伝統野菜「味間いも」

  「味間いも」をご存じでしょうか。平成26年度に新しく「大和の伝統野菜」に認定されたサトイモです。外観は球状で、一般的なサトイモと比べて収穫するいもの数が多く、かつ50グラム以上の大きないもを多くつける豊産種です。また、切った断面が白くてキメが細かく、粘りが強いのが特徴です。調理をした人の中には、皮をむいたときに手にかゆみが出にくいと評価する人もいます。調理特性は広く、煮っ転がしをはじめ田楽、蒸しいもや味噌汁などどんな料理にもよく合います。
  「味間いも」の名前は、磯城郡田原本町味間に由来します。昭和初期に、県農事試験場(現在の県農業研究開発センター)でサトイモの品種比較試験にたずさわった地元の農業者が、最も有望な系統として譲り受け味間地区に導入したことにはじまります。その後、現在まで種いもが引き継がれ、生産されてきました。導入された当時、サトイモは農家が家族で食べるだけで換金作物でなかったことからあまり重視されなかったようですが、それでも食味の良さなどから、昭和30年代以降、地域内で徐々に栽培が広がっていきました。そして、いつの頃からか「味間いも」と呼ばれるようになりました。 現在は、味間地区を含む田原本町、天理市、奈良市など県内で栽培され、晩秋から年始にかけて県内の農産物直売所などで販売されています。
   田原本町内では、ほかのサトイモとの混同を避けて本来の味間いもを確実に残し、かつ多くの人に味間いもを味わってもらうために、種いもの保存体制の確立と町内での生産拡大対策が進められています。さらに、町内では、イベント開催時に味間いもの入った豚汁を「やよい汁」とネーミングしてふるまってPRしたり、いろいろな形で味間いもを楽しんでもらおうと加工品開発の取り組みも始まっています。

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  大和の伝統野菜「味間いも」

【豆知識】「三輪そうめん」保護対象に
 近年は、農産物や食品を地域活性化に活用する事例が多くみられます。奈良県では、特徴をアピールできる野菜25品目を「大和野菜」として認定しています。このうち、味間いもなど戦前から奈良県内で生産が確認され、地域の歴史や文化を受け継いだ独特の栽培法法により「味・香り・形態・来歴」に特徴をもつものを「大和の伝統野菜」としています。
  「地域団体商標」を活用した事例もあります。地域名と商品やサービス名からなる商標をもつもので、大和野菜でもある「結崎ネブカ」は、結崎地区のある川西町の生産者が、この商標権を使って地域づくりを行っています。
  さらに、昨年から「地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物食品のうち、品質等の特性が産地と結び付いており、その結び付きを特定できるような名称が付されているもの」を地理的表示(GI)として保護する法律が施行し、このたび「三輪そうめん」が保護対象となりました。



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。