柿の甘さについて

 柿がおいしい時期になりました。奈良県は柿の産地で、和歌山県に次いで国内第2位の生産量を誇ります。果実1個には成人が1日に必要な量のビタミンCが含まれており、生活習慣病の予防効果があるとの報告もあります。これからの時期、風邪だけでなく生活習慣病の予防にもぜひ1日1個は食べたいものです。
 さて、柿は酸味がないので、おいしさと言えば甘さ(糖度)が重要になります。甘柿の代表的な品種である「富有」は糖度が16度程度ですが、おいしい柿を消費者の皆さんに届けるために、生産者は花が咲く前につぼみを取ったり(摘らい)、実の数を制限したり(摘果)しています。これらの作業を行わないと、実が多すぎて大きくならなかったり、糖度が低くなります。さらに、実をつけすぎると木が疲れてしまって、その次の年に実がつかないこともあります。
 最近、スーパーなどでも果物の糖度を表示して販売されている所があり、消費者の皆さんは参考にされて購入される場合もあると思います。これまで、糖度は果汁を絞って屈折糖度計という機械で測っていましたが、最近では果汁を絞ることなく、柿の表面にセンサーを当てるだけで糖度が測れるようになりました。果樹・薬草研究センターでは、甘い柿を栽培する方法を開発するため、この非破壊糖度計を使って分析しています。この機械を使えば、県内のどの園で甘い柿が作られているかとか、どんな作業をすれば、いつごろ、どんな糖度になっているかなどを、収穫を待たずに分析できるので、甘い柿を栽培するための作業などが詳細にわかるかもしれません。
 甘い果物はカロリーが高いことが心配されますが、柿1個は120kcalほどですので、お菓子類に比べればカロリーは低めです。「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざは、栄養価の高い柿は医者いらずという意味のようです。

kaki
          柿のへたすき

【豆知識】「へたすき」の観察を
 柿は果実の色が濃い方が糖度が高い傾向にあるので、色の濃いものを選びます。へたの付近まで色づいているものは樹上でよく熟してから収穫していると考えられますので、糖度が高いことが期待できます。ただし、へたがしおれていたり、枯れてしまっているものは収穫してから日数が経っていて、色が濃くなっている可能性もあります。この場合、果実がゴムの様に軟らかくなっているので、へたをよく観察し、果実を触って確認しましょう。へたを観察する際に、へたと果実の間に隙間がある「へたすき」を確認してください(写真)。「へたすき」があると、早く色づいており、糖度が低い場合があります。
 また、本文でも紹介しましたように、樹に実をたくさんつけた場合、果実は小さくなり、糖度も低くなる傾向があります。逆に言えば、大きい果実は糖度が高いと思われます。



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。