マルチの効率的利用法

宇陀市を中心とする東部中山間地では、4月に出荷が始まるレタスが露地栽培されています。収穫した春レタスをその日のうちに食卓に並べられることができる大和のこだわり野菜として、消費地に出荷が行われています。
 4月の出荷は、他産地からの出荷が始まる前で有利なのですが、冬の寒さが厳しい宇陀地域ではなかなか実現することはできませんでした。そこで、大和野菜研究センターではマルチフィルム(豆知識参照)と不織布被覆(薄い透光性のある不織布繊維シート、べたがけ資材)を組み合わせて保温し生育を促進する技術を開発しました。その結果、これまでは5月の連休明けからの出荷であったのが、4月から出荷することが可能となりました。
 一方、エダマメは、未成熟なダイズを収穫したもので、日本独特の野菜です。近年では和食ブームにより、欧米でも好んで食べられているようです。この、エダマメもレタスと同じように、マルチフィルムで畝を被覆すると生育が良好になります。開花期に土が乾燥すると収量が下がりますので乾燥を防ぐ役目を果たします。また、泥はねが減り莢の汚れを防ぎます。
 大和野菜研究センターでは、新品のマルチフィルムを使わず、春にレタスを収穫したあとの古いマルチフィルムの穴に、エダマメの種を直接まく方法を検討しています。3列、約30cm間隔に並んでいたレタスあとの外側2列の穴にエダマメの種を2つずつまくだけです。マルチフィルムをレタス、エダマメと2回使えるのでとても簡易でお得です。しかも、レタス栽培で残った肥料分をエダマメが有効に利用できます。平成26年産春レタスとエダマメ栽培については、生産現場の約1.5㏊でこの栽培方法が取り入れられています。この方法は家庭菜園でもとても便利な方法なので、みなさんにもぜひ試していただきたいと思います。

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レタスあとのマルチフィルムの再利用による枝豆栽培(エダマメを一部収穫したところ)

【豆知識】「廃棄は区分に従って」
 野菜の栽培場面で、マルチフィルムという厚み0.03~0.05mmの黒色ポリエチレンフィルムで土を被覆することがよく行われます。水分の蒸発を防ぎ、気温が低い時に地温を高め、生育を速める効果があります。さらに雑草の発生を抑え、泥はねを防止して農作物の生育を助けます。
 マルチフィルムは保温だけでなく、昇温抑制にも用いられます。これには表面が白、裏面が黒色のフィルムを用います。黒色に比べてフィルム表面温度が最大20℃低く抑えられます。暑さに弱い初夏取りのレタスなどにも利用できます。
 このように被覆するだけでいろいろな効果が得られるマルチフィルムですが、石油製品であり腐敗しにくい素材です。使用後放置していると、非常に薄いので強風時に飛ばされて、電線に絡みつくなどの事故が起きた事例もあります。本稿のように、有効に資材のリユースを図りたいものです。廃棄の際は各自治体の区分に従って処分してください。 



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。