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国産小麦のパン


 小麦粉を利用した加工食品については、以前の「みどりのミニ百科」でも紹介されているとおり、小麦粉は小麦の種類や成分の違いによって、パン用粉、めん用粉、菓子用粉のように分類されることがあります。
 
 パン用に使われる小麦粉はタンパク質含量が高く、イースト菌と混ぜ合わせて発酵させることでよく膨らみますが、国産小麦はタンパク質含量があまり高くないので、めん用、菓子用に利用されることが多いようです。タンパク質含量が低いと、水を加えて混ぜ合わせたときにできるグルテンの量が少ないので、製パンにはあまり向きません。
 
 パン用小麦粉として利用するためには、タンパク質含量の高い小麦を生産することが必要です。現在、農業試験場では地域農業改良普及センター、農業協同組合と協力して、施肥量や施用時期が小麦のタンパク質含量に及ぼす影響や品質の変動を調査しています。小麦の栽培では、慣行では元肥一回、追肥一回を施用していますが、追肥の回数を二回に増やすとタンパク質含量が高くなり、フランスパンを試作してもらったところ、よく膨らむようになりました。出穂後の開花時期以降に追肥することで、さらにタンパク質含量が高くなると言われていますが、一方では麦粒の見た目が悪くなることが心配されるので、外観がよくてタンパク質含量を高める栽培技術の検討を進めていきたいと思います。
 
 昨年七月に新たに作られた法律「食料・農業・農村基本法」に基づいて、「水田を中心とした土地利用型農業の活性化対策」が示され、需要に応じた米の計画的生産と麦・大豆の本格的生産に取り組むことになっています。本県でも小麦の作付推進と品質改善に取り組んでいきます。国産小麦で作られた小麦粉を手にする機会があれば、パンづくりにチャレンジされてはいかがですか。

2000年3月

奈良県農業試験場 作物開発担当 主任研究員  山本卓司