司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日、案件ございませんので、ご質問のある方からよろしくお願いします。



質疑応答
知事の誕生日の感想 

記者:
 知事、今日、お誕生日だそうで、おめでとうございます。

知事:
 67歳です。先ほど秘書課の方にクッキーをいただいて感激しています。

 誕生日の感想はありませんが、節目で思い出すと、いろんなところで働いてこさせていただきました。今も行政で働いたときと違う分野の課題がたくさんありますので、新しい課題というか、新しい局面の仕事があるんだなというふうに思います。そういう仕事に向かわせていただくのはありがたいことなので、心しなければけないなということを日々思い出しています。誕生日ということなら余計に初心というような気持ちになるのがいいのではないかなと思います。

 少し変ですが、仕事に一途に向かっていると神の助けが人の助けという形であらわれてくることが今まで多かったので、その真摯な気持ちが大事だなと改めてここ数日思ったりしています。


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知事の仕事についての考え方 

記者:
 年金の問題で定年が60何歳になるのかとか、そういう問題もあって、少しセンシティブな質問になりますけど、知事は何歳まで働くぞみたいなお気持ちはありますか?

知事:
 そういう気持ちはあまりありませんでした。役所のときは結構ハードな仕事が多かったので、ハードな仕事が終わるんだなと思っていましたけれども、そこから予期しない政治の方へ行き、そちらの方の道を与えられたという感じで、この知事職もそういう経緯がありまして今の仕事をさせていただいているという感じです。いつまでやるぞという自主的ではありませんが、立場をいただければ、真摯にやらなければいけない立場だなと本当に思います。このような公職は本当に心を込めてしなければいけません。我がことよりも仕事の本質に沿ってというふうにいつも思ってきました。


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原発と省エネライフについて

記者:
 原発の関係で、昨日、政府の方で運転期間について、40年で廃炉という話が出たんですが、例外的に最長20年の延長が認められるという方針が発表されました。そうすると長ければ60年原発が稼働できるということになるのですが、これまで知事がおっしゃっていた省エネライフですとか、徐々に原発の依存度を下げるという取り組みに影響が出てくることも懸念されるかと思います。そのあたりについて知事はどのようにお考えになっていますか?

知事:
 今ある原発がどこまで安全に使えるかというのと、ライフスタイルをどうするかというのは、本来は別に考えた方がいいかと思います。原発がどこまで安全かというのは、本来もっと明らかにされるべきことだったわけです。安全神話というので覆いかぶすような話が多かった。リスクはどのくらいあるのかということをいつもはかってなければいけません。自然災害でも、このような自然災害が人工物に影響を与える災害でも、必ずリスクがあるということをその都度思い知らされるわけなので、原発も絶対安全ということはないんだということが鉄則だと思います。そのときに安全性を数値的にはかるのを我々は嫌って、絶対安全かどうかというふうに問い詰める。60年もつといっても、60年は絶対安全なのか。そういうことではなく、60年たつとリスクが増してくる。どこまで増してもいいかというような微分的な見方をしなければいけないと思います。

 安全度がどこまで経年化で低下するのか。原発やジェット機は部品をかえたりしますので、人間の体ほど加齢は一挙に進みません。ジェット機は部品がほとんど換わっているんだけれども、それでも基本的なところは経年化で弱くなるから廃棄するということをするわけです。原発も同じように換えられないところがここまでしかもたないというのが、安全の大きな軸だと思います。

 どこまで換えれば60年もつか。換えなければもたないでしょう。それを本当に換えているのかどうかが明らかにならないまま、安全だと言っていたところが一つの大きな課題だったと思います。どうすれば60年もつのか、そのときの安全度は低下しないのかというのは大きな論点だと思います。

 安全については私も素人ですけれども、普通そのように考えるので答えてもらわなければいけないと思います。政府が60年もつよと言うだけではだめだということです。60年もつということを前提に、ライフスタイルがどうだこうだという前に、安全の話としてしっかりして、どのようにするからもつと言っておられるのかという議論をもう少し大っぴらにしてもらいたいというのが感想です。

 60年もつとかもたないとかと別に、原発というのは事故が起こると怖い。セシウム137が30年たっても半減しかしないということがわかってきたし、食物連鎖とかで人体に長い間影響を与える可能性があるということなので、原子力に依存する比重を下げた方がいいだろうというような方向は理解されつつあると思います。すると、ライフスタイルや産業構造の変更を強いられるわけなので、それは一朝一夕にできません。そちらの方向へ向かって国なり各地域が努力していくのがいいだろうと私は思います。奈良県みたいに電力消費量の少ないところでもライフスタイルを変える努力はいつでもできるので、していこうかと思います。

 そのような試みの中で、今、冬ですが、夏の節電の方法はまだあると思っていて、昔の林間学校みたいなものを復活できないのかと予算編成で考えています。夏は山間地の涼しいところでの合宿の予算をつけるように指示しています。そのような小さな試みですが、冬の寒いときは仕事があるので暖かいとこへ行くということはすぐにできないかもしれないけれども、夏の暑いときは涼しいところで勉強しよう、涼しいところで過ごそうということです。

 貸し切りバスは日本列島を移動していて、もみじの季節は、北海道のバスが京都を走るんです。もみじの季節は秋から冬に向かうので、北海道の貸し切りバスがあまってきます。営業区域などがあるので、移動ができるように規制緩和をしたことがありますけれども、そのようにバスは列島を季節によって移動するので、夏は涼しい高地に行って合宿してもらおうか、高校生の部活・勉強の合宿をしてもらおうかという予算をつけたいと思います。そのような方向で試みを続けていきたいと思います。

 記者:
 県民への啓発ということを考えた場合、県の方で節電ライフでこういうことをしましょうというふうに呼びかけをしていくときに、受けとめる県民の側が、原発はあと60年動くんだから節電しなくてもいいじゃないかと思ってしまって、啓発がやりにくくなるというふうな懸念はされていませんか?

知事:
 啓発という点では、表現の仕方で随分啓発の仕方が違ってくるように日ごろ感じています。私が啓発の主体を動かせるほどの力はないと思いますけれども、世の中の理解を求めるという場合に今みたいな考え方になると思います。どの程度理解されるかわかりませんが、なるべく安全について単純に見ないように、ライフスタイルの変化についても単純に見ないようにということが啓発の基本になると思います。啓発は、単純に言うとわかりやすいですけど、すぐ忘れてしまいますからね。単純な標語の啓発は威力がありますけれどね。影響があるかどうかは、啓発の仕方によるような気もします。

記者:
 今おっしゃった林間学校というのは、対象者は小学生ですか?

知事:
 高校生の部活・勉強合宿というような予算です。去年、教育委員会と昔の林間学校のようなことができないんだろうかという話をしていて、その予算を考えましょうと教育長が言っていたので、県内高等学校の合宿に補助金をつけるということです。県外の受け入れもします。奈良は涼しい山がありますので、近畿の高校生の勉強合宿とスポーツ合宿、これは交流促進ということにもなります。例えば十津川村の昴の郷に温水プールがあるので、水泳合宿のようなものに補助金をつけられないかということを検討していました。多分その補助金は出てくると思います。

記者:
 どれぐらいの予算額を想定されていらっしゃいますか?

知事:
 要求が850万円です。まだ編成過程ですが、満額つけたいと思います。

記者:
 やはり東南部の振興というような目的もありますか?

知事:
 そうですね。南部振興という目的もあります。昨年、南部の交流のためにプレミアム宿泊旅行券を発行しましたが、この合宿のほかに、プレミアム宿泊旅行券も来年度予算をつけたいと思います。夏に発行して、街で暮らしているご家族が山に行ってクーラーをあまりつけないで過ごされるということになれば、結果的に節電になります。節電のために夏のプレミアム宿泊旅行券を出すというのではありませんが、そういう効果もあると思います。冬は南部は寒いから、温泉につかったから暖房が要らないというわけではないと思いますので、冬の省エネ効果はあまりないと思いますが、夏は省エネ効果が出ると思います。

記者:
 どれぐらいの予算規模になりそうですか?

知事:
 要求額は5,000万円です。額の査定はもう少しあるかどうかわかりませんが、そういう夏の効果をねらって夏に大きく出すとか、気候のいいときに行かれるので、ほかのイベントと一緒に、例えば会議をするというようなことです。

 先ほどの通学合宿での交流促進と、南部での会議の補助もつけたいと思います。夏の会議というのも割と省エネにもなる可能性がありますので、夏の会議開催は、額を厚くするというよりも、夏の会議を南部でもっとしましょうと誘うというようなことだと思います。軽井沢セミナーというのがあって、そういうものを南部でするようにと。軽井沢は、そういう会議の設備があるんですよね。県南部は、そんな設備をなかなか整備ができません。セミナーとか国際会議をするようなことはできませんが、もう少し設備があれば、そういうこともできるのかなと思います。十津川セミナーが新しい集落の景色がいいところでできるようになれば一つのパターンだと思いますので、夏の涼しさということで売りに出せないかと思っています。

 施設ありきか、スタイルありきかということで、夏は山に行こう、十津川に行こうと動くように、合宿、プレミアム宿泊旅行券、会議奨励というような執行を心がけるように、予算編成の中では指示も出しています。

記者:
 基本的には、今ある民間・公共の宿泊施設が対象というようなことでイメージしてよろしいでしょうか?

知事:
 補助金は、行く人、あるいは会議を行う主催者への補助です。主催者の会議費の一助になるような補助金ですね。合宿も、学校への補助です。宿泊はビジネスですから、しっかり心してもてなすようにと。プレミアム宿泊旅行券も、行く人への補助ということです。行動促進補助といった形です。


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深層崩壊研究会に期待すること 

記者:
 昨日の会議(第2回紀伊半島大水害の復旧・復興に関する国・三県合同対策会議)の中でもありましたが、深層崩壊研究会を立ち上げておられて、概要については資料をいただいているのでわかるのですが、深層崩壊研究会に知事が期待することを。

知事:
 深層崩壊の現場が奈良県にありますので、奈良が会議の場を設定して調査費をつけてもいいだろうと思います。国の協力と学識者の研究をそこに集中してもらえるだろうということでやり始めています。深層崩壊がどのような場所で起こりやすくて、どのような場所ではほとんど起こらないということがはっきりすると、避難の仕方にも影響します。仮にそういう判断ができれば、それがほかの地域でも危ないところ、より安全なところという判断ができるかもしれません。奈良県の事例によって研究が進むということを期待しています。

 自然のことですから、完全にわからないところもあろうかと思いますが、このような災害が起こったときに、列島の土の層の上に立って生きているわけですから、足元をよく見ろよと自然から言われているように思いますので、ぜひ研究を深めていただきたいと思います。奈良県がそのような音頭をとって、国、3県、関係者が参加していただくのは大変光栄なことであると思います。


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県内消防の広域化について 

記者:
 県内消防の一本化についてお伺いしたいのですが、先日の6日の会議で、生駒市と奈良市が離脱するかのような方向の表明をされたようですけれども、県の方では一本化に向けてこれまで取り組んできた経緯もありますので、離脱についてどのように考えているのかということは?

知事:
 消防は市町村の基本的任務になっていますので、広域化を県は推進するのが基本的構造です。奈良県は、県内一本で広域化することを目標に消防無線協議会が発足しました。ところが、大都市の奈良市、生駒市がデジタル化に参加しない、広域化にも参加されない可能性が強いように思います。ほかの市町村長とその後のことについて多少の言葉を交わしていますが、離脱されるところを抜きにしてでも広域化していこうと考えておられる方が多いので、残りの市町村で広域化を図るという方に動き出すと思います。そのような動きに対して県は支援していきたいと思います。

記者:
 奈良市と生駒市という、県内でも1番、2番くらいの自治体が抜けることによって、スケールメリットが当初よりも多少なくなるのかなとも思うのですが。

知事:
 消防のスケールメリットは少なくなりますが、広域化しても市町村の任務だということは変わりないと思うんです。自分のまちの火事は自分で消すということを基本にして組織を広域化しようということです。広域化だったら、県営になってもおかしくないと思いますが、市町村消防というのは基本で、その上に立っての広域化ですので、これは連携の広域化というのが基本的な性格です。それがどの程度進化するかということです。スケールメリットを追うのであれば、すごく大きな消防組織にすればいいだろうと。ところが、助け合いに行くということだから、近くでないと助け合えない。西和の広域消防など、そういうふうに限って発展してきたものがありますので、もう少し広げようかということです。組織を丸ごと一本化するというのではない広域化ですので、離脱する市があれば、スケールメリットというよりも連携のメリットが薄れるということは確かだと思います。奈良市の消防が、大和高田市とか橿原市、あるいは五條市の方へ行かないかもしれないと。しかし、それは中和の消防が五條市の方へ行こうということです。

 紀伊半島大水害のときは、奈良市の消防にも五條市の方へ行って助けていただきましたので、そのような応援は今の仕組みでももちろんできるわけですけれども、もう少しそれをダイナミックに日常業務に広げようというのが広域化の当面の目標です。それは大いに意味があると思います。

記者:
 当初の県のもくろみとしては、切実な自治体の声もあったので一本化を目指したけれども、奈良市、生駒市などの脱退という動きがあったので、方向転換をして、一極集中だったのを3つの消防本部というような方向で、奈良市や生駒市を除く消防本部を1つ立ち上げるということになりますか?

知事:
 繰り返しになりますけれども、消防は市町村が基本なので、市町村消防が地域でまとまって西和広域にするとか、中和広域にするとか、このように育ってきているわけです。だから、消防の交付税はみんな市町村に配分されているんです。それを十分使っておられない市町村もあります。市町村が交付税をどう使うかは、市町村独自の判断ですからね。県営ではないから、ここを本部にしようとかは僣越で言えません。ただ、広域化は大いにメリットがありますので、県は応援しましょうということです。奈良市が入れば奈良市が全体の指令本部になっていたと思います。だから指令本部をどこにするか探さないといけないと思います。

記者:
 奈良市と生駒市を除いた、全域で一本化するということですね?

知事:
 そうです。そのように市町村が考えておられます。

記者:
 それが一つの消防本部だから、奈良市と生駒市と、3つ目ということですね?

知事:
 3つ目になるのかどうか。奈良市、生駒市は独自です。消防は基本的に市町村の任務だから、奈良市、生駒市が自分のとこは自分でやると言われるのは別におかしいことでもありません。しかし、まとまるといいこともある、弱いところもあるし助け合おうという気持ちで広域化が進んできたので、残ったところで助け合おうと言われるのは大きなことだと思います。

記者:
 奈良市と生駒市が入った形での一本化がやはり望ましかったということですか?

知事:
 望ましいから協議会が進んできたと思うんです。だけど、現実には市町村消防により成り立っていますので、市町村に自由はあると思います。交付税は全部市町村についているわけですから。

記者:
 今の話を伺っていると、基本的には残ったところでということなので、抜けると言っているところを引きとめるということはされないという理解でよろしいですか?

知事:
 それは自主性があると思います。市町村の消防ですから、県にそこまでの権限はありません。県の消防だったら違うと思いますが、県営にすべきだという議論はあまりありません。まちの火事はまちで守るということは、ずっと江戸時代からの伝統になっているので、それは大事なことかと思います。広域連携をするときに、広域行政を担っている県が助けるというのは当然のことだし、助ける余地があれば助けていきたいと思います。

 消防組織法の改正で、広域化の機運が高まってきています。財政力に差があり、交付税を財政力の弱いところは消防に使わないでほかに使っていたという歴史もありますが、それを県が助けるという法則はないと思うんです。ただ、広域連携するときに県が助けるという余地は十分あると思います。それは行政の仕組みということです。


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自主防災組織率が向上したことについて

記者:
 この間、自主防災組織の組織率が大分上がったという資料をいただいていたのですが、知事はどういうふうに評価されていますか?

知事:
 いろんな運動をしたり、大事だと言っていると自主防災組織率が急に上がったりします。ありがたいことだと思います。これはそれこそ県の啓蒙の努力が足りなかったのかな、もっと熱心に言えば上がる面もあるのかなと思います。

 自主防災組織は自主防犯団体の強化にもつながりますし、地域総合スポーツセンターの設立数も上がってきています。これも全国で相当低かったのですが上がってきています。今度講演会ではそのようないろんな指標の変化を紹介しようかと思っています。いろんな指標で、いい結果が出てきていますので、それは勇気づけられる点だと思います。自主防災組織率の向上というのも勇気づけられる点ですが、そのようなことに気を入れると地域は改善されるというふうに多少の自信を持って進めるのがいいかと思います。

記者:
 いろんな要因があって上がったと思うのですが、県の役割として、市町村別の指標を公表したことも結構貢献したような感じですか?

知事:
 調査の統計の力というのは結構あると思っています。徴税率と、財政規律、経常収支比率というのは連動しているのではないかという見立てで、最初から決めつけるのではなく、連動している可能性が高いという指標を出すと、まちの人は、うちはどうして赤字なんだろうかと思うわけです。なぜかということがわからないまま過ごされていますが、もし放漫に財政赤字であれば、前任者とか前々任者の市長・町長を糾弾することになります。普通はなかなかされにくいことだと思いますので、もう少し客観的に広域的な行政を持っている県あるいは国が指標を出すということで意識を覚せいしていただくというのは、今とても大きなことだし、そのような意識を持って政治に参加していただくというタイプの民主主義というのはとても大事かと思います。

 民主主義は正しい知識をもとに動くというのがとても大事だと思いますので、その正しい知識を提供して、お伝えしていくというのが基本になると思います。

記者:
 経常収支比率もそうですが、自主防災組織率だとか、スポーツの施設のことも、こういうことが関係して押し上げた部分があるということですか?

知事:
 意識の覚せいは、いろんな指標に影響します。数年かかりますが、いろんなところでそういうふうに働いて、努力が実を結べばいいなと思います。


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東アジアの未来を考える委員会について

記者:
 明日、東京にご出張で、東アジアの未来を考える委員会では、今年度に入ってから新しいステージに入って議論されていると思うのですが、どういった議論を今後されていこうとお考えになっておられるのか、中間報告的に伺えれば。

知事:
 なかなか地元で報告する機会がないのですが、今、東アジアの未来を考える委員会の基本構造・構成をつくり上げてきたところです。未来を考える委員会だから、参加していただいた方に議論したり考えていただいたりして、それをまとめるということを奈良県がさせていただいています。平城遷都1300年祭は、お祝いをするということと、感謝するということと、考えるという3つのキーワードで開催しましたが、それを機に、考えるというパートを東アジアの未来を考える委員会でするということです。

 奈良時代の歴史を振り返ると、主体的な外交関係、国際性があって、日本の基礎が築かれたのではないかという歴史認識のもと、これからのグローバル化の中での日本の未来を考えるチャンスではないかという発想で、委員としてたくさんの有識者の方に集まっていただきました。考える必要性はまだ続いているのではないかという意見がありましたので、これからも続けます。

 平城遷都1300年をきっかけに始まったわけですが、これからの日本と東アジアの未来をどのようなやり方で考えようかということをこの一年間練り直してきました。東アジアを漠然と考えてもらってきたのですが、今度はテーマを提示して、このようなことについて考えませんかということです。それは、大きなテーマで、経済のこと、歴史認識のこと、政治のことなどですが、明日、そのようなことを提示して承認をいただければ、2月17日に総会をして、次の年度の発足をしたいと思います。了承があれば、その内容を紹介、発表してもいいかなと思います。今はそのようなところまできています。

 明日出すのは、そのような今までの進捗と今後の研究、基本的には研究活動ということですけれども、奈良の歴史を振り返って素材にしながら研究活動してくださいということです。奈良の歴史が念頭にあって、東アジアの未来を考えるということだから、奈良の地域振興の道筋になります。奈良の歴史はこんな歴史だったんだと。「古事記」もそうですが、それをどのように認識してもらおうかという奈良の地域振興のパターンとしては、考えてもらうことによって奈良を理解してもらうということです。奈良を理解してもらうということは、歴史であっても奈良の地域振興になるという発想ですので、そのような意味で奈良県が予算をとって、人を集めました。東京にそういう人たちに来てもらっていますが、大変熱心です。今、そういうことを考えるチャンスが日本にあまりないのかなと感じています。

 昔、大平内閣で、田園都市構想という大変立派な構想ができたんです。あの構想は今でも大事な論点がたくさん入っているんですけれども、大平さんの政局の中であまり活かされなかった面があります。政治は躍動的ですので、そういうことを考えているわけではありませんが、そういう研究活動、基本論に立った本質的な議論というのはとても大事だと思っています。

 それと、東アジアというテーマは、グローバル化をどう扱うかというのがすごく大事になっています。日本の地政学的な位置は、アメリカといかに親密につき合っても東アジアという位置から動かせません。その地政学的な位置に立った日本の未来ということを考えて、律令制とか、遣唐使とか、「古事記」も「日本書紀」もできたのではないかと思われるところがありますので、歴史も検証しながら未来を考えるという活動を志向して、体制をつくりかけています。

 新しい委員長に佐々木毅さんという東京大学の学長をされた方になっていただきますし、また石原信雄さんとか、いろんな方に入っていただき、熱心に議論していただいています。明日も30人ぐらい集まるのですが、議論を積み重ねて来年度の事業を実り多いものにしていきたいと思います。

記者:
 来年度の関連事業として、これまでの延長線上のものと、それから何か新たにお考えになっているものがあれば。

知事:
 東アジアの未来を考える委員会では、イベント的なものよりも、たくさんいい知恵を出していただくように、研究活動のシステムを工夫をしているところがあります。テーマを決めて、委員の中から論文を募集して書いていただき、それをまた議論の足しにするというふうに、議論が発展するようにしていきたいと思っています。いつも30人とか50人の議論会をなかなか積み重ねられないので、論文のやりとりでしていきたいと思います。そのような議論で、いい議論ができたらなるべく発信していきたい。日本の中でもそういう本質的な議論を考えているボディーがあるということがわかれば、内容を発信していきたいと思っています。

 それは日本語と英語で、外国にも発信していきたい。結構キーワード検索で外国の学者で見られる方もおられます。どこの国のどういう人が今の世の中の動きの本質的なことを考えているんだろうかと考えている人たちも世界にはおられますので、北極星ではありませんが、羅針盤の軸を見失わないように。方向を確認するのに、昔は北極星を見たわけですけれども、今は経済の北極星、政治の北極星、グローバル化の北極星というような感覚があるとね。そういう長い感覚は中国の人がすごくおありになるように思います。世界はショートサイト(短期)で物を見る傾向が強くなっているので、ロングサイト(長期)で物を見るという活動も大事かと思います。

 奈良は古い歴史がありますので、そういうことを考えましょうという提言をして、参加していただく意欲が強いのはありがたい。これは奈良の歴史の魅力だというふうに思っています。


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国立ハンセン病療養所の訪問について 

記者:
 今週の月曜日は岡山に出張されたと思うのですが、その件について、向こうでどういうことをなさったのか。それから、この問題について県民の方に対し、県としての今後の取り組みですとか、県民の方にこういうふうに考えてほしいとか、何かそういうものがあればお願いします。

知事:
 岡山に行きましたのは、ハンセン病の療養所を訪問しました。毎年訪問していますが、むこうで言われましたのは、毎年来られる知事はめったにいないということで、そういう意味で感謝をされました。ハンセン病は、強制隔離をしたという歴史がありますので、それを忘れないようにするというのが今の我々の大事な立場です。ふるさとからも忘れられてしまうといつも心の中で思っておられますので、ふるさとの代表と言ったらおこがましいですけれども、ふるさとを代表してまいりました、忘れていませんよと言うのが一番大きな仕事だと思っています。それを任期中は毎年続けたいと思っています。

 話をするうちにだんだん仲よくなってくるのですが、6歳で収容された方がいらっしゃって、この方は今、90何歳ですけども、認知症になられてその集会には出てこられなくなりました。昭和20年に15歳で収容された方とは、私の生まれた年ですという話を現地でしました。収容されたときの様子は忘れもしないと毎回おっしゃるので、そういう話を聞きに行くのは大事だなと思います。昭和20年に収容されたとき15歳だったということで、80歳を過ぎておられます。元気でおられますけれども、それが悔しかったということです。脱走も試みられたようで、そのような方のお話を聞いて、我々が忘れないというのはとても大事なことだと思っています。県民の方に訪問に行きますよと言ったりしていないものですから、報告するチャンスがありませんでした。

 実は秋に行くことにしていたのですが、紀伊半島大水害の直後であったので訪問は遠慮して、一年延期かなと思っていたら、一年延期しなくても冬に来るといいよとおっしゃったので、1月に行ったわけです。里帰りを楽しみにされていて、去年の秋は災害の後だったので、里帰りは遠慮しようかとおっしゃったのですが、里帰りで来ていただくのは結構ではないかと思って、来ていただいたんです。だんだん高齢になられて参加される方が少なくなっていますが、それでも大変喜んでいただいて、今年もまた行きたいな、どこか温泉に入りたいなというご希望があるので、そのような希望を聞いて、設営を県の職員がしています。ハンセン病であった方たちとおつき合いするのは県の仕事ですが、それはありがたいことだと思っています。

 奈良出身の方がいらっしゃる施設は岡山県に2つあるのですが、1つは7名、もう1つが10名程で、全部で20名弱の奈良県出身者の方がおられます。平均年齢が82歳ぐらいだとおっしゃっていました。今は平穏に暮らされているのですが、強制隔離の歴史があるので、国が最後まで面倒を見るということです。プロミンという薬が発見されて、今、日本では患者を見つけるのが難しいと思います。自由に退所ができるようになりましたが、退所しても大変だからそこでずっとおられるという方がほとんどだということです。

 結核も抗生物質ができて隔離病院というのはなくなったんです。そのときにハンセン病だけは強制隔離が続いたというのを悔しく思っておられました。仕事を通じて、そのような新しいおつき合いもありますが、それを私の立場から県民にお伝えするチャンスがなかった面があります。お聞きいただいたので報告させていただきました。

司会:
 ほかに質問ございませんか?
 それでは、以上で定例記者会見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先:奈良県広報広聴課 報道係 hodo@office.pref.nara.lg.jp TEL 0742-27-8325