教育長メッセージ

 吉田教育長のメッセージ
  
 皆さん、こんにちは。このページでは、奈良県教育の現状や課題、それらに対しての取組や今後の方向性などについての思いを、県民の皆さんにご紹介いたします。

メールマガジン「E-夢 はっしん!」より

                               「好き」こそものの上手なれ
       
 昨年12月29日、インターネット囲碁サイトに忽然と「Master」と名乗るアカウントが現れた。トッププロ相手に次々と対戦を挑み、結果は60戦60勝であった。そして、本年1月に、グーグル社が「Master」は囲碁AI(人工知能)であることを公表した。

    
 チェスや将棋の世界でAIが人間を打ち負かすようになって久しいが、囲碁はまだまだ先になると言われていた。チェスなら10の120乗、将棋なら10の220乗であるのに対し、囲碁には10の360乗以上という膨大な盤面のパターンがある。私も趣味で囲碁を打つが、そういうところが囲碁の魅力であると言える。

    
 では、どのようにして、囲碁AIは人間を超えたのか。実は、囲碁AIは囲碁のルールを教え込まれたわけではないという。まずは、勝ち負け関係なく、人間が行った莫大な対局データを画像で認識させて、人間の判断を再現させた。その後、AI同士をひたすら対局させ、学習を重ねた。その対局数は3000万回とも言われており、人間ではとうていこなせない体験(経験)を繰り返して進化をしたことになる。
    

 人工知能は日々確実に進化している。もはや、特定の分野における知識の量や情報処理量では、人間はAIに勝つことはできない。2045年、シンギュラリティと呼ばれる人工知能が人間を超える日が来るとされている。
   
 人間に残される仕事とは何か。私たちは何を鍛え、伸ばすべきか、真剣に向き合う時期に来ていると思う。

    
 AIが苦手なのは、イメージ、推論、状況判断である。保育士やケアマネージャーのような仕事はたぶん人間向きだ。自分で起業するのもいい。AIは利益の出る事業分野を確率や統計で探り出すが、世の中に足りない商品やサービスを想像して、新しい分野にチャレンジしようとは思わない。
     

 人間にとっては「好き」が最後の価値になるのではないかと言う人がいる。言われてみればベンチャー企業も「好き」が動機になるケースが少なくない。「好き」とは、経験を繰り返すだけでなく、理屈抜きに心が引きつけられること。「好き」こそものの上手なれ。AIには永遠に到達できない領域である。