これは家でやってもできますからということになれば家でも良いと思いますけれども、そういう類いの仕事だから家でこのレポートをお父さんはあれ、お母さんは3日以内に報告する仕事が今専らだから、役所に来られてると、それ以外にもいろんな雑用をされることが常だと思うんですけれども、いや、もう集中して3日間、このレポートを、いろいろ分析して報告しなさいと、それを許されたから自宅にいるんだよということでも、そういう仕事ぶりでも良いよということになるかもしれないですが、そもそも自宅でも良いよという、この仕事だから自宅でも良いよというようにだんだん出てくれば内容がはっきりしていいのかなと思います。そういうことを試行していかないと、と思いますので、県庁のような集まってわいわいがやがややるのが仕事というカルチャーから、なるべく分けてディビジョンをして、ミッション性を、これだけたくさんおられる調整のミッションかイグザミンのミッションか、デシジョンというのは上の、ある程度のミドルでもデシジョンメーカーというのが必ずあるんだから、そこに名宛てであなたがデシジョンしなさい、デシジョンをしない人は一番困るんだけれども、イグザミンをしたり、こういう結果になりましたということはいつも求めますが、それが自宅でやっても良いということも幾つか出てくる可能性もあるので、出てくるなとは言えないと思うんですが、自宅で専攻して良いよということになれば、だんだんそうして広がっていく可能性はあろうかと、またそういう面も期待いたします。働く場所が、そのほうが良いんだと、楽だということ、髭剃らなくても良いやとか、私はあまりないけど、頭髪をちゃんと、お化粧しなくても良いやとなれば、それも一つかなと思ったりするんですが、卑近な例で、余り実体的ではないかもしれませんが、弾力的な状況で働く効率がしっかりできたら、それにこしたことはないだろうなといったような程度の試行、感覚であります。

毎日新聞:
 具体的な数字の部分を幾つか伺いたいんですが、南部に自宅なり、あるいは実家がある方というのは大体どれぐらいおられるのかということ、そして、このサテライトオフィスは同時に何人ぐらいの方が仕事ができるのかということ、このモバイルの16台というのは、アイパッドとか、そういった類いのものなんですか。そういったものは今回新たに購入されたのか、あるいはレンタルされたのか。そのあたり、いろいろパソコンなりプリンターがあるんですが、今回のテレワークの試行に伴って必要な予算というのはどれぐらいなんでしょうか、教えてください。

知事:
 あんまり投資はなかったように思いますが、南部にどのぐらいの方がお住まいかということは、調べまして答えます。

 そうですね、さっき南部の人が多いって言ったのは、出身地が南部という方は結構多いという感覚はあるんですが、先ほど言ったように、五條でも天理に住んでるとか、北のほうへ出てこられる方が多いので、住まいということであれば県庁に、本庁に通う人が住まいを変えてでもという状況になっているということなのですが、それでも遠くから通っている人もたまにいる。例えば天理まで来たら、今度は橿原まで行くのか本庁まで行くのかというようなことになりますので、住まいが橿原の耳成に近いところであれば、これは良いやと、あそこになるべく行こうというような人が、これもやってみないと、多少結果が出てみないとわからない面もありますけれども、ずっとそれが定着すると、南出身の人は結構おられるという感覚はあります。何でわかるのかな、卒業高校で調べるとある程度類推はできるかもしれません。住宅地はその後変わられているかもしれませんが、出身地という観点からは、高校卒業で調べる、まあできる範囲で調べてもらいます。

毎日新聞:
 はい、お願いします。

担当課:
 モバイル端末の仕様ですけれども、12インチのパソコンを新たに購入することになっております。16台です。サテライトオフィス、モバイル端末、両方合わせまして754万9,200円で今回執行させていただきます。

毎日新聞:
 サテライトは同時に何人ぐらいの方が仕事できますか。

担当課:
 試行申込人数は、5人。端末は2台あり、場所的には10人入れます。

司会:
 発表案件につきましてはよろしいでしょうか。
 それでは、その他の質問をよろしくお願いいたします。

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災害対策について

日経新聞:
 
九州豪雨なんですが、表層崩れですとかため池の決壊とか、奈良県も対岸の火事ではないと思いますが、3県知事会議で、3県で共同でいろいろ取り組んでいくとおっしゃってましたが、改めて災害に対するご見解をお願いします。

知事:
 紀伊半島大水害から5年ぐらいたちましたけれども、教訓というのは身にしみているところがあります。森林地帯の山の中の土砂崩れ、深層崩壊があった紀伊半島大水害ですので、九州北部の水害を見てますと、木がすごく流れてきているように見えるんです。大きな木があんなに、紀伊半島の場合は川に滑り落ちて、下に平地がなかったから、川の上に随分浮いていました。九州北部は川が平地を流れて、川が運んだ大きな木が今、水が引いた後に残ってるという、あの木はどこから来たんだろうかな、あんなに大量の木が来たのは、その根っこの切り口をちょっと映像で見ているんですけれども、根っこまでついているのか、切り口がシャープになっていれば放置間伐だろう、根っこがついていれば根が浅いのが根こそぎ流れたのかというように見て、その切り口のはっきりしているものが必ずしも多いわけでないですが、時たま中に入っているから、ああ、これは放置間伐が流れてきたら問題だな、どこの放置間伐なんだろうかというふうに観察していますが、どこの木が、どのように木の被害、森林の環境維持をしなかったので被害がもし拡大しているとすれば心しないといけない、ちょっとそういう気持ちが強くなっています。紀伊半島の知事会議でも提唱した森林環境管理というのは大事かなと思います。そのために九州北部のそういう、どこの木がどのように流れて被害につながったのかということは、まだその調査、そんな調査、救助のまだ段階ですので調査は進んでいないと思いますが、そのような報道も出始めているように聞きますが、そういう木材被害、放置木材被害と、あるいは、放置木材加害はあるのかどうかという観点で、調査できたら調査しなさいということを、しばらく前に庁内で発議しました。現地に行って、救助でてんやわんやなので、なかなか煩わすことはできないと思うんだけれども、手だてをうまくして、邪魔にならないように、森林の環境がよくなったら助かってたのかどうなのかというような厳しい観点も含めて、人ごとじゃないという面もありますので、森林を守っていれば土砂と、あの間伐材被害って、まだそういう言葉になっていないんだけれども、あれだけ木が流れてきて、土砂とともに、しかし打撃は木が一緒に流れてくることで大きいと思うのです。土砂は水の中でも恐らく沈みますが、木材は浮いてくるから、ストレートなブローになるような気がします。それはそういう、流れたときの映像ってあんまり見れないんだけれども、どのような状況で被害が発生して、亡くなられた方につながってしまったのかということを、落ちついたら調査が出ると思いますけども、奈良県でも無関心でいられませんので、調査に向かうようにということを職員にお願いしました。その原因、被害・加害原因調査ということになりますが、救助のほうはいろいろ、要請があれば出かけるという体制はとっておりますけれども、具体的にはそういう大きな救助要請にはまだつながっておりません。

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奈良市長選について

時事通信:
 いよいよ先週の日曜日に奈良市長選が決着し、現職が3選となりましたけれども、それを踏まえて、受けとめをお願いします。

知事:
 奈良市長選の結果受けとめ。

時事通信:
 はい。

知事:
 ほかの首長選も、現職応援、出陣式に応援演説に行くぐらいですが、仲川候補にはそのように、応援しました。選挙の途中ないし結果、随分接戦だと、時々出口調査の、マスコミから出る報告を受けて、持っている。途中でどちらが上か下かわからない状況があり、難しかったかと感じています。結果はあのようになって、選挙というのは、何回か経験しましたが、選挙の結果はどのように出るのかと、改めて選挙は不思議だと、選挙自身に対しての感想です。

 それから、仲川さんが勝ったからどうというのは余り論評しない立場です。県と首長との関係は、どなたがなられても、今の奈良県庁の考え方は、奈良モデルが象徴的で、まさにパートナーシップを大事にしようと、対等の立場でまちにいいことをしていこうと、助けるところは助けましょうというのが奈良モデルの精神で、国が後ろに控えていますので、ミッドフィルダーの立場ということを強調しております。ミッドフィルダーはフォワードの市町村との連携、国からは縦パス一辺倒です。また、縦パスが県を飛び越えて市町村や団体に直接行ったりする縦パスも時々あります。そういうパスの流儀はそれでもいい。最近の基本は都道府県にパスを出して、縦パスでも出して、それをこなしてもらって市町村にパスを回してうまくコーディネートしなさいという、都道府県コーディネートというのが随分、国保でも、医療でも介護でも出てきて、地域性を生かしたコーディネートというのが国でも出てきています。パートナーシップがちゃんとできるかは、仕事の面で出来たら、仕事のパートナーシップの中心はそれが唯一の関係と思ってもいいと思っています。好き嫌いということについては、それは我々首長の立場は、そういうなのは些少なことです。したがって、奈良市長選は、誰がなられても県が今築き上げてきているパートナーシップが続けばいいと思っています。ただし、人がかわるとパートナーシップが中断されたり、逆に走ることは時々あります。それは政治的な事情でそうなることも、生駒市でもそのようなことが県との関係でありましたので多少の心配はしていました。しかし、奈良市長に山下さんがなられたらそういうことにはならなかった、生駒市のときのようにはならなかったかもしれないし、それはやってみないとわかりません。私の立場からは、とにかく仕事のパートナーシップが築ければ、その地域の市民の方に期待され、安心してもらえるという、それの一点張りでした。誰がなったからという感想は、いつも持たない。誰がなってもいいパートナーシップであれば、それは私どもの立場はそれが一番大事だと本当に思っております。

日経新聞:
 次点の山下氏が疑問票について少し異議を唱えてまして、それについてのご意見はありますか。

知事:
 私の立場からの意見はありません。あれ、「なか」がにんべんの「仲川」か、にんべんなしの「中川」か。従来、ほかに似たような名前があって、こちらのA候補かB候補かということになればいろいろ疑義が出ると思いますが、にんべんがなくてもこの人だと、それは選管の判断になると思います。漢字でこう書いてあるが、平仮名で書いたら無効なのかと似たような、にんべんがなくても「中川」と書くのは、片仮名で書いたらいけないのか、平仮名で書いたらいけないのかというのは定例のパターンがあるように思う。私はあんまり承知してないですが、それに基づいて選管がそういう権限を与えられていることだと思います。政治的なクレーム処理というより、法的な認定のクレーム、受け付けるべきクレームかどうかは選管に権限が与えられていると思いますので、選管の判断が出れば、それが結果、正当性につながる、オーソライズにつながると思っています。私のキャパシティーもないし、いい悪いを言える立場にはないと思います。

時事通信:
 また山下氏が今回はちょっと、もしかしたらということ、動くということもあるかもしれませんが、敗戦されたことで、例えばまた2年後ですか、知事選に再出馬ということももしかしたらあり得るかもしれません。

知事:
 これには何か答えないけない、評論的じゃいけないけど、私の次のことはよく考えないといけないですね。何にも考えてない。今、先ほどの仕事ばかりのため、奈良市との協定や、いろんなプロジェクトが、実はプロジェクト好きだからいろいろ進めている実感はあります。だから現職の仲川さんがプロジェクトに一緒に協定をして進めようという姿勢なので、選挙終わってから、知事がいろいろ考えてきたプロジェクトが進められますねというようなコメントを寄せていただいた方もあります。すると、それはそのとおりかもしれませんが、もしかわられると、プロジェクトがもう一度吟味されて、多少ちょっとぶれる可能性もあるのかなという気がいたします。それは質問じゃなしに、当選の感想です。市長選の結果の感想という、それも、おまえはどう自分の立場、今後の立場をどう考えるのかというご質問の答えにはなっていませんが、間接的になるかもと思い申し上げたのは、私ども公職の立場はもう仕事をしてるだけの話なので、選挙の吟味があってオーソリティーをいただくわけでありますが、仕事のやれる時間は一生懸命仕事しないと、僕の言葉で言えば罰が当たるぞ、ほかの首長にも、そんな言い方を時々するので、多少ひんしゅくを買って、仕事してないと見てるのか、そうは直接言わないですが、統計で出すとプレッシャーをかけているように市町村長に反発というか、苦虫表情をされることもあります。私どもは公職の任期中は仕事を一生懸命してと、私の仕事観はそう思ってますので、いろんなプロジェクトができて、具体的でないとまた意味がない、世の中をよくするよというのは公約みたいで公約でもないと思っています。具体的にああしたい、こうしたいというのは、その知恵がつくまでに我々時間かかりますが、ああいう調査をし、こういう調査をし、国、国家統治機構の中でのミドルの仕事ですので、そのタイミングはいろいろ工夫しながら動き回るということであれば任期期間中せないかんと思っています。だから、自分の立場から次はこうするというのは正直考えられないです。僕なんか役人出身だから、辞令があると仕事、その日からせないかんじゃないかと、こう役人チックに言うもんだから、逆に、別に選挙で立場をもらう、仕事する立場にすぎないよと、こう私のコンセプトではいつも思うもんだから、次はどうするのとか、そういうことは、まあご質問ではありますけれども、あんまり自分の立場どうこうということは本当に考えが薄いですね。聞かれると、どう考えるのかなと思う程度ですので、仕事、まだ随分残ってますしね。2年も残ってるし、仕事をやりたい、成果を見せたいことは随分正直あります。これは進まない、これは進んだ、どうなのというようなことをまた喜々としてお答えできるようになればうれしいなと思います。そんな程度ですので、また選挙に向けては、自分の立場で選挙に向かうことは、考えとしてあんまり、正直なかったと言ってもいいぐらいです。選ばれたら仕事に邁進というような気持ちで、まあ役人チックでありますけれどもね、やっぱり首長が仕事をしないといかんなと思います。

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県議会との関係について

奈良新聞:
 県と市町村との関係というか、そういうパートナーシップとはちょっと違うかもしれないんですけども、この間、県議会のほうでは議長も、これは1年交代されますので、かわりました。県と県議会の間でのパートナーシップということになるのかもしれませんけど、そういうことも含めて、これまで知事がやってこられた中で、県と県議会の関係で何か変わってきたなとか、こういう面が何か進んできたなとか、それから県が進めている施策なりなんなりと県議会との関係の中で、こういうことには抵抗があったなとか、何かそういうような、この議会の改選を契機にでも何でもいいんですけど、何か感想ありますか。

知事:
 理事者と議会の関係はとても大事なポイントだと思います。国政では、安倍政権が揺らいでいると言われています。民主主義のあり方が国は議員内閣制で、地方は二元代表制という国柄ですが、議会と執行部という関係は民主主義の基本であるため、地方の民主主義をどのような形で成熟させるかというのは県議会のレベルでも、市町村議会でも非常に大事なことだと思います。市町村長と市町村議会の関係でも、議会対応に苦労していると言われるような首長と、楽だと言われるような首長があり、知事レベルでも、議会対応が楽たのしんどいのという会話を時々します。そういう、しんどい、しんどくないとか楽だ、仲よくしてるとかいうことは、会派の構成も関係しますが、基本的にはよく民主主義として機能しているかどうかということだと思います。そのレベルが上がるようにという強い願いを持っています。

 何が成熟して向上しているかというメルクマール(指標)ですが、議会は議論の場ですので、議論の内容が現実的で質の高い議論が行われているかどうかに尽きると思います。国会でも、地方議会でもそういうふうに思います。私の観点はそういう傾向が強いのかもしれない。真正の情報に基づいて議論をしたいと、真正の情報つまり、エビデンスに基づいて議論をしたいわけです。統計は真実に近いというのが西欧民主主義の最近の傾向です。アンケートの志向性、支持率も統計で真実に近いものかというと、それはふわっとした真実なので、エビデンスでないように思います。風評と近いかもしれませんが、選挙だと勝った負けたの投票は、どちらかというとエビデンスとも言われる段階まで行かない。しかし投票が確定すると、これはもう確定値になるわけです。その間はどんなふうに真実が動いているか、過程はわかりませんが、行政の場ではエビデンスがやっぱり決め手だと、エビデンスに基づいて議論されるのが議会制民主主義の程度が高いと、私のメルクマールではそのように思います。だから、もし誇張して言われるのはとても嫌いなんです。県民をだます、ごまかすというふうにつながるからです。それは、エビデンスに基づいて、私はこう考えるというのが民主主義で、考えが違っても一向に差し支えないのが民主主義のいいところだから、ダイバーシティーと言われるように、違う意見がないと民主主義は成立しないので、その違う意見がどのようなエビデンスに基づいて、どのようなロジックで、何を願っているのかが政治の大基本です。そういう本来の政治が地方でも行われることを切に願っているつもりです。それで、今の県議会との関係をどう評価するかとなると、私の考えの基本的なことを申し述べさせていただきましたが、それに照らしてどうかと言われると、すぐに評価はよくわかりませんが、離れているよとか、近寄ってきたよとかっていうのは、むしろ教えてもらってよくなってる、知事がそう言ってるんだったらと言っていただくと一番うれしいです。いつもそのように答弁したり、議員の人とあたるようにはしていますが、それでもし、だんだん理想とする民主主義の議論の雰囲気が出ているとすれば、大変うれしいなと思います。知事になって10年間経っての議会の議論の様子を聞くと、最初は議論がわあっと拡散して、ああだこうだということになって、その根拠となるのも、あれがこう言ってるからどうなんだみたいな、ちょっと乱暴に言うと、そういうタイプに聞こえたときもあった。だんだん県が施策とか現状を統計的に処理して出すと、それを議員の人がとっても勉強されて、それについて、俺はどうだこうだと議論が進んできているように感じます。統計処理をできるのが行政の大きな役割なので、統計処理をしたエビデンスを出して、それに基づいて議論をしてもらう風習は、10年前に比べて今は格段に進んでいるような感じを持ち、うれしいことです。そのエビデンスは、正直ニュートラルだから、やっていることがいいか悪いかというのは次の評価が議場で行われるわけなので、そのエビデンスが悪くなったりよくなったり、成果指標と言われるのはなかなかよくならないです。しかし、行動指標というのは、こういうことを「した」、「した」というのは出ます。「しない」、「しない」というのも、ほかの県との比較指標を出すと、エビデンスとして、しないエビデンスも出るわけです。しない奈良県はその達成率は何位だと出るわけで、私が来てから、ランキングを出そうと、47位、46位も出そうということで、なぜそうなるのかを、サボってるからなのか構造的なのか、それをもとに議場で議論してもらうということを願ってきました。だんだんその需要の議論がそういうものに依拠して議論が進められている。私の10年間では、従前、最初に知事になったときよりもエビデンスに基づく議論が進んでいるように思います。

 議会と理事者にあっては、好き・嫌いや、味方・敵というのではなく、エビデンスを間に置いてお互い議論していくことが、民主主義の大事な原則だと思います。

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奈良市長選について

毎日新聞:
 かつて所属された自民党の最近の支持率凋落傾向を、どのように見ておられるか。それで、都議選もそうですが、少なからず奈良市長選なりにもかなりの部分があって、自民党さんが推薦された朝広さんが惨敗されたと。奈良なりの理由というのも多々あると思うんですが、それもどのように見ておられるのかということと、あと、結構有権者はいろいろ見ておられるなという点で、県政に関してもちょっと、いろいろ下手をすると、その部分というのはすぐはね返ってくるという部分もあるんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺の県政の面、どのように反省といいますか、教訓等を踏まえて、生かしていくお考えでしょうか。

知事:
 有権者はよく見ておられるというのは、そんな感じがします。政治家と言われる者になって、自民党時代から有権者はよく見ておられるなというのは本当に思います。

 一方、ああだこうだ言うとそれに流されるポピュリズム政治と言われるのが出てきていることも確かだと思います。アメリカのトランプさんをポピュリズムと言うのかどうかは別にして、大阪ではポピュリズム政治だという論評で随分出た。それが確かかどうかは別にして、出てきたことはあると思います。ポピュリズムと先ほどのエビデンス政治というのは全く対置されるべきものであると思います。そのような考え方がある中で、最近の自民党の支持率低落というのは、選挙にも直結したというふうに感想は持っております。

 なぜ支持率が低落したのかというのは、また議論になるところですが、私の感想を言えと言われると、どうなのかな、、、。そうですね、僕はそんなに政治経験が豊富でもないですが、一強と言われて、強い政治と言われるときは結構弱いところが内在しているのかなというような感想を持ちます。一強と言われると、何かほころびがどこかで、政治というのはプロセスで、プロセスを順番に踏んで、このようにしたよというロジックがないと、なかなか有権者の納得感が出ない。物を決める、デシジョンするのが政治だと思いますが、その物をどのようなプロセスで決めたかというところは、透明性や納得性があらゆる局面で要求されるなというふうに思います。そのときにプロセスが不透明だとか、忖度したとか、変更があるとかというのは、いつもアタックや議論の対象になるわけですが、政治の基本は物を決める場所だと。政治しか物を決められないわけですから、それは議会ということになりますが、それをどういうプロセスで決めたのかということは最大の政治のポイントだというふうに繰り返し思っています。その点が、一強と言われるときに、決めるのは一強だから楽に決められると思ったら間違いではないかと。プロセスが大事なので、一強であっても僅差であっても、デシジョンはデシジョンですので、プロセスをどのように納得性、透明性があるようにするかというのは、丁寧にするしかない。そのときに意見が違うからプロセスが悪いというのは、必ずしも当たっていない。自分の立場を無視してというのは民主主義的ではない。自分の立場はこうだけど、プロセスを民主主義的に決めてくれというのが普通の立場。自分の思うようにならないからこの制度おかしいというのは、実は民主主義的ではないと思っています。そういう少数派のクレームは多数決に基づく民主主義ではよくあるわけですが、プロセスの納得性というのは総じての納得性なので、反対勢力を納得させるようなロジックというのは永久に出てこない面があります。自分の利が思い通りにならなければ、納得できないと必ず言いますからね。それを丁寧さとロジックで民主主義は乗り越えていかなければいけないということです。その弱い者の味方とか強い者の味方とかいうのとはまた違うんですが、一強だという強い者がプロセスを無視をするといかんなというのが、この自民党に対する感想としてあります。ちょっとおこがましい感想かもしれませんが。都議選で反自民党、自民党批判が出たのはプロセスがまずかったのかなというような感想は持ちます。それは民主主義の基本だからと。そのプロセスの透明性、納得性、あるいは理屈性を、反対勢力が無視して反対、反対、反対と言っていたらプロセス無視だという、そういうレベルの政治、議論状況をつくり出すのは余りいい政治状況ではない。何がマター(問題)で、その納得性は議論すると出るのか。必ず、最終的に賛成と反対があるのが通常ですので、どこまで議論したら議論したと言えるのか。参議院では、議論の時間でしかはかりようがないので、議論の時間の相場があって、何時間議論したら採決というふうになります。採決しない民主主義はないので、反対だから物理的抵抗というのは民主主義的ではないと私は思いますが、その議論の内容が深まっているのかと、国民の前で何を議論しているんだということが言えるかどうかというのは、政治家なり政党のレベルをあらわすことになる。そもそも反対だから反対、反対というのは議論にはならないわけなので、それは議会の議論の質ということになると思います。自民党の中で委員会の理事をしていますと、そろそろ採決でいいのではというのは審議時間で大体はかるわけで、衆議院でこれだけ審議したら、参議院は7掛けだか8掛けだったかで相場ができたりする。そこは決まっていないのですが、法務委員会の理事を3年したので、今残っていたら、共謀罪の理事になって大変だったなと思ったりします。ちょっと個人的な感想で申しわけない。それで議会の丁寧さをどうするかについて、反対する方は、わあっと大変だと騒いでポピュリズム的にどうもなりがちであることは確かですが、それなら共謀罪でも大きな問題の扱い方というのはなかなか大変ですが、どこかで決めるというのが政治ですし、どこかで決めてもらわなきゃ世の中進みません。日本は決められないという体質は多少あるかもしれません。ちょっと焦点がぼやけてるかもしれませんが、自民党が都議選で負けた、支持率も下がった。支持率が下がったから都議選でも負けたということではないかと思いますが、支持率が下がった原因はと言われると、答えになってないかもしれませんが、プロセスの丁寧さとか、そういうことになるのかなと。びしっとした答えを、評論家だともう少しおもしろく言えるのかもしれませんが、地方の首長の立場としてはそのくらいかなと思います。

 あとは、地元への丁寧さとか、そのプロセスとかということになりますと、選挙の判断というのは大事で、選挙で政策とはそのときのイシュー(争点)で、チャレンジャーのほうはいつもシングルイシュー化するわけです。これは、現職はトータルイシューで、いろんなアイテムをこなしてきてるから、実績を評価してほしいというのが現職の願いです。チャレンジャーは一つおかしいとこがあったらシングルイシューでおかしい、おかしいと言ってひっくり返そうというパターンにどうしてもなってしまいます。現職とチャレンジャーがどのようにかみ合って有権者の判断を仰げばいいのかというのは課題だと思います。他人ごとみたいに言ってますけども、そのときに有権者はよく見ておられるというようには思いますので、トータルの情報が流れることがいいと思います。どのような成果が実際にあったのか、それを評価すべきかどうかという情報が選挙のときでも流れるのが、いいことだなというふうに思います。それに、どういう点を具体的にチャレンジされているのかということが流れたほうがいいと思いますが、刷新、刷新と言うだけで具体性がないときでも(選挙に)通ってしまう、大きな議会選挙だとそうなるんですよね。首長選でも、大都市なんかはそうなる可能性もあると思います。ポピュリズム(大衆主義・人民主義)とエビデンス(証拠)と、ニュー・パブリック・マネジメント(NPM:民間企業における経営手法を公共部門に適用し、効率化・活性化を図るという考え方)と言われる政治の形態がイギリス中心に出たのは、エビデンスに基づく政治をしようというのが基本的発想ですが、日本では定着はまだという感じはします。エビデンスに基づくパブリックマネジメントというのは、地方行政にはとても大事だと思います。国のほうはもっと大きな安全保障等の課題がありますので、安全保障なんかはエビデンスがなかなか出ない世界でありますが、地方の行政はエビデンスがたくさん出ますので、それに基づく報道とか有権者の判断とかというのが地に着いてくると、日本の地方政治はもっとよくなってくるなという感想を持ちます。いろんな事象があるかと思いますが、先ほどの自民党の風潮、都議選の風潮が(奈良に)流れたかどうかについては、地方地方は違うから、あんまりそういうのが流れるのは、私の個人的にはないほうがいいと、その現場現場の判断を有権者がされるのがいいのではないかなというふうに個人的には思います。

 大阪の政治の判断が奈良に流れてくるという傾向は、従来からとてもあるようには思っています。東京のが流れてきたかどうか、ちょっとわかりませんけれども、風潮としてはあるのかな。またそういう論評がどこかで出るかもしれませんけど。

毎日新聞:
 奈良市長選の自民候補の惨敗というのは、何があったと見られますか。

知事:
 そうですね、一言では言えないかもしれませんが、私の端的な、単純な推察では、安倍さんの自民党の凋落とはあまり関係ないんではないかというふうに思います。ほかの奈良の自民党候補の票が伸びなかったのは、ほかの要因ではないかというふうに思います。ほかの要因というのは何かと言われると、多少思いつくとこはあるのですが、安倍政権の支持率の低落を受けての票だったら、まだもっと出てたんではないかと思います。奈良市の自民党の票ということであれば、保守的な傾向の強いとこですので、影響を受けたというほどのことがあるのかどうかは、あまりわからないような気がいたします。ほかの要因をどういうふうに考えているのかというご質問であれば、タイミングとかになるのかな。それと構図というのか、そのあたりは選挙のことでよくわからないですが、朝広さんも自民党の推薦で担がれたわけですが、もとから自民党で活動されてた方や、議員が出れば自民党推薦候補らしいですが、経歴からすれば市民派の人になるからというふうに思います。自民党の推薦は何だったのか、奈良県自民党推薦は何だったのかという質問のほうがもっと興味がありますけれども、それはちょっと私の論評する立場にはないと思います。うまく答えられなかったですね、なかなか。

毎日新聞:
 タイミングというのは、遅かったということですか。

知事:
 それもあるように思います。二階さんが時々言うのですが、選挙で浸透するには、有権者に理解してもらうには手間がかかるんだと。もう何度か言っておられるのをそばで聞いたことがあります、手間がかかるんだと。そんなにすぐにぱっぱといかないんだとおっしゃってたので、とりわけ新人にとっては、維新とか、会派で選ぶ議員選挙と、首長選挙は個人だから、個人の浸透というのは時間がかかるという面は確かにあるように思います。今まで政治的に名の通った人であれば、遅く出ても浸透というのはあったかもしれませんが、新人で、一部では名が通っていても、政治的に広く名が通っていないということもあるので、ハンディはおありになったかもしれないという感じはあります。おっしゃるように出おくれだったのかということにもなるかもしれませんが、それも私の立場であまり責任を持ってこうだということを言える立場でもありませんし、当たっているかどうかもわかりませんので、ぶつくさ言っているという程度でお受けとめいただけたらと思います。

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地方消費税の清算基準の見直しについて

時事通信:
 先週、7月6日に紀伊半島の知事会がありまして、そこで奈良県が提唱している地方消費税の清算基準見直しについて説明されて、いろいろとほかの知事からも意見があったと思うのですが、どのようなことがありましたか。

知事:
 紀伊半島知事会議で直に説明しようと思ったのは、物販の商業統計と経済センサスというサービス統計は経産省が持っていてその改革が進んでおり、改革というのは、より粗っぽくなるという改革、手間をかけない改革なので、その消費地を決める統計としてはもとからとても不備がありましたが、さらにもう頼りにならないということを経産省出身の2人には言っておきたかったというのも大きな動機であります。彼らはとてもよくわかっておられますが、地方消費税の清算基準にこのような統計が使われているということは詳細にはご存じなかったんじゃないかと思います。彼らはしかし、そういう分野は精通されていますので、直ちにおわかりになったと思います。そのような基盤の脆弱性というのが今まであまり言われてこなかったのを、とりわけあの2人には知っておいてほしかったというのが大きな理由であります。

 販売統計が消費地、最終消費地を決めるのに使われているというのは、うまく使われていればいいんですけども、全くうまく使われていないように最近は特に思います。しかもまた、余計粗っぽくなるという傾向にありますと、サンプル率がとても多くなってくる。それをどうするのか、最終消費地判断の根拠としては、地方消費税の根拠すら危うくなるんじゃないかと私は言いたいぐらいです。すると、もう少し理屈を立てて、地方消費税という独立税に財務省がチャレンジするんじゃないかと総務省は心配されている面もあったのですが、もうそんな気配もない。地方消費税として制度は確立していますので、より納得感のある配分基準、清算基準にしてほしいというふうに、この時点では特に思いますので、そのような観点から紀伊半島知事会に、その事情を調べたものを説明して理解をしてもらっておくというのはとても大事なことですし、理解していただける知事さんですので説明したと。それで、どのようなアクションをするかというのはまた別の話ですので、共通の陳情をしようとか、そういう提言はしませんでした。

 森林環境税については、場合によっては3県が勉強した結果を中央に陳情することもあるかもしれませんねという提言はしました。地方消費税は、説明してご理解を求めるということが最終目的でございました。その点はよく理解していただいたと。特に経済統計については理解していただいた、現状の経済統計を消費税の清算基準に使うということのあやふやさというのはよく理解していただいたというふうに思っています。

時事通信:
 お二人、結構奈良案に前向きというか、要するに味方になってくれそうか。

知事:
 そうですね、よくわかったという感じだったと私は思います。やっぱり役人出身で、理屈がわかっていただける人だというふうに思います。損得抜きにしてということになりますので、得だからいいよというふうにはアピール、ずっとしてませんので。多少の損得は、もちろん判断のもとにあると思いますが。

司会:
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:
 ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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