平成31年1月16日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、ギメ東洋博物館での「古都奈良の祈り」展開幕について知事から発表していただきます。
 よろしくお願いいたします。


パリ・ギメ東洋博物館での「古都奈良の祈り」展開幕
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 もうギメの展示については大分報道がされてますが、この1月23日からということで近づいてきましたので、改めてご報告させていただく次第です。

 1月23日から、「古都奈良の祈り」ということで、フランスのギメ、東洋系の美術品の展示では世界一でございますが、そこでまず興福寺の国宝2体、重文1体が展示されることになります。

 もとは奈良の仏像を海外に展示しようという発案をして検討しておりましたが、フランスについては安倍総理のジャポニスム2018の一環になったわけでございます。しかし、奈良県が最初にジャポニスム以前にこういうことをしたいということを言っておりましたので、総理にも言ったきっかけがありますが、奈良県やってくれるのは、それでありがとうということでございました。

 ジャポニスムは、河瀨直美さんや、春日若宮おん祭の企画にむしろ力を入れてくれまして、この「古都奈良の祈り」展は、補助もいただいておりますが、奈良県が力を入れて出展するという経緯のまま至ったものでございます。発案はジャポニスムより先だったわけでということを、ちょっと経緯をご紹介していることになります。

 このような展示が、過去に世親、無著が行ったのかな、大変展示で好評だった面があります。フランスは割とこういう精神的な造形には関心が深いので、どのような反応があるのか楽しみにしております。ギメのようなものがパリにある自身が、やっぱり関心が深いという一つであります。そしてどのような反応があるのか楽しみにしております。このような大変奥深い精神性のある仏像が奈良にありますよということをわかってもらえたらというふうに思っております。私からは、以上でございます。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に関するご質問をお願いいたします。よろしくお願いします。

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質疑応答

パリ・ギメ東洋博物館での「古都奈良の祈り」展開幕

奈良新聞:
 その奥深さというのをどういうふうに発信するのか、その発信の仕方を教えてください。

知事:
 奥深さをどのように報道されますか、お聞きしたいですが。発信の仕方を言うだけかな。

 どんなふうに奥深さを感じるでしょう。私なりに感じているとこはありますが、奈良地域として発信するというほどの奥深さのレベルまで行っているかどうかというご質問も入っているかもしれないから、大変重要なポイントだと思うので、どんなふうに奥深さを。奈良新聞だもん、やっぱり何か言ってくれないと。

奈良新聞:
 基本、やっぱり歴史ですよね、歴史とその背景でしょうか。

 ちらっとは聞いたんですけど、今回この3体出てて、これがどういうふうに伝わってきたのかというのと、あと何かギリシャ神話にでも出てくるようなものと何か似通ったものがあるとか、そういうところぐらいしか思い浮かばないです
知事:
 奥深さの歴史。いや、参考になりました。

 奈良の奥深さは確立した、僕の見方だから、県庁のそんなんあるかと言われたらちょっと心もとない面もございます。

 先日パリで春日若宮おん祭を披露した会場の奈良県ブースで掲げていたフランス語のポスターを今、日本橋の三越の前で掲げております。「(Escapade Spirituelle)エスカペード・スピリチュエル・ナラ」と、この写真が春日若宮おん祭を披露した会場の奈良県のブースにおいて、小さなブースだけど上のほうに掲げてあって、とってもいい感じで、これ受けてるんじゃないのと言ったら、受けてるというふうに聞いたもんだから、このような受け方をするんだなと思いました。これと(ポスター)下の仏像は一緒だったかちょっと忘れたけど、それと同じように並んで感じる、感じてるのかなと思いました。

 (記者会見場の)このポスター、割と秀逸なポスターと思いました。その横の奈良、中国とか大仏と、オールド・ニューもなかなかいいですが、いちばん右のポスターの公園になると京都と奈良はあまり変わりませんね。

 この(ポスターの)真ん中の「エスカペード・スピリチュエル」というのは、奈良らしい雰囲気がすごく出ています。奈良の奥深さというのはこういうことだというふうに、それが仏像に体化されてますよと一つ展示できるような面もあります。

 ですから、エスカペードとは、散歩とかプロムナードとか、そういう意味らしいです。精神的なスピリチュエルな散策というようなことを言葉で展示するとすごく反応がよかったように聞いてます。それも相手の反応を見てというよりも、フランスの人が文化財の本質を見る、見抜く力もあるから、外に出すとそういう示唆をいただくこともあるからというのが展示の目的でもあります。

 じゃあ自分でわかんないのかと言われると、いや、正直わかりませんというふうに言ったほうが近いのかもしれません。

 奈良にある文化財は何か本当に、不思議な経緯で奈良に置かれてるという面もございます。時代の流れの中でたまたま保存力がすぐれた奈良で保存をしました。

 しかし、本質を見抜く力が保存者にあるかどうかというのは、これまたあやしいところです。お寺の住職さんにその持っている仏像の美術的な意味も含めて解釈力があるかというと、その仏像は毎日拝んでおられるにしても、ほかの千とある、万とある仏像の中で、この仏像は美術的にすごい意味があるというふうに解釈される住職さんは少ないと正直思います。それは美術家が美術的な意味でいろいろ言ってくれないとわからない面もあろうかと思います。

 だから奥深さというのは美術的な意味もあるし、宗教になると、これちょっとあやしい、いろんな見方があるからですね。

 だから、奈良の鹿のこういう光景を見るとすごくスピリチュエルな地域でしょうと感じます。仏像もそれを造形であらわしたものですよということをこのポスターは言っているような感じで、そうかと思われているところもございます。それも一つの表現の仕方と思い、このポスターは日本橋に大きく掲げています。

 今、奈良の本質を表象する一つの発信ということで、パリの反応を見て、フランス語でまほろば館に掲げています。どのような反応なのかちょっとわかりません。ただそうやって発信を探りながら、その奥深さを押しつけるわけにいかないから、このように思ってますよとは言えますけれどということで、その程度のレベルですので、また教えてください。

奈良新聞:
 この美術館(ギメ)へ行ったことがないので、この展示会場、図書室で展示ということですが、レイアウト的にこの3体だけ、どのようなイメージで展示されているのでしょうか。

知事:
 何か入り口に図書室みたいなのがあって、その真ん中で、飾り台をつくって飾っていただくということを聞いております。

読売新聞:
 本に囲まれてですか。

知事:
 本はね、真ん中にホールみたいなのがあって、その周りが図書室になっているような仕組みの、古いタイプの建物です。そこの真ん中に入ると小さなドームでホールがあって、その周りが図書室、収集された文庫もあるということだと思います。その真ん中で3体、その美術館の中心地に飾っていただけると聞いています。

 だから、そのギメのコンセプトは、ジャポニスムとも通じる面があるけども、東洋のいろいろ文化というのは割とちょっと変わったとこがある、奥深いとこがあると、みんなヨーロッパの人は、ヨーロッパ至上主義みたいに思って19世紀世界に、16世紀ぐらいからずっとそうだけども、不況と中心主義が並行してたんだけど、19世紀になって日本を発見して、異質の文化で割と高度な文化があると思い始めたのが、特にフランス人のこういう探検家あるいは収集家だったと思います。それは日本にとっては誇らしいことであると思います。中国もものすごいことがあります。今はものすごく発見され始めておると思いますが、それがその当時うまく発見されたかはどうでしょう。(フランス人が)それの収集を(行ったために)、だから日本のものが随分流れておりました。19世紀は廃仏毀釈があったから、日本の美術品はどんどんボストンとかギメ、大英に流れていったという経緯があります。残念なことですけれども、それは本当に大事だと思っていれば手放さなかったはずでした。しかし残念ながらその財政的な困窮で海外流出したと思いますけど、それが向こうのほうのヨーロッパ以外の文化というのに目覚める時期であったので、ギメにあったというような歴史があると思います。

毎日新聞:
 関連して3つほどお伺いします。まず数値目標的な部分で、「古都奈良の祈り」展の来館者数の何か目標とか見立てみたいなのがあれば教えてください。

 それからもう一つ、予算的な部分です。補助金をいただいてとおっしゃったんで、国の補助金をいただいてされる部分もあると思います。そこで予算規模を教えていただきたいのと、あとギメにおける奈良の観光PRも何かされると思いますが、そこら辺をどうフランスの人たちに奈良のよさをPRしていくのかお教えください。

知事:
 これでどのくらいかちょっとわかりませんが、5万人ぐらいも来ればというふうにもくろんでおられるように聞いてます。ただしどのように数えるのか、ギメは割と魅力のあるところですから、そのぐらいだと聞いています。人気が出たかどうかちょっとわからない、そういう一つのメルクマールと思います。

 それから、予算は、29年度、30年度に、その「古都奈良の祈り」で、合わせて1億5,500万を県の予算として確保しております。その中で6,400万が地方創生交付金であります。県交流基金からの繰り入れが8,000万ほどあります。あと一般財源が550万です。だから県の基金というのを除きますと、一般財源が1億5,500万の予算のうち550万になります。県の国際交流基金からの繰り入れが8,000万ありますが、これも県の財源になると思います。だからおおむね半分かなと、こういうふうに見えますが、計算すると割合は出ると思います。内訳は、そのようなことでございます。

 観光PRもすると聞いております。祈り展のPRや、奈良のプロモーションをしていただくことになっております。一度聞いたことがあるんだけど、具体的には、また報告いたします。

毎日新聞:
 5万人ぐらいというのは、県の目標というふうに理解していいんですか。

知事:
 単なる計算だと思います。目標達成できないとおかしいという見方をする人もいるけど、そういうふうな見方はいたしません。

 今は、この目標を指示といいますか、見込みですね。見込みは鎌倉彫刻展での1日平均入場者がありますので、どういう計算で5万人としたんだっけ、またちょっと説明してあげてください。計算でこのようになるでしょうという予測はしていると聞いております。目標になるとさ、働きかけて確保するとかさ、売り上げがあるとそうだけど、そういうものでもありません。

 計算したのは、こういう計算をしましたという程度です。

 目標値という質問ですので、正確に返事いたしますが、目標の入場者数はありません。計算をしたことはありますということを紹介しました。目標はありません。

 この計算の仕方を見ると、多ければ多いほどがいいですというぐらいです。目標となると、何かこう有料になると目標立てないと経理に影響しますが、これはそういうものでもございません。ほかの、例えばこの計算の仕方は、計算というかね、前の鎌倉展をしたときよりも多かったとか、そういう比較はできます。また人気があったとかなかったとか、それはどういうことかというのは後で報告できると思います。そのように、だから目標はありませんと言っておきます。

時事通信:
 ちょっと確認というか、振り返りですが、この海外に仏像を持っていかれるというお話、たしか知事のご発案だったと思いますが、どういうきっかけと、それから考え方、アイデアで思いつかれたのか、発想をされたということを伺えますか。

知事:
 思いついて口にしたのは私です。当時は言葉では、奈良の仏像、世界をめぐる、みたいにできないかと、こう思って周りに相談いたしました。

 世界をめぐると、その後でわかりましたが、国宝級の美術展は60日ルールというのがありまして、60日以外所有者のもとを、親元を離れてはいかんと、こういうルールが文化庁であるということがわかりました。書物のように崩れやすいものも崩れないものも60日かといって、それはおかしいじゃないかということまで思いついて、官房長官のとこまで直訴に行ったり、文化庁と交渉したりして、法律の60日ルールが変わったという、その経緯はあります。それは思いついて、その60日ルールがあるということが発見というかね、それじゃいけないんじゃないかということで、そういう経緯はあります。

 その思いついたもとは、日本の美術品、こうやって残されているのがありますが、結局岡倉天心が東京美術学校で外れ者になって奈良に傷心の思いで来て、奈良の仏像はいいよとか、フェノロサと一緒に来て、フェノロサもどっかで外れてしまって日本に来て、日本はいいよと、こういったような経緯で、そういう目で発見されてきました。発見されてその値打ちを感じてたらボストンに出さなきゃいいのにと、こう今となっては思いますが、国の応援がないと、あるいは為政者の応援がないと美術品は流動してしまうというのが美術品の運命です。

 ただ、日本は宗教の、神がかっているから、神様の体化のように思うから、捨てたり、壊れなかったり、焼いたりはされなかったというようないい国であるように思います。それがたまたま奈良に古いものが残っているということはとても奈良の値打ちそのものでありますので、奈良を発信する、もちろん発見されていただくという活動も大事かと私は思います。

 そのために、発見させていただくためにも展示をして、吟味を見立ててほしいと思います。

 すると今のギリシャ・ローマの美術品とか、大英とかギメとか、そういう専門家のレベルの高い人がわんさとおられますので、これはすごいとかね、イタリアにもおられますので、世親、無著が出たときはミケランジェロよりすごいと、こういう評価があったとも聞いてます。というのは、ミケランジェロは造形の表現はすごいんだけど精神性がなかったと、向こうの人の言葉ではそう言っておられたとききました。

 日本は仏像一つ、一彫りするのに100回お経を言うとか、そういう言い伝えがあるぐらいだから、魂込めて仏像を彫るというようなことがあったと言われ、それが表現になってるかどうかは精神性がこもっているかどうかは向こうのご判断にもなるし、我々の判断でそうできるのかどうかというのもあります。

 数値でわかればあれだけど、思いはその本質かどうかというのとまたちょっと違う面があります。大きな文化財はいろんな人の目を通して発見されるというふうにも思うとこがありますので、世界を旅するのはいいことかというふうに発想のもとはそういうことであります。しかし、そういう発想が、文化財行政は国が中心なんで、国しかやらないという国の調査官中心行政でありました。しかし地方でも文化財行政というのはあるよということが、国の法律も変わってきて、県庁でも文化財行政、保存行政をやってもいいよというとこまで来ました。地方の見立て、地方の交流というのもできるようになっているというご時世もあろうかというふうに思います。経緯はそういうことであります。

司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問は、この案件に関してありませんでしょうか。
 それでは、その他の案件も含めましてご質問ございましたら、よろしくお願いいたします。

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万葉文化館の今後について

奈良新聞:
 県立万葉文化館の件で、今年3月に友の会を解散されると。入館者数も鈍っている状態で、今後どのような運営をするのか。併せて、毎年運営費として予算もかかっているのをどうするのか、教えてください。

知事:
 奈良新聞にて報道があったので、それを踏まえて、これまでの経緯を。私が知事になって最初に理事会のメンバーになりました。(当時は)県が保有している施設の指定管理者として中西進さんが持っていた団体(=財団法人奈良県万葉文化振興財団)が運営をされていました。その理事会に指定管理委託者として僕は出席しました。そこで、日本画の展示で絹谷幸二さん(=日本の洋画家)が出るのはおかしいんじゃないかという議論があって、展示方針はこういう議論をされてるんだと思い、万葉文化館というのは要は美術館かと思って帰った経緯があります。指定管理をしているから、その運営を任せていたんですが、その後、指定管理でやっていると偏ってしまうということだったのかもしれないけど、詳細に覚えてませんが、直営にして持ち直そうとしたというのが、指定管理制度をやめて直営にした経緯です。

 それが今まで続いているので、その友の会には指定管理のときから補助金を出していたんですが、友の会というのは、館の運営の方針が美術館の方針なのか、万葉文化館とはどういうコンセプトかという点はまだ議論が残っているようには思いますが、それはともかくとして、せっかく建てた館ですから、館の運営はまた考えないかんと、報道を見て思い直しております。

 したがって、館の運営をどのように持ち運ぶのか、もう一回練り直すというか、方針を決める会合を多少広く検討体制をつくってやりたい。万葉文化館は幅広いような気もしますので、どのような開催方針にすればいいのかを有識者に来てもらって議論してもらおうかなと、奈良新聞の記事をきっかけに思い始めています。思い始めているという程度で、まだスタートしていませんが、近々万葉文化館の「今後のあり方検討委員会」のようなことを発足できたらと今は思っています。その方向というのは、友の会のことも含めてね、どのような人に支えられるといいのかということを議論してもらえばいいと思います。

 類似の議論は、今度名前が変わりますが、天理の国際芸術家村であのレベルの有識者にもう何年も議論してもらってきたので、万葉文化館も多少そういう人を集めてどんなふうにすればいいか議論してもらったらいいのかなと。今の時点では私、思っています。それは4月以降の話になるのかなと思いますので、今日の時点では、そのような意向を持つに至っていますというご報告にさせていただきたいと思います。奈良新聞の記事をきっかけに、考えのスイッチが入れられたと思います。

奈良新聞:
 完全に有識者会議という県の諮問の形で。

知事:
 そうですね、そんな感じかもしれません。まだ事務的に指示を具体的にしていませんので、記事を見て何か考えないかんなと思い始めてちょっと時間が経っていますので、そのようなところに心境が至っているというご報告ですが、有識者会議みたいなものですね。そういう例はありますし、いろんな有識者に来てもらって館の活性化にもつながると思います。あれだけのものですので、やっぱり値打ちを上げないかんと。明日香にできているのでね。有識者の中には、広い立場からいろいろ言ってくださる人がおられるのはわかってきているので、いい人を集めて議論してもらえたらと思います。

奈良新聞:
 立地条件の悪さ、交通アクセスが悪いという面もありますが、それも含めて検討されると。

知事:
 うん、立地からするとね、アクセスもあるし、国の飛鳥資料館や橿原市昆虫館があるんだよね。国と県と市の施設がテーマを別にしてある。アクセスというのは駅からアクセスかというのと、森川村長があのあたりを「明日香まるごと博物館」と言っておられるので、そのまるごと博物館の一環となるように楽しめるというコンセプトもあろうかと。これはこちらで勝手に万葉文化館だけの話ではないので、地域と親和性のある、アクセスも含めてということになると思いますけどね。明日香は散策がわりと有名ですが、散策しても歴史が皆わかるわけじゃないから、わかるように散策するというのはどういうことかということもあると思うんですよね。歴史的な人も入ってくるかもしれません。すると、世界遺産の登録とどう結びつけるかという議論が出ようかと思いますが、そういう議論を一度しとかないといけないかなと。多少は思ってたんだけど、やはりああいう記事で書かれたのは何か意味があるのかなと思って受けとめています。

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外国人観光客に対する奈良の観光力向上について

時事通信:
 外国人観光客の受け入れについて、4月から外国人労働者の解禁も始まり、消費税増税に絡んでクレジットカード等のキャッシュレス決済の対応がある程度必要かと思います。特に奈良、この周辺は観光街ですし、キャッシュレスが進んでいる中国の観光客もたくさん来るし、そのあたりを中心に、来年度、外国人観光客の受け入れ体制をどのように整備されていくか、お考えはありますか。

知事:
 総じてインバウンドがこれだけ増えてきていますので、インバウンドの人は、旅行や生活の流儀が違っていることが多いですよね、食事もそうだし。今まで宿泊にはホテルという概念ができたから、ホテルはもうユニバーサルスタンダード(=世界標準)になっていますね。ホテルといえば、部屋にベッドがあって、トイレがあってというふうに標準スタンダードがあって、だから畳に泊まるというのはホテルの概念からちょっとトラディショナル(=旧式)に戻ります。それも一つの売りではありますが、世界の旅行者は、やっぱりホテルというのは、何々ホテルというのが一つの概念になっていると思います。そのほかの流儀として、決済が日本人と特に違います。日本人は現金好きですが、向こうは「現金なんかどうして持っているの」と言われるように、カードになってきているので、来るお客さんに合わせた環境づくりをせないかんというのは、奈良だけじゃないと思いますが、奈良が遅れていることは確かですので、必死で観光客のアメニティ(=快適性)を追っかけて、慣用整備しようということです。

 その中で、決済、Wi-Fi、それから安全性だけは誇れると思うんです。それから景観も誇れると思いますが、奈良の場合、駅前景観は良くないですのでちょっと改善したいなと思います。ほかの公園になるととてもいいので、誇れる景観もあるとは思います。そのようなアメニティーのレベルをなるべく客観的に判断して改善しなきゃいけない。その中には、決済とか案内とかいろんな要素が入ってくると思います。まだまだせないかんところは残っているように思っています。

 美術館とか吉城園は外国人無料ということをやり出して、結構来られてるんですよね。やはり県の観光のモデルの一つは、社寺を繁栄させる、社寺に参るという、社寺の美術品を、大仏も美術品だと見られる方もおられますが、いろんな仏像を見る、美術館に入るように見られるというのもありますが、観光の動向としてそればっかりだと飽きてしまうんだよね、観光の人は。

 だから美術館でもそればっかり、ルーブルに一日いるともうくらくらになってしまうのが普通ですから、まちに出て公園を見て、おいしいものを食べて、またルーブルに戻るというのが普通の人間の欲求です。奈良も仏像ばっかり見てたら、奈良漬けみたいに仏像漬けというのがあるんだけど、外に出てまちを散策したり、おいしいものを食べたりというのが普通の旅行者の欲求だと思いますので、その環境整備が必要かと思います。アメニティーということにもなると思いますが。そうしますと、仏像を見る、あるいは歴史を知る、奥深さを知るきっかけが、よりゆったりとした気持ちで味わっていただけると思いますので、そのような環境をつくっていきたいなと思います。

時事通信:
 そのあたり、キャッシュレス、景観、アメニティー含めて、具体的なアイデアは今のところお考えはないですか。

知事:
 うん、アメニティーはいろいろあるんだけども、来られる、移動されるという要素でしたら、6Aとか言ってますけど、旅行業者の言葉で「あご・足・枕」という言葉がありました。あごは食事ですね、足はアクセス、枕は宿泊というような言い方が業界言葉でありましたが、Aをみんなつけて、枕はアコモデーション(Acommodation)、食べ物がアパタイト(Appetite)、移動はアクセス(Access)、仏像等の魅力はアトラクション(Attraction)、イベントみたいなものはアミューズメント(Amusement)、それから買い物の魅力もありますので、フランスのリゾートは世界のブランドがカンヌとかニース等、夏の間は大きな店が向こうに行っちゃうんですね。金持ちがそこに来るからということなんですけども、そういうものも含めて買い物というのは伝統、その地域の。

 この間、リチャード・ボールドウィン(=経済学者。ジュネーブ高等国際問題開発研究所国際経済学教授)が来た。地域の経済はクラフト経済ということ、クラフトビールのかわりにクラフト工芸品を出せよと、こういうことをリチャード・ボールドウィンは言いましたけども、そういうのも含めて、お土産という概念を超えた買い物と、それはアシャ(Achat)というフランス語を使って、皆Aをつけるのにこだわって、シックス・エーズということをずっと言ってきたことがありますが、じゃあ奈良は何が欠けているのかと。あご・足・枕、みんな欠けていましたね。食事、宿泊、アクセスが悪い。アトラクションの中に景観もありますが、それはすぐれていた。それでこれだけ観光客が来てくださっていると。最初のあご・足・枕が、観光の基本要素が欠けていたように思います。それに力を入れてきたと。

 アトラクションを楽しむための環境とは、奈良に一番必要なことです。文化財というアトラクションはすごく値打ちの高いものですので、今回のギメや、そのほかに行ってアトラクションの値打ちの高さは確認できると思いますが、来てもらったときのアメニティーの高さは、これから順次改善していかなきゃいけないという課題はまだ残っていると思います。

 そうしますと、そのアトラクションの中でスピリチュエルなアトラクションということに、また私は基本コンセプトはなると思うんですけども、エスカペード・スピリチュエルというのは奈良の基本コンセプトのように自分としては思うわけですが、それを楽しむためにはゆっくり滞在してもらうと。「滞在型にして金を落とせ」というような観光地じゃみっともないと私は思うんですが、スピリチュエルな気分になって帰ってもらえばいいよと。それが滞在の長さにつながるんだと。金を落とさなくていいよと、もし落とされるなら社寺に落としてもらったらいいよと。神様に落とされるのがいいよというのが奈良県観光行政の基本だと、私としては思っています。それは社寺が繁栄する、また社寺の環境整備をされる元手になると思っています。それを各地で展開してきて、そこそこうまくいってる地域も出てきてると思います。そのような考え方で奈良観光を進めているつもりです。

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パリ・ギメ東洋博物館での「古都奈良の祈り」展開幕

奈良新聞:
 世界をめぐる奈良、今回はこれがギメで終わった後、次回以降の展開というか、以前にデジタル画像での発信なんかもおっしゃっていたと思いますが、そういうことも含めて、この最初を起点に、外国へまた出そうかとか、何か次の段階は。

知事:
 県の主催でさせていただいて、調整がありましたが、興福寺に出していただいて、秋には大英博物館に出ます。まだ確定しておりませんが、大英に出るのは今の予定では20体ぐらいと想定しています。大英はとても熱心になっていただいています。大英には三菱と朝日新聞のギャラリーがあって、それを全面的に使わせていただくとも聞いています。

 大英はえらく力が入って、戦前につくられたすごく立派な金堂壁画の複写、模写を大英が持っているので、今まで秘蔵でもないけど、掲げるきっかけがなかったのが出してもらえるんじゃないかという話も伝わってきています。これだけ奈良のものが行くのと、蔵に置いてあった金堂壁画の模写と、これ自身がすごいことかなと。返せとは言わないけど、奈良に見せに来てほしいと思うぐらいなんで、法隆寺の中にもう一回掲げると、模写だけどすごいなと。こんなのが壁画だったのかというふうな、我々も焼けた後は見ておりますが焼ける前のことは知りませんので、そんな美術品への思いは世界中のものだと思いますので、奈良の持っている古い値打ちものが出ることで、いろんな世界の古い美術品が刺激されて出てきてくれるのかなという思いもあります。

 奈良の仏像が世界をめぐる、思いついたときに電話したのが朝日新聞の大阪編集局長をしてた田仲拓二さんという社会部長をした人、たまたま電話をかけるきっかけがあって、そのときに叫んでしまったですね。去年、年賀状にあれどうなりましたかっていう年賀状でいただくぐらいで、まだちゃんと報告をしていませんが、そんなふうに思いついたときに田仲拓二さんに、もう退職されて白神山地を家内と歩いているんだというんで後でかかってきたんだけど、そんなことを言うきっかけになりました。

 思いつきがこのように形になって、ギメと大英の様子を見ながら次の社寺のね、そんなことだったらうちも出せないかと、こう言っていただくことにもしなれば、県は予算をつけてでもやりますよと。県で予算をつけて海外出展するのは珍しいことらしいんですが、それは60日ルールがあったり文化庁がうるさく言ってきたからかなと、ちょっとひねくれて思いますが、県の予算で日本の文化財が海外展示ということのきっかけになれば、それも一つの大きな発信源だと思います。

 日本からの発信は、美術品の保存力がわりと強いですよということを発信できるきっかけにはなると思っています。奈良は保存力はとても強い。値打ちはわからんでも保存してたと言われるぐらいだから、値打ちは外で教えてくださいという言い方、発見させてもらいに来ましたというような言い方も別に恥ずかしくはないと思います。今後もそういう機会があれば、きっかけがあればと今の時点では思います。

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高原トンネルの通行止め

NHK:
 川上村の高原トンネルですけど、1月11日から、前に会見で知事がおっしゃっていた、定時通行が始まったようで、それが公表されていないので、もうちょっと丁寧に知らせて欲しいなと思っておりますが、今後の見通しを教えてください。

知事:
 高原トンネルは、専門家の調査団が2月になるかな、間もなくもう一度来ていただきます。通行解除にするコンセプトは、出口の亀裂が入っていて、それが上まで入っている。その出口側に近い側だとぼこぼこ、こちらはかんかんということで、これが剥離しないかということが災害の発生の意見のパターンでありますので、対処として、この中にフードをかぶせるしかないかと見立てております。建設の発注等工事は最速でやるように聞いております。

 それともう一つは、準備は既にしておりますが、それでいいのかという再確認を専門家にしてもらうと聞いております。それは2月の初めか1月の暮れか、高原トンネルの工事は安全対策検討委員会という専門家の意見を踏まえてやっておりますが、この亀裂が広がるとかというので、あるいはぼこぼこが広がることで剥離のリスクが高まるということで、計測をしないといけない、計測を続けるということと、落下を防止する内側のフードをつくろうと、この2つをやると思います。計測は22カ所に計器を設置をするということで、したかな。計測を開始しました。変動の計測のボーリングを実施していますということ、原因調査になります。

 あとは、工事の発注はこれでいいのかということが、最終的に専門家に、前回来ていただいたような方に確認して工事を発注するという段取り。このフードをかぶせるのに二、三カ月かかるということになりますので、高原トンネルは県が管理者ですので、やっぱり心配なのでということで、それが1つと、もう一つ迂回路、行ってみたら前はストップになった場合で、次は10分後だというと、時間計量してこちらからは10分単位で、10分に来ると出ると。1分に来ると9分待たないといけないというようなことを掲示するようにということで、それがストレス緩和ということでありますけれども、何かそれをしてもらっているように思います。

 それから、川上村の宿泊施設とか、中に直進してストップのところは、真っすぐ行けるような工夫をしてもらったということで、その奥のアクセスは大分よくなったと聞いております。迂回路の定時片側通行と夜間の照明というようなことを、もう1月11日より開始した。迂回路の便利性向上は開始したと報告を受けています。その迂回路のストレス解消あるいは安全性向上についてはもう進んでおります。それから、中の工事は計測はもう始めていますが、中の落下防止をかぶせるのに最終的な確認をして発注しますという一応段取りまでしている、と報告しています。

 それから、もう一つ大きなものは、白屋の昔ダムに土が落ちたところの地帯なので、その山の土が地すべりを起こして、それがトンネルの外の土の引きずりにつながっているんじゃないか、これは大きなことになるんで、それを防ぐにはすごい大きな工事が要るので、これは道路管理を任された県の責任を超えるんじゃないか。ダムの白屋の地すべりという、ダムの地すべりか、白屋の地すべり、これちょっと議論のあるところですが、国が白屋の地すべり対策で200億以上の事業をしていただいたので、調べることからその防止の策から実行まで国ができないかということを、こちらからお願いに行ってるということろであります。その3つです。迂回路の改善、中の安全性確保、大きなことでは白屋の土砂が流動するのを調べてもらう。迂回のほうは県がそうやって改善しました。中はもう工事発注直前というように報告していいと思います。それから、上の土砂の動きは国と調整中ということです。

NHK:
 再び普通に通れるようになるのは、少なくとも3月以降ですか。

知事:
 二、三カ月かかると思います。

 そうですね、連休前にできるかどうかということになると思います。それは地元にはそういう状況で、すぐにでも行けると思っておられたところがある。いや、こういうことだから、ぼこぼこたたくと怖いですよね、かんかんというのとぼこぼこいうのと、音を聞くとやっぱり怖い。行かれますか、こんこんと。

NHK:
 場合によっては参ります。

知事:
 調整します。そういうことなので現物見ながらどうだこうだということを見てもらうということも一つの報道体制かもしれません。

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県有施設の耐震化

NHK:
 前の知事定例記者会見でおっしゃっていた県有施設の耐震化で、緊急性がどうかということの精査の状況が今どうなってるか。

知事:
 県有施設の耐震性は、ほかに耐震性の低いものがあるのは承知しておりますので、例えばこの文化会館について前にも言ったかと思いますが、一つは耐震性が低いのはどのように危ないのかということを、うまく言えないかという課題があったと思います。Is値というのは震度とどう関係するのかと何度も聞かれ、私もよくわからないのですが、そのようなこともあったし、体系的に勉強して報告しないといけないと職員に指示を始めております。今の段階での具体的な指示の実行状況ということでございますけれども、Is値の低い建物があることはわかっておりますので、それを一挙にということは難しいので、順番を決めて改善するという方策をとるしかないということで、どのようにそうするのかということの検討が、県有施設の耐震性向上検討チームのようなものを庁内で作るという方向で今、作業が進んでいるという報告を受けております。

 まだ県庁内の中のチームでありますけれども、県有施設の安全性は県自身が責任を持ってやらなければいけないので、その検討チームの中には第三者のアドバイザーとして参加してもらうという形を考えているようでございます。それは適切かと思いますが、地震工学系の人や建築工学系の人など、どのように危ないのかということを教えてもらうということをその検討チームの中で教えていただく。その方向として、県有施設で利用者の区分からすると、特養のように県有では直接持っておりませんが、学校や利用者の区分でいくと、学校のように子供が利用される、文化会館のように不特定多数が利用される、また養護学校のように社会的弱者が利用される、これは民間の場合も多いですけれども。県では、養護学校のようなケースが、その利用者で少しケアが要るかもしれないというような分類がある。Is値が低いほうと、利用者がそういう不特定多数であったり、弱者であるというのは優先度を高くしないといけないという思考で整理しようと。県庁内の事前検討では、そのようにされていると報告を受けています。

 このような場でご質問があるとそれを受けて、その前に私、こういうふうに進めたらどうかという示唆をすることが多いですので、それを受けてまた報告を受けるというパターンになって、今日の時点では、そのような検討をしようということです。Is値が大変低いところもありますので、例えば文化会館などですけれども、建て替えの検討を数年前、随分行い、そのパースまで出来ていて、ここの美術館と一緒の文化施設にしようという構想だったので、こちらの婦人会館を撤去して、そこにもアネックスをつくろうかと。バスの入り口を文化会館、どういうわけか駐機場がない。美術館に今上陛下が来ていただいたが、車寄せがないので、あそこまで乗るのに、道端にとめないでちょっと台をつけて車を乗り込んでいただいたと思う。車寄せのない美術館なので、車寄せを美術館の裏につくろうかという構想で検討は進んでいた。文化財の発掘をやって興福寺の窯が出てきて、それをどうしようかと。まだ少し発掘が続くので、予算もあるが、すぐに踏み切れない一つの理由になっている。それを早く片づけて、この耐震の観点からここは一番低いというようなことが比較で、これは低そうだと思っていたが相当低いということが耐震の流れの中でより鮮明にわかってきたということは確かなので、先ほどの観点からいうと、予算もあるが、優先度は高いぞというふうに担当が判断し始めているように、ファシリティマネジメントの観点の判断です。

 美術館のアネックスの整備と、こちらで耐震改修というので約200億円かかるという報告を少し前に受けて、大変だなと終わっていた。ここの文化会館の中の改修をしたことあるが、そのときに耐震改修もすればよかったなと、そのときもここは残念だったなという報告を受けたことがあります。しかし、このような地震が頻発することを受けてのことだから、耐震改修して、その全体で改善しようという案なので、とてもいい案だと思いますが、こちらの発掘と予算ということで段取りをつけなくてはいけない。

 緊急性の高い建物のようだというふうに今の検討では報告を受けていますので、その体系化をするのに耐震化推進検討、ネーミングがまだ何も決まっていませんが、そのように県庁内でアドバイスを受けて、方針を検討していこうという体制まで整ってきましたと報告を受けています。それは県有施設全体の話になりますが、洗い出しということをしていきたいと思っています。

NHK:
 文化財のことも多分ありますし、予算のこともあるでしょうけど、今現在、文化会館ではものすごい人が利用されている。結構冷や冷やして思われているというところもあるのですか。

知事:
 どうすればいいのかな。それも含めた、そういう耐震性の低いのは、全国にもそうたくさんないかもしれないが、あるのをどのように考えればいいか。それこそ皆さんに聞きながら、どうすればいいでしょうかということです。県有施設で職員が使ってて耐震性の低いものがあるが、例えば知事公舎は耐震性ゼロではないか。しかし、柿本前知事の言葉だと、ここは耐震改修しなくていいよとおっしゃっていた。それを引き継いで耐震改修をしなかった。あそこで死んでも老人二人死ぬだけだと柿本前知事がおっしゃって、なるほどその言葉を引き継いでということで耐震改修をしなかった。地震で時々揺れましたので、わあと言ったことはあるが、幸い潰れなかった。多少潰れて建て替えのきっかけになったかもしれませんけども、それもなくて現在に至っています。

 今度はそういうことも含めて建て替え、改修はされると思います。そういうふうに見ると県有施設で職員の庁舎等いろいろと出てくると思う。だから先ほどの不特定多数という点で優先度が高いのではないかというのが県庁の職員の議論で出ていますので、それはそうだと思います。また耐震の優先度と使用中止の優先度、使用中止までいくかどうかというのは、判断を要するところです。だからどうすればいいか、議会でもいろいろ意見がある。即刻使用中止というふうにおっしゃるところもありますが、どのように決めればいいか。専門家の意見も、それとほかの事例がたくさん集まってくると思いますので、その事例の中で常識的と思われる判断をせざるを得ないのかなと思います。

 いずれにしても、用心をしなくてはいけないことは確かですので、県有ファシリティの中で土木事務所など耐震性の極めて低い事務所があるらしいので。それは、放っておいていいのかというと、それは職員はよく知っていますからということです。この不特定多数という点では知らない人が多いから、社会的弱者は逃げにくいから優先度を高くする。学校も逃げにくいかもしれないということです。毎日通っていても、児童は逃げにくいかもしれないというふうになるから、運営の注意で、リスクを減らせるようであれば、地震というのは一瞬でばしゃっとというわけでもない、この下に隠れたら助かるというのもある。常時、隠れるようにしておけば、文化会館などはどうかな。素人判断をしてはいけませんが、椅子があると、椅子の間に隠れると、日本の文化会館で地震の惨事というのはあまりないのかな。

 油断してはいけないが、屋根が落ちるのか、よく床が抜けることがあります。床は抜けないような感じと思うが。耐震性の弱いところはどこかというのは、我々分からないところがある。壊れ方というのも、その建物の流儀があるかもしれない。文化会館であれだけ太い柱が建っているのに、どういうふうに倒れるのかなと思って、Is値0.1と言われると、全部ではないわけなので、どういうふうに倒れるのかなということを専門家にもう少し聞いて、その議題とします。防御するということも一つあろうかと思います。そのようなことを専門家のアドバイスを受けなければいけないということで、今動いています。

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毎月勤労統計調査

NHK:
 国の問題ですけど、厚労省が勤労調査という統計で、不適切な調査をしていた。奈良県は統計に重きを置いているので、この問題をどういうふうに知事は見ているのか。

知事:
 毎月勤労統計調査というのは、重要統計ですが、なかなか見立てが難しい、毎月出ている基幹統計の一つです。

 東京都の問題は、常用雇用者500人以上は全数調査してくださいというのを3分の1にしてた。厚労省に黙ってか内々で、普通は内々でやりますよと言っているはずだが。役人の仁義としてと私は思う。東京都は500人以上の事業所が1,500社あるようです。奈良は、500人以上の事業所が32社、32社しかない、寂しいけど。だから少ないこともあって、全数調査を毎月アンケートを出していた。奈良県は32社ということもあるし、全数調査をしています。

 それが失業保険の給付と、どういうふうにつながるのか、今の時点でよくわからない。統計で3分の1の抽出でも立派な統計。動向を見たりトレンドを見たりする限りは。その給付のために、このアンケートで給付をするというわけでもないだろうし、普通は個別申請で私は失業しましたとか、このようなステイタスですとか、個別申請ベースでなるのが普通だから、過少給付にどうつながっているのか、奈良県の統計課は今日の時点ではわからなかったので、ちょっと改めて教えてもらうことにしていただいてもと思います。そのような私の知識の状況です。

 過少給付にどうつながるのかなというのが、ちょっとまだわからない。東京都は、統計が3分の1のサンプリングでしたというのはあるけど、それは統計上悪いことかどうかというのはすぐにわかりません。統計のあと3倍に推計したとか推計しないとかというのはあるが、3分の1でも立派な抽出率。投票や、支持率、抽出率だと1,000でも堂々と政権の指示者何%になったと発表する。2,000人出して1,000人の返答率だけども、もう立派な統計になっている。別に統計上おかしいわけではない。1,500が500抽出してやったということは、統計上そうおかしいわけではないと思う。

 全数調査というのは、どういう意味の全数調査だったのかということにもなるから、これは国の下請でやっていますので法定事務かな。国がお金を出すからやってくれよという機関委任事務というのはなくなったから、金を出さないけどやるべきというような、法律で書いたらやるようなことがなくなった。地方は一括法で独立した政体だということがやっと2000年になって初めてできた。金くれないと国が言ってもしないということになってきた。だからこれはお金をもらって調査しているわけなので、東京都の関係では全数分調査費もらっているのにしなかったのか、ここら辺も追及するポイントかなと、今時点では思います。その3分の1がおかしかったのかというのと、給付が過少給付だった、これちょっと別の、どんなふうに結びつくのかなと、ちょっとあんまり報道見てもすぐにはわからない。まぜこぜで、何か悪いことしたという報道に、ちょっとよく読んでいないからかもしれません。そのような状況ですが、印象とおっしゃったので、ちょっとまぜこぜな印象ですけど、よくわからないという印象ですという面を強調してしまいました。

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奈良県知事選について

毎日新聞:
 荒井知事ご自身の選挙戦のことですが、昨日、3人目の方が出馬を表明されて、最終的にどういう選挙戦になるのかまだわからない部分もありますが、その部分についても受けとめがあれば教えてください。

 また、ご自身の戦い方ですが、先月に表明されてから、どちらかというと政党や組織に重きを置いた戦い方、3期12年のやられてこられた成果といったようなことを主に訴えられるのかなと感じておりますが、そのあたり含めて今後どのように戦っていかれるお考えですか。

知事:
 受けとめ方とか、どういう情勢か、むしろ教えていただきたい。随分取材されていると思いますが、教えてください。どのように受けとめたらいいのかというようなことです。受けとめ方がわからないです。どのように受けとめたらいいんですかと教えていただきたいなというぐらいの感想です。戦い方も、どういうふうにすればいいですかと教えていただきたい。マスコミの方だから、偏ってこちらにいいことを教えて、こちらにはいいことを教えないということはされないと思うんで、昔はされた人もいますが、毎日新聞さんはされないと思いますが、教えることもちょっと偏りになるのかどうかわかりませんが、できれば私なんか教えていただきたいなと思うほうのタイプです。わからないことも多いから、まして相手陣営のことなんかよくわかりませんです。私よりはるかに知っておられるでしょうから。

毎日新聞:
 ご自身の戦い方としては今後どうされますか。

知事:
 愚直に選挙をさせていただくという、政策も愚直、選挙も愚直という、戦い方という意味では、フレーズではそのように思っています。戦い方もよくわからないです、教えてください。

毎日新聞:
 選挙戦で主にどんなことを訴えていかれるのか。表明された時には、医療、観光等、いろいろ取り組んでこられたことをおっしゃっておられましたが、引き続きその路線でいかれるんでしょうか。

知事:
 県民の皆様に日ごろどおり、よく伝えていただくとうれしいなと思います。だから直接伝えるのか、皆さんに伝えるのか、いろいろやり方はあると思います。真実が伝わればいいなと思います。真実が客観的に伝わればいいなと思います。

毎日新聞:
 では、そういったことを訴えていかれるということですか。

知事:
 いや、訴えるって、そう願ってるということだけです。訴え方はよくわかりませんということですから。愚直に考えてやるしかないかなと思っています。

毎日新聞:
 愚直。過去、1期目、2期目、3期目と比べて、今回の訴え方に何か変化はありますか。

知事:
 あまり差がないと思います。愚直と言っているぐらいだから。これまでのことも含めてどう伝わるか心配しています。ちゃんと伝わればうれしいなと思います。やってきた跡だから。現職は皆そう思います。偏って伝わることもあったからとは思います。チャレンジャーはゆがめて言わないとチャレンジャーにならないから。普通はそうです、それは別に悪いこととか、別にしてね。違うこと言わないとチャレンジャーにならないことが普通じゃないかと思います。それをどう客観的に伝えるのか、割と難しいんじゃないかなと私は拝察しています。だからどのように伝えられるのかなということに関心を持っています。過去の伝えられ方ということも含めて関心を持っています。両方ともちゃんと伝わればいいのになと願っています。

毎日新聞:
 そうすると、これまでにちゃんと伝わっていなかったということが結構あった。

知事:
 結構かどうか分かりませんが……。

毎日新聞:
 あったことはあった。

知事:
 あったことはあった。当然自分の主観的な経験だけですが。記者さんの思い入れが偏ることはままありました。それは別に自由だから良いのですが、というようなことも含めてということだけですが、それを強調しているわけではありませんが、だからちゃんと伝わるって難しいなと思います。実績3期した人とチャレンジャーとどう比較するのかという選挙戦の構図があろうかと思います。どこでもあるから。チャレンジャーは、何かおかしいよと言わないとチャレンジャーにならないわけなんです。それをどのように伝えるのか。それと客観性があるのかどうかということが選挙は普通は大事なことだと私は思いますが、ほかの選挙でも。あまりうまく、愚直ということは、レトリックでわっと言うのは下手だから、ありのままでしかいけないなとは思っていますということです。ありのままがうまく伝わればいいのになと自分は願っています。それは、あまり願っても叶う時と叶わない時があるからとは思いますけれども、直接には自分のスタイルで伝えることはできますと思います。直接話しする時はね。選挙は難しいですよ、そういう状況があるから。また教えていただければと思います。

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防災意識向上について

読売新聞:
 明日、1.17ですが、先ほどの防災の話に少し関連しますが、やはり県民一人一人の意識がないとハード面の対策をしても、被害のひどさというのは阪神淡路大震災の時を見ても、地震が来ない地域だと思っていて、家具の転倒防止等皆さんしてなかったんだと思います。奈良県民の方々が、今、県は大きな地震に直近見舞われていないということで、その意識がなかなか高まらないという部分があるんじゃないかなと思いますが、こうした大きな災害の過去20年前にあったときをきっかけにというので、何か知事のお考えありますか。

知事:
 それは大事な点で、ここでも時々しゃべってるかしれませんが、奈良県民の災害に対する主観や意識はとても大事だと思っています。おびえる必要はありませんが、備えが要るでしょうという言い方をしておりますが、いろんなエピソードがありますが、奈良県で可能性の高いのは、過去の経験からすると、大和川の大洪水、それから吉野の土砂崩れ、それから直下型地震はどこでも起こる。直下型地震はそう起こったことはありませんが、直下型だから1,000年に1度でも来るとすごいことになると。1,000年に1度だから油断してたと、熊本でも、岡山での洪水でも、岡山の洪水は予知できた可能性が高いと思いますが、熊本は過去に起こらなかったからということがあったと思いますが、そんな気持ちの備えがないと、被害が大きくなるということはずっと出て、その点に注目しています。

 奈良県の人は、災害が起こらないとおっしゃるので、起こる時は起こるよと言っておりますが、証明できないから起こそうか、というわけにはいかないから、こればっかりはかけ合いなんで、奈良県は遊水地の土地も直轄遊水地、内水遊水地も大事なところが出てこないので、土地に執着して災害が起こったらどうするのと、こういう会話は何度もしたことがあります。

 その人が、ここでも言ったことありますが、奈良は災害が起こらない、来ないって言われたから、びっくりしてもう次の句が継げないような、災害は来ないから、土地は売らないって言われたので、それは災害が起こらないことが悪いように、そんなことを言うと、その人のところだけ災害が起こればいいなと思いますが、そうもいかないから、思ってはいけないと反省しながらそう思うかもしれないと思って。そういうわけにいかないから、俺の土地には来ないと思っている人が多い。全体として災害は来ないと思っている人が奈良は本当に多い。それは物すごく心配しています。

 その対策、備えは何かということは、防災組織等の考え方の面と、洪水の外水、内水、それから土砂崩れ、それから奈良県の中で直下型地震と大規模地震、南海トラフ巨大地震が来る。地震も奈良を襲う、津波は来ないにしても。すると被害は紀伊半島の南のほうが大きいということで、大規模広域防災拠点を作ると、県内の備えにもなろうかという構想を打ち出しているわけですが、それは備えのそういう活動をすることによって、ハードの備えで安心してはいけないわけですが、気持ちの備えにつながるようにということをしょっちゅうしていないといけないと思います。

 それと、頻繁に起こるのは火事や救急、大規模ではありませんが。昨日は広域消防の管理者との会合が5年たって初めてありました。毎年してくださいということをお願いしました。私は広域消防の顧問という立場で出席させていただいて、そのように情勢報告は毎年してくださいと管理者に言っておきました。管理者は奈良市と生駒市を除いた広域消防の参加市町村。だからいつも報告受けたり情報共有するのがとても大事かと思っています。

 ハードに頼ってはいけないが、ハードも大事だと思います。遊水地があるのとないのとで、岡山の真備町のようなことが起こりますので、今は内水対策の遊水地、外水対策の遊水地にやっととっかかっていますので、一刻も早く完成したい。遊水地は完成した分だけ雨の降った分はそこに貯まるということで減災することは確かですので、早く遊水地を作っていきたいと思っています。

 地震は、今の耐震の話につながりますけれども、特に県有施設、あるいはだけじゃないと思いますが、民有施設も大事かと思いますが備えがないと、うちは来ないといって、県庁公舎ではありませんが、死んでもいいと思っている人もいるかもしれないが、それはちょっと困りますと。できることをしましょうと意識を覚醒するのと、そんなことにお金かけられないというお年寄りも多いと思いますので、逃げ出す仕組みぐらいは考えないといけない。そういう防災意識の向上はそれで命が助かる、救命率はすごく上がってくると思います。だから必死になっております。

読売新聞:
 口うるさいぐらい、県・自治体さんで何かやってると思われるぐらいにやらないと、ここまで意識の低い場合は何ともならないと思いますが。

知事:
 そうかもしれません。

読売新聞:
 明日、これといって何か県主催でやられるということはありませんか。

知事:
 しつこく言うということが一つです。がん検診率も低いですが、がんにならないと思っている人が多い、あるいは怖いと思っている人も多いのかもしれませんが、奈良県民怖がりなのかな。考えることを嫌がるのかな、ちょっとよくわかりませんが。備えをすることは、怖がりとはまたちょっと違うと思います。しつこく備えましょうということを言ったほうがいいのは、ありがたいご示唆だと思います。しつこく言おうという方式もあろうかと思います。ちょっと考えます。

 日本人のメンタリティーは、災害のあるところはとても強いです。そして、謙虚ですね。あまり欲がないと、どこかで伝わっている。これが日本のすばらしいところ、災害の恩恵を受けるという言い方は変ですが、メンタリティーですごく強靱な、国土はなかなか強靱になりませんが、メンタリティーは強靱になってきているところは本当にあると思って、その比較で言うと奈良はそういう強靱さというのはまだ。強靱になればいいなと思います。

 災害から強靱化を促されることは少し悲劇的で悲しいので、ないほうがいいと思いますが、災害があると助けに行くのも大きな精神強靱化の道と思います。かわいそうだな、助けに行ってということ。だから広域防災拠点も助けるということは、すごく自分を助けることにつながると私は思いますが、助けに行くことが大事と。だから災害があると勉強を兼ねて、救難に行ったらと思います。で、勉強して帰ってこれたらとずっとしていますけれども、ずっと学んで、県庁職員のレベルあるいは消防のレベルでは学んで帰ってくることが多いですが、それがうまく喧伝されるようになればということで、やっぱり気持ちの持ち方を変えようというように伝わればと思います。それを上滑り、上から目線で言っているだけでもなかなかいけないのかと。

 しつこくということにつながるのかも、大変だぞ、本当にと経験した人の言葉はやっぱり迫力が違いますから、県庁職員も福岡や岡山に行って帰ってきた人の言葉は、やっぱり僕なんかが聞いても、やっぱりそうだったのかみたいな感じがありますので、それも一つの伝え方の前段だと思います。私のわずかの経験ですが、そのように感じたことがありますので、おっしゃることは、しつこくということにつながると思いますが、よくわかるところがあります。努力しないと、と思っています。

司会:
 ありがとうございました。
 ほかにご質問はよろしいでしょうか。
 幹事さんもよろしいでしょうか。
 では、これで本日の定例記者会見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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