第10回 奈良県食品安全・安心懇話会


第10回 食品安全・安心懇話会議事録



第10回 奈良県食品安全・安心懇話会
 
  平成20年11月12日(水)
午後1時30分~午後3時30分

 於:猿沢荘(奈良市池之町)  

出席委員
  今村委員 小松原委員 上田委員 福原委員 竹村委員 山本(八)委員 岡山委員
  森委員 木下委員 早﨑委員 南城委員 矢藤委員 井上委員 (13委員)

次第

  • 事務局挨拶

  • 意見交換

    1. 懇話会の開催趣旨、食の安全確保のための施策について
    2. 事故米やメラミン、農薬混入事件に対する県の対応について
    3. 食品テロに対する備えについて
    4. やまとの名水について

  • 報告

    1. 平成19年度奈良県・奈良市食品衛生監視指導結果について
    2.  「私たちが取り組む食の安全・安心」の刊行について
資料

     

  1. やまとの水[PDF:236KB]



○事務局
 お忙しい中第10回の奈良県食品安全・安心懇話会にご出席頂きましてどうもありがとうございます。近年食品の安全安心に関しましては、この1,2年非常に色々なことが起こっております。ミートホープの食品偽装問題ですとか、最近では中国からの乳製品へのメラミン混入など、問題といいますか事件に近いことが起こっております。日本の食品の、生産から加工流通販売まで、今までの信頼は言ってみれば国民の目から見ると根底から崩れていくような感じといいますか、そういう感じを受けているのではないかと思っております。この食品の安全安心をどうやって守っていくかは大事な問題だと思っております。県では平成15年に、なら食の安全安心確保の推進基本方針を制定し、知事を本部長とし県庁の部局長が入りました奈良県食品安全安心推進本部を設置致しました。また色々な方のご意見を聞くということを目的と致しましてこの懇話会を導入設置したわけです。平成16年の8月に第1期目の第1回を開催しております。この最初の2年間の間には、例えば奈良県では最初の、日本で13頭目のBSEの問題等を含めて5回ほど開催させて頂きました。第2期目は4回開催しておりますけれども、この2期目の2年間の間にはポジティブリスト制度、これは一定以上の農薬等が残留した食品の販売を原則禁止するという新しい制度ですが、そういうことが話題となりましたし、前回の9回目については、中国冷凍餃子の問題の直後でしたので、県の緊急体制とか関係団体の残留農薬検査等の対応についてご説明申し上げました。
 今回から3期目に入りますけれども、先ほど申しましたメラミンの問題ですとか事故米穀の不正規流通の問題ですとか、色々な食の問題が日々マスコミで取り上げられるという状況になっております。これを踏まえまして、本県の食品の安全安心に対する対策について、皆様方の意見を深く反映させていきたいと考えております。皆様方にはこの2年間よろしくお願いしたいと思います。本日も忌憚のないご意見をよろしくお願いさせて頂きまして、私の挨拶とさせて頂きます。

○事務局
 次に会長の選出でございますが、奈良県食品安全・安心懇話会設置要綱第4条により、各委員の互選により選出となっておりますが、如何させて頂きますでしょうか。
 事務局一任というお声がかかっておりますが、それでよろしいでしょうか。
 事務局と致しましては厚生労働省の食品部局で勤務された経験をお持ちの奈良県立医科大学の今村委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは今村会長よろしくお願い致します。座長席にお移りお願いします。
 それでは懇話会に入らせて頂きます前に、本日の資料の確認をさせて頂きます。まず会議次第と座席表、懇話会設置要綱、名簿、委員からの意見交換の提案事項、過去の開催状況について添付させて頂いております。また資料と致しまして、資料1「なら食の安全・安心確保の推進基本方針」、資料2「平成19年度食品関係営業施設数及び監視指導件数(奈良県全体)」、資料3「平成19年度奈良県食品衛生監視指導結果及び監視指導結果[概要]」、資料4「平成19年度奈良市食品衛生監視指導結果及び監視指導結果[概要]」、資料5「食の安全・安心行動計画(平成19・20年度)」、資料6「平成20年度奈良県食品衛生監視指導計画」、資料7「平成20年度奈良市食品衛生監視指導計画」、資料8「平成20年度食中毒発生状況」、資料9「やまとの水」、資料10につきましては、上田委員を主として専門部会をつくり、そこで編纂しました「私たちが取り組む食の安全・安心-現状、課題、将来に向かって-」という冊子になっています。これにつきましては、後ほどどういう経緯でこの本ができたかについてご説明願いたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それでは、ここから会長が座長となりますので、会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○座長
 就任に先立ちましてご挨拶を申し上げます。私は現在、奈良県立医科大学の健康政策医学という教室で教育、研究にあたっております。この健康政策医学というのは新しい教室で昔の公衆衛生学教室でございますが、そこに医療政策や医療経営、公衆衛生の施策等を併せて行う講座として新しく設置されたもので、そこに昨年の6月から着任しております。
 自分の経歴をご説明させて頂きますと行政に長くおりまして、最初は普通にメディカルドクター、お医者さんをしていたんですけれども厚生省に入り、何かと食品にご縁がございまして、例えば病原性大腸菌O157事件などにも関わることとなりましたし、また保健所で3年ほど保健所長をやっておりまして、その間食品の衛生監視員をさせて頂きました。先程の紹介にありましたように、厚生労働省の食品保健部の企画課というところで、BSE事件、偽装表示事件や、違法添加物、残留農薬、健康食品による死亡例とたくさんの事件にあたらせて頂きました。その後、厚生省から東大の方に研究者として移りまして、そこから先は食品の研究をずっとやってきております。
 現在続けている主な研究は、食品のテロ、故意の毒物の混入などをどのように防ぐかというようなことや、食物アレルギーの表示などについて行っております。その他、コーデックスという食品の国際規格基準の委員会がございまして、他の国との規格基準の調整なども平行して行っているところでございます。そういった背景から、20年以上食品の世界と深く付き合っておりまして、その経験をぜひ奈良県での食品衛生の安心・安全の向上に役立てたいと考えておりますので、是非皆様ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 では議事を進行させていきたいと思います。今日は3時半までですので、できるだけ3時半を目標に頑張りたいと思います。ただ若干、オーバーしても会場の方は押さえられているということなので、議論が白熱するようでしたら若干の影響もあり得るということで進めていきたいと思います。
 本日議題として4つ大きなテーマを挙げて頂いています。まず最初の議題から、懇話会の開催趣旨、食の安全確保のための施策についてということで委員からご提案が挙がっていますので、まずはご提案の内容について趣旨を簡潔にご説明をお願いさせて頂きたいと思います。

○委員
 私はこの懇話会が発足してから委員をずっと仰せつかっておりますが、最初にこの懇話会の意義を一応全部ご説明を受けていたのですが、自分の経験から、初めてご参加される方はやはり初参加の緊張もおありかと思いますので、実際に委員としてどういう役割があるのかということを最初になるべく具体的にご説明頂いて、その上で、懇話会を進めていけばより有意義ではないかと思い、そのような目的から提案をさせて頂きました。限られた時間の中でより有効的に、効率的に進めていくにおいては、まず懇話会のあるべき、別に決まったものではないとは思いますけれども望まれる活動につきまして、主催者からのご意向も含めてご説明頂いた方がよいのではということで提案をさせて頂きました。

○委員
 私は今回初めて参加させて頂きましたので、よく内容の方が分かりませんでしたのと、やはり奈良県の中での食の安全・安心というものがどのようになっているのかと興味もありましたので、提案させて頂きました。

○座長
 分かりました。それでは事務局からこの懇話会の設置の趣旨、また奈良県全体の食の安全への取り組みなどについてのご説明をお願いします。

○事務局
 それでは事務局から説明させて頂きます。
 まずお手元の資料1、上下がグリーンの帯になってございます「なら食の安全・安心確保の推進基本方針」をご覧頂きたいと思います。この基本方針は先程のご挨拶でも申し上げましたとおり、平成15年4月に学識経験者等からなる第1回目の策定委員会を開催致しまして、庁内関係課と調整を図ると共に計画の策定にあたり、公正の確保と透明性の向上を図るためパブリックコメント手続きを行い、県民の皆様からの意見を反映した最終案を策定委員会でご承認頂き、平成15年12月2日に策定、公表致しました。
 趣旨につきましては、概要版を開いて頂きました左上の「概要」のところに記載致しておりますが、4行目からの「県は、生産者、製造・加工、流通・販売等食品等事業者及び消費者と相互に連携し、県民の安全で安心できる食生活の実現と健康の保護に向けて積極的に取り組む」としております。右側の「基本的な考え方」につきましては、記載のとおりですが、従来は皆様ご承知のとおり、食品衛生の取り締まり部局は流通段階からの取り締まりを実施しておりましたが、生産から消費に係る食品の供給行程、最近よく言われておりますフードチェーンの各段階におきまして、関係者と行政がそれぞれの役割を十分に認識し、相互の理解を深め、その役割を果たし、県民に安全・安心な食品を提供することを目的としております。下に記載されておりますように3つの基本方針から成り、順序は後先になりますが、まず基本方針3「新たな食品安全行政に対応するための体制等の充実」をご覧ください。平成15年に食品安全基本法が創設され、また食品衛生法の大改正に伴い県の体制も整備して参りました。まず農林部のJAS法、生活環境部の消費者行政、衛生部局の食品衛生の担当を食品・生活安全課に集約し、消費者保護を一括、連携して処理することに致しました。
 次に資料6をご覧頂きたいと思います。資料6「平成20年度奈良県食品衛生監視指導計画」の2ページをご覧ください。2ページの下に図式がございます。この図式の左側の、先程ご挨拶で申し上げましたように、県の内部機関として知事を本部長とする食品安全・安心推進本部、関係課による幹事会の設置、右側の県の外部機関として、この懇話会からは矢印のところにございますように県の施策に対する評価や提言を頂き食品の監視指導計画を始め、関係課の食品に係る施策に反映させる目的として設置しております。
 それでは再び資料1に戻って頂き、先程基本方針の3つの柱のうち県の施策についてお話しさせて頂きましたが、次の基本方針1は左側にございますように「リスクコミュニケーション」、基本方針2は「リスク管理」であり、それぞれ赤四角の項目の事業を実施することにより生産から消費までの食の安全を確保しようとするものです。
 以上簡単ではございますが、基本方針及び食品安全・安心推進体制の概要、並びに懇話会の設置理由についてご説明させて頂きました。
 なお当懇話会の開催につきましては報道機関に資料提供すると共に、懇話会で使用致しました資料、議事録につきましても、当課のホームページで公開させて頂いております。
 また懇話会の要綱、委員名簿につきましても、ホームページ上で公開させて頂くこととなります。委員の皆様のご理解をよろしくお願い致します。
 議事録につきましては事務局で作成しましたものを、各委員の皆様にご確認頂いてから、公開致しております。事務局からは以上でございます。

○座長
 ご説明ありがとうございました。
 今のご説明に対しまして、ご意見、ご提言等ございましたら、また質疑ございましたら挙手をお願いします。
 新しく入られた委員の皆さん、今のご説明で大体お分かり頂いたでしょうか。

○委員
 私も本日初参加となるんですけれども、まだまだ全てが理解できてなくて、皆さまにご迷惑をお掛けするかと思うのですけれども、要はいかに奈良県で食べ物を安心・安全に保っていく、それをいろんな角度から見てその中で意見を述べたらいいんだろうなと。と言いますのは、私は奈良県の食品衛生協会の指導員部会と申しまして、いわゆる飲食店さん、食品製造・販売、そういった所の実際の現場で、例えば調理場であったりとか、工場であったりとかそういった所へ、保健所さんからの委嘱を受け食品衛生の指導に参っております。これを見る限り日頃現場で見させて頂くのとはかなりかけ離れたようなところがございますので、私のこの会での役目というのは現場の本当のところをこの場に発表させて頂けたらいいのかなと、流れの中で感じた次第でございます。

○座長
 ありがとうございます。他にご意見は。今のご説明でよろしいでしょうか。

○委員
 今、ご発言がございました内容は大変結構かと思います。
 ただ今までの懇話会から見ますとご発言がいささかちょっと少なかったんじゃないかと思っています。各委員の皆様方は色々な分野からの代表者としてご出席になっておられまして、今ご発言ありましたようにご出身の分野のいろいろな問題を具体的に取り上げて頂いて、みんなでそれを解決していく、考えていくのがこの場の1つの役割でもありますので、今ご発言がありましたことは大いに結構だと私としては存じております。

○委員
 なかなか細かいところまでは分かりませんけれども、個々に何か事例が出てきた段階でまたご質問させて頂こうと思っております。

○座長
 ありがとうございます。次の問題が個別事例でございますので、議題のほうを次に移らせて頂きまして、そこでまた質疑を行っていきたいと思います。
 次の議題が「事故米やメラミン、農薬混入事件に対する県の対応について」ということで、委員の方からご意見を頂きたいと思います。

○委員
 今更細かくお話をするようなものではないのですが、もう皆さん十分ご承知の内容と思います。先程、冒頭で事務局の方からのご挨拶の中に、そういう内容も入っておりました。ただ私ども流通関係で、現場のお客様の実際の声を少しお話しさせて頂きたいと思います。「またかいな」というようなのが正直なお客様の声です。一体どういうチェックをして、どういうところで安全ということが保証されているのかと素朴に疑問を持っておられます。我々実際に商品の販売・取り扱いをしている方もですね、常に事後処理といいますか、そういう報道が出ればすぐ店頭回収したりとか、非常にそれに追われているだけというのが正直なところなんです。国の方からも色々と対応策というのは発表されていますけれども、具体的に奈良県として、どういうようなお考えで、あるいは今後再発防止をどういうような形で考えられておられるのか、できるだけ具体的にお話を頂きたいということで、今日は議題に挙げさせて頂きました。

○委員
 私は消費者としてこの場に初めて参加をさせて頂いたのですけれども、色々な報道でセンセーショナルに騒がれている中で、何が正しい情報で、取捨選択というのですか、消費者として惑わされずに、何が正しくて、「こんな報道もあったよ。これはちょっと違うんじゃないか」という風に、自分にとって判断基準というのが全然分からなかったものですから、学識の皆さまの、専門家の皆さまのご意見をお聞きしたいとまず一つ思ったということと、それから牛乳にメラミンが混入されているなんて私は全然思いもしなかったし、それからカビとか農薬が基準以上であっても糊ということで加工ということに回っていて、市場に出ていたということも全く消費者としては知らなかったことですので、それをどのように考えていったらいいのかということも、自分の中でどういう風に考えたらいいのかを整理する意味でも皆さまのご意見をお聞きしたいと思いました。

○座長
 分かりました。まずは県の今までの取り組みと今後の方策についてのご説明をお願いします。

○事務局
 それでは県の取り組みということでございますので、本日の報告事項にございます平成19年度の食品衛生監視指導結果の概要もお伝えしながら、今の委員の皆さまのお話についても併せてさせて頂きたいと思います。
 資料3の県の監視指導結果[概要]をご覧頂きたいと思います。監視指導計画は食品衛生法で年度ごとに策定することが規定されております。素案については、1ヶ月のパブリックコメントを実施致しまして、修正案を3月の懇話会でお示しし、意見調整の上で策定したものとなっております。この資料3につきましては、その年度ごとの監視指導結果、19年度の監視指導結果はこの資料の後ろに付いてございますが、枚数もございますので、3カ年の状況を取りまとめた概要版を前に付けさせて頂いております。なお、この食品衛生法では、中核市である奈良市におきましては独自に計画を策定するように定めておりますので、まずはここでは県の監視結果概要についてご説明させて頂きます。
 1番は監視指導結果でございます。業種ごとに監視回数を定め、それぞれの年度の達成率をお示ししたものでございます。平成17年度は、上段の食中毒発生施設やその他の行政処分施設の監視達成率が100%を達成しなかったというお恥ずかしい結果がございましたので、18年度、19年度は四半期の集計チェックや保健所の担当者会議等、ことあるごとに計画的な立ち入りを行うよう指摘してきたところでございます。しかしながら19年度におきましても、1月末の餃子事件の対応等により行政処分施設の年度末までの立ち入りが最終的に詰めが甘くなり、再び達成率が悪く、本年度の第1回目の保健所の担当者会議におきまして、集計結果を示すとともに改めて計画的な立入検査を行うよう指示したところでございます。今年度もご承知のとおり種々の事案が発生し、対応しているところであり、12月の集計結果をもとに計画が達成できますよう保健所と連携を図る必要があると考えております。
 次に、下段は食品の収去、すなわち抜き取り検査の実施状況です。毎年度の予算のシーリング等により検査件数を増強することは困難な面がございます。しかしながら検査項目の拡大などで、検査項目数は増加させるよう努力しているところでございます。
 次に、次のページをご覧頂きたいと思います。こちらのページは、今申し上げました食品検査のうち今話題になっております残留農薬について抜き出ししたものでございます。上段は県産モニタリング、すなわち出荷前の生産段階の残留農薬の試験の結果推移でございます。平成19年度は34検体実施致しました。下段は流通段階での県産、国産、輸入品の検査で37件検査を実施致しました。この合計71検体の内訳につきましては、県内産はモニタリングと流通段階の中で55検体、県外産は6検体、輸入品は10検体でございます。下に書いてございますように、ポジティブリスト制度が施行されまして、18年度中は違反は発見されませんでしたが、残念ながら19年度は収去検査により県内産シロナにおいて違反が1件ございました。農薬のEPN等につきましては、使用基準を確認せずに使用し、食品衛生法の残留基準違反及び農薬取締法の使用基準違反でございました。イソキサチオンの残留基準の違反につきましては調査致しましたが、原因追及には至りませんでした。高齢の生産者の方ではございましたが、農林部局と保健所が合同で法の遵守と生産者の責務について説諭したところでございます。
 1枚、次のページのグラフの表の紙を1枚めくって頂きまして、残留農薬検査件数の推移ということで、更に平成13年度から20年度までの数字を示した表がございます。県産モニタリング検査は、先程の基本方針の策定により、従来の流通段階の抜き取り検査から生産段階からチェックするという目的で平成16年度から検査をスタートしております。平成19年度は、先程71件の検査であると申し上げましたが、試験機関の独自検査等を含めますと昨年度は86検体、平成20年度におきましては輸入冷凍餃子事件により加工食品の検査を充実する為、検査件数を増加させたところでございます。現在、来年度の予算編成の時期でございますが、今年度は輸入品の事件・事故が多発し、更に、地産地消の気運や国内産の需要が高まっておりますので、輸入食品の検査はもとより国内産の安全の確認を図る必要も増しておりますことから、事業の見直しや予算の確保等により、県内産の流通やモニタリング検査の増強を図りたいと考えております。これにつきましては、3月の次回の懇話会において案をお示しさせていただく予定でございます。以上が県の輸入食品や生産に関わります残留農薬の検査結果の内容でございます。
 次に、資料を離れますが、メラミンの問題についてもご指摘がございます。メラミンにつきましては、県内の輸入取扱業者にもあたらさせて頂きましたが、中国産なおかつ乳製品、乳や乳等の添加物を取り扱っている業者はございませんでしたが、奈良市内を含む県内で6検体の乳を含む輸入食品の抜き取り検査を実施致しましたが、いずれも不検出でございました。これらの検査結果や、先程申し上げました農薬の検査結果につきましては、ホームページで公開致しております。皆さまが買わないということもあるのか分かりませんが、この6検体を抜き取るのも大変苦労するというくらい、現在は中国産が減っているという話でございまして、中国産でなおかつ乳が入っている製品がなかなか市場に流通していないということで、この6検体集めるのも大変だったんですけれども、ほとぼりが冷めてくるとまた流通してくるのではないかということでございますので、今年度、引き続き流通状況を注視しながら、引き続き必要に応じて確認検査を実施して参りたいと考えております。
 次に事故米の件でございます。事故米の件につきましては9月に入りまして農林水産省の発表直後から、県の保健所におきましては農林水産省の近畿農政局の奈良農政事務所と合同で流通業者の調査を実施するとともに、県におきましては知事から国に対して全容の早期解明や被害業者の支援策等々について緊急要望を行ったところでございます。更に、食品の製造業者が、事故米とはまた別の意味で今後とも規格外の食品を大量流通させることもあり得ること、また、原産国の偽装表示が絶えないことなどから、本年の5月には奈良農政事務所、警察本部、県・市の食品衛生部局による監視協議会を立ち上げ、情報の共有化、調査の連携、処分の迅速化を図って参りたいと考えているところでございます。今月末には第2回目の協議会を開催する予定でございます。県での取り組みについては、以上でございます。

○座長
 はい。ご説明ありがとうございました。今のご説明に対して、ご意見、ご提言等ございますでしょうか。

○委員
 まず、この間の県の対応は、昨年のところから、ある意味しっかりとした対応をして頂きましたことを感謝申し上げたいと思います。特に輸入食品の流通品の検査を、前回も私、委員として指摘させて頂いた後ですね、早急に対処頂きまして、一定の前進があったということです。ただ、今もご報告ありましたとおりですね、収去検査の件数につきましては、若干この件数では大丈夫なのかという風に思わざるを得ないということです。項目のところで色々と努力頂いて、現在のレベルで検出できる可能性のあるものについても検査がされたということは前向きなことだと思うのですけれども、輸入の実態から考えますとやはりまだまだ不足しているという風に考えます。
 それからもう1点事故米の件は、先程ご説明ありましたとおり、私もホームページで確認致しましたが、県の対応は知事からもちゃんとしたご要望されたこと、非常に前向きに私も感じました。ただ、県内の事故品の流通実態が、やはりどの程度であったのかということは、県民が一番関心があったと思います。給食の方に回っているとか、和菓子の方に原料がとか、本当はあってはいけない物が食品として取り扱われたということですので、このことについて非常に大きな問題があると思いますので、引き続いて、そういった米穀加工品を含めた米の流通の実態についての把握を県として努力をして頂きたいということです。食でございますし、今回は、多額の税金が無駄になったということですし、現在政府の救済策が出ておりますけれども、どうしても業者中心の救済ということになっておりまして、消費者の方が一番食べさせられたという被害があったと思います。流通の把握をしっかり県行政がやって頂くということをお願いしたいと思います。以上です。

○座長
 2点ご指摘ありましたけれど、まずは検査の検体数を増やすことができないかというご指摘と、もう1つは事故米の調査、今後も徹底して行って公表していくということですね。その段取りについて、県の見解をご説明頂きます。

○事務局
 先程も申し上げましたように事件・事故が多発してございまして、輸入食品の検体数も増加している訳なんですけれども、県内産の流通についても、なおかつ需要が増えているということで、そちらの方も増やして参りたいと考えております。来年度につきましては、検査検体数については先程見て頂いた過去3年間で検体数が減っているのですけれども、現状維持プラス先程申し上げました農薬関係、それとメラミンとそういった部分については増やすという方向で、当局と調整にこれから入らせて頂きたいと考えています。
 もう1点、流通につきまして委員からご指摘がございました。ホームページで突然農林水産省が発表したということで、県と致しましては、お米を買われて、事故米とは知らずにお米を納入されて、米菓へ出荷したという事例がございました。そこの事業者さんに対しましては、立ち入った時に米が残っておりましたのと、それと、出荷先の2社の、米菓、あられですね、あられ2製品、それと先程申し上げました事故米が混入した疑いの米、この3検体につきまして、メタミドホスとアセタミプリドを検査させて頂きました。いずれも不検出でございました。それと流通関係でございますが、全国チェーンの給食会社にも中国産がいつの間にかアメリカ産のモチ米という風に、流通段階で三笠フーズから流れている他の業者さんでもアメリカ産に化けておったというようなことがございまして、給食会社さんが近畿方面の事業所給食に使われたという事例がございました。こちらについても、会社から返品の要請がございまして、県内にはその給食会社の施設が7施設ございましたが、保健所が立ち入りした時点で、3つの所にモチ米が残っておりまして、3つ検査致しましたところ、いずれもアセタミプリドとメタミドホスは不検出でございました。それともう1点、米粉になった製品が奈良県内の食品卸さんに入ってきておりまして、こちらの方が8施設ほど和菓子の方へ流れたという事例がございました。これにつきましては、大体1月までに製品を使い切っておったという状況にありながら、9月に発表ということで、もうその和菓子屋さんも全て名前が農水省のホームページに載りましたので、閉店状態のような状況になったということでございました。こちらの方につきましては、今申し上げましたように1月ということでしたので、もちろん保健所で調査致しましたけれども、米粉は残っておりませんでしたので検査は実施しておりません。県内に流通しておったのは、その他に、コンビニさんのお米、モチ米系統でおこわ、おにぎりが近畿で流通していたという事例もございましたが、こちらも回収等で流通状態を押さえることができませんでしたので検査は実施しておりません。それと、最後に学校給食にも流れたというお話がございました。東京のすぐる食品という所で、こちらのほうは新潟の島田化学という会社からカビ米が流通したということで、すぐる食品さんが自主回収をかけたということで、最初は69万食、奈良県内の学校給食に流れたということで、報道発表を県の教育委員会のほうで行いました。最終的には、自主回収のうち、事故米が特定できた分につきましては、69万食だったものが4万3千食ということで、4万食ほど給食に流れておったということで、いずれも報道提供させて頂いております。県内での流通状況というのは以上でございます。

○座長
 ご説明ありがとうございます。かなり頑張ったけれどこの辺が限界だということですかね。難しいところですね。今のご説明に対してよろしいですか。
 検体数については項目数が増えているんですね。それは農薬として問題になる農薬が増えてきているので、検査項目は倍以上に増えているんじゃないかと思うんですけど。その分、検体数を伸ばすことが難しくなっているんじゃないかと思うので、両方とも伸ばせるように頑張って頂きたいと思います。

○事務局
 先程申し上げました資料3の3枚目のところを見て頂きましたら分かるように、残留農薬の検査件数ということで平成13年度から書かせて頂いている表がございますが、色々考えまして、県では400種類の農薬を検査することができます。農薬の検査項目を増やして、そっちのほうは増えているけれども、収去が減っているのかということにつきましては、18年度から116項目で推移しております。これにつきましては、毎年度2、30検体ぐらい入れ替えて、その入れ替えというのは、先程メタミドホスが出てくるというようなことになれば、日本で使用されていないものを入れるとか、検疫所での検出事例が新たなものが出たとかなれば、そういったものを勘案して、先程申し上げましたように400項目ほど検査可能なんですけれども、限られた予算ということで、検査項目は400やればいいんですけれども、そうではなくて116項目を入れ替えて3年間やっておりますので、農薬検査以外の添加物とかそういったもので増やす努力をしているというようなことなんですけれども、先程ご意見がありましたように今年度におきましては、全体の検体数を減らさずに農薬の検査も増やすということで、今から調整に入りたいと考えております。これは先程申し上げましたように、毎年度の監視指導計画を策定しなければなりませんので、2月くらいに素案を県の公開所とかホームページで意見募集し、その意見募集を取りまとめて修正した案を3月に開催予定の懇話会に修正案として提示して、また論議させて頂いて最終案を決定して、計画を決定する予定になってございますので、次回の懇話会においてご意見よろしくお願い致したいと思います。

○座長
 他ご意見ないですか。どうぞ。

○委員
 今お話ありました検体数や検体に関わる方向については分かるのですが、お陰様で、私消費者の代表と致しましては、お話を伺う限りでは奈良県内で安心して食べ物を購入できますし、実際に危険な物にあたることはもうあり得ないと思っております。また偽装もございませんので、これはもう安心して食べていけると思っております。ご努力ありがとうございます。
 それで、発表されるタイミングについて1つお話ししたいことがあるんですけれども、実は昨年、私、たまたま奈良県内のある医療施設に入院しておりまして、その中で、偶然なんですけれども、事故米というものがその病院で出された時に入院しておりまして、ちょうどその時に、その事故米にあたったんですよ。結果的には、発見はされなかったんですけれども、私自身もパニックになりまして、県の保健所に電話したところ、その時には保健所には当初連絡はなかったという返事だったんですが、病院に問い合わせしますと、結果も出ている、保健所からは連絡がきていると。で、発表はされなかったという返事がありまして、もう1度保健所に問い合わせしましたら、発見されました、という返事だったので、その辺がちょっと県の保健所の発表と病院の発表とは食い違っていた内容があったりもしましたので、リアルタイムにやはりそういう風な発表は統一したほうがよいと。結果は出ている訳ですから、発表としては、医療施設の発表、それから保健所の発表、元は保健所が検査したものですから、必ず同じ時に発表できるはずですから、ホームページ上で同じように発表する、発表する内容は同じように統一するということは、発表する段階では統一してしかるべき問題ではなかったのかなと少し思った点はありまして。ちょっとパニックした分がありましたので、ちょっと私も反省しないといけない点なんですけれども、見直して頂ければと思うのですが。如何でしょうか。

○座長
 発表の仕方等について県の方から。

○事務局
 ご意見ありがとうございました。今のご指摘のとおり、先程申し上げました給食会社の7施設の中に病院等も入ってございました。発表のタイミングでもちろん保健所から病院へ連絡させて頂いております。ホームページでも公開させて頂いているのですが、いつの時点でお問い合わせ頂いたのか分からないのですけれども、今後そういうことのないように関係機関へ徹底させて頂きたいと思います。あの時は、そこの給食会社さんについて京都がスタートで検出がいっぱいあったんです。報道機関の方にとっては、奈良県は検出されなかったので話題性がなかったのかもしれません。ところが、今おっしゃったように実際食べられている方は、パニックに陥ったということでございますので、やっぱりその点につきましてはですね、県の機関等で素早い伝達、報道に載らないのであれば、なおさらそういった内部で伝達をきっちりさせて頂くということが重要であると。事務局として今後改めさせて頂きたいと考えます。ご意見ありがとうございました。

○座長
 私も国で何回か発表した経験があるのですけれども、全国調査をやるとですね、奈良県だけでも多分何十人、何百人の人が動いているんですけれども、全国で何千人もの人が平行して調査をするので、例えば明日の3時に取りまとめるといってもですね、全員の意見を取りまとめて、平準化して返すというのは非常に難しいんですね。全国調査ですと、20都道府県に調査の結果を返そうとしても、もう昔からFAXですよね。最初の県にFAXが入って、最後の県に入るまではやっぱり3時間くらいかかるという現状とかがあって、そのラグタイムがやっぱり実際の発表の際には非常に大きな問題になって、先程のご説明にあったように、問題のあったところは優先して発表されるんでしょうけど、問題のなかったところは逆に一番後になるのでラグタイムが一番大きくなるという問題があって、その間に、今のようにですね、現場で一番不安な方へ情報が出てしまうということが、現象として起こってしまいますよね。そういうことがあるということは、期限を理解して発表してもらう必要があると思いますし、今、実際にこの会議のメンバーの皆さんはそれに関与するお立場になるので、お見知りおきを頂ければと思います。
 ご意見頂きました委員におかれましては、今のご説明でよろしいですか。事故米についてご意見は。

○委員
 県知事の要望の中にですね、今回のことを教訓にした米のトレーサビリティの確立を求めるという一文がありまして、これが非常に大事だということで、今回の調査なかなか大変だったと思いますけど、どういう実態かというのはやはり行政が絶えず監視して頂くようにお願いしたいと思います。

○座長
 米のトレーサビリティについての取り組みを。

○事務局
 今委員からお尋ねがございました知事の要望の件でございますが、その全文を読ませて頂きますと、「不正流通の再発を防止するため、生産から最終消費段階までの流通経路の追跡遡及を可能にするよう米のトレーサビリティ制度の確立に努めること。」ということで要望させて頂いております。農林部局に詳しいことを聞いてみないと分かりませんが、牛トレーサビリティと同じように製品になっても遡れるというようなシステムの構築をいっているのではないかと、流通経路のトレーサビリティ制度の確立に努めて頂きたいということで要望したところでございます。

○座長
 よろしいでしょうか。事故米、メラミン、農薬の混入。私の個人的な意見を言わせて頂きますと、恐れるべきかどうかということについては、事故米はそんなには怖くはないですね。これは犯罪的ですし、社会的に許される行為ではないですけれども、食べて危険かと言われたらこれはそんなに危険ではない。ある意味ちゃんと洗って流通させているあたり、まだ良心的なところが残ってますね。ただそれは許されることではない。犯罪だとは思いますが、恐れるかどうかという意味では恐れなくていいと思うんです。それに対してメラミンとか農薬混入の話は、これは実際に健康被害がある可能性があるので、これは恐れるべきだし、県としてもそういったものが流通していないかどうかということはやはり優先的に調べていってもらいたいと思います。ですから犯罪捜査としての、犯罪というかですね信用失墜するような企業犯罪に対しての取り組みと、本来健康被害を防ぐという食品衛生法の視点、その使命を優先順位を決めて取り組みを是非して頂きたいと思っております。

○農業水産振興課
 先程ご質問ありました米のトレーサビリティの件でございますが、県の農産物の生産履歴、特に我々は県産情報開示農産物の表示制度と言っておりますけれども、平成17年度の2月に生産履歴と連動した県独自の安全・安心農産物表示制度、すなわち奈良県産情報開示農産物表示制度ということで創設させて頂いております。実際、米に関しましては、現在、奈良県農業協同組合さんが実施されておるところでございます。米以外につきましては、有機農業関連ということになってございますけれども、例えば西吉野の産直組合さんとか吉野川の紀ノ川エコネット協議会さんということで、品目については現在5品目、今米のお話をしましたけれども、柿、梅、いちご、なす、ということで情報開示させて頂いております。これにつきましては、ホームページ、それから市民生協さん、コープさん等の量販店さんで公開ということで実施させて頂いているところでございます。

○座長
 はい、ありがとうございます。なかなか米のトレーサビリティは難しいとは思うのですけれども、是非頑張って取り組んで頂きたいと思います。
 それでは次の議題に移らせて頂いてよろしいでしょうか。では3つ目の議題でございます。食品テロに対する備えについて、ご意見、ご提言の内容のご説明をお願いします。ご提言頂いている内容はですね、県内で大がかりな事案、安心を脅かしかねないような事案、例えば食品テロ等が発生するケースを想定したハザード対策についてということで、それについてご説明をお願いします。

○委員
 はい。県内で大がかりな事案、他の都道府県ではニュース番組等を見ていたらですね、いろんなハザード対策と申しますか、テロの対策、特に地震に対しては色々な所でよく見るんですけれども、奈良県においては地震対策といいますよりも、食品に対してのテロ対策が一番大きな考えるべき事案ではないか。特に山に囲まれていますから、そういった部分においてはこういったものが発生した場合において、これに対する対策の事案、これを具体的に、あるいは水問題、食品に直接必ず関わると思うのですが、こういったものが発生した場合にそれに対する事案が我々県民、市民に対してですね、具体的にされていないのではないかと。その時に我々県民、市民あるいは行政、県自体がどういった対策を講じるべきなのかをやはり共通認識として持っていかなければ、今後何かあった場合に知らない、分からないでは済まないのではないかと。これから10年、20年経った時にですね、それが具体的に全く分からないでは、何をどう食べたらいいのか、何をどうしたら食べれるようになるのかということが分からない、或いは将来的に何を購入したらいいのかが分からないでは、ちょっと済まないのではないかと思う点が、今回色々事件があった中で思うことがありまして、これについてやはり考えていかないといけない時期ではないかと思いまして、今回提案させて頂きました。その点、私も具体的に案を持っているわけではないんですけれども、自分自身もちょっと色々ショックでありましたので、これを機会にひとつ考えていった方がいいのではと思いまして、今回提案させて頂きました。よろしくお願いします。

○座長
 食品テロに対しての県の取り組みということで、現状の説明をお願いします。

○事務局
 それでは事務局からご説明させて頂きます。
 今、委員から地震等の防災の件とかの話もございましたので、他の委員さんへの説明の意味でお話しさせて頂きたいと思います。県では、昨年度、近畿府県市の自治体、関係機関の協力を得まして、防災図上訓練を実施しました。また今年度からは、県の国民保護計画に基づき、図上訓練を実施致します。国民保護計画は、皆様ご承知のとおり、多人数の人を殺傷する恐れのある武力攻撃に対する備えでございます。原子力事業所の破壊、昨年ありましたミサイル、委員からもお話ありました炭疽菌の空中散布や、水道水源への毒物混入など、食の安全に関わりましては、防災訓練と共に、この国民保護の訓練に致しましても、発生後の避難所・炊き出し施設、または被害を受けた食品工場の操業再開に係るそれぞれの衛生確保が主な役割でございます。従いまして、委員のご指摘にございますよう、食品テロに対する県の備えにつきましては、現在のところ全く構築されておりません。中国餃子事件、農薬混入事件では、国内で使用されていない農薬が人を殺傷するような高濃度で混入致しましたことから、一部、無差別の食品テロではないかとも報道されました。報道でもあったように中国では製造現場に監視カメラが設置されております。国内におきましても、監視カメラが設置されていく流れではございますが、国内でも決して安心できないものと考えざるを得ません。知的財産や種々の高度な研究開発施設は別と致しまして、食品の製造現場における製造管理やセキュリティーには必ず例外や隙間がございます。もちろん、化学工場等における毒劇物の管理においても問題があると考えなければならないと思います。インターネットで自殺用の青酸カリが手に入る今日、テロリストが生産現場で毒物を意図的に混入させることは可能ではないかと言わざるを得ません。
 事務局と致しましては、冒頭で座長が申されておられましたように、国の「食品によるバイオテロの危険性に関する研究」におきまして主任研究官をお務めされました座長にご助言を賜りたいと思いますのでよろしくお願い致します。

○座長
 ご指名でございますので、たまたま私が研究班長をやっておりまして、日本食品衛生協会と日本生協連と一緒にやってる事業でございまして、当事者の皆さま方がいる前で言うのは大変恐縮なのですけれども、国がアメリカでの炭疽菌のバイオテロを受けて、その次食品が狙われるだろうということで、研究班を立ち上げて、その研究班を私が主任研究者と致しまして、生協の皆さん、そして食品衛生協会の皆さんに入って頂いて、ずっとやってきております。
 結論から申しますと、今の食品衛生のシステムでは犯罪的なこういう毒物混入というのは防げないというのが現状です。実際食品衛生というのは人間の良心に依存するところがありまして、人を殺してやろうという発想で食べ物を作る人なんかいないと。そして、少なくとも、悪さをして見つかったら必ず改善するという姿勢前提でつくられているんですね。それを、自分自身が死んでも構わないという覚悟を決めて相手を殺しにかかるということに対しては、やっぱり日本の食品システムは弱いです。そもそも、そういうテロリストというのが食品衛生の問題かということがあって、基本的には犯罪だという風に考えています。ですから、警察が事件として処理するべきことだと思います。ただ、じゃあ、警察が食品工場を守ってくれるのかというとそうではないので、やっぱり食品工場を守るのは食品工場の義務であって、食品工場を支配しているたくさんの法律が力を合わせて守りにかかっている。そして、では具体的にはどんな方策があるのかというと、まずはそのセキュリティーを固めるということですね。警備を固めるということです。外から、少なくともその工場の関係ない人がふらっと入ってきて、毒物をポンと入れて帰るというようなことができないようにするというのが基本的なことだと思っています。そういうような点でいうと日本の工場は地域との信頼関係を大切にしている面があって、簡単に言うと鍵をかけている所、警備のある所はほとんどありません。実際街を歩いていても、食品を作っている工場は開けっ放しの所が大半というのが現状です。非常に高度な大きな工場はセキュリティーのシステムを入れていますけれどもまだまだガードが甘いですね。入り口でしっかりチェックをしていても裏口はチェックしていないとかですね、正規の入り口以外に裏の出入口があるとかいうのが結構あります。ですから、今の食品のシステムを性善説でなくてですね、性悪説に立って運用してもらうというだけでも、だいぶ運用面からこういった食品テロへの、故意による異物混入を防ぐことができる可能性は上がると思います。ただ、それで全てを止めるということはまず不可能ですね。気の緩みというかシステムに載っていてうまく運用されていないと思うのは、例えばHACCPで食品の原料の納入についてはその個数を必ず確認しましょう、それは伝票に残しましょうという規定がございますよね。じゃあ、それが運用されているんですかということを確認したら、たいがいの工場は当然確認していると。100個入ってくる原料が少なかったら大損じゃないですかと。でも101個入ってきた時にはどうしているんですかと言ったら、えへへと笑っておられるんですね。これは儲かったということで言ってないと。でも危険か危険でないかと言ったら少ないときよりも多いときの方がずっと危ないんですよね。同じ基準なんですけれども、少ない物をチェックすることには非常に熱心ですけれども、多いことに対して熱心にチェックしている所はあんまりないという現状というのがあって。そういったところからやっていかないと。実際、今、物品のデリバリーセンターというのが生協でもございますし、多くのチェーンストアではデリバリーセンターがあるんですね。デリバリーセンターに調査に入ってみて、同じ質問をしてみると、そのデリバリーした先からの苦情で多いのは足りないという苦情なんですよね。1日に何十件も予定の物が入っていないという苦情が来るんですよ。何十件も来るんですけれども、多かったという苦情はほとんどないんですね。デリバリーセンターですから同じ物を違う所に入れているだけだと思うんですね。多分少ない所の分、多い所があるはずなんですけれども、それが実際には報告されていないというような現状もあって、まだまだ今のシステムの中でも、今言ったような問題があります。ではそれを改善すれば完全に止められるかというと、先程申しましたようになかなか難しい面がある。その残留農薬の問題と根本的に違うのは、残留農薬などは広域汚染なんですね。これぐらい使ってもいいだろうと国が許している基準を、それよりも多く使えば雑草が生えにくいから使おうと、そういうルール違反をしている人たちというのはたくさん色々な物を作っているので、その地域の野菜なんかを時々抜き取り検査をしてあげれば違反してるのが見つかる。違反しているのがあれば、指摘すれば二度とその人たちはしないというルールで動いているんですけれども。こういう毒物の場合は1点混入なんですね。ですから1点混入されたものを検査で見つけるというのは無理ですね。全数検査の中でも全検体検査、食べる物全てを検査しない限りはこれは見つけることはできない。検査で見つけることはできないですね。ですから方策としてはセキュリティーを固めるというようなことしかないと。そこで、今実際そのセキュリティーを固めようというチェックリストを作って、生協さんとどこまでできるかという検討をしています。国の方から、アメリカのFDAが作ったチェックリストというのがあって、そのチェックリストを基にこれをやってみましょうということで、最初いくつかの工場に提案したんですけれども、とてもじゃないけどできないと。例えば、塀を造りましょうと一言でいっても大きな工場では塀を造るのに5千万円くらいかかると。その5千万円を全部商品の値段に上乗せできるかといったら、それを上乗せしたらこれでうちが倒産しますという根本的な問題があって。では、生協が今何しようとしているかというと、かなり良い工場を選びましょうと。その中で、できる項目を更にやっていきましょうと。するとどうしても値段が上がってくると、少なく見積もっても2割くらい値段が上がってくると。結果的にはそのセキュリティーを固めた食べ物を消費者が選んでくれるかどうかというところに焦点が集まるだろうと考えますが、そこまでやれるかどうかわかりませんけれども、セキュリティーというのはどうしても手間がかかる。手間というのは、最終的にはお金がかかるもので、それを製品に転化した時に、それを消費者の皆さんに選んでもらえるかというところが最大の問題というか、最後のハードルだなと思っております。先程の、個数の多い物をチェックするというのも、少ない分だけチェックするのと多いのをチェックするのとですね、同じことのようで、実はシステム的には結構かかってきて、それだけでもコストがですね1%上がるというような世界です。これができるかというのが我々の検討課題なんですけれども、ただ研究班でいくら研究していっても、どうしても防げないところというのが出てくる。そこで、これもまた研究班の方からも提言をしているんですけれども、基本的には食品の危険性から最後に守るのは自分自身だと思うので、変だなと思った物は食べないということをやっぱり心がけてもらいたいと思っていて、それを呼びかけています。なぜこんなことを言うかというと、生協の事件で大変象徴的なことがあって、「食べたときに変な匂いがする、今までにない変な感じがする。ただまあ生協の製品だから大丈夫だ」と思って食べたそうなんです。それは生協さんがそれだけ信頼を勝ち取っていた成果なんですけれども、食品というのは、もともと食中毒を起こしやすい物であって、夏場ならば刺身は3時間置いとけば毒物に変わる物だと思うんですね。その自分の舌を、自分の感覚を最優先するべきものなんですけれども、それが生協さんの信頼が勝ってしまったというのは、それはそれで、異常なことだと思ってましてですね。そこまで、信頼をさせてしまうというのは逆に、リスクコミュニケーションの失敗じゃないかという風に考えるようになって、それは日本生協連のほうも、そこまで安心・安全だという風に主張したのは間違っていたということで、今、その危険性をもう一度改めて取り直そうということで動いています。ですから、工場のほうからセキュリティーを固めていくということと、そして、今度買うほう、実際食べる側も食べ物の危険性を再度認識してもらって、食べる時に自分の感覚を信じてもらって、変だなと思ったら食べないで購入先に問い合わせるというようなことが出来ればいいのかなと。そういう意味では、インゲンの毒物混入の場合は割とうまく働いていたと考えていて、買った人も一口、口に入れて変だと思って吐き出して、それをその購入先であるイトーヨーカドーさんに連絡をしたらすぐに検査をして毒物が入っていることが分かって、トレーサビリティが出来ていましたので見事にちゃんと回収ができたという流れになったというので。そういう流れに乗ってあげるように持っていくのが今の日本の中では限界かなとは思っています。
 ちょっとお話が長くなりましたけれども、今、そのような研究班を日本で動かしていて、どうしても克服できそうにない問題も残っているというお話でございました。
 ご説明は以上です。今の私のご説明を含めまして、ご指摘や、ご質問、ご提言等ございましたら。

○委員
 今座長がおっしゃったことは、なるほど、なるほどと思う連続でよく分かるんですが、現実には食品防御という考え方は中国餃子の問題が生じてから具体的に説明されるようになりました。実は今日、皆さまのお手元に配っておりますその冊子もですね、いわゆる現状を紹介しようという立場から関係者の皆さん方の、各々の立場からの色々な事情をまとめて頂きましたが、残念ながらまだ食品防御は入ってないんですね。これからの課題で、今、それの実現の難しさというのを座長からご説明受けてですね、我々もこれから大いに勉強し、実際に現場にどのように定着させていくかがこれからの課題だとは思っております。おっしゃるように、消費者の皆さんも安全を求められた時に、それの反面でそれにかかります経費をどのように負担頂くかと。そこら辺りの問題も含めてそうは簡単にはいかない。特にHACCPの観点から見ますと、今座長がおっしゃったようにですね、原料チェックの問題なんかでも、日本で見ていくのは個数が少ない方ですね。本来の趣旨からいきますと、多い方も本当はチェックしないといけないんですけれども。そこらは現実論でですね、少ない方に興味がいくということで。今後もHACCPも含めて考え直していく必要があるんじゃないかなと考えております。ただ犯罪ということになりますと、HACCPではとても対応できませんので、そこらあたりのHACCPの手法も変えてですね、あるいは食品防御も加えた形がですね、今後の取り組みではないかなと思います。

○座長
 他、ご意見如何でしょうか。

○委員
 私いつも色々な側面で思うんですけれども、専門的な知識で安全ということを色々説明されるんですけれども、そういう中で、そういう専門家でない人たちにどのような言葉で安心という形で安全を納得させていくか、そこのいわば広報技術、コミュニュケーションテクノロジーといいますか、その辺のところの開発というのが、これから非常に重要に。それがある意味では、ソフトな側面での食品テロに対する対応ということの部分でも大事になってくるのではないかと。そんなことを考えておりまして、そちらの方の技術といいますか技術開発といいますか、これは行政のほうも含めてですね、ひとつお願いしたいというところでございます。

○座長
 今のご指摘全くそのとおりでございまして、私もそう思いましてその研究をしております。食品の研究をしておると、どうしてもリスクコミュニケーションがうまくいかないっていうことが最大の問題になって、例えばBSE等を見てみても、日本でBSEにかかってバリアント・クロイツフェルト・ヤコブで亡くなった方というのは、イギリスで食べた方が1人いるだけなんですけれども。実際、あれの風評被害というかですね、牛肉が売れなくなって自殺した方というのはもうたくさんおられまして、私が知っている人だけで5人いまして、実名がわかる人だけでもですね。当時JAの年金で自殺が原因でもらっている人が一気に何百人も増えてまして、あの年だけ増えているんですよ。その陰で一体何百人の人が自殺したか分からないという現状があって、この本来の危害で亡くなった方よりもはるかに風評被害の方が大きいというのが今の日本の現状だと思うんですけれども、それを追いかけていくと、本来のリスクを非常に大きく捉えてしまう現象が起きるのですね。BSEなんかも、あれは非常に怖い病気ですけれども世界中で200人ぐらいしか死んでいない病気ですから、世界で200人しか死んでいない病気というのは奇病中の奇病で、アフリカの難病でも200人以上死んでいますね。だから、その病気を恐れるんだったら他に恐れなければいけない病気がたくさんあって。その中の1つを選んでこれだけ意見を言うことがひとつの大きな問題かと。ではBSEに日本が過剰反応したのかというと、そうでもないんですね。韓国の例を見て頂くとあそこは内閣がひっくり返るほどBSEで大騒ぎになってますし、逆にアメリカなんかはBSEの何が怖いのかということで全く事件にもなっていないんですね。日本はヨーロッパと同じくらいの反応だったんですね。ヨーロッパはアクリルアミドという発ガン物質が出たことがあったんですけれども、ジャガイモをフライにすると出てくる物質なんですが、これはどんなものでもフライにすれば必ず出てくる物質で、ヨーロッパではそれがわかって大変な騒ぎになってポテトチップの全面回収になってるんですね。日本でもBSEの事件の後だったので大きな騒ぎになるだろうという風に思っていたら、それは全く騒ぎにはならなくて、ポテトチップなんか何も怖くないということで。その国によっても騒ぎになるものは随分違うという現状があって、すると本来のリスクを大きく捉えてしまうという現象はどの国でも起こるけれども、その何について起こるかというのはまだよくわかってない現状なんですね。鳥インフルなんかでもまた見てみると、今まで日本で3回鳥インフルが起こっていますけれども、1回目、2回目、3回目でテレビの報道量が全然違うんですね。この1回目の鳥インフルの時にはBSEよりももっと多い報道がなされていて、2回目、3回目がほとんど報道されていない。リスクそのものは同じなんですね。リスクに合わせて世界全体が反応している訳ではない。今の私自身の調査の感想なんですね。ですから買う側も賢くならなければいけないと思っています。私はこれをゴースト効果と呼んでいるんですけれども、柳の下に幽霊を見るような感じで、本当はいない幽霊を恐れてしまうようなところがあって、私は最初それをマスコミがつくりだしているのかと思っていたのですけれども、そうではないですね。マスコミの皆さんも消費者の1人ですから、消費者の1人としてそれを現実に恐れています。だから本当に怖いというように思う感覚ですね。その1つの原因が、BSEなんかを見ていると専門家の認識と消費者の認識の間に随分差があって、こんな奇病は怖くはないという気持ちが専門家の中にはあったと思いますね。それに対して牛が立てなくなるような病気は怖いという認識が。メディアの方も全く2つに分かれて、怖くはない、怖いという人が、最初は分かれたんですけれども。バリアント・クロイツフェルト・ヤコブはプリオンという物質で移りますよね。あれはタンパク質なんですよ。これは細菌でもなくて、微生物でもなくて、タンパク質で病気が移るというのがなかなか理解ができなくて、謎の病気だということで爆発していった経緯がありましてですね。なかなかメディアが悪い、行政が悪いというよりも社会現象として起こってしまっているということを今捉えようとしているんです。ただ珍しい今までにないパターンというのは騒ぎが起こりやすいので、少なくとも発表する側はよっぽど注意をして発表しないと騒ぎが大きくなるなというのは感じています。それは国や、関係機関に提言している段階です。

○委員
 委員のご意見を聞いていて思ったんですけれども、私たち国民、県民の側に十分に勉強する時間があれば、或いは勉強する機会があれば、内容が十分に精査されてですね、怖い、怖くないとか、こういった問題がどういったことなのかということが十分に分かれば、その段階では平静になれるのではというのがよく分かりました。こういったことも、メラミンがどういうものなのか、事故米のことは最近怖くないということがよく分かっておりますし、メラミンが実際に怖いものだということは十分に理解しておりますし、そういったことから、どういうものが怖い、怖くないのはよく分かっているつもりですので。そういったことから分かってきたという部分もありますから。その時間が必要なのかも分からないですね。その過程として、十分に勉強する時間が必要だということをどのように伝えていくかということを我々も考えていかねばならない部分だし、勉強する必要もある部分なのかも分からないです。ちょっとややこしいお話ですみません。

○座長
 まさにそのとおりでして。どうぞ。

○委員
 今、二人の先生方のお話を聞きながら、学校給食でBSEの事件が起こったときに、学校給食というのは絶えず後ろに保護者がいてますので、反応がとっても素早いし反応が大きいです。それで、もう牛肉使わないということで、色々県の方でも考えて、国の施策として、BSEを持っているかいないかという検査をしまして、必ず納入の業者がその検査をして検査の証明書と一緒に牛肉を学校に納入する。そんな形をとっていたんですけれども、なんか今先生のお話を聞いておりますと、ちょっと無駄ではという気はするんですが、とにかく私たちとしては事件が起こったときに示すものがなければ困るということで、とにかく検査した結果をもって、それでないと商品は納入したら困りますよということで、やってきているんですけれども。そんなことを感じました。

○座長
 学校現場はやっぱり自分のことではなくて子どもさんのことなので、やっぱり自分よりかなりハードルが高くなるので、どうしても先行して回収や使用禁止にせざるを得ないというのは分かりますね。でも、それを続けていくと今度は大騒ぎになるので、どの辺で打ち止めにするのかということが難しいところだと思うんですけれども。給食関係だと、実際、その施設等を見ているとですね、施設の中で人間関係がややこしくなって給食に悪さをしてやろうという人が結構いてるように思うのですけれども。先生の目から見て如何ですか。

○委員
 指導者によるとも思うんですけれども、従来の学校給食の方式には単独校と共同調理の方式があると思いますが、単独校の調理員さんというのは女性の方がほとんどです。今回その悪さをされたというのは、共同調理場の自分の所でご飯を炊いている所の男性の方だったようなんですけれども、その辺をその上に立っている指導者が、今どのような人間関係になっているのかというのを絶えず観察していかないとやっぱりこれから難しい問題もあるのかなと感じます。

○座長
 作る側のトラブルだけじゃなくて入所者や子どもの間のトラブルで、「5組に嫌がらせをしてやれ」とかですね、老人施設ならば何々さんに嫌がらせをというようなことが実際結構あるようにお見受けするのですが、その辺はあまり情報としては。

○委員
 私の方では、今のところ。

○委員
 非常に難しい内容ですよね。やっぱり一番心配なのは風評被害といいますか、本来の事実が非常に歪んだ形で伝えられていくと。ただ先程誰かがおっしゃいましたように何が真実かというのがなかなか時間が経たないと、あるいは全容が見えてこないと分からないというようなことになってきますので、その間やっぱり現場とか当事者というのはパニック状況になると思うんです。先程から色々とご意見お聞きしてて、もちろん頭の中では難しいなというのはよく分かっているのですけれども、現実問題そういうことになった時に、うまいこと冷静に対応できるかと言われると、やはり非常に難しいなと改めて今思いました。

○座長
 情報を公開する立場に立つと、これぐらいならば大丈夫だと思って発表が遅れて、逆にそれがどうして発表しなかったんだと不信を招いてというパターンが何回かあったと思うんですね。ですから、その火種の小さいうちに積極的に発表できるような体制ができれば一番いいのかなと思うんですけれども、これがまた最初に発表された所が一番風評被害を被るという難しい問題があって、そこがなかなかうまくかみ合わないなと感じております。
 他ご意見等いかがでしょう。消費者の立場から如何ですか。

○委員
 風評被害ということで、私たち消費者も賢い消費者とよく言われますけれども、賢くなるためには、先程どなたかおっしゃいましたけれども勉強も必要と思うんですね。でも、その勉強というのは、一体何をどういう風に受け止めて、正しい知識で、私たちにとって買っても大丈夫だよという商品を買っていくのかというのがなかなか難しい。これだけ色々な物が色んな風に情報が流れている中で、どれを取り上げていくのかというのがなかなか難しいんじゃないかなというように思うんです。そういう意味では、確かにリスクコミュニケーションというんでしょうか、専門家ではない人たちにどのように伝えていくのかがすごく重要だっていう風におっしゃいましたけれども、受け手の側としても、難しい言葉で、色々なことある中で、どんな風に私たちが感じるのかというと、すごく分かりにくいんですね。やっぱり平坦な言葉で分かりやすく説明をして頂けるという、そんな機会がどんな所でもいいですので、あったらいいとは思っています。
 やはり子どもを育てている親としては、子どもにはやっぱり安全な物を食べさせたい、安心して食べさせたいという気持ちがすごく強いと思いますので、ですから学校給食でもそのように親御さんも思うのではと思います。だからそういう意味でも、分かりやすく、消費者がそうなんだって思えるような、そんな場がたくさんあったらいいのかなって思います。

○座長
 ありがとうございます。他、ご意見は。
 ご意見、一旦ここで止めさせて頂きまして、もう1つ議題がありますので、最後の議題にいきたいと思います。
 4つ目の議題ですけれども、やまとの名水についてということでご提言がありますので、これについてご説明をお願いします。

○委員
 読んで頂いたらそのとおりなのですが、今、名水を汲みに行くっていうのが非常に流行っておりまして、本当にその場に行けばたくさんの方がお水を汲んでおられます。私が以前学校給食の仕事をしていて、これは奈良県ではないんですけれども他の県で、子供達が遠足に行きまして、その遠足の時に綺麗なお水が流れていて、それを子どもたちが飲みました。それでお腹の調子を壊してしまって、それが学校給食による食中毒ではないかと疑いが持たれて、よくよく調べてみると、結局その遠足に行って綺麗に流れているお水を飲んで、そういう被害にあってしまったということがあります。お水を汲みに行きますと、確かに検査していますよという風に札は貼ってあるんですけれども、それがいつ検査されたものなのか、どうやって検査されたものかというのが分かりにくいなと思いますので、もし県の方でそういう検査とかそういう情報を掴んでおられるようでしたら、お聞きしたいなと思います。

○座長
 ありがとうございます。県の方にその対応の説明をお願いします。

○環境政策課
 実はここにご提案頂いてます「やまとの名水」のことにつきましては、環境政策課の方で選定させて頂いている事業でございます。その辺のところから、私の方から水質検査をどのようにやっているかということについてご説明させて頂きたいと思います。
 まず、「やまとの水」と「やまとの名水」という2つの言葉がでてきます。環境省の方では名水百選という言い方で全国の名水を募っております。これは、環境省の方もそうなのですが、水質保全意識の高揚を図る1つのシンボルとして選定をするんだという、綺麗な水のシンボルであったのです。その名水百選に奈良県からは「ごろごろ水」と言われる所、いわゆる天川村の洞川という所なのですが、「ごろごろ水と神泉洞と泉の森」という洞川湧水群という形で1箇所選定されてございます。その事業を受けて今度は奈良県が各市町村に募集しまして、川を10箇所、滝を10箇所、湧水及び井戸水を10箇所、池というか湖沼を1箇所、計31地点を「やまとの水」として選定してございます。
 資料9を見て頂きたいのですが、これには「やまとの水」の選定の趣旨を書いてございまして、環境保全に対する住民意識の高揚を図る、「やまとの水」は飲用を保証するものではないということで、「やまとの水」31選というものを平成3年に募集して、4年に選定したという経緯がございます。その時に行いました水質調査につきましては、この選定基準にございます水質が良好で水量の比較的豊富なものということがこれは必須要件として入れてございまして、その水質の良好性を判定するための調査として、PH、COD、BOD、SSという項目は全31地点。それから、湧水・井戸水に関しましては、蒸発残留物他、大腸菌も含めまして飲適検査というのを追加でやってございます。これは色々と照会があった場合に備えて追加的にやったものでございます。従いまして、お尋ねの「やまとの水」というものにつきましては、基本的には水質検査はやってございません。やったのは、選定の際にいわゆる環境基準項目として、一般河川でありますとか公共用水域と言われている所、地下水も含めて公共用水域と言うんですけれども、その水質の状況を把握して審査の1つの指標としています。そのような位置付けでやっているものしかないという状況でございます。

○座長
 如何でしょうか。

○委員
 本当にそういう所に行ってますとみなさんが「この水でないと」という感じで汲んでおられますので、ちょっといつも気にしながら、「大丈夫なんかな」と思いながら、見たり、私も汲んだりしておりますので、ありがとうございます。

○座長
 私も今のご説明聞いて思うんですが、飲用を保証するものではないと資料には書いて頂いておりますけれども、たぶん名水とみてしまうと誰もが飲めると思うんじゃないかと思うんですね。だから、名水の中でも飲んではいけないものは飲むなということを言ってもらわないと危険かなと思うんですけれども。如何でしょう。

○環境政策課
 34箇所、今回県で選んでいる所があります。資料がないのですが、看板を設置しておりまして飲めない趣旨を書いてございます。先程のお話でしたら遠足とか行かれたお子さん方には分からないと思いますし、そういった所で名水という言い方をするのは良くないということで、あえて「やまとの名水」の「名」をとって、啓発のシンボルとして「やまとの水」というようにはさせて頂いていますが、ご指摘の件は我々も感じているところです。それを今度はどうやって、飲んではいけないということをアピールするのかというところについては、ホームページに載せるぐらいではなかなか分かってもらえませんし、「飲んだらあかんあかん」と言って回るというのも難しいところでございまして、ここは個人責任と言えば怒られるかも分かりませんが、引率者の方なりそういった方々でご判断頂けたらありがたいとは感じてございます。

○座長
 その看板に書いてある書き方なのですが、飲用には適しませんというように書いてあるのか、飲用を保証するものではありませんというように書いてあるのか。

○環境政策課
 生水での飲用を避けて下さいという表現だったと思います。

○座長
 ごろごろ水とかも書いてましたでしょうか。

○環境政策課
 環境省の事業ですので、県の方ではちょっと。

○座長
 そうですか。奈良県の方ではないということなんですね。なるほど。
 これ見てると結構、一般細菌群が出てる水もあるようですので。

○環境政策課
 そうですね。ごろごろ水の検査結果はちょっとここでは分からないんですけれども、多分飲用適だったと思います。湧き水なんかでここに載っているものは、飲用適の所がほとんどだったと記憶しております。ただデータが残っていなくて今日お持ちできなかったんですけれども。ただ、それは選定前のたった1回の検査ですので、その後どういう状況になっているかというところも調査は必要とは思っていますが、なかなか予算がつきにくい状況でございます。

○座長
 これについてご意見如何でしょうか。なかなか難しい問題だと私は聞いていたんですが。食品衛生法という法律で規定できるかというと、これはなかなか難しいんですよね。食品衛生法というのは、製造業として、要は販売を目的として売ってないとなかなか規制できないということがあって、まして自然にあるものについて規定することは難しいんですね。水道として飲むということなら水道法が適用になりますし、でもそれは水道水ではなくてたまたま行って飲むということなので。昔であれば全ての水が自己責任だったんですけれども、自己責任が残ってしまっている部分でして、そこに環境省が名水の指定をしたので、自己責任だけ残って名水が出たという難しい状況が発生したと思うんですね。法律の狭間というか、必ず法律の外に出てしまうものがでてくる。これがその典型かなと思っていたのですけれども。他、如何でしょうか。

○委員
 これはやむを得ないということですかね。

○座長
 如何ですか。
 今、事前にご提案頂きました議題については4つ終了したということで、その他にこの場で改めてご提案がありましたらお願いします。

○委員
 次回に向けてお願いしたいことがあります。それはですね、国の方針で消費者庁が設置されることが明らかになっております。それで、これに対する奈良県としての対応はどのようにできるのかということでございます。その一環としまして、今日ご要望したいことがありまして、食品安全の基本方針は今日確認したとおりございますけれども、他府県で設置されているような条例の整備を県として考えてもらえないかということでございます。近畿では既に京都府や大阪府、兵庫県で条例がございますし、昨今の食品事故の多発という状況がございまして、先程安心の問題を提起して頂きましたけれども、こういうものを行政がちゃんと対応するということで、検討するべきではないかと私としては思っておりますので、ご要望させて頂きたいと思います。

○座長
 消費者庁や条例について県の方から見解をお願いします。

○事務局
 消費者庁の問題につきましては、消費者庁をつくるという法案は通ったようですが、どういう形になっていくのか、消費者センターをきっちり都道府県に一任するとか法律案で出ているようですが、正式に決まっていないところがありまして。ただ、予算とか人事の関係の時期でもございますので、今出ている案に向けて対応できるような形で当方でも色々と検討は行っているところでございます。まだその段階でございますので、皆さま方にお示しできるようなものはございません。
 それと条例の関係につきましては、衛生ガイドラインに関しまして食品衛生法施行条例の改正について検討を加えているところでございます。以上でございます。

○座長
 よろしいでしょうか。

○座長
 他、次回に向けてお願いしたいこととか如何でしょうか。
 別段ないようであれば事務局の方から報告事項等についてお願いします。

○事務局
 資料に付けさせて頂いています資料10「私たちが取り組む食の安全・安心」につきまして、主となって編纂して頂きました上田委員の方から、この冊子を作る経緯とか、色々なことをお話頂けたらありがたいと思います。

○委員
 今ご要請を受けましたので。皆さんのお手元に、この「私たちが取り組む食の安全・安心」という冊子がお配りしてあると思います。ページは入っておりませんが「はじめに」として挨拶文がございまして、ここの下から9行目にこの冊子がつくられました背景をまとめて書いてございます。ちょっと読ませて頂きますと、「消費者の考える食の安全・安心に対し、生産から流通分野の県内での取り組みについて、現状、課題及び将来の展望について取りまとめ、広く県民に紹介し、県内の消費者に対する食の安全・安心の確保に寄与するため、本年4月に懇話会委員及び各分野の8名で構成する専門部会を設置し報告書を取りまとめて」、これが全体像でございまして、あと具体的には冊子の1ページに私が「取り組みの趣旨と経過について」ということで記事を書いております。それのポイントをざっとご説明致したいと思います。
 この1ページのちょうど真ん中くらい、上から13行目になるのですが、「このような現状のもとで」で始まる文章で、平成19年9月13日に第8回奈良県食品安全・安心懇話会が開かれまして、その場で「食品企業における企業姿勢の在り方と品質保証体制の確立」という課題が提案されましたが、この議題は非常に大きいものですから、当該懇話会で十分に討議することはできなかったので、継続課題としてこの第8回の時は持ち越しになりました。それを受けまして、翌年開催されました第9回で、これに基づいて本課題を奈良県の現状において捉まえまして、奈良県下のフードチェーンの各段階において食の安全・安心の取り組みの実態について把握、紹介しまして、官民一体となっての問題解決にあたっての取り組みの将来方向を見いだすための報告をつくろうということになりまして、県内消費者に対する食の安全・安心の確保に寄与しようという目的をもってこの冊子がつくられました。作成趣旨はそういうところでございます。
 具体的に、それではどういうように取り組んだかということでございますが、1ページの下から2行目に、まず最初にその専門部会の委員の選出を行いました。これにつきましては、1番下の行にありますが、奈良県内の消費者、農産物生産分野、食品製造・加工分野、食品流通分野、有識者から委員を選出致しまして、行政も参加頂きまして、ワーキンググループ、これは専門部会ですけれども、それを結成致しまして、事務局を県の食品・生活安全課に設けまして具体的に取り組みました。委員の選出にあたりましては、まず消費者の代表としては、消費者代表は懇話会の委員は5人おられるのですが、その中で一般公募の委員さん2人に出て頂きました。それから農産物の生産分野につきましては、ここにも書いてございますように奈良県を代表する全般的な生産の担い手でございますJAさんに参加を頂きました。食品の製造・加工分野につきましては、まずひとつは色々なレベルの企業がございますので、どういう企業さんにご参加頂こうかということで色々と討議がなされましたが、その中で、まず第1発目につくる報告でございますので、1つはですね、まず厚生省のいわゆる代表的な衛生管理システムHACCPでございます総合衛生管理製造過程の承認制度(マルソウ)、これの承認をお取りになった業者さんに参加頂こうと。1つは、国際的な品質保証システムでございますISO9000を取得され、かつISO22000に現在挑戦しておられる業者さん、それからそのような既存の管理システムではなく独自の衛生品質管理システムを構築され、積極的に食の安全・安心に取り組んでおられる業者さん、そういうところから参加を頂いて記事を投稿頂こうということになりました。各々、マルソウにつきましてはセンタンアイスクリームさん、それからISO9000につきましては山食さん、それから独自の衛生管理システムに取り組まれている企業としては若草食品さんから各々参加を頂きました。更に流通関係につきましては、県内を代表する流通業者でございます、ならコープから参加を頂きました。それから有識分野では私が参加させて頂き、官からは郡山保健所から参加を頂きまして、このメンバーで取り組んだ次第でございます。記事構成につきましては、消費者代表の委員さんが考えておられる色々な問題点並びに今後の取り組み課題、これらに答えて頂く形で各々のフードチェーンのお立場から、現状、課題、将来展望というようなところで記事を投稿頂く形とさせて頂きました。ここで、各企業にどのような取り組みを紹介願うかについて、ひとつのモデルを差し上げる必要があるのではないかということで、2ページから3ページに書いてございます「取り上げ課題」を提示しました。1つは企業モラルとコンプライアンスの遵守の問題、2つ目は内部牽制システムの構築の問題、3つ目は食品の安全・品質の保証体制の懸案の問題、それから4番目に法整備と行政の監視体制の強化、その他という大きく5つに課題を挙げまして、その各々について現状どのように取り組んでおられるか、それから実際に現状の問題点は何か、将来どのように問題点を解決またはより発展させるかというようなことをまとめて頂いた形になっております。今日の1つのテーマにございました食品防御、このモデルの課題と致しましては一応ここに書かせて頂いておりますけれども、先程も意見の中で申し上げましたように、この原稿を書いて頂いている時点では、まだ各企業さんにおかれましてはその取り組みを具体化しておられませんでしたので、残念ながらこの冊子にはご記載頂くことはできなかったのですが、一部、ならコープさんの記事の中にはございますけれども、他の記事におきましては残念ながらその辺のところに関してはまだ記事は頂いていないという現状でございます。奈良県下の食品企業さんの実態は、中小企業さんが主体でございまして、ここに書いて頂きました食品企業さんは、取り分け先進的、意欲的な企業さんでございまして、これらは奈良県内の全食品企業の食の安全・安心のいわゆる標準的な管理水準の企業では決してございませんが、1つの望まれる代表的な取り組みモデルということで、十分にご紹介すべき内容じゃないかと思っております。これができましたので、挨拶文の中にも書かれておりますように、今後県内におきます食の安全・安心の取り組みに関しまして、いわゆる関係者が相互理解の基に取り組むべき道筋の足がかりになればというように考え、かつ、私も、3ページの下から3行目に書いておりますが、奈良県下の消費者の食の安全・安心に対する不信感を少しでも解消する足がかりとなり、更にはささやかながら安全・安心の確保につながる参考情報として有効に活用されていけばということを念願しております。できれば今後、県とされましても、リスクコミュニケーションなどにおきまして、この冊子が活用されることを願っておる次第でございます。こんなところで、詳しくはこの冊子をお読み頂きますとご理解頂けますので、このようなところでご紹介とさせて頂きます。

○座長
 ありがとうございます。他、県の方から報告事項等ございませんでしょうか。

○事務局
 報告事項の中にですね、平成19年度奈良県・奈良市食品衛生監視指導結果につきましては、先程意見交換の中で事務局の方から若干の説明がございましたので、それをもって報告とさせて頂きたいと思います。内容につきましては、また、お帰りになってからでも確認して頂ければと思います。以上でございます。

○座長
 それでは、時間が少し過ぎてしまいましたけれども、報告事項これでないということですので、今回の懇話会これで終わらせて頂きます。最後に事務局の方に議事をお戻しします。

○事務局
 座長、議事の進行どうもありがとうございました。長時間にわたり、色々と参考になる意見等ありがとうございます。今回の意見交換の趣旨と色々意見を参考に致しまして、また本県の食の安全・安心に関する施策に反映できるよう努力して参りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。これで、第10回奈良県食品安全・安心懇話会を終了させて頂きたいと思います。お疲れ様でございました。