筒状簡易軟白器具によるホワイトアスパラガスの栽培法

 ホワイトアスパラガスの栽培は、一般的にアスパラガス(Asparagus officinalis)が春に萌芽する前に養成株の上に培土による盛土を行い、遮光して軟白します。収穫は熟練を要し、盛土や収穫期間終了後の盛土崩し等、管理作業は重労働となります。そこで、より簡便なホワイトアスパラガスの栽培技術として、筒状の簡易軟白器具をアスパラガスの萌芽してくる若茎に被覆して軟白を行う方法を検討しました。
 
 筒状の簡易軟白器具
筒状の簡易軟白器具は、直径4cm程度の塩ビ管、雨樋等を25cm程度で切断し、上部を黒マルチで覆い結束バンド等でとめ、下部を斜めに切断し作製しました(写真1-1)。これをアスパラガスの萌芽してくる若茎(写真1-2)に被覆し軟白栽培を行いました(写真1-3,1-4)。
 
 品質について
若茎の形は筒で軟白した場合は、盛土で軟白した場合を比べると、グリーンアスパラガスに近く、春に被覆栽培した場合と、立茎栽培中の夏秋に被覆した場合とでは着色に違いがありました(写真2)。春では擬葉が赤くなり、若茎全体が黄色を帯びているのに対して、夏秋では擬葉は白く、若茎の頂部のみがやや黄色になりました。
 
 メリットと問題点
一般に行われている盛土による栽培方法では立茎する時に盛土を崩してしまうため、国内では立茎栽培中には通常ホワイトアスパラガスは栽培されていません。今回検討した、筒による軟白法では夏秋の立茎栽培中でも軟白が可能ですので、国産のホワイトアスパラガスの無い時期に出荷が可能となります。問題点としては、筒で軟白した場合では収穫後、遮光しないと比較的着色が早く進み、緑色を呈してくることです。
そこで着色が抑えられるようにできるだけ収穫後も完全に遮光し、低温で貯蔵しておくことが必要となります。また、ハウスでの栽培等では筒内部の温度の上昇で熱による生育傷害の問題がでてくる可能性があります。今後、この点についても検討を加えていく予定です。

写真1 筒状簡易軟白器具を用いたホワイトアスパラガスの栽培
1.筒状簡易軟白器具 2.萌芽初期のアスパラガス 
3.軟白器具の設置時 4.収穫時のホワイトアスパラガス

写真2 軟白栽培法の違いによる着色への影響



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