お茶の消費・今昔

 奈良の特産品「お茶」を飲まれていますか?
 以前は急須でお茶を淹れて飲むという情景が生活の中に定着していたと思います。しかし、最近は急須で淹れるお茶よりもペットボトルがよく利用され、また食事の際も必ずお茶が飲まれるというわけではないようです。
 総務省の「家計調査年報」によると、一世帯あたりの緑茶(茶葉)の購入量は昭和40年代の約2,000gをピークに年々減少し、平成27年には843gと半分以下になっています。一方、ペットボトルなどの茶飲料の一世帯あたりの消費金額は平成12年には3,668円であったのが、平成27年には6,146円と増加し、茶葉購入金額よりも茶飲料の購入金額が上回るようになってきています。かつて茶葉はお歳暮などのギフトでもよく利用されていましたが、今は人気商品とは言えず、利用頻度は少ないようです。
 緑茶の消費が減少した原因に、食生活の西洋化、茶以外の飲料の種類の増加などがあげられます。また、急須で淹れる場合は茶殻の処理が面倒だということも関係しているようです。
 しかし、このようなお茶離れを食い止め、多くの人に消費してもえるように、最近では使いやすいティーバッグや香りに特徴のあるハーブを混ぜたお茶、品種名やその特徴を前面に出したお茶も出てきています。また、機能性成分の研究も進み、茶カテキンを利用した商品が市販されたり、茶を添加したお菓子なども多く見られます。
 奈良県でも簡易製茶としてのドラムドライヤー製法によるフレーク状の茶を開発したり、ミニ焙炉による手もみ体験など、消費拡大につながるような取り組みを進めてきました。県内の茶生産者も紅茶を作ったり、「おくみどり」や「やまとみどり」といった品種の名前を前面に出した茶を作ったりと、消費回復のためにいろいろな商品づくりを試みています。

koutya
  奈良県で生産されている紅茶

【豆知識】「珍しい奈良産の紅茶」
 国産の紅茶と聞いて、ピンとこない方も多いと思います。
 紅茶は緑茶と同種の茶の木からできています。国産緑茶は茶の葉を蒸気で蒸すことで酸化酵素の働きを止め緑色を保ったまま茶になりますが、紅茶は蒸気で蒸さずに葉を酸化酵素の働きで発酵させるため赤い色になります。
 日本の紅茶は明治初期には生糸と並ぶ重要な輸出品でした。奈良県でも過去には生産されており、昭和35年頃まで奈良市や山添村に紅茶工場がありましたが、昭和46年、紅茶輸入自由化以降、国産の紅茶はほとんど生産されなくなりました。しかし、最近は嗜好の多様化に対応するため生産が見られるようになってきています。奈良県でも緑茶に比べると生産量は少ないですが、現在、何戸かの生産者が紅茶を作っています。
 写真は奈良県で生産されている紅茶の一例です。珍しいものですので、機会がありましたら是非お試しください。



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。