平成29年8月23日(水)知事定例記者会見

司会:
 お待たせいたしました。おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の案件は、国文祭・障文祭に係る2点です。知事から発表していただきますので、よろしくお願いいたします。


「国文祭・障文祭なら2017」「奈良県大芸術祭」オープニングセレモニーのご案内
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「国文祭・障文祭なら2017」トラベルセンターをご利用ください!
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知事:
 お待たせしました。発表案件は2つ、国文祭・障文祭関連ですが、9月1日から11月30日まで約3カ月開催いたします。2日がグランドオープンですが、1日の日にオープニングセレモニーを近鉄奈良駅前行基広場においていたします。ここに書いてあるような行事をするわけですが、国文祭の大会旗を前回の愛知から預かっており、それを県内全市町村で巡回展示したものを県に返還してもらいます。また、八木駅でもオープニングセレモニーを実施いたします。

 もう一つ、近鉄奈良駅の駅前にトラベルセンターを置いておりますが、この国文祭・障文祭には障害者の方も来られるわけですので、その人たちの対応を中心に、宿泊・交通・観光案内をしようということを心がけておりますけれども、奈良の名品・土産物の案内も重ねていたしますので、そのトラベルセンターの広報もあわせてさせていただきます。内容は、お手元の資料の中にあるような品物をお土産物として展示するといった内容になっております。

 それから、期間限定の国文祭・障文祭に関連したツアーも用意する予定です。イベントをしてツアーを形成するといった観光パターンを奈良県は追求してきておりますが、この国文祭・障文祭においては、文化イベントに来られる人にツアー仕立てをするといったことも実行していきたいと思っておるところです。

 ご報告は、以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に係るご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

「国文祭・障文祭なら2017」について

共同通信:
 国文祭・障文祭なら2017まであと1週間と少しですが、今回初の一体開催について、改めて意気込みを教えてください。

知事:
 一体開催という意義があるとともに、奈良県は国民文化祭は初めての開催で、国民文化祭のような全国大会を奈良県主催でやる風潮が少なかったのかなという思いをもっていますが、青柳前文化庁長官のお誘いで国民文化祭をさせていただいてうれしいなと思っております。そのようなお誘いがあって、初めて開催するときに、障害者芸術文化祭も最近では同じ場所で時期をずらして行われてきていますので、この際、一体開催をさせていただくことになりました。

 時期も場所も一緒にするのは初めてのことですが、これは、日本の行政は、障害者芸術文化祭は厚生労働省、国民文化祭は文部科学省・文化庁と、中央で分かれているために、別々にせざるを得なかったと聞いております。今は地方が、そうして国が2つおろしてきたすだれを2つ一緒に飾るということで、一体開催ができることになりました。合同すだれかけをつくるというようなイメージで、それはかねてから地方の役割でこのようなイベントで実行できるんだと思っております。国の縦割りはそう一朝一夕に直らないと思いますので、地方に国のエネルギーがおりてきたときに、ハイブリッドにするという地方ハイブリッドの知恵がこれから必要と奈良県は思っておりますので、このイベント、縦割りイベントの地方一体開催という、そのような意義があると思っています。

日経新聞:
 このプログラムを見ていますと、お酒とかお茶とか能楽とか相撲など、これまで奈良が発祥でありながら他の地域に、発祥のメリットをとられていて発信力が問われていたものが、割と入っているように思えますが、この文化祭の意図を教えてください。

知事:
 このイベントを利用して食や土産物を売り出す手法はどこでもやっておられますが、例えば、売り出しのフェア、よくある定番は北海道フェアで東京、大阪などされますが、奈良県は奈良産フェアをあまりやってこなかったと思います。観光のフェア、エキスポも、土産物の農産物のフェアもやっておりませんでしたが、最近ではそのような売り出しを心がけて、やり出してきています。これは富山県の真似をしたのですが、奈良県の土産物のセレクト便をつくって売り出して、今度はプレミアムセレクト便というのを売り出しており、とにかくお持ち帰りいただくこと自身が奈良県の宣伝になりますので、よくバッグを持って帰ってもらって、そのバッグを見ると、ああ、今、国文祭・障文祭を奈良でやっているという宣伝になるのと同じように、あらゆるツールを利用するというのが1つです。そのような総合PR戦略を遅まきながら心がけてきております。

 もう一つは、最近わかりましたが、SNSの広報戦略が実はあろうかと思います。これは強制できませんが、いい評判をとって、いい動画を撮ってもらうと、広報戦略になります。SNSの個別広報エネルギーがすごくまさってきていると、そのような感覚を持っています。奈良の大仏とか奈良の鹿を動画撮影され、投稿されると、それがすごい広報戦略になると感じております。持って帰っていただいた人がこういうのがおいしかったよと言っていただくと、それがなかなか難しいんですが、県の行政はこのように集めて宅急便にしますと報道はできますが、書いてあるように、どこの酒がおいしい、どら焼きや柿の葉ずしのどこそこ産がおいしいということは、個別に行政は言えないです。個人が投稿する広報戦略は、意図的にする戦略もあると思いますが、行政はできませんが、民間ではそういう戦略もとられているように聞きますので、こういう個別のばらばらとした伝達ツールによる広報が、ここから発生すればよいと思います。

毎日新聞:
 一体開催によるメリットを改めて教えていただきたい。それを裏づける数値的なもの、例えば一体開催なので、コストがどれくらい抑えられる見通しであるとか、注目度が集まるので来場客数がこれぐらい増える等、何か試算の数字があれば教えてください。

知事:
 一体開催の効果でお客がふえることは、正直あまり狙っておりません。一体開催の狙いやその効果の目標に結びつくんですが、今は障害者と一緒にイベントをする、遊ぶ、見るという機会が余りにも少ないと思います。障害者施策、ノーマライゼーションと言われる分野ですが、ノーマライゼーションの一つのあらわれかと思います。障害があるから見るなり聞くなりハンディはありますが、一体的に同じ場所でやり方により一緒に見ることはできます。大事なのは慣れ、だと私は思います。健常者と障害者が同席するという「慣れ」がどんどん進むことが、ノーマライゼーションの第一歩だと思います。今回の一体開催でそのような機会が提供できると思います。即効的な効果よりも、そうして積み上げで「慣れ」が進み、自然と慣れたことも忘れるようになればいいと思います。着実に日本でも、障害者との共存生活として、その「慣れ」が進んできていると思います。10年、20年とかかる話ですが、確実に進んでいると思いますので、そのようなことがこの一体開催の最大の意義だと思います。

 一体開催ができないのは先ほど行政の分断が理由と申しましたが、現場でも一体開催は困難ではないかという声がずっとあったことは確かです。一体開催をすることで、そのハンディを少しでも克服する「知恵」が現場で生まれることを願っています。こういう「知恵」で一体開催したことのメリットを検証することが最大の効果であると私は思っています。こう克服した、現場でこのようにすればスムーズにできたというのは、これからの現場で役に立つ知恵ですが、そういうことができれば、こういう結果になったということを、数字ではありませんが、報告できる機会があればうれしいなと、思っています。

司会:
 それでは、その他の発表案件以外の質問につきましてもよろしくお願いいたします。

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奈良のシカ保護管理について

奈良新聞:
 奈良の鹿についてお話を伺いたいんですけれども、先日1頭捕獲されまして、一部環境保護団体から捕獲せずに防鹿柵の補助などに力を入れるべきという意見がありまして、それについての見解と、一応120頭上限に捕獲されるということですけれども、1カ月近くたってまだ1頭しか捕獲されていないということなので、その対策を教えてください。

知事:
 動物と人間との共存をどのようにするかという課題があると思います。人家に被害がないという共存を実質上していたわけですね。動物の中には、鹿のほかにイタチや、タヌキ、ネズミもいますが、見えない所で餌を食べて共存していて、人間、人家に被害はなかったのでそれでいいやというのが人間、我々の社会でしたが、どういうわけか森の「動物を養う力」が衰えてきて、それ自身大きな問題ですが、里山に動物がたくさん出てくるようになりました。奈良市もこのように奥山に近い里山、このあたりも里山ですが、そのバッファ(緩衝)がなくなってきているのが根本的な課題だと思います。鳥獣害被害、鹿のほかにイノシシ、猿などの被害が累々と報告されているわけです。これをどのように対応するかというのは課題です。

 その対応の仕方は、保護団体の方が動物被害をどのように見ておられるのかということですが、何かいい対応の代案があれば、平和的な対策があれば私はいいと思いますが、被害を受けられている方が、奈良市内の近郊農家にも出てきたので、これは社会的・行政的課題になってきているので、どういう対応をするかは共存の知恵ということになりました。根本的なことから言えば、森林の養う力をやっぱり気にしないといけません。奈良県は森林環境管理制度をつくろうと思っていますが、その大きな目的は動植物との共存であり、あまりに日本は森の木材生産に傾倒してきたために、動植物を養う力を軽視してきた国柄になってきている。スイスの交流でそのことを学び、スイスの国法では森林の管理の目的の木材生産、防災、土砂崩れ防止のほかに、動植物の維持が国法で入っています。日本はそういう国法がないのが残念ですが、それを条例でつくろうと思っています。

 これは森の動植物を森でとめてもらう、里山の間に外山というバッファゾーンがあったのが日本の里山風景ですが、それをなくしてきたのは我々人間で、奥山から里山のほうに侵食(してきた)。奈良市は奥山がすごく近くにある中で共存してきた珍しい例だと思います。そこにも里山に動物の鳥獣害被害がほかにイノシシも奥では出ていますが、鹿でも出てきた。すると、奈良の鹿さんは、奈良公園では一緒に共存していますので、鹿は少し心理的に抵抗あるというのが実情です。ではイノシシだったらいいのか、そういう議論も本当はあると思います。イノシシも同じ所にはびこっているわけで、イノシシは捕獲していると思います。だからそのあたり、動物愛護団体の方に知恵があればお聞きしたいと思います。苦肉の策をとっているわけです。考え方、アプローチの仕方が少し違うという感想を持ちます。

 我々は、被害があれば対処しないといけない立場ですので、その対処の知恵が今、捕獲しかなかなか思い浮かばなかったのです。ほかの知恵があれば、私は長期的には、奥山の森林・動物の養う力をアップさせるとことが基本的な課題と思っていますが、これは少し時間かかるし、今まで森林は7割を占める国土を木材生産に傾斜し過ぎたと思っていますが、奈良県の条例でそれを多少でも、長期的にでも回復できたらという気持ちですが、奈良市の郊外の鹿について、森林環境管理条例がすぐに役に立つかというと、そういうわけでもないと思いますので、当面の対策としてなかなか知恵が出ないのが実情です。

奈良新聞:
 奈良県において防鹿柵に対する補助についてはどうですか。

知事:
 今までやってきております。

 奈良県各地でやってきていますので、それを手が及ばないので捕獲が出ているのが実情です。補助をして各地で防護をやっても、どんどんうまく突き破られ、きりがないという宇陀や、南部の報告が多くあります。市町村も大分されています。市町村は防護柵、防鹿、防イノシシ、防猿柵はもう各地に随分ありますが、農作物が実るとおいしい部分のみが食べられるという報告で、市町村長の苦情をどんどん私自身は耳にするわけで、なかなかそれだけでもいかない。先ほどの奥山、里山、外山のバッファがなくなってきて、それをトランプさんではないですが、塀で移民を防げるわけにもなかなかいかないのが実情です。

 常緑樹を植え過ぎたのでないかと私個人的には思います。冬に落葉樹の葉っぱが落ちて山の中の地面まで光が届けば、地面に餌が生えて、そこで生きていく動物もできると思います。それで自然に個体調整されるか、外力で個体調整するかということになっていますが、餌がふえ過ぎると個体がふえるのは自然の原理で、餌が自然と調整の原理になっていますが、バッファゾーンがなくなってきていると思います。もっと自然のすみ分けの調整機能を勉強しないといけなかったと思っています。奈良県では、森林の機能ですみ分け機能を増加させるように勉強したいと思っています。

奈良新聞:
 1カ月程度でやっと1頭捕獲した。このペースでいくと今年度の上限である120頭まで10年程度かかりそうですが、どうでしょうか。

知事:
 あのあたりに行けば捕獲されるという情報が、鹿さんの間に伝達されればいいと思います。動物は割と情報伝達能力もあるから、「あの辺りに行くとひどい目に遭う」という情報が伝わることもあるのかもしれないと思います。すると少数の捕獲でも効果があると思います。

奈良新聞:
 罠による方法ではなく射殺するなど、やり方を変えるとか、そういったことは検討されていますか。

知事:
 やり方についての意見もありますが、できるだけ穏便な策から続けていくのが基本だと思います。

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地方自治体の基金残高について

日経新聞:
 財政調整基金等ですが、5月に財務省の審議会が積み上げ過ぎだということで、各都道府県は当然反発するわけですが、総務省が調査を開始したと聞きまして、それに対する奈良県としてのお考えを教えてください。

知事:
 財政上の基金には、財政調整基金と県債管理基金があります。奈良県の事情は、いっとき落ち込みましたが、小泉元総理の三位一体改革で各都道府県ともすごく落ち込みました。それから地方財政への配分が緩んだので貯めておこうということで、財政調整基金はいざという時、例えば災害が起こった時に、国の激甚指定があっても地元の負担はどうしてもあるので、そのときに対応しようと。大阪だったか滋賀だったか、京都だったかな、財政調整基金ゼロですというとこがありました。それは突発的な事情で使うことだから、ゼロになったからといって、経常的にゼロというのは恥ずかしいですが、とっさの時の基金ですので、今がとっさだとおっしゃるとそうだと思います。そのようなことが起こらないようにということですが、貯めすぎかどうかということは、県債管理基金は長期的にある程度見通しが立つわけでして、県債を返すこととその調達することと、奈良県では1兆円ぐらいの県債の中で、6,000億円以上が国が返すと約束されている県債と、県が自前財源で返す県債とがあって、それを仕分けして運営をしています。自前で返すのは、今4,000億円弱で、県税収入額が1,000億円ぐらいしかないですので、その比率が今3.4倍ぐらいになっていますが、これは健全には4倍以下におさめようということになっています。

 しかし、3.4倍だと、4倍まですればいいというと、国が交付税を使っていただける県債も、県債管理基金で将来賄わないといけないという事情もありますので、県債管理基金はどの程度あればいいのかということは、多い、少ないというのも、国を中心とした議論を聞いても、どこまであれば望ましいのかということはなかなかその標準化がないわけで、基本的にとっさの時だから、あまり貯めすぎる必要はないと思いますが、心配な限りは貯める保険みたいなもの、というような議論だと思っています。

 奈良県の事情と本来的な議論と2つを考えなければいけないことがあるので、奈良県の事情というのは、県債管理、財政管理、とっさの管理というのはそこそこで、それが多過ぎるかどうかという点については、何が多いのかという2つ目を考えなければいけない点に関係するわけですが、基本的なその基準は少し明確ではないように思いますが、基本的な考え方として必要以上に貯めることはないです、ということを県の財政当局、財政課に言っています。どこまでが必要なのかというのは、ちょっと理屈がないんですが、よく考えて、県債管理基金が十分ですと言っても余り自慢にならないということは、もう何年も前から言っています。

 財政の年々の運用をどうするかということが地方政治行政の最も大事な点で、県債管理基金、財政調整基金がたくさん貯まりましたという財政運営が、健全性は必要ですが、超健全だと、財政だけが超健全で行政支出は貧弱だと、余り褒められた姿ではないから、その財政と行政支出のバランスということになると思いますが、そのようにあまり貯めすぎることはないということは数年前から言っています。どれ以上が貯めすぎかという議論が、今、おっしゃった国の中心で行われているということですが、県の立場からは、どこまでが貯めすぎかということは、性格上、県債管理基金と財政調整基金の性格が違うわけですが、県債管理基金はある程度見通しきくから、これ以上はもう必要ないのではないかという額が出ると思います。

 財政調整基金は、とっさが起こるとすごくしんどい場合があると思いますが、かつかつでも今の日本の地方財政は生きていけるように仕組まれているので、心配すればきりがないという類いにもなるかもしれないんですが、少なければいいというわけでもないし、多ければいいというわけでもないしということが、少し客観的基準の難しい分野であるように感じていますので、あまりどの程度あればいいかということについて、なかなか自分の考えを明確に申し上げるほどの頭になっていません。多過ぎる必要もないし、少な過ぎるということはどの程度か、心配し過ぎもいけないしというようなことで、感覚的なことで申しわけありません。

日経新聞:
 実際、総務省の調査はもう始まっていますか。

知事:
 もう始まっていると思います。それは、実情は総務省は日ごろ常に分かっていますので、国が貯めすぎかどうかというのは、ちょっと観念的な議論です。今申し上げましたが、財政調整基金がゼロのところと、もう貯まりすぎてというところも多分あると思うんですが、それをどのように均すのかという。そうですね、アイデアとしては、これも各地方自治体で貯めるということと、SDR(特別引出権:加盟国が国際収支の悪化などに際し、自国に配分されているSDRを他国に引き渡すことで、必要とする外貨を入手することができる権利)みたいに、IMF(国際通貨基金)の引き出し基金みたいなことでも、資金繰りにはいいのではないかと少し素人考えではあるんですが、貯めたということ。

 すると、現金としては全部集めると基金は何兆円になると、それはいざとなれば使うと。国のほうは相変わらず総務省が管理するか財務省が管理するかという大げんかになるから、日本の国柄としてそんなアイデアはいかんということになるんだと思います。合理的に地方で貯めると、県債を発行して基金を積み上げる、これは歩積み両建てです。少し資金管理としてまずいのではないかと思うところはあります。

 もう今は地方の金融機関を歩積み両建てで助ける必要があるような金融事情ではないですから、権利として引き出し権があればいいのかなと、全く素人の考えですが、思ったことがあるのですが、これは国の制度の根幹にかかわるから、国の制度でも総務省と財務省のけんかになる話なので、地方としては資金が回ればありがたいですので、なかなかその考えに、地方は、総務省的にたくさんお金がないと困るということを一応言うわけですが、あまり多過ぎてもどうするんだという、使えればいいが、貯めないといけないかというと歩積み両建てになってしまうのではないかというような感覚もあるということ、感覚ばかりで申しわけありません。

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O-157について

奈良テレビ:
 奈良県のO-157の対策について教えてください。

知事:
 最近はあまりなかったので、奈良県ではまだアクションしてません。流行ってきているんですか。

奈良テレビ:
 サラダに入っていて被害が出ていました。

知事:
 ああ、そうですか。恥ずかしながら流行っていることをあまり知らなかったです。

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小型機墜落事故について

時事通信:
 同じく対策的なところで、小型機がこの間墜落しまして、奈良県ができることはあまりないかもしれませんが、例えば住宅街に落ちないようにとか、落ちたとしても素早く救助に行く等対策、お考えありますでしょうか。

知事:
 昔、航空行政をやっていたから多少関心はあるんですが、落ちてくるほうから見ると、こちらに落ちないで向こうに落ちろってなかなか言えないから。調布で落ちましたが、だからこれもまた原理的なことを言って恐縮なんですが、空港の立地と、先ほどの人家に落ちると困るという観点からすれば、山中に落ちたからほかの被害、人家被害がなくてよかったと、余りそういう類いの報道はないんですが、それが一つ住んでいるほうの立場からするとあるんじゃないかと思います。八尾空港を飛び立たれて、八尾空港の周りは人家だらけですので、落ちると大変だったなという感じはあります。

 周りが人家だらけなのは、伊丹空港もそうなんですが、伊丹から発着する路線便は安全性が高いです。ILS等の機器・計器があって、東京-大阪は世界的に最もヘビーな航空路ですが、雨の日でも安全性が最も高いと思います。就航率といいますか、伊丹-羽田の定時就航率というのは世界で一番高いと思います。それは機械が整備されて、機材と誘導機器が両方とも高度に整備されているということです。

 八尾のように小型機の場合は、誘導機器も割とグレードが低いし、機材も、自家用小型機の場合は整備とか機材の能力というのはやっぱり格段に低くなってくると思っています。だから小型機や、あのような多少グレードが低くてもそんなにお金をかけられないからしようがないと思うのですが、むしろ八尾空港は大変心配だなということが、航空行政をちょっとかじった者としての感想であります。落ちる場所ということであれば、八尾空港の周辺の人家に落ちると大変だったなと思います。調布空港で落ちたので、それをちょっと思い出しました。

あとは、航空機の安全対策というのは、今、高速バスのほうが運転手の能力の関係でよっぽど危ないように思いますが、営業用の輸送機は整備を強制、安全チェックを強制していますので、他人を乗せるととても厳重な安全検査になるわけですが、自分で飛ぶ限りは、自家用機の安全の体制のグレードは低いのが通常ですので、だからといって勝手に飛べるわけではないんですが、ちゃんと飛んで着くようにまでは強制されているわけですが、その点も今回は多分エンジンとか機体の事故のような感じがしますので、機体の整備や安全確認についての調査が進むと思います。奈良県政とは直接関係ないですが、奈良県に落ちた落ちたと報道されるから、すごく発着が多いんじゃないかというイメージがありますが、今のところ発着できるところはありません。

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紀伊半島大水害から6年となることについて、南部地域の課題について

毎日新聞:
 紀伊半島の大水害から6年になりました。今もまだ行方不明の方がおられて、まだ見通しが立たない部分も多々あろうかと思いますが、減災あるいは防災という観点で、ソフト・ハード両面、県としても取り組みがあると思いますが、今後の方向性と力を入れるべき取り組みを教えてください。

知事:
 奈良県の災害対策というご質問として受け取りましたら、ほかの県との違いは、津波がないことです。災害対策を6年前の紀伊半島大水害の後、重点対策を3つのパターンに絞りました。それは土砂災害、これは山の急傾斜、紀伊半島のような土砂災害と、広島で起こったような多少緩やかな部分の土砂災害、いずれも土砂災害、これをどうするかというのに対策を重点化しました。とりわけ奥山のほうの土砂災害は、その災害復旧とともに対応を現場としてはされてきました。あとは、気になったのは広島で起こるような、奈良県では傾斜地に住宅が建っていますので、その土砂災害をケアするということが一つの分野として認識しました。

 もう一つは、山の土砂すべりの大水害、いわゆる洪水です。県では57年に大和川の洪水の経験があります。そこで6年前から、次は大和川をケアしないといけないということで、その過程で、ご案内のように大和川は信貴山と金剛山の間の亀の瀬という狭いところを突き抜けて河内平野に入るわけですが、河内平野の中の堤防が十分整備されていません。堺まで行くのに十分整備されていないので、どうしても亀の瀬で上流が水つきになるという構造的な問題があります。何年か前に国交省の地方整備局河川部長から、亀の瀬が開けるまで100年かかると聞きました。ということは、下流の堤防を整備するという必要がある。下流のほうが被害が大きくなりますので、ダム効果があるということです。上のほうがちゃんと平和なダムになればいいですが、そうでもないようです。それで上流に遊水地をつくろうと思いつきました。遊水地をぽつぽつ作っていましたが、亀の瀬の下流を整備してくれないなら、上流で遊水地をつくるから協力してくれ、もっと圧倒的なスケールでつくろう、と直轄遊水地構想を整備局に持ちかけました。これを受け、5年ほど前に直轄遊水地計画が発足いたしました。それで国交省は随分熱心に直轄遊水地候補を選び奈良県で斑鳩・安堵・川西の中の5カ所で今、事業を進めていただいています。用地買収から始まるわけで、そこで遊水地ができると、100万立米の水が貯めることが出来、100万立米の減災、大洪水対策ができることをもくろんでやっております。

 3つ目は、地震です。直下型地震は可能性がありますし、活断層も奈良県内を走っておりますので、直下型大震災は予防も難しいです。これは命を助けるということで避難の啓蒙をし始めました。6年前の経験をきっかけにその3つの自然災害に対応することを重点化して、やり出したのが今の状況です。

NHK:
 関連ですが、特に9月4日で紀伊半島豪雨災害後6年ということで、南部に残された防災上の課題、今後取り組んでいかれるところについて聞かせてください。

知事:
 南部の紀伊半島大水害の被害が発生したのは、過疎地で土砂や、人家の少ないところでありました。福岡の朝倉など木材が流れて人家を直撃して、人家の被害が量的に多かったというのと、量的なものが少なかったからよかったというわけではないですが、過疎地のため、人的、家屋、財産的な被害は比較的に少なかったということはあります。その対策で発見しましたのは、土砂が崩れて、川に落ちてはね返りで流れた、または道路が土砂で埋まって救助にも行けなかった事象を目の当たりにしました。一方、国道168号の熊野川沿いで発生したもので、山の中に作っているトンネル、橋は無事でした。新しいトンネル、橋は無事だったので、国道168号にトンネル、橋を作って強靱化しようということを改めて思いました。当時はトンネルの中にも人家があってもいい、一番安全だと更谷村長が言ってたぐらいです。

 もう一つは、120何年前に十津川大水害が発生し、この前に協定もいたしました新十津川村に2,500人近く移住されました。その時の大水害の十津川村長との合い言葉は、新十津川村をもう二度と作らない、新十津川村を作るなら十津川村内に作ろうということでした。もう移住しないで済むようにということで、高森の郷みたいな県内の限定集落の集約化というようなことがこれをきっかけに進みました。防災対策はトンネルで、一番土砂崩れのないのは尾根です。谷瀬のつり橋の上のほうの尾根は、アプローチが難しいですが、つり橋があれば歩いていけます。尾根が安全だと昔から知っていて尾根に住んでいる人は、もちろん災害上安全だけど日ごろ不便です。そこで、尾根に道路、トンネルをつけると尾根の里ができるということで、谷瀬の里の近くにまちをつくろうというふうに発想して、道路が上、尾根を走るとできるわけですね、スイスみたいにできるわけです。そのように発想の転換があった。

 今まで危ないわけですけども、谷に川が走っていて、そこに集落があると川のそばに道をつくらざるを得ない。そこが一番襲われやすかったということがあります。これからは道路が上を走って、トンネルを越えて明かりになったところで平地があって村落ができるなら、尾根に村をつくる。移住してもらう、谷底から尾根に移住してもらうという方針を明確に作りかえていこうとしています。当時はトンネルの中に住んでもいいぞというぐらいの勢いの言葉を交わしましたが、トンネルを越えた明かりに村を作ろうと今ちょっとずつ進んでおります。そのような6年前をきっかけに、南部のインフラ構造改革を進めてきたなと今思い出します。時間はかかりますけれども、国土強靱化の一つの実践だと思います。

NHK:
 到達地点がどの辺としたら、今どの辺というぐらいの感覚ですか。

知事:
 トンネルのインフラは、感覚的ですが、今、間もなく辻堂バイパスとか、準幹線の整備が各地で進んでます。国道168号のトンネル化や橋梁化、強靱化が随分進めて、供用がいろんな目に見えています。それと国道168号ということであれば、五條から入る新天辻と、和歌山との境界の桑畑、十津川第2工区がまだ事業化されておりません。この2つの事業化で進めば奈良県の国道168号はほぼ強靱化が完成します。すると国道168号はすごく安全になると思います。土砂崩れ、天辻も、道が特にこんなところから土砂が崩れて、国道168号のような幹線でも、年に何回か通行止めになります。ですが、トンネルができるとそういうことは起こらなくなります。その進捗は今の工事の七、八割まで事業化していると言えます。完成はもう少し先ですが、というような感じです。ちょっと計量的に改良区間が何キロで、今何キロまで事業化、何キロまで完成、供用ということがはかれると思います。すると量的に進捗、完成、供用何十%、事業化何十%、今の感じは事業化の感じですので、あとは2つしか残ってないという感じで、8割方かなという目分量であります。

 もう一つの強靱化の中で、インフラの強靱化とともに、住居の強靱化、また、住居が集まったほうがヘリコプターがおりやすいです。ドクターヘリがおりやすいので、限界集落を集約化してドクターヘリの発着場を必ず置いてくださいとおすすめしています。ドクターヘリが発着すると、救助に、救急に行けますから、いざという時の救助に行けますからということをお勧めしています。集落には、臨時離発着場でいいので、ヘリポートは必須でしょうと、こういうように言って新集落を作られる時は、あるいは旧集落の小学校跡地にもヘリポートを作るということが、だんだん常識化してきているように思います。

 その過程で、高齢化する中のおばあさんたちが集まります。災害の一つの効果は、仮設住宅で住まれていた時のよき思い出が結構あるんです。野迫川村の北股の仮設住宅の住まいが楽しかったなと言っていただきました。野迫川村の村長さんも今、村長さん自身が共同住宅に住まれて、政治的に反対された議長も同じ仮設に住んでおられた時期があったんですが、そのような小さな村ならではの臨時コミュニティーができて、そのサービスを上げようということを当時熱心にいたしましたので、まだその仮設のかわりに、常設のいい住宅を十津川は作られ、谷瀬の里の山の上に作られるというきっかけになります。

 これも時間がかかります。先ほどの進捗からすれば、村内移住ということはまだまだだですが、高齢者の方にケアサービスがあるのはこちらのほうがいいと進めております。ひとりで住んでいて、お墓があるからと、おっしゃるんですが、お墓は時々帰ればいいし、日ごろの生きている間の世話はこちらのほうがサービスがいいということを実現していくと、だんだんわかってきていただいているような感じはします。奈良モデルの地域包括ケアで、川上村とか十津川村ともまちづくり協定をやり始めました。そういうタイプの限界集落を集合集落化するというまちづくりのアイデアが出てきて、県は応援することにしています。そのような実例からそういう動きがあると実感しています。

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五條市の広域防災拠点について

奈良新聞:
 関連して、災害、大きな災害、特に南部で起きた際に初期対応も必要だということで進めてきたが、県が今行っている五條に広域防災拠点を作り、そこへ自衛隊のヘリポートを持ってこようとしている。それが、北朝鮮の今の情勢の中で、防衛省がどのような動きになっているのか分かりませんが、いわゆる駐屯地の誘致に、南海トラフの地震の対応も視野に入れた広域防災拠点にしようということに、遅れを来すようなことがないのかという懸念はありますか。

知事:
 ぴったりのご質問で、心配していることのポイントです。最近の北朝鮮のミサイル威嚇について、陸上イージスを置くという、あれは1基800億円とか大きな金で、800億円もあれば五條の広域防災なんか何カ所もできるなとうらやましく思っているところです。しかしいつ発射するかわからない陸上イージスを備えようということなので、予算が取られてしまうというのはおっしゃるとおりです。防衛省に行っても、五條について調査費をつけてくれたほどだから、そもそもだめだということではありません。いかんせん、当時は尖閣とか陸上自衛隊の西域展開とか、西への展開で費用がかかるから予算がなくてという感触でした。今度は陸上自衛隊の対空のための予算がかかるという、今、おっしゃった事態が出てきて予算がやはり厳しいというのが今の実感です。

 それで、どのように予算が、陸上自衛隊、広域防災に向かった予算がすぐに出ない可能性が高まった中でどのように対応すればいいのかというのは、南海・東南海心配ですので。奈良県は襲わないけど、紀伊半島あるいは畿内、日本海も含めた広域防災拠点、陸上がだめになった時に空からというのはもう定説で、やはりそんな拠点が畿内にないことがわかりました。畿内にそういう空から行ける広域防災拠点ができたらという思いは前よりも強くなっています。

 先ほどの小型機の墜落の関係で、八尾空港に陸上自衛隊の航空基地がありますが、いざという時、あそこが防災拠点で大活躍するかどうか、いざという時はするかもしれない、あそこ自身も津波で沈んでしまうかもしれないと思っています。畿内を全部見据えた広域防災体制というのをどうするのかなというような感じのところまで来ています。

 だから、今、陸上自衛隊の予算がないのに、どう対応して知恵を出せるのかなという段階なので、まだ糸口は見えないんですけれども、今、言われた危惧、心配は内々出てきているのは確かなことです。

司会:
 よろしいでしょうか。
 幹事者さん、よろしいですか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:
 どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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