第13回 奈良県食品安全・安心懇話会

第13回 食品安全・安心懇話会議事録



第13回   奈良県食品安全・安心懇話会
 
  平成22年3月15日(月)
午後2時~午後4時

 於:猿沢荘(奈良市池之町)  

 
出席委員

今村委員 上田委員 吉本委員 山本(八)委員 岡山委員 山本(將)委員

森委員 木下委員 早﨑委員 南城委員 矢藤委員 井上委員 (12委員)

次第



  • 議事 

    1. 平成22年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)について
    2. 「食品のリスクとのつき合い方 -食中毒をテーマに-」の結果について
    3. 総合衛生管理製造過程(HACCP)制度の推進について
    4. 食品安全に関する条例の制定について
    5. 食品の安全性について

資料

     

  1. [PDF:994KB]



○事務局
 それでは定刻でございますので、第13回奈良県食品安全・安心懇話会を開催させて頂きます。よろしくお願いします。それではまず開会にあたり皆様にご挨拶を申し上げます。

○事務局
 皆様こんにちは。お忙しい中お集まり頂き本当にありがとうございます。平素は県政の推進にご理解とご協力を賜り、本当にありがとうございます。当懇話会は本県におきます生産から消費にわたる食の安全確保政策全般について、県民の理解を頂けるものにする為に、県民の代表である各委員の皆様方からご意見を頂くと共に、それぞれの立場におかれまして意見交換をして頂き、相互理解を深めて頂く場でもございます。本日も忌憚なきご意見並びに意見交換をお願い出来ればと考えているところでございます。
 さて、本年度につきましても食品に関する事件として、政府所有米穀の包装容器の規格基準違反、角切りステーキを原材料とするO157の広域食中毒事件、最近では全国的にノロウイルスによる食中毒が多発しています。このうちO157による食中毒事件では、好みに応じて客自身が肉を焼くやり方でありました。このようなケースにおいては、営業店の方に当然責任がある訳でありますが、一般消費者においても、食の安全への意識が高まっておれば少しでも被害を少なくできた可能性があり、一般消費者に対する食の安全への啓発といったものが特に重要であるということを改めて感じる事例であったところです。
 去る1月、前回の懇話会でも紹介させて頂きましたが、「食品のリスクとのつきあい方~食中毒をテーマに~」と題し、シンポジウムを開催致しました。本日ご参加頂いております今村座長、上田委員、森委員に講演、意見交換頂き、3時間弱の催しでありましたが、開催させて頂いたところでございます。アンケート結果については、後程お時間を頂きますが、205名の参加を頂き、満足したとの感想を多数頂いており、食の安全への啓発に資することが出来たものと考えているところでございます。
 最後に一つご報告がございます。県庁の組織改編のお話でございます。最近の医師不足や、それによる救急搬送への影響など、医療行政については大きな課題があるところでございますが、組織改正により、来年度から健康安全局が、医療行政に重点をおく医療政策部となる予定でございます。かたや食品安全行政については、消費者庁が発足するなど、消費者の視点がより重視される方向にあり、当課におきましても、県民生活を所管しますくらし創造部に所属する予定でございます。今後とも食品安全行政にご配慮賜りますようお願い申し上げます。それでは本日よろしくお願い申し上げます。

○事務局
 本日お配りした資料を確認させて頂きます。第13回奈良県食品安全・安心懇話会の次第、委員名簿、座席表、意見交換の提案事項の概要、最後に開催状況のとりまとめです。それと本日の会議の添付資料9つで、それぞれ右肩に1から9まで番号が付いております。
資料1は平成22年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)の改正ポイント及び計画(案)、資料2は平成22年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)に対する意見募集結果について、資料3は平成22年度奈良市食品衛生監視指導計画(案)、資料4は平成21年度食中毒発生状況(速報)、資料5は「食品のリスクとのつき合い方~食中毒をテーマに~」のアンケート集計結果、資料6はエグゼクティブ・ワークショップの開催について、資料7はGAP手法について、資料8は食品安全委員会ファクトシート「トランス脂肪酸」、資料9は消費者庁プレス記事「トランス脂肪酸の表示に向けた今後の取組方について」です。以上が本日の配布資料です。なお、食品安全に関する条例の制定に関し資料の提供がありましたので、追加で配布させて頂いております。不足等はございませんでしょうか。
 それでは、座長、審議よろしくお願いします。

○座長
 まず、先日の内閣府食品安全委員会共催のリスクコミュニケーションに関しては、委員の皆様に大変ご支援を頂きまして、盛会のうちに終わりましたこと、心から感謝申し上げたいと思います。参加された方々の評判も上々だということで、この懇話会で案を発したリスコミがうまくいったということは、非常にいい成果ではないかと考えています。
 それでは早速今日の議題に入っていきたいと思います。まず事務局から、奈良県食品衛生監視指導計画(案)についてご報告お願いします。

○事務局
 監視指導計画は、食品衛生法で年度毎に策定することが規定されています。原案を作成し、1ヶ月間意見募集を行い、それを踏まえ3月の懇話会でお示し、意見調整の上で策定しています。配布資料の中には奈良市のものも含まれていますが、奈良市は中核市である為独自に計画を策定されますので、ここでは奈良県の監視指導計画等についてご報告させて頂きます。
 資料1は、今回の監視指導計画(案)の改正ポイントを要約したものです。消費者庁及び市町村消費生活センターとの連携、残留農薬検査の検体数の増加、平城遷都1300年祭に関すること、この3点が大きな改正点です。
 続きまして、次のページからは「平成22年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)」になります。1ページ中程の「基本的な方向」の「食品供給工程の各段階における監視指導」では、奈良県が監視指導を実施するにあたり、奈良県食品衛生協会が実施しておられる食品衛生指導員による巡回指導、及び食品表示サポーターの方々からの情報提供が補完的役割を果たしていることを記載しています。この表示サポーターについては、前年度と同様表示基礎講座を受講の上登録して頂いています。また巡回指導については、平成21年度から委託契約に変更しています。
 続いて2ページについて、平成21年9月1日に消費者庁が設置されたことに伴い、「関係機関の連携確保」の2に、「消費者庁との連携」を追加しています。その下の関連図においては、奈良県各市町村に消費生活センター等が設置されましたことから連携を図ることを加えています。
 下段の「食の相談」のところで「消費生活センター中南和相談所」とありますが、従前から葛城保健所内にありました「食の安全・消費生活相談窓口」を、県民の皆様に分かりやすい名称に変えると共に業務の統一性を図る為、名称を変更しています。組織改正により当課の所属がくらし創造部に変更になりましたが、名称が変更になる他の幹事課がある予定です。
 続きまして3ページから5ページですが、ここでは、「重点的に監視指導を実施する項目」を掲げています。特に、平成22年1月から奈良県各地で平城遷都1300年祭記念事業が開催されていることから、その事業内容に応じて食品営業施設に対する監視・指導を行うと共に、必要に応じ食品の細菌検査及び理化学検査を実施します。
 続いて、6ページの「3 監視指導の実施体制に関する事項」に関し、監視指導に携わる人員及び検査体制等は記載のとおりです。関係機関との連携は(3)に記載しております。消費生活センターが奈良県と市町村の両方に設置されていますので役割分担を明確にするよう努めております。(4)の農林水産部局等他部局との連携確保に関する事項では、3行目の中程に幹事会と奈良市との連携を強調した記述に変更しています。
 7ページから9ページには、立ち入り検査及び収去検査等の計画を記載しています。9ページの(4)収去検査等実施計画の表をご覧ください。清涼飲料水の検査を3検体実施します。また青果類の項目で20検体増やしています。これは農産物残留農薬検査の検体数を20検体増やしたことによります。また、地産地消の高まりを受け、奈良県産の農産物について引き続き残留農薬モニタリング検査を実施しますと共に、農林部局と協力して、奈良県内の直売所で販売する農産物について抜き取りによる出荷前残留農薬検査を実施し、これについては、原則24時間以内に残留農薬の有無を判定し、違反品の出荷を未然に防ぐことを可能にします。農林部が実施している、直販所に対する農薬適正使用の指導とあわせることで、県内産の農産物の一層の安全を確認したいと思います。また、輸入食品の残留農薬検査については、輸入冷凍食品の検体数を増やしており、また昨年に引き続きメラミン検査を実施し、安全性について確認することとしております。なお検査項目については、10、11ページに整理しております。
 12ページ~14ページの項目については、消費者庁が関連する部分に消費者庁を加筆し、高校総体に関係する部分を削除しました。その他、前年度からの大きな変更はございません。
 続きまして資料2は、「平成22年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)に対する意見募集の結果(案)」です。先程申し上げましたように、監視指導計画(案)は、1ヶ月間意見募集を行いますが、県民の皆様から頂いたご意見と、それに対する当課の対応状況を記載しています。今回の計画案に反映させて頂いたものもございますし、更に検討を要するものもございます。なおこの意見募集の結果についての公表はだいたい4月上旬を予定しております。
 この意見募集について、少し述べさせて頂きますと、食中毒の未然防止対策の強化についての件については、県民の皆様への啓発活動が重要であると考えております。7月には夏期一斉取り締まり、8月には食品衛生月間として奈良県食品衛生協会様と共同で食中毒予防のキャンペーンを行っているところでございます。安全推進条例に関しての件については、後の議事のところで報告させて頂きます。
 最後に、先日のリスコミュニケーションが良かったという意見、より県民の皆様に近い形で実施するアイデアも頂いております。参加された方がより満足されるような方法を検討する際の参考にさせて頂きたいと思います。以上で監視指導計画等の報告を終わらせて頂きます。

○座長
 ありがとうございました。それでは、今の説明に対してご意見、ご質問等ありましたら挙手をお願いします。
 まず、私からいくつか質問させて頂きます。実際の検査する件数としてはかなり増えることになるのでしょうか、それともほとんど変わらないことになるのでしょうか。

○委員
 2点ございます。1つは体制の変更について、くらし創造部消費・生活安全課に変更とのことですが、人員体制の変更はどのようなものか、もう1つは平城遷都1300年祭のイベント内容に応じ営業施設の監視指導を行うとのことですが、具体的な計画等ございましたら、どのような施設にどのような頻度で検査をされるのか教えて頂きたいと思います。

○座長
 では、合わせて事務局側から回答をお願いします。

○事務局
 例年ご指摘頂いていますが、9ページに来年度の抜き取り検査の実施計画ということで数字を掲載しています。来年度については予定として850検体ですが、この数について、毎年抜き取り検査を実施しているもの、隔年度に実施しているもの、その調整で若干数が減っております。10件か15件程度減っていますが、農薬の検査については、昨年度県内流通とモニタリング、輸入品で195検体でしたが、来年度は220検体、195検体を220検体に25検体増やし、先程の減っている数をカバーしている状況です。
 また組織変更について、人員体制はどうなるのかということですが、私共の課がくらし創造部へ所属替えになりますが、検査を実施しています保健環境研究センターや実働部隊であります県内の保健所については、全て、健康安全局から名称が変わる医療政策部の所属のままになります。保健所と検査部門の保健環境研究センターについては、今までどおりの配置ということでございます。私共の課がくらし創造部に所属変えになったということで、保健所及び保健環境研究センターについて人員変更はございません。組織替えについては以上です。

○座長
 あと、イベントに準じての内容について。

○事務局
 この監視指導計画(案)の1ページ、第3の1の基本的事項(1)の監視指導の対象に記載していますが、本監視指導計画は奈良市を除く県内の各保健所管内についてということになりますが、メイン会場は奈良市内ですので、メイン会場等の監視指導等については奈良市で実施されるということになります。しかし例えば、その会場は奈良だけではなく色々な会場で行事が行われますし、県内の事業所から奈良市内の会場へお弁当を納品するということであれば県内の保健所が担当します。どういったものがどういう形で流れるかというものについては平城遷都1300年祭事務局からまだ当課へ連絡がありませんので、必要に応じて、というような表現をさせて頂いています。昨年の高校総体のときも事業概要が分かりませんでしたので、こういう形で表記させて頂いているところでございます。

○座長
 ありがとうございました。質問ですが、去年の計画は検体数をあまり変えないかわりに検査項目を増やすということだったと思いますが、今回は検査項目についての記述がないので、検査項目は前の増やしたままの状態で、検体を若干増やすということでしょうか。

○事務局
 通常の検査は数項目ですが、残留農薬の検査が増えると1検体あたりで多い為項目数が増えるのは当たり前というご指摘がありましたので、今年度はあえてそういう表記はしませんでした。残留農薬の検査が20検体ほど増えますが、1検体116項目ということで検査項目数は必然的に増加します。

○座長
 他、質問はありませんでしょうか。
 では、次の議題に移らせて頂きます。二つめの議題ですが、「食品のリスクとのつき合い方~食中毒をテーマに~」の結果について、ご提案の趣旨をご説明頂き、その上で事務局から状況についての報告をお願いします。

○委員
 1月29日のシンポジウムについて、座長はじめ各委員の皆様ごくろうさまでした。ありがとうございました。非常に盛会で、皆様方じっと聞き入っておられて、全般的な雰囲気も良かったかと思います。
 ただ運営の在り方について、最初から最後まで参加させて頂いた一人として、少し気付いたことを、ご参考までに申し上げたいと思いますが、講演をなさっている先生方の立場からもお聞かせ頂きたいのですが、基調講演、それに続いての意見交換会等において、演壇の照明を全部消しておられました。ダウンライトも初め消えてまして、折角、登壇し、お話し頂いているのに、スクリーンの関係もあって照明を落としてられたというのはよく分かりますが、お話頂いている当事者のお顔が全然見えず、またおそらくメモなり原稿なりお持ちだったと思いますが、先生方の手元に照明がなかったと思いますが、不都合をお感じになられているのではないかと思いました。また先生方のお話の中で内容が聞き取りにくかったこともありました。気になりましたので、途中事務局のスタッフに、照明がむしろもうちょっとあった方がいいのではと言いましたら、早速つけて頂き、その面ではよかったかと思います。少々の照明があってもスクリーンは十分見れますので、以後にまた計画されるときには、そういう点も事務局の方でご留意頂ければと感じました。
 また、後程アンケートの結果等もお聞かせ頂けると思いますが、最初ほとんど満席でしたが、基調講演が終わり休憩に入ったときに大勢お帰りになって空席が目立ちました。折角のいいお話を最初だけ聞かれ、後半がそういう形で寂しかったと感じた次第です。

○座長
 ありがとうございました。今のご指摘も踏まえて、事務局から、今回の講演会シンポジウムの結果、またアンケート結果等についてご説明をお願いします。

○事務局
 それでは事務局からご説明させて頂きます。今のご指摘を頂き、私共事務局も次回以降の反省材料として検討させて頂きます。百年会館等で開催しスタッフの方の協力を得て照明等最適な環境を提供する考えでしたが、最近はそういうところより講演者と聴衆が近いところがいいということもあり、その分自分達で会場の運営をしなければならないというところがあり、不手際が発生したということかも分かりません。また初めての開会ということで、当初100名くらいで考えていましたが、200名を超える募集があり、全員受け入れたということもあり、運営上不手際が発生したという点も併せて反省材料でございます。
 また初めての開催でしたので、予めご意見を頂いたものについてパネラーで討議する形で実施し、会場とのキャッチボールでの意見交換は今回控えさせて頂きましたが、やはりキャッチボールを行って欲しかったという意見もありました。
 以下事務局からアンケートの全体的なとりまとめについて、ご説明させて頂きたいと思います。

○事務局
 資料5が「食品のリスクとのつき合い方~食中毒をテーマに~」ということで開催しましたシンポジウムの、アンケートの集計結果です。
 アンケートは150名の方にご回答頂きました。まず参加頂いた方の男女の比率はほぼ半々で、男性の方は40~50代、女性の方は60代の方に多く参加頂きました。また参加頂いた方の38%が消費者の方でした。
 この会を何で知られたかということについては、「関係者からのご案内」が一番多く、次いで「案内のちらしで知った」という順番でした。
 参加理由については、「食品の安全・安心に興味があったから」という意見が一番多く、次いで「食中毒予防について理解を深めたかったから」でした。
 「100%安全な食品はないこと」への理解については、「強くそう思う」「ややそう思う」という答えを合わせますと94%という結果で、概ねこの会の目的が達成されたのではないかと思います。
 次に、裏ページの内容や進め方については、いくつかご紹介させて頂きますと、「今村先生のご講演について、大変良かった、興味深かった」というご意見が多数ございました。その他、「いろんな取り組みがあることが分かって良かった」、「リスクはあるものだと分かったので、自分自身うまくつき合って、日々気を付けていきたい」、「またこのような機会や学習会を開き、情報提供してもらいたい」等の意見がございました。
 また、今後、先程ございました今後の課題についての意見は、「講演やパネラー報告の時間が少なく、もう少し聞きたかった」、「一方的に話を聞くのは疲れる」、「内容が多すぎて早足だった」、「フロアからの意見が反映されるとさらに良いと思う」、「大中小企業等の管理の話も欲しかった」、「聞き慣れない情報を分かり易く知らせる手段を取ってください」、「会場が狭かった」等頂きました。これらの意見について、今後の開催時に役立てたいと考えております。報告は以上です。

○座長
 ありがとうございました。この内容について、ご質問ご意見等ございませんでしょうか。初めて主催されたとのことで、色々と試行錯誤の面があったと思っております。何回か繰り返されていけば、熟練されうまく運営できるようになると思います。

○委員
 内容的に非常に良かったと思っております。長年のキャリアの中での色々なお話を交え、ユーモアも適当に入れて頂き、そういう面では、皆さん非常に熱心にお聞きになったと思います。
 重ねて事務局の方にお願いしますが、先程も触れましたように、折角いい話をして頂いていますので、マイクの調節について、講師の方によっては声の大小のばらつきがありますので、そういう面の運営方法をお考え頂けたらと思います。

○座長
 運営上の問題は、ぜひ事務局の方で今後お考え願います。特にこの会についてご意見ございませんでしょうか。

○委員
 私パネリストとして参加をさせて頂きましたが、経験不足で皆さんに十分ご満足頂けたか否か分かりませんが、参加させて頂きました経験から1つ。
 私の場合HACCPの内容でしたので、対象者が食品企業の方と消費者と両方になります。HACCPについて、ご理解の深さが違いますので、どこにその深さを合わせてお話しするかという難しさがございました。
 また時間の制約から、限られた時間の中でより十分な説明をという要請が事務局からございました。なるべく十分に理解頂こうと、その内容を十分に盛り込む代わりに、早口にならざるを得ず、特に専門用語も比較的出てきたため、なかなかご理解頂けなかったかもしれません。
 その2つの点、参加者の皆さんに話の深みをどう合わせるか、時間をどういうようにうまく利用し進めていくか、これらが課題でございます。

○座長
 ありがとうございました。シンポジウムをする時は一番苦労するところで、消費者向けに分かりやすくしゃべると、どうしても事業者の方はぱたぱたと倒れていかれ、事業者向けに踏み込んで分かりやすくしゃべると今度は消費者の方がぱたぱたと倒れていくというのが、演台から見ていますとよく分かります。なかなかこの両者をターゲットにというのは、しゃべる側の負担がありますので、次の企画をされるときには、ターゲットをもうちょっと絞っていくということが必要と思います。

○委員
 手元に照明は要りませんでしたか。全然なかったように思いましたが。メモなり原稿なりを参考に見ながらお読みになるのに不自由ではなかったですか。

○委員
 ご配慮ありがとうございます。私の場合はしゃべる内容は大体覚えており、特に原稿は見ずにしゃべっておりますので、その点は特に支障はございませんでした。

○座長
 私も原稿を見ないでしゃべるので、不自由はありませんでしたが、原稿を準備された方はちょっと見にくかったかもしれません。

○座長
 では、この議題については後でまとめてご議論頂くこととしまして、次の議題に移らせて頂きます。
 次はHACCP制度の推進についてということで、エグゼクティブ・ワークショップの開催について議題を頂いております。ご提案の趣旨のご説明をお願いします。

○委員
 資料6をご覧下さい。この資料は前回の懇話会で、懇話会を主体とした形で説明させて頂きましたが、開催主体がこの懇話会である場合、国の補助金を頂く関係で、開催が難しいことが分かりました。国の補助金が出る団体は民間の団体とのことですので、前回提出しました計画を、食品衛生協会さんのお名前で書き換えた内容になっています。このような経緯ですので、内容については変わりなく、前回説明させて頂きましたので省略させて頂きます。
 このエグゼクティブ・ワークショップについて、この3月4日に、ならコープで開催されていますので、どのような状況であったかをご説明頂き、皆様のご参考にして頂ければと思いますのでよろしくお願いします。

○委員
 ならコープの取引先が200社ほどある中で、共栄会という取引先組織があります。そこと相談の上で日本HACCPトレーニングセンターのご協力を頂き、奈良ロイヤルホテルで3月4日に開催しました。
 社長6名を含め18社、私共の関係スタッフを含めて38名で、6人ずつほどのチームを作り、トレーナーに各テーブルに2人ずつついて頂いて、具体的な食品企業が起こした事例を踏まえ、社長としてどう考えるかというケーススタディを1日、10時から6時まで開催しました。
 参加された企業さんでは、HACCPの取り組みをどうするか悩んでおられるところが多いと思いますが、あまり規模が大きくなくても、こういった消費者起点という発想を経営に取り入れて頂けるよう、現在農水省が推進しております。HACCPの普及率を少なくとも50%くらいにしたいという構想があり、費用は懇親会の費用、コーヒー代を含めて1万円ということで、本来自分達の交流に要する、会場費、運営費等は援助があり、具体的なことを討論を通して身に付けて頂く点で、参加者にたいへん満足頂いた結果となりました。また経営者同士の討論の場になり、交流が深まる付随的な成果もありました。
 食品企業が消費者の視点を取り入れ、行政と消費者と食品企業の3つのそれぞれの立場から、消費者への安全な食品の提供にどのように取り組んでいくか、このことをお互いの立場を踏まえて交流し合う、話し合う場でありますので、大変有意義でございました。また、私どもはトレーナーを養成して全社にこの取り組みを広めていきたいと考えているところです。

○座長
 ありがとうございました。

○委員
 今のお話のようにコープさんで開催された訳ですが、資料6で、奈良県の食品衛生協会さんのお名前で前回の資料を書き換えさせて頂きましたが、食品衛生協会さんの方ではどのような考えであるのかご披露頂けますでしょうか。よろしくお願いします。

○委員
 食品衛生協会の常務理事会が2月に開催され、前々からお話を頂戴していましたので、その報告を致しました。食品衛生協会の食品衛生指導員部会があり私がその部会長となっていますが、そこに一任する形で、前向きな形で今進めています。常務理事会では全員一致で賛同頂いていますので、ぜひとも前向きに進めて参りたいと思っています。以上でございます。

○座長
 ありがとうございました。これについて事務局からコメントはありますか。

○事務局
 先程お話がありましたようにこの制度を利用しようと思えば、任意の団体の方で主催になって頂き、事務局は調整役に徹するという形でさせて頂きたいという段階です。以上でございます。

○座長
 分かりました。それでは今のエグゼクティブワークショップについてご意見等ございましたら。1つ私からですが、これに参加される方は基本的には県内の食品企業の皆さんで、HACCPの導入がまだの方々ということでしょうか。

○委員
 原則的にはそうなると思います。奈良県食品衛生協会さんで行って頂きますので、その会員さんということにもなるのではと思います。

○座長
 HACCPの説明を聞く機会が最近増えているのですが、HACCPの認証がどういう意味をもつのかについて、説明に欠けることが多く、あたかも全て国の認証システムのように思っておられる節もあり、他には1つ大きな認証機関があって認証しているかのような誤解もあり、また東京都がされていますが都や県のみが行っている認証のような誤解もあり、HACCPの認証についてそれぞれどうも企業の皆様がもっているイメージが随分違うようだと最近感じており、HACCPを知っている方にはそれは当たり前のことですが、最初にそれをもう少し説明して頂けると、聞く側の理解に役立つという気がしています。私の意見としてご留意頂ければと思います。他、ご意見等ございますでしょうか。

○委員
 今、アドバイスいただきました内容は、実態としてまさにその通りですので、今後私共お話させて頂くときには、十分にそれを認識して行っていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

○委員
 食品衛生協会の巡回指導において、日頃、食品製造のお店、或いは飲食店、中小、個人商店様を中心に廻っていますが、やはり、おっしゃって頂きましたように、HACCPの大事さを日頃説明していますが、全然レベルの違うような認識をされています。
 今後エグゼクティブワークショップに関し食品衛生協会が関わらさせて頂きますが、先程のコープさんの取り組みで対象となった取引企業さんはレベルが高いです。日頃からそういう勉強もされておいでですし、まずコープさんと取引するにあたって最低限必要だと思います。
 これを一般的な企業さんや個人商店を対象にするのに際しては、段階を経ていかないといけないと思います。いきなりこのレベルの高いやりとり、ワークショップをするのはどうかという点、不安な点があります。

○座長
 貴重なご意見頂きましてありがとうございます。
 実はこれはどこにも書いていないことで、HACCPの教科書や本にもありませんし、国の教科書にも当然出てきません。最近行政の流れとして、消費者庁ができて、かなり消費者庁がこちらの世界にのり込んでおられますが、国民生活センターの流れをくむ組織ですから、食品のことそのものはあまり詳しくなく、その方々がHACCPの普及に取り組まれることが多いのですが、どこにも書いていないことについては皆さんに全く理解頂いていない状況が続いており、その部分の説明について混乱を生じている状況があります。
 その意味で説明をされる際に、その点を踏まえて説明して頂いた方が今後理解頂けると感じましたので、これは今までHACCPを知っている人は非常に詳しく、一方知らない人は全く知らないことから出来てしまったギャップのようなものだと思いますので、ぜひご配慮頂きたいと思います。
 それでは、次の議題に移らせて頂いてよろしいでしょうか。
 それでは、4番目の議題の、食品安全に関する条例の策定について、ご趣旨とご説明をお願いします。

○委員
 前回発言させて頂いた内容を文面にし、資料としてお出ししています。なぜこういうものが要るかということを前回も少しお話しましたが、今のHACCPの普及についてもそうなのですが、食品に関わる企業も消費者も、行政のこの分野を担当を頂いてる方々も、やはり人間が健康に生きていくというその価値をお互い認め合い、行政サイドで何らかのこういう取り組みが推進され、応援させて頂ける趣旨が非常に大事であり、企業を取り締まり、罰則を強化して守らせるという視点ではなく、お互いの立場での繁栄を願うというものです。
 奈良県はちょうど今年は平城遷都1300年ということですので、世界中から、全国から多くの方が来られるのですが、奈良にうまいものはないと、そういう言われ方もある中で、奈良の文化の中に食の文化が大変根付いていると私は思っており、知事がおっしゃっている世界に輝くという奈良県づくりの一環として、伝統ある食文化を奈良らしく世界に発信し、食品の安全のレベルをしっかり確立していくという意味でも、大変重要な局面にあるのだと思っています。
 ちょうど消費者庁が出来、行政の視点が変わりつつありますが、食品安全の行政が、やはり世界的にみて、今後の一つの国の水準をはかるものさしになっていくようにも思います。食品安全行政というものを行政は行政の立場で、我々市民は市民の立場で食品事業者と一緒にレベルを高めていき、健康な暮らしがちゃんと保証される、こういう食品の流通を是非とも実現したいし、生産の現場でも今努力されています。
 近畿の近隣の各府県でも整備されており、是非、食品安全の色々なルールを奈良県でも整備をして頂きたい。そのこと抜きに県民の暮らしの安全もありませんし、食の安全という保証もなかなか難しい流通の状況もあって、こういった整備が是非とも必要だと思っております。
 それぞれ各府県ごとに特徴があり、理念をしっかりうたって条例を制定されていたり、色々な事件が起こったことを受けて、色々なルールをつくる必要性から整備されたところもあります。いくつか全国的に制定されており、インターネットでも相当内容詳しく公開もされ、意見はしっかり府民や県民に求めて制定していくようなやり方も進んでいます。資料も配らせて頂きましたが、現状、半分ほどの都府県で整備が既に行われ、中核市等でも進みつつありますので、奈良県でもこういった視点をもって臨んで頂く必要があると思っています。
 既に事例がありますように、食品メーカーは事件を起こした後の対応によって評価が下りますので、もし隠していたり嘘をついていたりしますと後で内部告発を含め分かりますから、かなり神経を使って自主回収をするという動きになる訳ですが、ただ内容的には、言われるからやっているというレベルのところもありますので、しっかり行政の側で、こういうことが起こったときに危害の情報も公開して頂き、また回収の状況や結果も把握し、必要な場合には調査をして頂く、そういう法的な根拠を整備していく必要があると思います。一方で、まじめに取り組んでおられる企業さんや組織もございますので、そういった優良事業者について支援をする仕組みも整備をしていくことが大事と思います。みんなそういう願いをもってると思いますので、食品安全行政に関してこのことをご提案させて頂きます。
 既に奈良県において方針が出来ていますのでそれをより豊かに発展させて、また当懇話会も回を重ねいくつかの到達点を築いてきていますので、今後行政で、こういった条例の整備に向けての検討も頂き、食品安全行政の組織についてももう少し整備頂きたいと思います。これは県民の強い願いと思います。
 先程ありましたように、この前のシンポジウムでも関心がかなり高く、また我々が行います調査でもそうですし、新聞各社等マスコミがされる調査でも食品安全の問題は絶えず最上位の関心事です。やはり食品の安全のレベルを上げていって欲しいと。安心して買い物したいということが一番に上がって来ますので、対応を頂きたいということでお話させて頂きました。

○座長
 ありがとうございました。これに対して事務局の方から何かありますでしょうか。

○事務局
 今発言のありました内容ですが、食の安全・安心を推進していく姿勢については、本県においても他府県と何ら変わらないところですし、それに向かって色々な取り組みを行っているところです。
 細かい話になるかも分かりませんが、自主回収に関連した義務づけについての話になりますと、そもそも自主回収ではなくなることにもなりますし、違反があった場合の対応、公表や県民の皆様への情報提供等については法等にも明記されていますし、具体的な細かい部分については、法の施行条例になります県条例でも定めています。食の安全・安心を推進する為に、法を執行すると共に、条例でも必要なものについて定めているという状況です。
 食品に関連しましては、奈良県の地域においてだけというのではなく、これだけ広域に流通していますことから、ある程度統一的な基準の中で動いていく必要があることも現実として考慮するべきと考えています。なお、先月から生協さんと一緒に、勉強会に参加させて頂く形で、もう少し具体的な内容とそれの最適な対応について、議論を深めて行きたいと考えておりますところです。

○座長
 ありがとうございます。それではこの議案についてご意見等ございましたら。

○委員
 このテーマについては、各食品の分野の方々ご出席を頂いておりますので、是非ともこの機会にご意見頂けたらと思います。よろしくお願いします。

○座長
 いかがですか。

○委員
 今ありましたように、遷都1300年祭ということで、奈良県民以外に観光客として色々な方が来られると思います。その時に、先程のHACCPで触れましたように、小さな個人事業主のレストランとか食堂とか多い中で、もし万が一のことを考えましたら、この安心条例が出来ることにより、食の安全のレベルが高まり、一生懸命取り組まれている事業者さん、小さいところでも一生懸命頑張ってやっておられる優良な事業者が守られていくのであれば、条例があった方が良いと思います。
 消費者としては、この前のシンポジウムでもお話がありましたが、食品というのはゼロリスクではないということを考えると、やはり条例が出来ることによって私達消費者の安全が、もっと確保出来るのであれば、あった方が良いと思います。

○座長
 ありがとうございました。

○委員
 販売する我々だけではなくて、先程お話しありましたように、製造から配送から色々な立場の方々が、同じ切り口で食の安全に対して取り組めるのは非常にいいことだと思いますので、ぜひ進めて頂きたいと考えております。

○座長
 ありがとうございました。あと、製造の立場から、いかがでしょうか。

○委員
 私共の組合は、もうずっと以前から、安全安心の生産物を提供しなければということで、ならコープさんとも長いお付き合いをさせて頂き、全国に先駆け、卵の細菌検査や品質検査、残留農薬検査等検査体制を構築し、県下46事業所全ての事業所で実施しながら、出来るだけ安全なものを提供しようと頑張っております。
 元々卵は無菌だと言われていましたが、1986年にイギリスでSEサルモネラ・エンテリティディスが、保菌系の親をもつ親鳥から卵に引き継がれることが初めて分かり、卵の食中毒が問題になったことがあります。今から24年前ですね。それからはサルモネラのSEの検査もして頂くようになりました。
 当時奈良県下でもそういう事件が起こり、その時は生産者の手で全て処分しました。それ以来そういった事件は起こっていませんが、卵の食中毒という訳ではありませんが、夏場の保存や流通の上で、ごくたまに問題が起こることもありました。そのようなことがあり、どうしても検査体制を厳しくしないといけません。私共は生協さんとの取引を通じ、検査を終えた卵をパッキングセンターに集め、パッキングセンターでも血卵やひび卵の検査を実施する取り組みを行うこととし、より選別し出来るだけ安心な卵を提供するように努力しております。そうした中で、生協さんや消費者の皆さんとも深い信頼で結ばれている訳です。
 条例が無くても取り組まないといけないことですが、消費者に安全な食品を提供するということが大切であり、そういう条例が出来ればと思っております。我々の組合でも、新鮮で安全な食品を提供出来るよう、さらに勉強を重ねて参りたいと考えております。

○座長
 ありがとうございました。総じて皆さん前向きなご意見があり、懇話会としては、この条例の制定については非常に前向きに考えているという状況と思います。

○委員
 ただ、全てそういうものはコストの上昇につながる面があり、業界が非常に厳しい状況に追い込まれていますので、コストの上昇をどこで吸収していくかも併せて考えて頂きたい、ご理解頂きたいというのが、お願いしたいところです。

○座長
 分かりました。規制には必ずコストがついて来るものですので、どこで折り合いがつくかですね。いま生協と県でどういうことが出来るか勉強会が始まったと聞いていますので、この問題も含めて、そこで議論を深めて頂くということがまずはよろしいかと思います。

○委員
 新たにつくられる条例案は、そういったデメリットを踏まえ、制度なりをつくっていくということです。以前は罰則強化の考え方が強かったと思いますが、今はそうではなく、行政と食品事業者と消費者がそれぞれの役割を果たしながら、より健全な食生活を送れるような食品の流通、生産、販売の仕組みを整備しましょうという、分担論です。消費者にも責任や役割があり、販売した人にも、生産者にもある、こういう、生産現場から食卓までの流通全てのフードチェーンをちゃんとつくらないといけない、こういう考え方に基づき制定されています。
 地域の食文化にはそれぞれ特徴があり、食文化はその地域の文化の象徴であります。奈良は奈良の特徴があり、日本の食品、食品加工品の発祥の地である奈良らしさを、奈良の企業はそれを長年守って来られ、それぞれ今、名産品をお持ちだと思います。こういった業界のご意見も十分踏まえ、制定し運用する立場で考える必要があると、最近特に強く思っています。地域全体の繁栄があってこそ、各々役割が発揮でき、共存していくという考え方ですので、むやみに規制法として制定するのはよくないと思います。そういった研究を他の方と、皆さんとしていきたいという立場です。

○座長
 分かりました。

○委員
 コストの話がありましたが、私もこの委員になる前は安ければよいと考えていましたが、やはりある程度お金を払わないと安全なものは購入できないと思います。安全をお金で買うんだという意識を消費者が持つことも大切だと思いました。
 消費者の責任という部分、これも大切だと思いますので、消費者も勉強する必要があるというのは私も感じます。ですので、こういった条例をつくり消費者側の勉強も促すという面で、必要と思います。

○座長
 ありがとうございました。力強いお言葉で、たぶん事業者の皆さんにとっては、最も聞きたい言葉だったと思います。

○委員
 ありがとうございます。
 生産者の立場から申し上げまして、食品は安全でなければならないということは私もよく理解しております。ただ、検査をして奈良県の卵は大丈夫ですと示す為には、もちろん検査費もかかりますが、検査機を入れることにより5%ひび割れが出て、出荷できなくなします。キロ10円といった程度と思いますが、我々生産者にとっては死活問題のコストなんですよね。
 ご存じのように、アメリカのエタノール燃料の関係で、鶏の試料になりますトウモロコシが値上がりし、我々の業界でも、奈良県で現在46業者でが、この2年間で13業者が廃業しました。このような非常に厳しい状況で頑張っていかないといけませんので、そういった意味でコストについて理解をお願いしたいです。

○座長
 ありがとうございました。
 このテーマについてもう一つ、ちょうど今の鶏卵と若干関係のありますGAPについてのご提案があがっております。これについてご説明頂いてよろしいでしょうか。

○委員
 条例化にあたって食の安全・安心に取り組んで頂く基盤の問題です。
 奈良県の監視指導計画において、1ページの第2の基本的な方向の2番、食品供給工程(フードチェーン)の各段階における監視指導、その3番の生産段階の食品安全規制との連携、奈良市の方でも監視指導計画の2ページに同じような内容がでており、こちらはまた後程見て頂くとしまして、この県の方を読ませて頂くと、「食品供給工程、食品の安全性を確保するためには、農林水産物の生産から食品の販売に至る一連の国の内外における食品供給工程(フードチェーン)の各段階において、食品の安全を確保するための規制の実施等の必要な措置が適切に講じられることが重要である。」、また3番には「監視指導は、農林水産物の採取段階以降が対象となるため、農林水産物の生産段階の食品安全規制を実施する県農林部等と連携して監視指導を実施する。」と、このように計画に記載されています。
 これを踏まえて頂いて、資料について述べさせて頂きますが、(1)で、食品安全基本法の基本理念として、第4条に県の監視指導計画にありましたが、「食品供給工程の各段階において、食品の安全性の確保のために必要な措置が適切に講じられること」と規定されており、それを受けまして、(2)の、現在の奈良県の食の安全・安心に係る行政政策をみてみますと、「奈良県の食の安全・安心確保の推進基本方針」が出ており、これの具体的な施策として、奈良県食品衛生法施行条例の第3条に「管理運営基準」が設けられ、具体的に書かれています。
 しかしフードチェーンを考えますと、「生産現場の衛生管理」について、これはGAPといっており、Good Agricultural Practiceの略ですが、推進基本方針には記載されていますが、具体的な施策である管理運営基準には規定されていません。管理運営基準は食品工場から始まって消費者までとなっており、生産現場が抜けております。しかし、この管理運営基準のベースであります食品衛生法第50条第2項の、「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針」や、さらにその元のFAO・WHOのCODEX委員会が出しています「食品衛生の一般原則」には生産現場の衛生管理について規定されています。
 次に(4)になりますが、GAP分野は奈良県においては農政部門でご担当されていると思いますが、奈良県の農業施策についての色々な基本方針やビジョン等の中から関連するものを見てみますと、全部調べた訳ではありませんが、「奈良県環境保全型農業推進基本方針」、や「奈良県農林振興ビジョン21」の中に、このGAPやHACCPの取り組みについて、必要性が記載されております。
 食品工場以降はきちっとこの管理運営基準で決められていますが、生産現場について、奈良県の場合は、管理運営基準に対応するような生産段階での衛生管理、つまりGAPが規定されていないのではないかと思います。ですので、奈良県の管理運営基準に該当するGAPについてご説明頂けたらと思います。

○座長
 分かりました。それではGAPの取り組みについて、担当課から説明をお願いします。

○幹事課
 担当しております農業水産振興課です。
 GAPとは、1つは農作業の点検項目をまず決定し、その点検項目に従って農作業を行い記録します。その記録を点検、評価し、改善点を見いだして、次回の作付けに活用します。資料にパンフレットを添付していますが、Plan、Do、Check、Act、計画、実践、それから点検・評価、見直し・改善のサイクルを行う持続的な活動です。
 それと奈良県での取り組み状況については、個々の生産組合等がGAPに取り組んでおられますが、GAPに取り組んでいる産地、農業者については、限定的という現状です。
 奈良県農業協同組合の生産流通部会で取り組んでおられ、具体的には、「いちご、なす、トマト、茶、かき、蔬菜、花卉、果樹」の7部会の中でGAPについて、部会にGAPのチェックリストがあり、それで取り組んでおられます。
 また、全国的なところで日本GAP協会という民間の協会があり、そちらでも取り組みがされていまして、大和郡山市の(株)グリーンパッケージ等で日本GAP協会の認証を推進されています。
 これらを踏まえ今後の取り組みにつきましては、農水省では、全ての販売農家や産地関係者にGAPの考え方を普及し、平成23年度までに全国で2000産地でのGAP手法の導入を目標にしています。奈良県ではそれを受け、現在GAP手法の取り組み等について、関係機関への周知や農業者への意識啓発を図っているところです。今後、まだ導入していない産地等へ、総合的な周知啓発や導入をして頂くよう、推進していく所存です。

○座長
 ありがとうございました。

○委員
 ありがとうございました。現在、奈良県のGAPというものはないということですね。製造現場以後については管理運営基準の方には具体的な内容の基準がありますが、フードチェーンの始点になります生産現場について、食品衛生法ではきちっと具体的な基準がありますのに、なぜ奈良県の管理運営基準ではおつくりにならないのか、そのご説明を頂きたいと思います。
 また、JAならけんさん等で取り組まれているのはあくまでも自主的な取り組みであり、非常にいいことだと思いますが、やはり県としては、管理運営基準のように生産現場についても一定の基準を制定するべきではないかと思いますが、それも含めてご説明お願いします。

○座長
 では県からお願いします。

○幹事課
 今ご指摘のありました奈良県としての基準の制定についてですが、GAPとの関連が大きい、情報開示農産物の表示制度というのがあります。トレーサビリティの情報開示ですが、各生産者、農家に啓発を図っているところです。これについても県全体にまでは至ってなく、今のところ、奈良県農業協同組合、有限会社西吉野産直組合、また吉野川エコネット協議会、これらの方を認定し、米、かき、梅、苺、なすの5品目について、情報公開頂いています。これについてはホームページをご覧願います。ご指摘ありましたように、県全体としてという段階にはまだ至っていない状況です。

○委員
 ありがとうございました。現在そういう取り組みということですが、将来的にはやはり農場から食卓までというのは基本ですので、管理運営基準に生産現場の方もお願いしたいと思います。食品衛生法でもきちっと内容が書かれていますので、難しい問題ではないのではと思います。また食品安全基本法の15条には、関係行政機関の相互の密接な連携のもとでの政策策定が謳われております。縦割り行政が先行し、横の連携が出来ていないのではないかと思います。これは奈良県だけでなく例えば京都府でも、やはり管理運営基準は製造現場以後ということになっていますが、私のようにHACCPを進めていく立場から申しますと、こういった懇話会でそこの意見の一つとして、管理運営基準の中に生産現場の基準を設けて頂きたいと発言させて頂きます。以上でございます。ありがとうございました。

○座長
 よろしいでしょうか。

○委員
 生協では自主的なGAPの取り組みについて勿論推奨しておりますが、私が今日主張させて頂いてます食品の安全条例でも、この視点が非常に大事だと思います。
 県の特産野菜、ブランド化大和野菜ということで、私共も普及に力を入れております。JAならけんさんと提携していますが、JAならけんさんの責任で品質保証を頂き、生産者を明示頂き、栽培方式も指示させて頂いた形で直売所を設けていますが、それはこういう取り組みの推奨を是非進めて頂きたいからでございます。
 先般、奈良でスローフードジャパンの全国大会があり、そこで木簡を研究されている方の講演がありましたが、大和の国は「食国の政(おすくにのまつりごと)」をやってきたとのことでした。木簡には産地表示があり、誰が、どこで採取した、ある意味現在で言われていますトレーサビリティを保証する荷札をつけ、食品を平城京にもってきたとのことでした。その研究が進む中で、大和の国はそういった全国の産地や流通を把握しており、「食国(おすくに)」というのはそういう意味だそうです。
 「食国の政」、今まさに求めておりますことです。食品の安全流通や、おいしいものを全国からもってきた優れた伝統ある地ですので、県産農産物の安全性をしっかり観光県としても取り組み、更にこの原料を使った加工品の生産という仕事も出てきますので、雇用の場を創出したり、食品産業を振興することが地域の元気をつける活性化の上でも大事であります。消費者の食の安全にとどまらず、もっと素晴らしく広がりがあります。奈良県の地域特性を踏まえ、そういう取り組みを県民それぞれがやっていくということは大事だと思います。
 GAPを基準にした条例のご主張かと思いますが、私もこのことは大いに賛成していきたいと思っております。よろしくお願いします。

○座長
 ありがとうございました。GAPについて、今、国でも結構ホットな話題になっているように思います。特に消費者庁が出来、このGAPの問題にかなり踏み込んで取り組んできているかのように思いますので、食の安全とGAPをどう関連させていくか、今後、大きなテーマになっていくと思います。ぜひ県でも、このGAPの問題については検討して頂きたいと思っています。
 だいぶ時間が過ぎましたので、次の議題に移らせて頂きたいと思います。
 最後5つめの議題ですが、食品の安全性について、1つがトランス脂肪酸について、他方が遺伝子組み換えのネーミングについてご提案がありましたので、説明お願いします。

○委員
 トランス脂肪酸について、最近よく言葉を聞く機会があると思いますが、食品安全委員会で示すにあたって安全かという話がありますが、トランス脂肪酸は危ないものであると言い出すときりがありませんが、トランス脂肪酸が危ないと私達が問題視することの方が危ないのではないかと、言葉が一人歩きする方が私は問題であるのではと思います。
 「トランス脂肪酸」や、もう一つ提案しました「遺伝子組み換え」といった、言葉だけが一人歩きしており、消費者の立場で、なにか一見危ないといった印象を持ってしまいます。遺伝子組み換えに関して、昔、「ザ・フライ」という映画がありました。ハエと人間の融合生物体ができるという映画ですが、その印象が強く、それ以降、遺伝子組み換え食品も同様かのような印象をもっている方もあると思います。
 遺伝子組み換えイコール怖いという方、遺伝子組み換え技術はそういったものだと言う方もいらっしゃりますので、きちんとリスクコミュニケーションで説明する必要があると思います。詳しく説明する方がいいのか、或いは漠然と理解してもらう程度の方がいいのか、どういった形がいいのか議論しておいた方がいいのではと思いましたので、提案致しました。

○座長
 ありがとうございました。今のご指摘について、まずは事務局から、今現在の知見等について説明をお願いします。

○事務局
 資料8と9について、共にインターネット上のホームページに掲載されているものです。県が把握している情報についてはこの程度で、皆様と大して変わりない情報でございます。県はどうするかということについては、ありきたりになってしまいますが、まずは国の動向を見極め、それに従った方法で対応して行きたいと思います。

○座長
 なかなか踏み込んで県の方からは言いにくいと思いますので言わせて頂きます。
 たぶん、トランス脂肪酸は本当に危ないんですか、この程度のものを怖がるのはなぜですかという意味だと思います。実際、トランス脂肪酸については色々と安全性評価されていますが、危険かどうかは実のところ分からないという状況で、不安が先行しているんですね。
 トランス脂肪酸というのは、昔化学で覚えて頂いたかもしれませんが、結合形状が椅子型と舟型があり、通常自然界にある椅子型が自然界にない舟型になる、自然界にないものを食べるのは不安というところから元々端を発しており、脂肪酸といいますか脂肪は心筋梗塞等を起こしやすいですので、その起こしやすさがより大きくなるのではという疑いをかけられている状況なんですね。
 これはなかなか実験のできることではなく、自然界に全く無い訳ではありませんが、あまり無いものですので、大量に摂取するのは止めた方がいいのではと、WHOから出ています。ただWHOは、ちょっとでも危険といいますか、リスクの高まりそうなものについては、どんどん専門家会合というところから、この辺を超えたらリスクが高まりますよとは言いますが、食べるなとは言わないんですね。このデータを参考に各国で決めて下さいと投げかけるんですね。
 それで非常に厳しく決める国もあれば、緩く決める国もあります。トランス脂肪酸については、製造の仕方によっては結構高い濃度で入ってきますが、これを除去する工程を作ると大変なコストがかかるということがあり、簡単には業界も止めましょうとは言えないという状況なんですね。施設や整備を変えれば価格が高くなりますが、買ってもらえる保証がなく、特にマーガリン等の油分業界からすると、本当に買ってくれるんですかというところがあると思います。

○委員
 先程ありましたように、どのような食品でもリスクがあり、危ないかもしれないというだけで全て危険として危ないから止めましょうとしてしまうと、何も食べれなくなります。危ないと決めつけ不買運動になると、とんでもないことになってしまいます。そこで、ある程度は食べれるものという位置付けで食べていくものだと理解しております。遺伝子組み換えについても、ただの品種改良の一つであると、理解しています。

○委員
 遺伝子組み換えの話が出ましたが、これに一番関心をもっていますのが畜産業界でございます。日本でだいたいお米が1,000万トン近く採れます。それと同じぐらいの量を、畜産の飼料として、日本では主にアメリカからですが、トウモロコシを700万トンから800万トン輸入しています。また大豆については、ブラジルやアメリカ、アルゼンチン等から600万トン、そのうちの半分は食用ですが、残りは大豆かすという形で、牛や豚の餌に使用しています。
 ところが最近アメリカでは、トウモロコシ、大豆のほとんどが、だんだん遺伝子組み換えの品種に変わってきています。今おっしゃられたように、品種改良の一つとして。系統選抜、多収穫で病気に強い、また品質も素晴らしいという品種を、たくさんの中から選抜し、色々交配したりして品種を改良してきた訳ですが、突然変異を起こさせ、人工的に遺伝子を組み換えたものが、アメリカは15年前くらいから、トウモロコシ、大豆の分野でだんだんと作付け面積が増えてきています。アメリカに続きブラジルやアルゼンチンといった主要国でも、普通の栽培品種に比べて、遺伝子組み換えした品種が3割くらい多収穫になって病気にも強いらしく、農家にとっては多く採れて利益が上がますので、だんだん遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆が増えてきている現状でございます。よって、遺伝子組み換えでないトウモロコシや大豆を手に入れるのは難しくなってきています。また値段的にも3割くらい高い訳ですね。卵や肉の生産コストに影響してくる訳です。
 遺伝子組み換えをしていない品種、している品種のトウモロコシや大豆を餌とした畜産物、卵や肉について、どちらが安全かという試験は何もされていませんし、その結果も公表されていません。しかし遺伝子を組み換えたら危ないということになり、なかなか遺伝子組み換え品種を使った肉や卵は、消費者の方々に受けが良くありません。試験データも何もないのですが、不安感を与えてしまっていますのが今の日本の状況です。ところが将来的には穀物輸出国のほとんどで遺伝子組み換えの品種になっていく状況です。
 ところで、なぜそういう不安感を与えるようになったのか申しますと、アメリカでの大豆の品種改良において、害虫駆除の為に遺伝子組み換えで害虫に強い品種をつくりました。その大豆の樹液を吸うと、もう害虫が嫌がって吸わなくなったり、或いは吸ったら害虫が死んでいきましたが、そういうことがあり、遺伝子組み換えは怖いとなってしまったと、私も詳しいことは分かりませんが、そういったことを聞いています。
 そういうことで、だんだん手に入れることが難しくなっています。しかも遺伝子組み換えの餌による生産物のデータはあまりありません。ただ漠然と、話題になってしまっているというところがあると思います。そこで、我々も行わないといけませんが、そういう啓発をもっと国等公的なところでやって頂きたいと思います。一方的な意見ですが、考えて頂きたいと思います。

○座長
 遺伝子組み換え食品について解説させて頂きますと、遺伝子組み換え食品の植物は大きく2種類あり、1つは今ご指摘のあった、樹液を吸うと昆虫が死ぬという遺伝子組み換え、Bt蛋白という芋虫や蛾等を殺す蛋白質があります。人間にはそれを消化する力があるのですが、蛾は消化できないので食べたら死ぬことになります。芋虫を殺すことは皆喜びましたが、同じ芋虫から生まれてくる蝶も全部死んでしまうので、有害でない昆虫も死ぬというのが非常に感覚的に許せないものでした。
 もう1つは、それも生産性を上げる為のもので、農薬をかけても死なない大豆やトウモロコシが出来たんですね。ラウンドアップレーディーというモンサント社というところがつくったもので、農薬だけに死なないという特殊なものを生み出し、結果的に農業を穀物メジャーが支配するという感じになり、反発にあうことがあったんですね。
 その上で、実験データというものは結構あり、飼料として遺伝子組み換えのトウモロコシを食べ続けた牛の乳に蛋白質やDNAが出てくるかどうかということが世界中で実験されていますが、出て来ないんですよ。安全性審査というものも結構色々な方法でやられていますが、今のところ明確なリスクとしてはっきりあげられるものは何一つないということです。
 ただその中でも、いくつか世の中に出回らなかった遺伝子組み換え食品というのがあり、1つは何年か前に回収騒ぎになったスターリンクというものです。あれは蛋白質が結構固い蛋白質、溶けにくい蛋白質で、人間の胃液で溶けにくいのではないかという疑いがありました。人工の消化液で溶けなかったという実績があるので、溶けない蛋白質が入って来るとアレルギーを起こすのではないかということから、禁止になったものがあります。ただ、ばたばた人が死んでいくイメージとも、「ザ・フライ」のイメージとも全然異なるものです。
 遺伝子組み換え食品のリスクは、極めて高いリスクがある訳ではないので、ある程度データもありますので、一般的にはほぼ、世界的に遺伝子組み換え食品のリスクは今までの食品と変わらないだろうという認識なんですね。遺伝子組み換え食品は怖いと浸透していますので、なかなか感情的には許してもらえないというのが今の現状だと思います。
 今までの品種改良の技術と比較し、今までの品種改良が安全で遺伝子組み換え食品が危険であるかというと、どっちかといえば逆で、遺伝子組み換えが新しいものをつくるというリスクがありますが、今までの品種改良で行ってきた手法というのもなかなか強烈で、どっちもどっちというのが正直なところです。ですので、今までの品種改良をよしとするのであれば、遺伝子組み換え食品だけを狙い打ちするのは変だということになりますし、少しでもリスクが高まることが良くないというのであれば、今までの品種改良が良くないということになります。その辺りのバランスがなかなか取りづらいということなんですね。
 最初に悪いイメージが広まってしまうと、おそらくもう、その現実のリスクは考えにくくなります。トランス脂肪酸も現実にはそういう類だと思います。
 脂肪酸そのものはやはり脂肪ですから、心筋梗塞等を起こす可能性があります。ですので、脂肪酸そのものの食べる量を減らせば、トランス脂肪酸を恐れる必要はない訳です。同じ量を食べていてもトランス脂肪酸が入ってくる率が高まると良くないと思われるかもしれませんが、でもそれはトランス脂肪酸を食べる量を減らせば何ら怖くない量ですし、我々が年を取るにつれ脂肪酸の蓄積がだんだん増えていきますが、その増えていく量に比べたら僅かなものです。ですので、このリスクの議論がなかなかかみ合わないという現状があります。
 提供する側の利便性の為遺伝子組み換え食品等が今まで提供されてきましたので、消費する側では、提供する側が便利になる以外に何のメリットもないというような受け止め方もされています。ただ、最近どんどん世界で進歩しており、例えばアレルギー原性を落とした小麦とか、最近ですと砂漠でも育つトウモロコシといった環境保全の為の遺伝子組み換え技術が出てきましたので、そういったメリットとの天秤にかけると、今までと違う価値観が出てくるかもしれません。

○委員
 環境を維持するための遺伝子組み換え技術は、これから重要になってくると思いますし、発展の可能性が非常にあると思います。遺伝子組み換えだからといって、それを一概に否定しないことが大切だと思います。必要な食料を必要なだけ提供するためにも、やはり発展させていかないといけません。
 このようなことにならないように、専門的な見地より言っても抵抗があるかもしれませんので、業界の側や、我々食べる側から発信しないといけないかもしれません。

○座長
 ありがとうございます。他、ご意見等ございませんでしょうか。

○委員
 リスクコミュニケーションのテーマそのものですね。
 関心が高い話なのでマスコミでも間違って報道される場合もあり、遺伝子組み換えの事実についてなかなか正しく広がってないところがあります。ですので学習が必要ですが、消費者にとってそういう機会があまりありませんので、テレビや新聞を見るしかなく、それらの影響が大きいという実態があります。
 こういう事例は、生協では必ず表示の問題と重なりますので、出来るだけ分かり易く、消費者が正しい知識で取捨選択可能な表示ができるよう、こういった立場でずっと対応しております。

○座長
 ありがとうございました。なかなか食べ物の本質に迫る議論でした。特にご意見等ありませんでしょうか。

○委員
 平城遷都1300年祭も始まりましたが、これから春先、夏にかけて、来県される観光客が増えて参ります。そこで我々の業界でも食中毒に留意していますが、お聞かせ頂けたらありがたいのですが、ノロウイルスについて、実は私も数年前に親戚の法事でたまたま生ものが出まして、その夜から症状がひどく他の方数名も同じような症状で、特に保健所に届け出はしませんでしたが、あの頃マスコミでノロウイルスが随分騒がれており、後で、どうもノロウイルスにあたったのではと想像が付いたことがありました。
 しかし、特に日本人は刺身や寿司等生ものを随分食べる機会があり、熱処理すれば問題ないということとは思いますが、何らかの方法で事前に検知することは出来ないのでしょうか。業界の会合等で、日頃気を付けているにもかかわらず出てしまえば半ば災難だといった、半ば諦めの話が出てくることがありますので、お聞かせ願えることがありましたらお願いします。

○座長
 私の知識が最先端とは限らないかもしれませんが、検知は不可能と思って頂いて結構かと思います。
 ノロウイルスは、つい10年ほど前までは検知そのものができないウイルスでした。SRSVからノーウォークになりノロになりましたが、それは検知法がなかった為で、検知できる種類で呼び方が変わり、今やっと普通に検知できるようになり、食中毒の原因がノロだと分かってきたという状況なんです。
 ノロはウイルスで、それも人間の体でしか増えないウイルスです。ですので、ごく少数でも入ってくれば、一気におなかの中で増殖する可能性もあり、一方たくさん入ってきたからといって増殖しないかもしれません。ウイルスですから風邪と全く同じようなうつり方をして、どこから来るかも分からないんですね。熱処理したら完全に死ぬかといったら、なかなかそうもいきません。80℃位の加熱だとかなりの分が残ります。ぐつぐつ圧力鍋で煮込めば全部死んでしまいますが、普通の加熱だと、100℃にしたとしても全て100℃行き渡る訳ではありませんから、死ぬとは限らないという厄介なものなんですね。
 基本的には貝などに多いと言われていますが、調理者がノロの保菌者で、調理時に手で触ったものを食べて起こる方が、おそらく可能性としては一番高い。その他、風邪と同様、保菌者が触ったノブや蛇口等を、別の人が触ってうつるとこともあります。ノロだけを防ぐのはきわめて困難ですね。
 ただ予防法もはっきりしており、食べる前によく手を洗うとか、出来るだけ新鮮なものを食べるようにするとか、調理者が気をつけるとか、食中毒予防の基本を守ればかなり防げる代物ではあります。そうはいっても普通のサルモネラとかと違って、簡単にやっつけられませんし、簡単に検知ができませんので見分けるのも非常に困難です。

○委員
 ありがとうございました。昔はあんまりこんなことは聞かなかったのですが。

○座長
 それは検知されなかったからというだけです。昔、食中毒の原因の6割ぐらいが不明の時代がありましたが、O157が検出出来るようになって4割に下がり、ノロが検出されるようになって、今、7割から9割近くまで分かるようになってきたと経緯があります。つまり、不明分が減って来ているだけなんです。

○委員
 そうですか。それでは必ずしも魚介類がその震源地という訳でもないのですか。

○座長
 ノロだけで述べますと大量発生は魚介類によるものではありません。人を介するものです。ただ、牡蠣の黒いギザギザの部分に入っているというのは非常に有名な話です。これも牡蠣を養殖している地域に流れ込む川の上流でノロが集団発生すると、その人の便が川に流れ最後に牡蠣が吸い取るんですね。ですから上流でノロが発生したような時に、下流の牡蠣を食べると起こりやすい。だからその地域の牡蠣が廃棄処分になったりします。ですので、牡蠣そのものは多少なりとも関係がありますが、今集団発生しているものの多くは、魚介類というよりは人の感染です。

○委員
 ありがとうございました。

○座長
 ノロというものはなかなか厄介なのもので、夏場は細菌性、冬場はウイルス性と考えてもらい、冬場は特に注意をしてもらう、それも風邪とかインフルエンザの予防と良く似ていますので、風邪、インフルエンザの予防の一環としてノロ対策というのも考えてもらう。あえて申しますと、食べ物に触る仕事の方は、自分自身に症状が出てきたときには特に注意するということが大切と思います。
 よろしいでしょうか。特にご質問、ご意見等ございませんでしょうか。
 では、ありませんようですので、今回の議事についてはこれで終了し、事務局に進行を戻したいと思います。どうもご協力ありがとうございました。

○事務局
 委員の皆様、ありがとうございました。これで本日の議題による意見交換を終了させていただきます。
 本日の最初の議題で提出させて頂きました監視指導計画について、資料1が監視指導計画の案、資料2がパブリックコメント実施による意見のとりまとめです。資料1については、若干の時間的な余裕がございますので、本日お帰りになられた後、ここちょっとおかしいのではないかというようなことがございましたら、事務局の方にご連絡頂ければ幸いです。また資料2については、パブリックコメントで提出頂きました意見については、意見の提出者に対して個別に回答を返すのではなく、公表する形で行う取り決めになっています。今年度ご意見を頂いたのはこの4つの点で、それぞれご意見と県の考えをお示ししております。3番目のところについてだけ、奈良市を含む形で当初の案から修正させて頂いています。資料2について、ホームページもしくは情報公開の窓口で結果を公表させて頂きたいと思いますので、これについてもご意見ありましたら、事務局の方で調整させて頂きたいと思います。
 それで後日、委員の皆様方からのご意見がありませんでしたら、本日の資料1の案を、3月31日までに、消費者庁と厚生労働省に来年度の計画として知事から報告すると共に、ホームページ等で公表させて頂く予定となっております。事務局からは以上でございます。それでは閉会にあたりまして、皆様に閉会のご挨拶をさせて頂きます。

○事務局
 お疲れ様でございます。当初予定しておりました時間よりも、かなり過ぎた時間になっております。監視指導計画をはじめ5点の議事について、貴重なご意見等をお伺いしました。本当にありがとうございました。特にその中で条例の制定等については、県民の安全や安心感情につながるのであれば前向きにといったお話も頂きました。また、GAPにつきましても、基準を策定してはという前向きのご意見も頂いたところであります。今後行政の方で反映させる方向で取り組んで参りたいという形で思っております。本日はどうもありがとうございました。