注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

田んぼの草とり

梅雨が明ける頃になると、夏の青空が広がり、田んぼのイネも日ごとに大きくなってきます。最近では、田んぼに雑草が目立つことも少なくなってきました。

 米づくりの歴史を振り返って見ると、三十~四十年ぐらい前には、イネを育てるのに、今よりも何倍もの時間をかけていました。なかでも、「田んぼの草とり=雑草防除」は大きな割合を占めていました。

 雑草防除のやり方の移り変わりを見ると、まず人の手による草とりから始まり、ついで、中耕除草機などの機械が使われるようになり、そして、除草剤が開発・普及されてきました。作業時間も除草剤を使うことで、人の手による草引き+機械除草の時間の半分程度に短縮され、腰をかがめる草とり作業の苦労も少なくなりました。その後も、新しい除草剤が次々と開発され、草とりの作業時間は昭和四十年と比べて、十分の一程度になり、米づくりの作業時間の短縮に大いに貢献しています。

 除草剤の使い方や種類にも大きな変化がありました。田植え時期から七月中旬頃にかけていろいろな除草剤を組み合わせて散布する体系防除が長らく行われてきましたが、昭和六十年代に一発処理剤が登場すると、作業時間は一層短縮されました。一発処理剤とは従来の除草剤より効果の持続期間が長い除草剤で、これを一回散布するだけで、田んぼの中で草とりをしなくても、収穫の秋を迎えることができるようになりました。

 最近では、この一発処理剤の種類も多くなり、ますます使いやすくなっています。粒剤タイプの除草剤も、散布量が少なくなり、散布する人の負担も軽くなったほか、フロアブル剤(乳液状の除草剤)やジャンボ剤(水溶性のパックに包装された除草剤など)が登場し、田んぼの中に入らなくても、簡単に散布できるようになりました。
 
 しかし、除草剤を使うときには、使用上の注意にしたがって正しく使用するのは当然のことですが、田んぼで発生している雑草の種類や量を十分に観察して、無駄・無理なく除草剤を使い分けていくことが環境保全の面からも必要なことだと思います。


1997年7月

奈良県農業試験場 作物開発担当 主任研究員  山本卓司