平成30年8月8日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件は、平城宮跡で開催されます天平たなばた祭りについてです。
 知事から発表いただきますので、よろしくお願いいたします。


天平たなばた祭りを開催します
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 夏のイベントとして、天平たなばた祭りをしております。

 去年から、七夕発祥が平城宮跡ということをテーマにして、たなばた祭りとして七夕ゆかりのお祭りをするようになりました。ことしもいろんな催しがございます。燈花会、七夕行列もここでいたします。例年のごとく、星にこだわるのと、ことしは新規イベントとして、熱気球フライトがございます。また、当時の都ですので、他の地域のお祭り、石見神楽や高千穂の夜神楽もしていただきます。

 平城宮跡の中に大極殿院ができますと、天平空間という意味もありますが、お祭り空間、あるいは祝祭空間になってくると思います。今は朱雀門南に、朱雀門ひろばができましたので、朱雀門ひろばを今後お祭り活用しようかと思います。

 夏の夜の奈良の行事は、ほとんどこれから埋まってまいります。なら燈花会がこの14日までの開催で、5日の日曜日から開会されました。それから、古いお祭りである春日大社の万燈籠、大仏殿の万灯供養会、大文字送り火に、また昨年から始まりましたならまち猿沢池のぐれーとさまぁーふぇすた☆ならまち遊歩で、夏は3週間以上、夜のイベントが続きます。燈花会は20周年を迎えましたし、この夏の風物の皮切りになったお祭りです。このように夏の夜をお祭り仕立てにしようという中での奈良たなばた祭りの天平祭・夏というイベントでございます。以上でございます。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に関する質問がございましたらよろしくお願いいたします。

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質疑応答

天平たなばた祭りを開催します

時事通信:
 今回のたなばた祭りは、朱雀門ひろばが開場されて初めての夏のお祭りだと思いますが、その兼ね合いというか、朱雀門ひろばでもできることについて教えてください。

知事:
 次の冬の大立山は朱雀門ひろばにしようかと実行委員会で検討が始まっていますが、朱雀門ひろばになりますと大極殿院の中と違って飲食が自由ですので、いろんなお祭りは飲食と一緒が大きな特徴であると思います。それからアクセスについて、平城宮跡全体が広いのでアクセスが悪いとおっしゃるんですが、そのとおりですけれども、バスが大和西大寺駅から平城宮跡まで走る時に、朱雀門の前にバスターミナルがありますので、そこからすぐに朱雀門ひろばに行けますので、平城宮跡内の踏切を渡って大極殿院のほうへ行くと、夏は、昼間はとても大変です、冬も寒いから大変ですが、夜なかなか踏切を渡るのが難しい。一応注意はしていますので、朱雀門ひろばでお祭りができるメリットは幾つかあります。

 また、先走ったことばかりいつも言いますが、来年のムジークフェストも朱雀門でもう少し展開できないかなと思っております。朱雀門ひろばは、市井の人に近いところは祝祭にしてもお祭りをしようといったひろばに活用できるように思いますので、これからどんどん活用していきたいと思います。

毎日新聞:
 朱雀門ひろばは、3月の下旬にオープンして4カ月ちょっとたちましたが、来場者数、うまし館等の売り上げ、当初の見立てと比べて、数字含めて言えるものがあれば教えてください。

知事:
 来場者数は、国営の平城宮いざない館の入場者数はとれております。いざない館に行った人のカウントが大体来場者数とほとんど同じかなと思います。いざない館に行かないで帰られる方もおられるかもしれませんけれども、それは多少おまけみたいなもの。4カ月経過した7月23日で13万人だと聞いております。予想よりどうかというようなことは、いつも最初気にして、通勤を朱雀門ひろばの前を通ってましたが、朝も夕方もあんまり人を見かけないから大丈夫かなと心配をしていました。日曜日通ると船に乗っている人もおられるのでほっとするんですが、日ごろはおられないので大丈夫かなと思っていました。実際そんなことでありましたけれども、心配してたんですけれども、4カ月で13万人ということで、そこそこなのかなと思っています。あまりお祭りをしていませんし、これからいろんなお祭りをすると来場者数も増えるかもしれません。だから今度のお祭りでも、数え方ですけれども、お祭りに来ていざない館も行ったから、行かないという人もいるかもしれないので、プラスアルファが積み重なりますけれども、確かな数字というのはいざない館の来場者の数字で、プラスアルファありますということを含んで、それでも全部の数字を出したらというご意見が出るかもしれませんが、いざない館の来場者の数字を基軸にして、その伸び率程度と、今度はお祭りするとお祭りだけのイベント来場者数が出ますので、はかっていきたいと思います。

 昨年のたなばた祭り、これも数え方が難しいかもしれませんが、3日間で4万5,000人来られたということでございます。4カ月で13万人、3日で4万5,000人かと思ったりするんですけれども、だから朱雀門ひろばの来場者、公園になっていますので来園者というのと、お祭り参加者というのとまた重なったり重ならなかったりするので、統計をどのようにとるかまた考えたいと思います。今度はご相談で、こういう数字ですということで内実がわかってもらえたら、表現の仕方も出てくると思います。有料ではないから来園カウンターがないので、いざない館は入場者の勘定を入口でされている。すると今度の天平夏祭りに来られる人は、いざない館へ行かなくてもこれを一応数える。するとお祭りをずっと、4万5,000人とか、大立山とか朱雀門で発表していくと、いざない館の来園者より超えるかもしれないと想像します。すると来園者をどのようにカウントするかという課題は出ると思いますけれども、両方使ってそういう数え方ですといって説明して、どのように受け取ってもらうかというのも一つかなと、今の時点で思っています。数え方と、その把握のでき方と、それを把握してどのように認識するかということになります。そのようなことを正直にお伝えして、どのような数字を使ってもらうかとか、どのように判断するかというのはまた、ご相談って変ですが、そのようなものですので、どのように表現すればいいでしょうかと。来園者と表現していいのかどうかというようなことも、また1年たって統計がたまってくると、朱雀門ひろば1年の数字と出さないかんと思いますので、また考えていきたいと思います。

毎日新聞:
 そのひろば一帯の使い方の可能性が見えてきた部分もあると思いますが、どのようにお考えかということと、逆に課題は何だとお考えですか。

知事:
 課題はいつもアクセスと言われておりますので、アクセスについては今、検討中のことをばらばら言うといけないんですが、大和西大寺から来られるアクセスが多いので、いつもイベントバスを出します。今回の天平祭も15分置きのイベントバスが出ますけれども、通常来られる方のイベントバスだけでなしに通常バスのアクセスを、大和西大寺駅南口がちゃんと整備されてくると、今の青バスですね、ぐるっとバスの、青バスがJR奈良駅から平城宮跡ぐるっと回るということなんですけれども、今、構想では、大和西大寺駅から青バスを大宮通りバスに路線変更できないかということを検討しています。まだ奈良交通と協議中で、結論出ておりませんが、県が補助金1億3,000万円程度出して100円バスをやっているという、県営バスみたいな珍しい例ですけれども、将来は大和西大寺駅からずっと大宮通りを通って、この平城宮跡あるいは新ホテル、新大宮、近鉄奈良、バスターミナル、それから大仏前、春日大社へ行って往復するという、大宮通りバスになったほうが便利ではないかと、今調整中です。それを提示して、どのようなスキームで奈良交通が受けてもらえるか、それはアクセスで、弱点、課題という面でのテーマであります。

 それから、テーマの課題は最大がそれだと思いますけれども、それからイベント、お祭りをどのようにするかという中で、来年のムジークフェストの祭り会場の一つにできないかなと考えております。それはムジークフェストは春日野園地のムジークプラッツというのが、大きな演奏、ブラスバンドなどが定着して大変盛り上がってきております。今度は西のほうの今の青バスがあれば余計いいわけですが、朱雀門ひろばがムジークフェストの会場にならないかまだ固まっていませんが、計画を始めています。

 すると、あそこの会場で朱雀門を背景にするのか、朱雀大路の東の土塀みたいなものを背景にして、そちらを見ながら、チームラボというものがありますが、大きなカーテンを張ってそこに映像を展開するというようなことも夜でもできるような気もするんです。いつもの発想だけということでありますけれども、朱雀大路でやる時に、実は木造の仮設組み立てシアターというのを設計してもらっています。記者会見でも説明したかもしれません。設計費を予算つけていただいて、昨日早稲田の古谷先生が模型を持ってこられました。このような設計で木造仮設シアター、あるいはイベント会場というようなのを持ってこられましたので、それでよければ朱雀大路にそんなものを置いてちょっとしたイベントとかができるといったことも、朱雀大路を活用してできるのかなと思っております。

奈良テレビ:
 去年の平城京天平祭の来場者数が4万5,000人という話があったんですが、今年はどれぐらいの見込みでいらっしゃいますか。

担当課:
 去年までは朝堂院でやっていて、今年から朱雀門ひろばでやらせていただくので、知事もおっしゃったように、バスをおりてからも近いとか、あるいはレストランやカフェなど休憩できるところも多いので、来られる方へのサービスは向上するかなと思っております。具体的な数字はないですが、昨年以上の方に来ていただきたいと思っています。

知事:
 この目標というか希望は、昨年以上ということです。

奈良テレビ:
 4万5,000人以上。

知事:
 4万5,000人以上ということです。大変だな。

 3日間で4万。よく来ていただけました。3日間で4万5,000にしたら、1日1万人以上来ていただかないといけないから大変です。だけど夏の夕方って、また天平たなばた祭りというか、平城宮跡のその立地が迫力はあるし、だんだん出てきているような気がいたします。聖武天皇も喜んでいただけるんじゃないかと思います。

 お勧めは、安部龍太郎さんが「平城京」という小説を出されましたので、お祭りの時に店に並べていかがですかと物販するかなと。

時事通信:
 著者ご本人を呼ぶとか。

知事:
 ああ、ご本人のサイン会を、ああ、そうですね。ミニ講演してもらってサイン会してもいいですね。せっかく「平城京」を出された年だから。ああ、いいアイデアです。全く打ち合わせでも出なかった発想だけど、記者会見楽しくなってくる。それは検討してくださいということで、今、指示しました。

奈良新聞:
 天平たなばた祭りの呼びかける一言お願いします。

知事:
 七夕は、そうですね、いつもそのフレーズを用意してないから、こんなとこでごちゃごちゃと考えたり言ったりするんですけれども、何と言えばいいのかな。さっきちょっと言ったように、夏の奈良はとても盛りだくさんという。たなばた祭りだけを言うのだったら、お昼は休まれて、夜、奈良うろうろされると毎日でも楽しめるというようなことですので。

NHK:
 猛暑にひっかけて、さっき昼休まれてとおっしゃってましたけど、このところは暑いんで、ぜひ関西へと。

知事:
 ああ、夕涼みに来てくださいとか。朱雀ひろばに夕涼み。

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国の森林環境税について

奈良新聞:
 来年度から森林環境税の国税の配分がされますが、それのすみ分けと、あと県税についてと、県配分分をどのように使うのか。

知事:
 森林環境税は37の府県に法定外税があります。それに国の森林環境税が導入されます。最初の5年は、徴税の上乗せはない。負担の上乗せはないということ。平成36年から負担の上乗せをするというので、今、おっしゃったすみ分けというのが必要ではないかという議論を始めています。

 この前の県の税制調査会の議論では、奈良の森林環境管理制度の検討とあわせて議論してもらいますと、森林の健康度を維持しようということ、それにフォレスターを使おうということだから、そういう新しい事業に一体化して使うという考えもあるのではないかというふうにおっしゃっていただきました。

 新しい森林環境管理という事業が出てくるわけですが、それに県の森林環境税と、国が取られて譲与税として配分される森林環境税。県の森林環境税は県で活用し、使途も考えますが、国の譲与税は最終9割が市町村に行きますので、それをミックスして同じ事業に使うというのは市町村と共同しなくてはいけないという課題が出てきます。市町村ごとに使うというのは、市町村に配分される譲与税の基本ですが、今、各地で市町村が譲与税を十分に使いこなせないのではないかという議論も出ています。それならば、なおさら市町村事業と県事業、つまりはフォレスター事業ということになりますが、一体となって使ったらどうかと。まだ結論は出ていませんが、そのような議論が出ましたので、私としてはエンカレッジング(励みになる)な意見かというふうに、そのようなことも含めて検討していきたいと思います。すみ分けというよりも、一体化という方向での議論が出たということですので、そのような森林の環境を維持するという観点で有効であれば、そういう使い方もあるのかなと思い始めています。

奈良新聞:
 それを理解するには、市町村の理解と、あと森林所有者の理解も必要だと思うのですが、どのように説得していくのか。

知事:
 そうですね、それは事業の効果性だと思います。市町村に配分された譲与税を、こう使いますよと、自分でこう使うほうがいいでしょうというふうに言われたらそのとおりだが、いや、自分じゃなかなか使い切れないから、県の提案する新しい合同事業があって、そのほうが森林のためにいいなということであれば、そちらに誘導する。そういう必要が今度は負担が発生しますと、譲与税にして県税にしても、それぞれの町の人の負担があります。同じような税を1,000円にしろ500円にしろ取るのであれば、ちゃんと効果的に使っているのかという目が必ずあります。すみ分けて使ってますというよりも、効果的に使ってますと納税者の方に説得しなくてはいけないという課題は、譲与税であれ県税であれ、市町村や県に発生します。効果的な使い方に知恵を出さなくてはいけないということは、市町村も同じ立場ですよという説得は基本だと思います。

 もう一つその議論が出たのは、放置林があるのはどういうわけだと。これだけ税金、1,000円、500円を納めて森林の環境を守るというので協力してるのに、放置林があるのはどういうことだということは、納税者の声として現れる可能性があるという意見が出ました。それは放置林をどのように扱うか。放置林重課制度ということを奈良県は総務省に検討要請しましたが、直ちに重課というのではなく、放置林をなくすための色々な手だてを、またこの森林環境税を徴収するのだから、放置林をどう扱うかという議論もしなくてはいけないというのが税制調査会で出ていました。重課制度で効果があるのかどうか。とても安いので効果があるかどうか分かりませんが、そういう鞭が効くほどの重課にならないと思います。そういう意識を森林所有者、また森林組合に持っていただくということは、これからもっと必要になってくると思っています。そのような議論も出ています。

奈良新聞:
 県が単独というよりも、そもそもフォレスター事業に関しては、広域的なというか、紀伊半島を視野に置いてということでやったと思うのですが、奈良県の森林だけというよりも、紀伊半島全体がきれいなほうがいいだろうと。その三重、和歌山両県と様々な協議も進めてこられたが、今どのレベルにあるのですか。

知事:
 この前の7月にありました紀伊半島3県知事会議のテーマの一つが、森林環境管理制度でした。広域防災拠点も一つのテーマ。その中で、奈良県で、この条例をつくって森林環境管理をしようと。スイスを見習ってというのには両知事賛成していただいてます。条例をつくるのはそれぞれ各県であるのと、今度、森林経営管理法、そういうような法律ができて、これは所有者が森林を管理できないときは、市町村が代わって管理してもいいよというような法律です。方向性は同じですが、紀伊半島あるいは奈良県が考えている条例のほうが進んでいるとか、より包摂的な感じがします。国の森林経営管理制度、それも含めた条例にできたらと思っています。

 先日、森林環境管理制度の議論が、愛媛大学の村尾教授、田中さん(森林ジャーナリスト)などとありましたが、大変進捗がありました。その中で森林総合研究所の石崎先生という方が発言されていたが、平成26年に制定された京都府の条例の中に、要適正管理森林という、注意して管理をしなくてはいけない森林という区分がある。放ったらかしにしてはいけないという前の段階の森林区分を指定するというもの。京都府の平成26年の条例と、国の森林経営管理法の集積計画で、それを利用した奈良県の森林環境管理制度、その中でフォレスターをどのように使うかというのも一つの位置づけになると思いますけれども、その検討が進んでいます。

 和歌山県、三重県は、奈良県の進捗を見て同調できるかどうか、あるいはその制度よりも森林をどのように扱うかという概念がものすごく大事だと思います。今までの県の施策は、生産一辺倒ではなかったのか、森林は木材搬出ばかりの機能を持っていたのではないかという反省をしようかと。その中で大きいのは防災です。森林の防災機能を重視しようというのが、とりわけ今大きな課題だと思っています。森林の防災機能強化というのが大きな課題です。

 それから、鳥獣害のように動植物。これこそすみ分け。森林に住んでもらおうというような課題です。それから森林を楽しめるようなレクリエーションができる。国の法律は分かれてますが、その4つの機能を条例だと一本化できるので、国では一本化した森林、そういう4つの機能を一本化した森林管理制度というのはできないと思います。条例だと、各省の法律を利用して作ることができる。そういう考え方ですので、それを奈良県でつくって、紀伊半島の知事さんに同調していただけたらというふうに思って、3年ほど前からそんな提言をしております。今年の紀伊半島3県知事会議でもそのようなことを言って、我々のこの勉強の進捗を見守っていただいているというような感じです。スイスに一緒に勉強に行ったときも、和歌山、三重の職員が一緒についてきていただいておりますので、ドイツとスイスの森林の考え方を日本に導入しようということです。

読売新聞:
 以前から3県合同の条例にできないかというお話を確かされていたと思うのですが、一応状況としては、それがあって順調にいっているかなということですか。

知事:
 合同というのはちょっと言葉が過ぎたと思います。合同の条例ってなかなかないと思いますので、それぞれ同じ条例を出すか、似たような条例を出すかということだと思います。各県、県条例しかないと思いますので、紀伊半島条例という、それは国法になると思いますので、3県それぞれで出して、同じ目的で、あるいは合同の制度というのを、例えばフォレスター制度を同じようにすると共通化ができますので、フォレスターの利用を共同化・共通化ができますので、そのようなことができたらそれはそれでいいと思います。基盤となる条例はそれぞれということになると思います。

読売新聞:
 それに向けた進捗状況としては、進んできているという感じですね。

知事:
 勉強は、愛媛大学の村尾先生と、これは朝日新聞の書評で見つけた本ですが、日本の森林は木材栽培業だという書評で、その書評で本を買って村尾先生を発見して教えを請いに行って、愛媛から毎回来ていただいている。80歳を過ぎた方。ドイツのミュンヘン大学で学ばれて、ドイツに住んでおられた先生ですが、すごく意欲を持ってこの条例をうまくできないかということで教えていただいている。生駒に住んでいる田中さんという森林ジャーナリストがおられて、その人たちと一緒に議論させてもらい、とても楽しいです。啓発されます。それで良い条例の案ができたらと思っています。

 もともと空っぽだが、そういう人たちの波が来ると、やっぱりこのぐらいだんだん言えるようになってきた。また質問してくださいねって内心思ったりします。勉強が進むとそのように思う。それでも今みたいな段階までですけど、まだこれから詰めることはたくさんあります。

 森林環境税や譲与税を奈良県のこんな考え方で利用できないかなと。この際に条例にできないかと思います。森林環境税を、森林組合の年金代わりにしてはいけない、高齢化した森林組合の馬力アップに使わないといけないというふうに市町村を牽制している。その使い方の知恵というのも我が国には、とても大事です。

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地方制度調査会について

時事通信:
 国の地方制度調査会で、自治体の枠を超えて行政が連携する、圏域行政に関する議論が始まって、奈良県は先進的に奈良モデル等取り組んできた県だと思うんですが、知事としてこういった議論が始まってきたことに対する評価はどうですか。

知事:
 私は評価するほどの立場じゃないと思いますが、総務省で次官をされた佐藤文俊さんが暑中見舞いの中で、日本の課題がとても深刻になる2040年問題というほどではないけど、いろんな課題がある中での国の取り組みとして、奈良モデルが随分取り上げられてますよということを1行書いていただいていた。行政分野の課題という2040年課題が、今の地方制度調査会の下敷きになっていると思います。

 その中で圏域というのは、奈良モデルでやっているような、佐藤文俊さんが書いておられた言葉ですけど、「県と市町村の行政の柔軟化」というテーマで中央の役所の人が捉えているというのが一つ、その柔軟化の一つのやり方が奈良モデルであるように思います。

 圏域の話が出ますと、いつも思ってきたことですが、総務省は、特に中央の省庁は縦割りですよね。縦ロジック(論理)で動かれていると。地方は横ロジック、圏域ロジックがもともとあって、その圏域ロジックの土台が、圏域って奈良県の県のレベルと市町村のレベルと、上下に分けているような意味がありますが、圏域は一つだから、県の中に市町村があったりするわけですから横ロジックだと思うんですね。省庁は縦ロジックで、中央の地方制度調査会でも出ているように思いますが、各省庁ロジックでしか法律をつくらないと。それを柔軟化した地方行政ロジックで行政展開できないかという。全面的にはできないが、部分的にいろいろあると思います。その中で、いろんな分野が広がっていると思いますが、医療と介護の連携というのは、医療は県の介入が割と優勢で、介護は市町村の連携が激しいと。それを圏域として捉えて行政したらという法律が、厚労省の中で、厚労省も中は縦割りですが、そういう法律ができ始めたというのが一つの象徴ですね。

 福祉も実は縦割り、きょうの午後の県・市町村サミットでは、福祉の奈良モデルというテーマで会議をするんですが、福祉こそ本当にばらばらなんですね。市町村の中でもばらばら、それは国の組織、課、局がばらばらだから市町村もばらばら、そういう国柄なんですね。それを束ねて、私は焼き鳥屋と言っていますが、ばらばらのネタを串で刺して、奈良県のたれをつけておいしく食べてもらうというのが知事の仕事だと、こういう言い方しています。いい横串ロジックがあれば、すごくその地域はよくなると思っています。

 その縦ロジックと横ロジックをうまくまぜる知恵と、もう一つは、そのときに県と市町村という行政主体があります。条例をつくったり予算をつけたりするのも、議会があるのはそのレベルですけど、それが行政を柔軟化ということでうまく弾力的に、そういう分野は日本は得意なのと、ヨーロッパなんかはものすごくロジックもないぐらいに弾力化しているところもありますので、弾力化していい結果が出ればと思います。

 2040年の課題で地方制度調査会ができるのは、人口増のときの行政と、人口が減るときの行政とは全くそのやり方が違うということをすごく意識せないかんと思っています。経済もそうで、ダウンサイズ(規模縮小)の時代の経営ということですね。ダウンサイズになると皆、経営資源をシュリンクする(圧縮する、小さくする)んじゃなしに、違う知恵を働かさないかんのかなという感じがします。ダウンサイズであることは間違いない、ものすごく急激なダウンサイズですね、人口なんかは。そのときの知恵を出さないと惨めになるぞと本当に思います。

 奈良県は、市町村とこうやって現場の知恵でやり始め、どんどん現場優先でやるのが我々の役割ですので、多少の失敗はあってもそれがまた教訓になりますので、やろう、やろうというのが市町村サミットの原点ですが、きょうも福祉のサミットというのは奈良県でも初めてだし、全国でも初めてだと思いますが、県と市町村で福祉を合同でやろうという意欲です。高齢化してくると、ダウンサイズと高齢化というのは二重ですが、足ですね、地域交通というのも大きな課題になってきていると思います。地域交通は、国が縦割りでやっているのを地域で横割りでできるのかという、大きな課題だと思います。そんな課題はいろいろありますので、一つ一つ取り上げて行政の柔軟化ということを考えていかないかんなと思います。

時事通信:
 そのダウンサイズの人口減の時代、高齢化の時代の中で、行政の持つ柔軟化、それから圏域化ということの必要性ということについて、知事のお考えを聞いてもいいですか。

知事:
 圏域化とか柔軟化というのは手段ですので、人口減とか高齢化というのは待ったなしですので、どんな流儀でやるのかというのは、今まではドイツ流儀とかアメリカ流儀が戦後出てきてね、流儀をまねるのが日本の流儀だったんだけど、もうまねる場所がないから、世界に類のない高齢化、類のない人口減、急激人口減に襲われていますから、自分で知恵を出すしかないよと。どんな知恵であれチャレンジしないといけないので、後でしばらくたって、ああ、そういう知恵だったんだと言っていただいたり、言われることになると思います。

 何から始まったのかな、奈良モデルは。一番最初はあれですね、定期点検。道路等の安全性の定期点検をするのに、土木の職員がいない市町村が9町村あったんですね。みんな分権、分権で市町村にやらすばっかりで、町村の人は特に、お金は欲しいけど権限は要らないというのが顔に出てたので、もうそれならお金はあげて権限はこちらによこしてもらうと。それで定期点検は県が引き受けますよというようなことで引き受け始めたのが、奈良モデルのはじめだったと思います。現場の知恵だったと思いますが。

 それで結局、定期点検を各市町村でせないかんと、こう締めつけをしても、できないもんと、無言だけど。それを、じゃあ、県がかわりになって、権限移譲でなくても委託でもいいんですが、名目的な予算をいただいてやると。県は職員とか勢力は多少ありますので、定期点検がどんどん進んだと。安全計画もどんどん進んだと。その一緒にやる過程で市町村の職員もキャパシティが向上するという効果があったと。原点は、そういう定期点検だったと思いますが、そこから南和の病院の再統合というようないろんな例が出てきて、成功事例がいろいろ出てきたというような経験です。だから現場の知恵の積み重ねにすぎないわけですが、それが大きなダウンサイズの時代の知恵となる。

 その背景に、合併で乗り越えようという風潮がずっとありました。市町村の数を1,000にしようというのが国の中央から出て、今、1,700まで来たけど、西尾勝さん(第30次地方制度調査会会長)なんか、もう1,700でいいんじゃないかと言っておられますね。だから合併の機運がもう急速になくなってます。中央が合併合併と言っていたので合併がすごく進んだ県もありますが、奈良県は余り進まなかったと。いろんな事情がありますね。合併のメリットが目に見えなかったとか弊害とかも、新庄と葛城が争うとか、榛原と大宇陀が仲悪いとかね。市長がそういう地域あつれきで苦労されるというのがしばらくでおさまればいいんだけど、なかなか各地域とも、おらが村意識がやっぱり強いですからですね。やっぱり合併よりも連携化ということですね。柔軟化というのは、合併よりも連携というのが出てきたということだと思います。

 奈良県では、出てきたというか、そのように意識したということですね。一つのやり方ということですので、合併というやり方をやってきたけど、あるいは広域連合というやり方をやってきた、あるいは道州制という言い方もあったけど、今は連携とか柔軟化というふうにまた進んでいるように思います。

時事通信:
 そのような合併から連携というのが出てきた奈良県の現場の知恵、それを中央に提言というか、こんな知恵もあると物申していくというおつもりは今ありますか。

知事:
 中央に喧伝しようという気は本当にさらさらなくて、この現場をつくるのにも足元ばっかり見てたつもりなんですが、関西学院大学の小西砂千夫教授が、これを奈良モデルと呼んで、宣伝してあげるよとおっしゃったので、奈良モデルというのが喧伝されるようになってきたという経緯です。今もまだまだ現場の知恵を尽くして事例をつくるのが僕らの役目だと思いますので、どこかに行って宣伝するのは全く役目でないと思っています。知られて多少評価されるのは大変うれしいですが、評価される中でいろんな知恵が出てきて、現場をよくするのが僕らの仕事、言ってみればそれだけだと私は思っています。

 市町村長の役目もそれですよということを言いたいんですけどね。現場をよくするのが皆さんの役割でしょと言いたいんだけど、自主防災組織の全くないところや防災計画のないところには、早くつくってほしいですよねということを暗に言ってるんですけれど。

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鹿飛び出し注意ステッカーについて

NHK:
 奈良の鹿が交通事故で相次いで毎年亡くなるという問題があり、手っ取り早い対策として、奈良市が公用車99台に、車の後ろのガラスに鹿飛び出し注意という10センチ四方のステッカーを張る取り組みを始めましたが、県もやらないのですか。

知事:
 効果が実証されたらいたします。県もいろいろ取り組みしておりますが、先ほどその実効があれば、何でもまねするのに特許要らないし、パクリは幾らでもできます。どこであっても、効果があるかどうか、それだけだと思います。

NHK:
 効果があるのを見きわめる手法もなかなか難しくて、そんな中で鹿が毎年死んでしまうというので、奈良市の場合は愛護会からステッカーを寄贈されたとのことです。だからお金はあまりかかっておりませんが、少なくともそれを町中の人が見れば、「ああ、こういう問題があるんだな」という効果があるかもしれないというところです。

知事:
 知る効果と、鹿が死なない効果とは別でないかと思います。

NHK:
 あんまりぱっと見たところ、知事はいいなという感じはしなかったということでしょうか。

知事:
 ステッカーを貼るとこういう効果があると、調べて報道してください。もう報道待ってますよ。お金の多寡ではないです。

 先ほどの質問のように、ファッションで売るつもりはないし、現実主義ですから、いいことであれば率先してします。多少、言い返しているみたいになりますが、生駒がやっても、宇陀がやっても、どこがやっても効果があればまねします。

 今、こんなのでもまねしたらと、もしおっしゃるのなら、いや、効果がないのにあんまりまねしても、同じことやってますという言いわけにすぎないかもしれません。

 役所がよくやるのは、「こんなにやっているのに鹿死んじゃうんです」という言いわけに使うのはとても嫌なんです。

司会:
 そのほか、ご質問よろしいでしょうか。
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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