香りごぼうについて

  香りごぼうをご存じでしょうか?奈良県が認定する大和野菜の一つで、五條市の北宇智地区を中心に生産されています。この地域は金剛・葛城山麓の扇状地で、砂質で排水のよい土壌が特徴です。北宇智地区では生産者が出荷組合を組織し、お互いの畑で情報交換を行いながら安定生産に取り組んでいます。
 作付は9~10月の水稲収穫後に始まります。ごぼうは元々連作をきらう野菜ですが、夏場に水稲を作付することで連作障害を軽減しています。品種は3~4月に収穫される「サラダむすめ」と、5~6月に収穫される「山田早生」の2つで、生産者が香りと食感にこだわって選びました。元々は北宇智の春ごぼうとして出荷されていましたが、消費者にも特長がわかりやすい名前をということで、香りごぼうと命名されました。収穫されたごぼうは普通のごぼうより短く、柔らかい食感と豊かな香りが特長です。
 組合では近年作り手の減少や高齢化が問題となっていますが、品質の維持はもちろんのこと、規格や包装にも消費者の声を反映するなどして、市場からは高い評価が得られています。栽培面では、ごぼうは土中に石や堅い部分、水などがあると根が途中で分かれてしまうため、播種前の耕耘や畝作りは気を抜けません。また、晩秋~冬季の初期生育を確保するために、手作業を中心とした雑草対策を行っています。このように生産者の丹精が込められて、おいしい香りごぼうとなるのです。
 ごぼうは乾燥に弱く、風に当たるとコルク状に堅くなってしまうので、水に濡らした新聞紙で包むか土をかぶせるなどして冷暗所に保存します。洗ったごぼうは品質が落ちやすいので、なるべく早く使い切りましょう。残った場合は、ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存すると良いでしょう。
 もうすぐ香りごぼうの収穫が始まります。生産者の方々の苦労に思いをはせつつ、滋味豊かな香りごぼうを是非一度ご賞味下さい。

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     出荷に向けて袋詰めされた「香りゴボウ」

【豆知識】「こそげすぎないように」
ごぼうは1000年以上も前に薬用として中国から伝わったとされています。作物化され野菜として食べるのは日本だけということですが、低カロリーで食物繊維が豊富なため整腸作用があり、ポリフェノールも含まれる栄養満点のヘルシー食材です。ここでは、香りごぼうの特長を生かしたサラダについて紹介します。
 ごぼうは皮や皮に近い部分に香りやうまみ成分が多く含まれていますので、香りごぼうの皮はこそげすぎないようにしましょう。水で洗いながら、たわしなどで軽くこするといいでしょう。薄くささがきにして軽く水にさらし(香りごぼうはアクも少ないので、アク取りも軽く水にさらす程度で十分です)、さっと茹でて水分をしっかり切り、醤油とマヨネーズであえます。シャキシャキ感を残すために茹ですぎに注意しましょう。香りごぼうならではの柔らかい食感が楽しめます。もちろん、天ぷらやきんぴらごぼう、豚汁などにしてもおいしくいただけます。



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
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