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麦    秋

「麦秋」という言葉をご存じでしょうか?
  今では耳にする機会が少なくなりましたが、ちょうど今頃の麦が熟す頃、初夏の頃のことをさして「麦秋(ばくしゅう・むぎあき)」と呼びます。俳句では、「麦秋」は夏の季語とされています。また、「秋」という字が使われていますが、これは、作物を取り入れる、収穫するという意味があるようです。
「麦秋」を撮った写真等はよく見かけることがありますが、県内でも身近にその風景を楽しむことができます。
 奈良県の小麦栽培面積は昭和60年には約170haありましたが、現在は減少し約50haとなっています。しかし、桜井市や広陵町などでは比較的まとまった場所で栽培がおこなわれています。
小麦は、11月中下旬に播種され、冬の間はあまり大きくなりませんが、気温が上がりだす3月頃から茎が伸長し始め、4月の中下旬に穂を出します。それから45~50日かけて成熟していき、それまで青々としていた葉、茎、穂が徐々に黄色と変わっていき、6月上中旬に収穫されます。穂の色は、稲では赤米や黒米など特殊なものを除いて品種による差はあまりないのですが、小麦では、淡黄、黄、褐色など品種によってそれぞれ特徴を持っています。現在奈良県の奨励品種となっている「きぬいろは」の穂は褐色をしています。また、穂の形も稲とは違い、麦の穂は垂れ下がることなく直立しています。ちょうど今頃の小麦は、周りの草木が青々としているのとは対照に、小麦色に熟してきており、見事な田園風景を見せてくれます。小麦は、小麦粉に加工され、パンや麺、菓子の材料など私たちの食生活に欠かすことことができない重要な位置を占めています。しかし、小麦粉はよく使うけれども、小麦は見たことが無いという方も以外と多いのではないでしょうか? 
  「麦秋」のこの時期、小麦畑を眺めたり、また、じっくりと小麦を観察してみてはいかがでしょうか。

2000年5月

奈良県農業技術センター 研究開発部生産技術担当 
作物栽培チーム  杉山高世