平成28年11月から着手しました重要文化財 正暦寺福寿院(しょうりゃくじ ふくじゅいん)建造物保存修理事業が竣工しましたのでお知らせします。
正暦寺竣工写真(pdf 995KB)
●概要
平成28年11月に着手した重要文化財 正暦寺福寿院の屋根葺き替え工事が平成29年10月31日に完了した。
正暦寺福寿院は、昭和53年の解体修理から約40年たち、屋根は各所で腐朽し、雨漏りが生じ、劣化部分は鉄板を挿入するなど部分的に繕ってきたが、耐久の限界であった。今回の修理の主な内容はこけら葺屋根の全面葺き替えで、屋根面積は393平方メートル。こけら葺き屋根とは、薄く割った板を竹釘で打ち重ねた屋根で、今回は厚さ3mm、幅8~9cm、長さ30cmの椹(さわら)板を用いた。
総工費は8,000万円。工事は設計監理を奈良県教育委員会文化財保存事務所が正暦寺から委託を受けておこなった。
●正暦寺福寿院について
正暦寺は奈良市菩提山町に位置する真言宗の仏刹で、正暦3年(992)の開創と伝えられ、中世は興福寺の別院として栄えた。近世以降衰退し、明治以降は一時仁和寺末に属し、現在は独立寺院となっている。寺地は奈良市の南部、春日山から南方へ緩やかな起伏の続く景勝の丘陵地であって、特に紅葉の名所として有名である。
正暦寺福寿院はいまから336年前の延宝9年(1681)の建立。客殿にあたる南北棟とそこから東に直角に延びる台所から成っている。共に平屋建てで、屋根形式は客殿が南面入母屋(いりもや)造り、北面切妻(きりづま)造り、台所は入母屋造りで西面は客殿に接続している。
昭和32年奈良県有形文化財に指定され、昭和48年には国の重要文化財に指定された。