御所実業高等学校

平成24年8月13日 知事ラジオ出演

ラジオ日本1422kHz 「こんにちは!鶴蒔靖夫です」 

 
 質問内容

  「奈良県の取り組みから考える日本の課題解決」

    ■災害対策の取り組み
    ■社会保障の充実について
    ■税と社会保障の一体改革について
    ■地域の雇用の取り組み
    ■産業としての観光の可能性
    ■地域の消費活性化の取り組み
    ■「このくにのかたち」に関する考え





【質問1】

昨年は東日本大震災や紀伊半島大水害など非常に大きな災害が発生しました。まず、災害対策の取り組みについてどのようなお考えでしょうか?


 

知事:

日本列島は地震や津波など、あらゆる災害が押し寄せる地理構造になっていると思います。昔からそのような災害が日本列島を襲いました。古事記を読んだ本居宣長が、「吉善事凶悪事(よごとまがごと)」、良いことも悪い事も、「理(ことわり)」、災害が起こる理屈は、「神代の始の趣に依るものなり」、昔からあったから、日本民族のそれに耐える精神力が古事記のなかに書いてあると言っています。今年は古事記編纂1300年のお祝いをしていますが、それが日本人の精神力の原点ではないかと思います。

自然災害に対する日本人のメンタリティーは強いのですが、欠陥もあると思います。やり過ごすたり、耐える力はあるけれども忘れたりしがちです。忘れてはいけないということが大きな教訓だと思います。原発も同じようなことです。忘れてはいけない。大空襲も江戸の大火も忘れてはいけない。その時に何をしたかということ、どういう事が起こったのかということを検証して、二度と起こさないというのが人間のせめてもの知恵だと思います。同種事故再発防止に、自然災害でも取り組むべきだと思います。

奈良県の防災計画は、この人はどうして死んだのか、助かる道はなかったのか、次に同じ次案が起これば、助かる方向で環境整備をすべきという考え方で、二年間かけて防災計画を練り直そうとしています。


【質問2】

奈良県では、健康寿命を延ばすことを目標にしていますが、社会保障の充実についてはいかがですか?



知事:

健康寿命や社会保障は大変重要な言葉です。健康寿命と最近言われますが、平均年齢というのはいつまで生きられるか。ところが、要介護期間が平均で7~8年あります。それまでの間が健康寿命で、健康で生きられる期間ということです。病気にならないということ、病気になっても早く回復すること、介護や医療にできるだけ近づかないことが大事だと思います。

一つの観点は、キュア(cure)からケア(care)という標語をつくろうとしています。キュアというのは治療で、ケアは手当とかお世話ということですが、病気の予防を大事にしようということです。病気を近寄せないためには、運動と栄養と社交、この3つを続けるということが大事かと思います。そのための環境作り、カルチャーづくりを、県ができるせめてもの取り組みということでしています。

例えばスポーツでは、奈良マラソンを開催すると、奈良マラソンに出たいということで一年間走る人も出てきています。健康というのは一番大事な財産ですので、それを達成するためには本人の努力が要りますけれども、本人の努力を助けるのが地域行政のとても大事な仕事だと思っています。


【質問3】

国会では、税と社会保障の一体改革の議論が行われていますが、荒井知事はどのように見ていますか?


 

知事:

社会保障は、今申し上げました健康も一つの大きな分野ですが、年金、医療、介護、福祉が社会保障の大きな分野です。日本では110兆円くらい社会保障に支出をしています。これは大変な負担です。今までは家庭と会社が支えていましたが、だんだん家庭も会社も少子高齢化あるいはグローバル化になって、社会保障を支えられなくなってきました。国家財政も弱くなってきましたので、違う方式で支えなければいけません。

一つは、国家財政の中で国民負担をある程度増やして支えないと、高齢化社会に向かえないという負担の話、それと給付の話で、どのような社会保障の給付をすれば、元気で長生きできる社会になるだろうか、活力のある高齢化社会になるだろうかというのが大事だと思います。負担の話は今度の法律でありますが、給付をどうするか、良いサービスをどうするかというのは、国民会議でされるということですので、これから大事なことだと思います。


【質問4】

社会保障が雇用を生むということですが、地域の雇用についてはどのようなお考えでしょうか?


知事:

社会保障の分野が、医療、介護、年金、福祉ということですが、さらに大事なのは雇用です。雇用が安定しないと社会保障が不安定になるし、経済も回らないということで、地域にとっても国にとっても雇用はとても大事だと思います。経済的に4分の3は給与所得ですので、雇用を確保するということが大事です。今、若年雇用がなかなか達成できない、雇用が発生しないという状況です。

これまで日本ではどこで働くかより、どの会社に勤めるか、勤務は身を置くという概念でした。今はそういう考えがなくなってきて、どういう働き方をするのかという転換期になってきています。そのときに国の制度も大事ですけれども、地域で雇用をつくることと、雇用をマッチングすることが大事です。生まれ育った近くで働けるということは、親の家とか農地とか、いろんなものを継承できるということです。地域の雇用を確保するのはとても大事なことだと思っています。


【質問5】

奈良県は観光名所もたくさんありますが、産業としての観光の可能性についてはどう思いますか?


知事:

旅行に行って消費をされるので、地域、所帯の所得の移転ということでとても大事だと思います。それはマーケットを通じてされるので、観光は地域経済の中で大きな働きができる分野だと思います。

奈良は観光地だと認められていますが、あまり観光産業は盛んではありません。訪問客は多いのですが、泊まり客は少ない。宿泊客の消費はとても多いのですが、訪問客は消費が少ないんです。似たような街では、鎌倉とか小樽とか大都市近郊のところです。訪れるには良いが泊まるには近すぎます。平城遷都1300年祭の時も、京都や大阪に泊まって奈良に行こうということでした。

だから泊まっていただくというのが大きな目標です。そのためには泊まって楽しい街、夜を楽しく過ごせる、おいしいものや暖かい雰囲気、リラックスできる雰囲気の街になるように。観光産業の最大の目標はリピーターをつくることです。一度来て、もういいというのではだめです。旅の恥はかき捨てというのは旅行者の心得ではなく、観光産業の心得です。そのためには財布を狙ってはいけません。財布の後ろにあるハートを狙わないとリピーターを養えないといったことを言っています。


【質問6】

地域の消費を活性化することも大きなテーマになりますが、奈良県の取り組みはいかがでしょうか?


 

知事:

奈良は大都市のそばですので、所得が高く、消費も多いのですが、県内消費がとても少ないんです。県外消費率という統計がありますが、15%を超えています。消費の15%以上が県外で消費されるというのは全国で一番高いのですが、その額は4千億円くらいになっています。それが県内で使われると県内の商業が活性化します。奈良で消費してもらうというのが大きな課題で、おまけつきのプレミアム商品券を県が発行しました。大変好評でした。1万円で商品券を買うと1万2000円の買い物ができます。県内消費の癖をつけるというのが今、大きな課題で取り組んでいます。


【質問7】

「このくにのかたち」に関する議論が今、集中していますが、荒井知事の考えはいかがですか?


 

知事:

「このくにのかたち」というのは統治機構です。国があって都道府県があり市町村があるという三層構造になっています。今、大都市は大阪都をつくろうとか組織の議論が盛んになっています。権限の責任の重点を国の中央に置くか、地方に置くかでくにのかたちが随分違ってきています。中央集権か地方分権かということです。国際的な緊張があると中央集権になります。兵力を養わなければいけない、国際競争に勝たなければいけないということです。今は国際競争がありますし、緊張も冷戦ほどではありませんが多少あります。災害もありましたので、中央政府の役割というのは大事かと思います。

一方、生活保障や社会保障というのは地方政府の役割がとても大事だと思います。それは基礎自治体の市町村が大事だと思います。地方村合併だけではなかなか機能を強化できません。機能を強化するということを考えなければいけません。そのために都道府県は市町村に協力してキャパシティをあげようということをしています。奈良モデルと呼ばれていますが、市町村を助けようということをしています。それが一つのくにのかたちの模索、追究の方向だと思っています。アイデアだけで、こういうかたちだと世の中が良くなるという安易なものではないと思います。


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