暮らしに花を~花育~

 皆さんは「花育(はないく)」という言葉をご存じでしょうか?「食育(しょくいく)」という言葉は知っているという方が多くても、「花育」というのはあまり馴染みのない言葉だと思います。私たちは慌ただしい日常を過ごす中で、花や緑に触れる機会が少なくなっています。この状況を改善するために、幼少期より花や緑に親しみ・育てる機会を提供したり、花の楽しみ方を教えることで、心豊かな子どもたちを育んでいこうという活動が「花育」です。教育現場や地域での活動として取り組まれることが多いのですが、あまり小難しく考えず、きっかけづくりとして、まずは身近な家庭から始めてみてはいかがでしょう。
 では、どういったことをすればよいのでしょうか。日本では古くから花と共に生活し、自然や四季を愛でる文化が息づいています。桜の下でのお花見で春の訪れを感じ、七夕にはササに願いを乗せ、お盆にはキクやリンドウを供えて故人を偲び、キンモクセイの香りが秋の訪れを告げ、踏みしめた紅葉から冬の足音を聞く、これら一つ一つが大切な「花育」の機会といえます。
 また、記念日にも花は欠かせません。誕生日や結婚式、入学、卒業などのお祝いだけでなく、母の日にはカーネーション、父の日にはバラに感謝の気持ちを込め、花を贈る方も多いのではないでしょうか。11月22日の「いい夫婦の日」には、大切なパートナーと互いの絆を確認するために、花に背中を押してもらう。最近では、2月14日に男性が女性に花を贈る「フラワーバレンタイン」も定着しつつあります。日本では、女性が男性にチョコレートをプレゼントすることが慣習ですが、実は世界的には、花を贈る方がポピュラーです。花は誰の人生にも欠かせないもので、このような暮らしに息づく一つ一つの花の文化を、次の世代に繋げていくことが「花育」なのだと思います。

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【豆知識】「母の日に向けて」
 母の日は、日頃の苦労をいたわり、母への感謝の気持ちを表す日です。国によって日付は違いますが、日本では5月の第2日曜日となっています。当日には、カーネーションを贈ることが定番となっていますが、他にもアジサイ、バラ、ガーベラ、リーガース・ベゴニアといった花もこの時期にはおすすめです。また、カーネーションと一口に言っても様々な色があり、それぞれに花言葉が付けられています。最も一般的な赤色は「母への愛、真実の愛」でまさしく母の日にマッチしています。やさしい色合いのピンクは「感謝」、上品さをイメージする紫色は「気品、誇り」、いつもと趣向を変える青色は「永遠の幸福」です。たくさんの選択肢がある中で、花言葉も考えながらプレゼントをすると、より一層気持ちが伝わるのではないでしょうか。さあ、花に日頃の感謝の気持ちを込めて、素敵な母の日を演出しましょう。



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
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