教育長メッセージ

 教育長のメッセージ
  
 皆さん、こんにちは。このページでは、奈良県教育の現状や課題、それらに対しての取組や今後の方向性などについての思いを、県民の皆さんにご紹介いたします。

メールマガジン「E-夢 はっしん!」より

                            モチベーション3.0
 
  教師について、次のような言葉があります。「平凡な教師は言って聞かせる。よい教師はわかりやすく説明し、優秀な教師はやってみせる。しかし、最高の教師は子どもの心に火を付ける。」学校教育においては、子どもをやる気にさせる、子どもの学ぶ意欲を高めることができる教師の存在が何よりも大切だと考えています。
  「モチベーション3.0」という本が数年前に話題になりました。著者によりますと、コンピュータと同様に社会にも人を動かす基本ソフト(OS)があるというのです。人間の最初のOSであるモチベーション1.0は生存を目的としていました。続くモチベーション2.0は、いわゆる飴と鞭に基づく「外発的モチベーション」でした。このOSは20世紀までのルーチンワークが中心のビジネスには有効でしたが、21世紀を迎え、アップグレードが必要になっています。モチベーション3.0は、自らの内面からわき出る「やる気」に基づく「内発的なモチベーション」です。
  教育の世界において、子どもの内発的なモチベーションが重要であることは、私が教員になった40年も前からあたりまえのように言われてきましたが、文部科学省が「アクティブ・ラーニング」を提唱している今、学校全体のOSが確実にバージョンアップできているのか、検証が必要です。
  授業の中で、子どもたちが、「自分はうまくできた!」「やればできるんだ!」という気持ちをもつことができる機会はあるか。子どもたちに与える宿題は、すでに授業で学んだ内容を機械的に復習するものではなく、新たな興味を引き、もっと学びたいと思えるものになっているか。褒美のあるなしではなく、その課題自体が楽しそうだから、やってみたいから、という理由で頑張ることができるものになっているか。こうした指導の積み重ねが、子どもの「自分は頑張ればできる人間だ」「自分には力があるんだ」という自己肯定感、そして様々なことに自ら取り組もうとする「やる気」を高めます。
  奈良県の先生方には、子どもたちの学ぶ喜びとやる気を、どんどん授業で引き出せるような教員であってもらいたいと願っています。