目   次
1.目  的
2.基本方針
3.体制整備
4.患者、疑似症患者の判断基準
5.届出
6.医療体制
7.発生時の初動体制
8.健康診断、就業制限及び入院
9.移送体制
10.検査
11.感染予防及び消毒
12.疫学調査等
13.情報提供等
<資 料>

資料1 重症急性呼吸器症候群(SARS)発生届出票
資料2 重症急性呼吸器症候群(SARS)「疑い例」「疑似症患者」「SARS患者」報告用紙
資料3 医療機関対応フローチャート
資料4 重症急性呼吸器症候群(SARS)管理例(6訂)(感染症情報センターホームページへリンク)
資料5 検査材料の輸送について
資料6 SARSコロナウイルスに関する検査対応について(3訂)(感染症情報センターホームページへリンク)


 本県の重症急性呼吸器症候群(SARS)対策は、平成15年5月に改正した「奈良県重症急性呼吸器症候群(SARS)対応行動計画(第2版)」により対応してきたが、この度、新感染症であったSARSが指定感染症として指定されたことに伴い改正するものである。

1.目  的

 県内において、重症急性呼吸器症候群(以下「SARS」という。)に罹患した者、若しくは疑似症患者及び「疑い例」(以下「患者等」という。)が発生した際に、当該患者の人権に十分配慮しつつ、患者等に対する医療の提供や感染のまん延防止のための措置を迅速かつ適切に行い、もって公衆衛生の向上を図り、県民の安全、安心を確かなものとすることを目的とする。

2.基本方針

 原則として奈良県感染症マニュアルにより対応する。ただし、SARSは指定感染症として扱われているが、その感染ルートに未だ不明であることから、その対応方法としては厚生労働省及び国立感染症研究所感染症情報センターの最新の情報を参考として対応することを基本とする。

3.体制整備

 SARSのまん延防止等のため必要がある場合は、患者等の発生状況により次の対策本部等を設置する。
 

(1)健康局SARS医療対策本部の設置
 国内でSARS患者又は疑似症患者が発生した場合は、健康局内に健康局SARS医療対策本部を設置する。

(2)奈良県SARS対策本部及び奈良県SARS対策連絡会議の設置 
 近府県でSARS患者及び疑似症患者が発生した場合は、知事を本部長とする奈良県SARS対策本部を設置し、対応を協議する。
 また、同時に副知事を議長とし、主管課長等で構成する奈良県SARS対策連絡会議を設置し、奈良県SARS対策本部の指示を受け、県全般に渡る対応を関係機関と連携を取りながら実施する。

4.患者、疑似症患者の判断基準

 患者等の判断については、厚生労働省の「重症急性呼吸器症候群についての患者・疑似症患者の判断基準等について(平成15年7月14日付け厚生労働省健康局結核感染症課長通知)及び「症例定義の改正とSARSコロナウイルスの行政検査の実施等について」(平成15年5月8日厚生労働省健康局結核感染症課長通知)に基づき次のとおりとする。

(1)患者の判断基準
 診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。

【材料】鼻咽頭ぬぐい液、喀痰、尿、便、血清など
・病原体の検出:ウイルス培養検査
・病原体の遺伝子の検出:RT-PCR法
・血清抗体の検出:酵素免疫測定法(ELISA)又は免疫蛍光法(IFA)
注) これらの検査所見(特にRT-PCR、ウイルス分離)で陰性になった場合であっても、SARSを否定することはできない。この場合には、医師の総合判断により、疑似症例として取り扱うこととする。

(2)疑似症患者の判断基準
 疑似症の診断:臨床所見、渡航歴などにより判断する。
 以下の1又は2に該当し、かつ、3の条件を満たすものとする。
  1 平成14年11月1日以降に、38度以上の急な発熱及び咳、呼吸困難等の呼吸器症状を示して受診した者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を満たす者。

a 発病前10日以内にSARSの「疑い例」・「可能性例」を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた者
b 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者
c 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者

  2 平成14年11月1日以降に、死亡し、病理解剖が行われていない者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を満たす者。

a 発病前10日以内にSARSの「疑い例」・「可能性例」を看護若しくは護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは液体に直接触れた者
b 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者
c 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者

  3 次のいずれかの条件を満たす者

a 胸部レントゲン写真で肺炎、または呼吸窮迫症候群の所見を示す者
b 病理解剖所見が呼吸窮迫症候群の病理所見として矛盾せず、はっきりとした原因がないもの

  注)他の診断によって症状が説明できる場合は除外すること。

(3)「疑い例」患者の判断基準
  1 平成14年11月1日以降に、38度以上の急な発熱及び咳、呼吸困難等の呼吸器症状を示して受診した者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を満たす者。

a 発症前10日以内にSARSの「疑い例」「可能性例」を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた者
b 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者
c 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者

  2 平成14年11月1日以降に死亡し、病理解剖が行われていない者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を満たす者。

a 発症前10日以内にSARSの「疑い例」「可能性例」を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた者
b 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者
c 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者


5.届  出

(1)医師は、「4.患者、疑似症患者の判断基準」に該当する者を診断したときは、直ちにその者の氏名、年齢、性別等の事項を資料1「重症急性呼吸器症候群(SARS)発生届出票」により、保健所長に届けるとともに、速やかに、資料2「重症急性呼吸器症候群(SARS)「疑い例」「疑似症患者」「SARS患者」報告用紙」を保健所長に提出する。

 <留意事項>
  1 医師が届け出をすることを要しない場合は、当該医師が診断した患者等について届け出が既になされている場合とする。

  2 SARSについての届出事項は、氏名、年齢、性別のほか以下のとおりとすること。

a 当該者の職業及び住所
b 当該者が成年に達していない場合にあっては、その保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)
c 当該患者の症状
d 診断方法
e 当該者の所在地
f 初診年月日及び診断年月日
g SARSコロナウイルスに感染した原因、感染経路、SARSコロナウイルスに感染した地域(又はこれらとして推定されるもの)
h 診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
i その他SARSのまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項 


※  「疑い例」 の取り扱いについて
 今般国が示した通知では、SARS患者及び疑似症患者について、指定感染症における医師からの報告対象としているが、厚生労働省健康局結核感染症課長通知「重症急性呼吸器症候群についての患者、疑似症患者の判断基準等について」(平成15年7月14日付け 健感発0714001号)により、「症例定義の改正とそれに伴うSARSコロナウイルスの行政検査の実施等について(SARS対策第13報)」(平成15年5月8日付け健感発第0508002号)の別紙1における「疑い例」についても、感染症発生動向調査の一環として報告することとなっている。

(2)医師から、「重症急性呼吸器症候群(SARS)発生届出票」を受理した保健所長は、直ちに県健康増進課に提出するとともに、速やかに、資料2「重症急性呼吸器症候群(SARS)「疑い例」「疑似症患者」「SARS患者」報告用紙」の提出を受け県健康増進課に送付する。

6.医療体制

(1)基本的事項
   1 SARSの疑いで診察を希望する者は、事前に医療機関に電話のうえ受診する。

   2 SARSのまん延防止のため、SARS疑いのある者の診療については、原則として県立病院及び県立医科大学附属病院(以下「医大病院」という。)で行う。

   3 「患者」及び「疑似症患者」については、医大病院、市立泉佐野病院で対応する。

   4 医大病院C病棟に整備を進めている第1種感染症指定病床が使用可能になった後は、市立泉佐野病院に優先して使用する。

(2)患者の流れ ※資料3「医療機関対応フローチャート」参照
    1 一般医療機関(県立病院及び医大病院を除く医療機関)での対応
     ・SARSに関する相談・受診希望等があれば、保健所、県立病院又は医大病院を紹介する。

   2 保健所での対応
     ・SARSに関連した相談があり、診察を希望される場合は、県立病院又は医大病院を紹介する。
     ・「患者」「疑似症患者」が疑われる場合は、県健康増進課と連絡をとり、医大病院又は市立泉佐野病院に収容する。

    3 県立病院での対応
     ・保健所又は一般医療機関からの紹介及び来院があった者の診察を行う。
      ・診察の結果「患者」「疑似症患者」が疑われる場合は、医大病院に移送する。

   4 医大病院での対応
     ・県立病院で「患者」「疑似症患者」が疑われる患者については、医大病院で診療する

   5 市立泉佐野病院
     ・必要により、「患者」「疑似症患者」を収容する。

7.発生時の初動体制

(1)医療機関における初期対応
 伝播確認地域からの帰国者等から受診について事前連絡があった場合、次の患者等への対応例を参考として、他の外来患者との接触を避け感染防止に努める。
   ・ 直接来院した患者については、院内に入る前に必ず電話をするなどの患者への注意書き等を掲示しておくことが望ましい。
   ・ 患者にはマスク(フイルター濾過のあるものが望ましい)を着用させる。
   ・ 診察については、専用の診察室を設け、出来るだけ他の患者と接触しないように誘導する。
     ※ その他詳細については、資料4「重症急性呼吸器症候群(SARS)管理例(6訂)」を参照

(2)保健所における初期対応
 保健所は、最新の情報入手と広報媒体を通じた情報の提供を積極的に行うことにより、地域における感染予防対策の中心的役割を果たすものとする。

   1 相談窓口設置

・各保健所においてSARS相談窓口を設置し、県民の不安解消及び医療機関の紹介等を行う。
・患者等からSARSではないかという相談を受けて医療機関を紹介する場合は、県立病院又は医大病院を紹介し、必要な場合は、事前に医療機関に連絡し調整する。


   2 情報の収集・確認

 患者等や検疫所、医療機関等から報告や相談があった場合は、下記の<確認すべき事項(例)>を参考として、患者等の理解と協力を得ながら迅速に情報の収集・確認を行う。
 なお、電話等による情報の確認が困難である場合は、保健所より職員を派遣して確認を行うこととする。また、必要に応じて、マスク、ゴーグル、防護服、手袋等を用いる標準防護策等を講じたうえで、プライバシー等に十分配慮したうえ患者等へ面会することとする。
<確認すべき事項(例)>
・「患者」、「疑似症患者」及び「疑い例」の確認
・患者等の状態の確認(症状、レントゲン所見、インフルエンザ等既知の肺炎を起こす病原体の検査状況、治療内容、入院の必要性)
・患者等に関する情報の入手(渡航歴、発病状況、受診日、受診機関、感染日時場所等の推定や接触者に関する情報、帰国から現在までの行程等)

   3 県健康増進課への報告

・「患者」「疑似症患者」及び「疑い例」の報告があった場合は、5.届出(2)を参考に、速やかに報告すること。
・報告は、資料2「重症急性呼吸器症候群(SARS)「疑い例」「疑似症患者」「SARS患者」報告用紙」により行うこととするが、状況に応じてより詳しくすることが望ましい。
・初期の時点では入手できる情報が限られており、<確認すべき事項(例)>に掲げた項目の大半が不明である場合は、確認情報と未確認情報を明確にしたうえ、迅速に第1報を行い、情報が明らかになり次第、順次続報することとする。


8.健康診断、就業制限及び入院

(1)健康診断

1 保健所長は、SARSのまん延を防止する必要があると認める時は、SARSにかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対しSARSにかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受けるべきことを勧告することができる。
 また、当該勧告を受けた者が勧告に従わない時は、当該職員に健康診断を行わせることができる。

(留意事項)
a 健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を行う場合の通知事項は、以下のとおりとする。

ア 健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施する理由
イ 健康診断の勧告をする場合にあっては、健康診断を受け、又は受けさせるべき期限
ウ 健康診断の措置を実施する場合にあっては、健康診断を行う日時、場所及びその方法
エ 健康診断の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に健康診断の措置を実施することがある旨
オ その他必要と認める事項
b 健康診断の通知を行うに当たっては、十分な説明を行うことが重要である。また、保健所長の判断により、健康診断は必要とされる状況に応じて、aのオに基づき、健康診断を受ける者の理解をできるだけ得て実施できるように必要な事項を通知することが望ましい。

2 保健所長は、1の措置を勧告し、又は措置を実施する場合には、当該措置を実施する理由等を書面により通知しなければならない。

(2)就業制限 
 保健所長は、「5.届出」の内容等の通知を受けたSARSの患者又は疑似症患者が、SARSを公衆にまん延させる恐れがある業務に、その恐れがなくなるまでの期間について、就業制限を行うことができる。
 

(留意事項)
1 就業制限を通知する際の事項は、以下のとおりとする。
a SARSの患者又は疑似症患者と診断した医師から保健所長に行った届出の内容のうち、当該者の症状、診断方法、初診年月日及び診察年月日
b 就業制限及びその期間に関する事項
c 就業制限に違反した場合に30万円以下の罰金に処される旨 
d 就業制限の適用を受けている者が、保健所長に対して就業制限の対象者ではなくなったことの確認を求めることができる旨
e その他必要と認める事項 
このうち、bについては、就業してはならない業務の範囲及び就業制限が終了する要件が含まれる。また、健康診断の通知と同様、通知事項のeの有効活用が望ましい。


2 就業制限の対象となる職種は、飲食物の製造、販売、調製又は取扱の際に飲食物に直接接触する業務に加え、多数の者に接触する業務であること。

3 就業制限の期間は、SARSコロナウイルスを保有しなくなる(SARSコロナウイルスのPCR検査が陰性であることと同義では無いので注意すること)までの期間又は、発熱や咳などのSARSの症状が消失するまでの期間とすること。

(3)入院

1 保健所長は、SARSのまん延を防止するため必要があると認める時は、SARSの患者又は疑似症患者に対し72時間を限度として、医大病院又は市立泉佐野病院に入院すべきことを勧告することができる。また、当該勧告を受けた者がこれに従わない時は、医大病院又は市立泉佐野病院に入院させることができる。

2 保健所長は、SARSのまん延を防止するため必要があると認める時は、感染症診査協議会の意見を聴いた上で、1により入院している患者に対し、10日以内の期間を定めて医大病院又は市立泉佐野病院への入院を勧告することができるものとし、当該勧告に従わない時は、医大病院又は市立泉佐野病院に入院させることができる。また、入院期間の経過後において、入院を継続する必要があると認める時は、感染症診査協議会の意見を聴いた上で、10日以内の期間を定めて、入院の期間を延長することができ、当該延長に係る入院の期間を経過後、これを更に延長しようとする時も同様とする。

3 県は、1又は2により入院する患者を、当該入院に係る病院に搬送しなければならない。

4 保健所長は、1又は2により入院している患者について、SARSの病原体を保有していないこと又はSARSの症状が消失したことが確認された時は、当該患者を退院させなければならない。また、1又は2により入院している患者から退院の求めがあった時は、当該患者について、SARSの病原体を保有しているかどうか、又は当該感染症の症状が消失したかどうかの確認をしなければならない。

5 保健所長は、1又は2の措置を勧告し、又は措置を実施する場合には、当該措置の実施する理由等を書面により通知しなければならない。

  (留意事項)

a 入院患者の移送は、SARSがまん延しないよう配慮して行わなければならない。
b 入院の勧告をし、入院の措置を行い、又は入院の期間を延長をする場合の通知事項は、次のとおりとする。
ア 入院の勧告、入院の措置又は入院の期間を延長する理由
イ 入院の勧告又は入院の措置をする場合にあっては、入院すべき期限及び医療機関
ウ 入院すべき期間又は入院の措置の延長をする期間
エ 入院の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に入院の措置をすることがある旨     
オ 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「法」という。)第22条第1項に規定する退院に関する事項 
カ 法第22条第3項の規定により退院を求めることができる旨
キ 法第25条に規定する審査請求の特例に関する事項
ク その他必要と認める事項
 このうち、オについては、退院の要件に関することが含まれること。
 また、キについては、法第20条第2項又は第3項に基づく入院の期間が30日を越える場合に、法に基づき、厚生労働大臣に審査請求を行うことができる旨等が含まれる。 
c 入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長の通知を行うに当たっては、2のほか、行政不服審査法第57条に基づく教示を合わせて行うことが必要である。また、保健所長の独自の判断により、入院が必要とされる状況に応じて、2のクに基づき、入院が必要とされる者の理解をできるだけ得て実施できるように必要な事項を通知することが望ましい。


9.移送体制

(1)SARS患者又は疑似症患者と診断された患者の搬送 
 医療機関において「SARS患者」又は「疑似症患者」と診察された場合は、保健所長の入院勧告等により県が移送する。

(2)移送に当っての留意事項
   1 必要のある場合は、保健所医師又は担当医が同乗する。
      移送に際し、車両には次のものを用意する。
    ア 標準予防策に必要な機材(例)
      ディスポーザブルの手袋、ガウン、マスク、保護眼鏡、リネン類、ディスポーザブル防水シート
    イ その他消毒用物品等(例)
       ペーパータオル、消毒用アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、ウエルパス、ヒビスコールA液、廃棄物容器、ゴム長靴、噴霧器

   2 医療機関に収容した後は、直に移送用物品を回収し、感染性廃棄物として処理する。また、可能な限り滅菌処理を行う。
 
   3 移送従事者は、事後の手洗いを入念に行い、逆性石鹸や消毒用アルコールで消毒する。

(3)移送車両の消毒
 移送終了後、直ちに搬送車を細菌、真菌、ウイルスに有効な広域の消毒剤(消毒用アルコール、次亜塩素酸ナトリウム)で消毒を実施する。

(4)移送に携わった者の健康管理 
   1 患者等の移送に携わった者の健康管理は、保健所又は担当医が所属する機関が行う。  
   2 症状が出現した場合は直ちに専門医の診察を受けさせる。

10.検  査

(1)検体の採取と搬送

1 SARS「疑い例」又は「SARS患者」「疑似症患者」を診察した医療機関は、SARSコロナウイルス検査のための検体を採取する。ただし検体採取については、保健所の指示を受けることとする。
 また、「疑い例」では、本人の同意を得なければならない。

2 検体は、保健所が届出のあった病院から県保健環境研究センターに搬送し、県保健環境研究センターは保健所が搬送してきた検体を国立感染症研究所に輸送する。
 輸送方法は、資料5「検査材料の輸送について」及び資料6「SARSコロナウイルスに関する検査対応について(3訂)」を参照する。

3 SARSコロナウイルスの検体を採取した医療機関は、検体の入った容器を2次・3次容器に入れ、保健所が指示するID番号及びラベルを貼る。保健所においては「SARSに関する検体の提出フォーム」(資料5参照)を作成する。


(2)検査の実施  
   SARSコロナウイルスの検査は、国の「SARSコロナウイルスの行政検査要領」に準じて行う。

1 病院検査部において、一次スクリーニング(呼吸器細菌検査及び呼吸器ウイルス検査)を行うこととする。これには、一般細菌培養、迅速診断法(連鎖球菌など一般細菌、レジオネラ、クラミジア、マイコプラズマ、アデノウイルスインフルエンザウイルス、RSウイルス、その他について、地域における患者発生状況を考慮して、必要な病原体について行う。)、血清学的方法(マイコプラズマ、クラミジア)を含む。

2 RT-PCR及びウイルス分離については、国立感染症研究所に依頼する。


11.感染予防及び消毒

(1)レントゲン撮影、検査、搬送等に従事する者の感染被害を回避するため、適当なマスクなど防護衣を着用し標準予防策を講じることとする。

(2)院内感染対策 患者等に対する者は、以下の点に留意して感染防止に努めることとする。

・空気、飛沫、接触感染への予防措置を含めた、バリアナーシング手法(病原体封じ込め看護)が推奨されている。
感染経路別予防策での主要な感染経路及び性質
 
主要な感染経路 性   質
空気感染 飛沫核(直径5μm未満)を介して伝播し、飛沫核は、空中に長く浮遊し、病室から他の病室へと拡散する。
飛沫感染 患者の咳・くしゃみ等の口から撒き散らかされる粒子(直径5μm以上)であり、水分を含んでいるため1m程度しか飛ばない。
接触感染 (1)直接接触
 患者を介護した後に手から腕、白衣を介して次の患者に伝搬する。
(2)間接接触
 汚染した物品を介して伝播する。
・受診者から他の患者への伝播を避けるために、受診者を個室等へ誘導したり、受診者にマスクを着用させるなどが必要となる。
・器具の表面は細菌、真菌、ウイルスに有効な広域な消毒剤で消毒する。
・手洗いは感染予防に重要である。
・また、患者の気道分泌物、血液、その他の体液の飛沫や飛散が発生する可能性のある処置や介護の際には、N95マスク、耐水性ガウン、頭部カバー、ゴーグル、顔面カバー及びこれらと同等の感染防止機能を有する用具等を使用する。
・可能な限り使い捨て医療器具を用いる。
・医療廃棄物の取り扱いにおいても、標準予防策を適応する。

(3)汚染された疑いのある場所の消毒
  1 保健所長は、SARSの発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認める時は、次の措置を講ずることができる。

a SARSコロナウイルスに汚染された場所又は汚染された疑いがある場所等について、その場所の管理をする者に対し、消毒を命じ、又は市町村に消毒するよう指示すること。
(留意事項)
 消毒については、消毒薬を用い、対象となる場所の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、十分な消毒が行えるような方法により行うとともに、その際には、消毒を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意することとする。

b SARSコロナウイルスに汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域の管理をする者に対し、当該ねずみ族、昆虫等を駆除すべきことを命じ、又は市町村に駆除するよう指示すること。
 (留意事項)
 ねずみ族及び昆虫等の駆除については、対象となる区域の状況、ねずみ族又は昆虫等の性質その他の事情を勘案し、十分な駆除が行えるような方法により行うとともに、その際には、駆除を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意することとする。

c SARSコロナウイルスに汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、その所持者に対し、その移動を制限し、消毒、廃棄その他必要な措置を命じ、又は市町村に消毒するように指示することができる。 
(留意事項)
 ア 法第29条に基づく物件の移動の制限及び禁止、消毒、廃棄その他必要な措置については、対象となる物件の状況、感染症の病原体の性質、以下の措置の基準その他の事情を勘案し、措置の目的を十分に達成できるような方法により行う。

・消毒にあっては、消毒薬、熱水消毒、煮沸消毒等により行う。
・廃棄にあっては、消毒、滅菌その他の感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な処理をした後に行う。
・滅菌にあっては、高圧蒸気滅菌、乾熱滅菌、火炎滅菌、科学滅菌、ろ過滅菌等により行う。
 イ 消毒及び滅菌にあたっては、消毒又は滅菌を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民健康及び環境に留意することとする。

d SARSコロナウイルスに汚染され、又は汚染された疑いがある死体の移動等を制限すること。
 
e SARSコロナウイルスに汚染され、又は汚染された疑いがある生活の用に供される水について、その管理者に対し、期間を定めて、その使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命ずること。

f SARSコロナウイルスに汚染され、又は汚染された疑いがある建物について、SARSのまん延を防止するため必要があると認める場合であって、消毒により難い時は、期間を定めて、当該建物への立入を制限し、又は禁止することができる。
(留意事項)
 ア 建物への立入の製限又は禁止は、対象となる建物の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、適切と認められる方法により行うものとする。
 イ 法第32条第2項に基ずく建物への措置は、以下の基準により行うものとする。

・ SARSの建物の外部へのまん延を防止することができるよう、SARSの発生の状況、当該措置を実施する建物の構造及び設備の状況その他の事情を考慮して適切な方法で行うこと。
・ 緊急の必要がなくなった時に、できる限り現状回復に支障を来さない方法で行うこと。

  2 1の措置は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

  3 保健所長は、1の措置を実施するため必要があると認める時は、当該職員にSARSコロナウイルスに汚染された場所若しくは汚染された疑いがある場所等に立ち入り、SARSの患者(疑似症患者及び無症状病原体保有者を含む。)その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
    (留意事項)
    質問又は必要な調査を行う当該職員等は規則第18条及び別記様式第2条に基づく身分証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときはこれを提示すること。

  4 書面による通知
    保健所長は、1の措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合には、当該措置を実施する旨及びその理由等を書面により通知しなければならない。
    (留意事項)

a 保健所長が、消毒、ねずみ族及び昆虫等の駆除、物件に係る措置、死体の移動制限等、生活の用に供される水(以下「生活用水」という。)の使用制限等を実施し、又は当該職員に実施させる場合に通知すべき事項は、当該措置を実施する旨及びその理由のほか、以下のとおりとすること
 ア 当該措置の対象となる場所、区域、物件、死体又は生活用水
 イ 消毒若しくは駆除の措置又は物件にかかる措置(物件の移動の制限、死体の措置を除く。)にあっては当該措置を実施する日時又は実施すべき期限及びその方法
 ウ 物件若しくは死体の移動又は生活用水の使用若しくは給水の制限の措置にあっては、その期間及び制限の内容
 エ 物件若しくは死体の移動又は生活用水の使用若しくは給水の禁止の措置にあっては、その期間
 このうち、ウについては、物件若しくは死体を移動し、又は生活用水の使用若しくは給水をできる場合の条件が含まれるものとすること。
b 保健所長が、建物に係る措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合に掲示すべき事項は、当該措置を実施する旨及びその理由のほか、以下のとおりとすること。
 ア 当該措置の対象となる建物
 イ 立入りの制限の措置にあっては、その期間及び制限の内容
 ウ 立入の禁止の措置にあっては、その期間及び制限の内容。
 このうち、イについては、立入をできる場合の条件が含まれるものとすること。
c aの通知を行い、又はbの掲示を行う際には、行政不服審査法第57条に基づく教示をあわせて行うことが必要である。
d a及びbについては、市町村長が当該職員に消毒、ねずみ族及び昆虫の駆除又は物件に係る措置を実施させる場合について準用すること。


12.疫学調査等

(1)保健所職員は、患者等の行動範囲を確認し、接触者を把握する。

(2)接触者に対しては、電話等により健康状況を把握するとともに接触後10日間は、手洗いの励行等の個人衛生的な生活に努め、人ごみを避けるなどを要請し、連絡先等の把握に努めることとする。
 また、38℃以上の発熱や呼吸器症状等が出た場合は、速やかに受診することを伝えることとする。なお、患者等及びその家族に対して不安の除去に努めることとする。 

(3)接触者のうち有症状者等が認められた場合には、関係保健所等へ連絡し、緊密な連携をとることとする。

(4)患者等や接触者等に対する偏見が生じることのないよう、十分に配慮することとする。
   ※詳しくは、資料4「重症呼吸器症候群(SARS)管理例(6訂)」参照。
 
13.情報提供等

(1)県民への情報提供
   1 SARSの最新情報等については、厚生労働省ホームページ、感染症情報センターホームページに記載されており、それらを参考にした対応を行う。
     また、県民からの相談等については、「WHOの重症急性呼吸器症候群(SARS)のQ&A」などを活用して対応するとともに、逐次、奈良県ホームページに情報を掲載する。
   2 保健所に「SARS相談窓口」を設置し、積極的に県民にPRする。

SARS(重症急性呼吸器症候群)相談窓口



相談時間 平日9時~17時
●郡山保健所   (0743)53-2701
●桜井保健所   (0744)43-3131
●葛城保健所   (0745)22-1701
●吉野保健所   (0747)52-0551
●内吉野保健所 (07472)2-3051
●奈良市保健所 (0742)23-6173
●県健康増進課 (0742)22-0584

     〈県民の皆様に〉
     なお、流行地域からの帰国者で、急な発熱と咳、呼吸困難などの症状で医療機関を受診される方は、事前に医療機関に電話のうえ受診ください。
     SARS情報は、下記ホームページをごらんください
(厚生労働省ホームページ) http://www.mhlw.go.jp/

(2)医療機関等への情報提供

 奈良県医師会と連携を密にし、医師会を通じた情報提供を行う。

(3)患者情報の公表
  1 SARSに関しての情報提供は、県健康増進課が行う。

  2 県において、SARSの患者及び疑似症患者が発生した場合は、国と連携をとり、感染症の予防のための情報を速やかに公表する。また、公表する情報の内容は、当面、以下のとおりとする。
    <SARS疑似症患者>
     ア 年代(10代刻み)
     イ 性別
     ウ 国籍
     エ 渡航地域
     オ 症状(軽快、安定、悪化等)及び接触者の状況等(通報後も必要に応じて病状の経過について公表する。)     

    <SARS患者>
     ア 年齢
     イ 性別
     ウ 国籍
     エ 渡航地域及び期間
     オ 症状(軽快、安定、悪化等)及び接触者の状況等(通報後も必要に応じて病状の経過について公表する。)

 3 接触者状況確認調査に伴う公表についてSARS患者及び疑似症患者について、その行動範囲が広範囲にまたがることなどから、公表する以外に接触者の把握が困難であり、2次感染の恐れがある場合は、患者の行動歴(範囲)等を公表する。
 公表にあたっては、立ち寄り先等の理解と協力を得るよう努める。
 また、患者の行動範囲が居住地周辺など狭い範囲に限られ、立ち寄り先等を公表することにより個人が特定される恐れがある場合は、患者本人等の同意を得るよう努める。

 4 公表に当たっては、個人情報の保護に留意する。

(4)プライバシーの保護
 SARSについて各関係機関は、プライバシーの保護など人権に配慮するとともに、医療機関は、他の患者に不安が生じないように努める。



 

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