ふきだわら

木々の緑のまぶしい季節となりました。田畑の作物も生育に適した季節です。無事に健やかに生長して、豊かな実りを迎えたいものです。水稲の定植作業である田植えは、奈良県では山間地で4月下旬より作業が始まり、徐々に下って平坦地では6月中旬ごろにかけて行われます。
田植えの作業に合わせて、生育中の無事と豊作を願う伝統的な行事や風習が行われるのをご存じでしょうか。各地で様々な行事がありますが、今回は、県東部の大和高原地域で行われている事例を紹介します。

「山添村春日のさびらき」
豊作を祈る一連の行事は早苗びらき(さびらき)などと呼ばれています。育てた苗を引き上げ、きり分けてわらで縛る作業から始まります。この苗を全部で12個(1年12か月分)用意します。苗には「すすき」と「うつぎ」の木を添えます。「すすき」は苗が長く育つように、また「うつぎ」は白い花が多く咲くので、稲にも花がたくさんつくようにという願いを込めています。
苗の準備と同時に「ふきだわら」も作ります。フキの葉を軸ごと取ってきて、大豆の入ったご飯を葉で包みます。ご飯といっしょに炊く大豆は大きくまめに育つようにとの思いを込めています。かたちが米俵に似ているので「ふきだわら」と呼ばれています。
苗とふきだわらの2種類をそれぞれ12個ずつ田植えを行う田の畦に並べて供えます。家族みんなで手を合わせてお祈りをしてからその場所で食べます。その後、田植えがはじまります。

ふきだわらを作って豊作を願う文化は、大和高原地域のほか伊賀地方でも行われているそうです。
栽培技術が発達した現代ですが、家族の無病息災を願うように作物の無事と豊作を祈る行事は、大切な文化として、次世代に伝えていきたい地域の宝物です。

参考資料「伝えたい農村の行事と郷土食」奈良県農村生活研究グループ協議会

 

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ふきだわら(出典 伝えたい農村の行事と郷土食 平成28年年3月)

 

【豆知識】

「ふきだわら」の作り方
ふきの葉と煎り豆の香りが楽しい郷土料理です。
電子レンジを活用して短時間で作れるレシピを紹介します。
【材料】(ふきだわら20~30個分)
 米 5合
 大豆 125g
 塩 小さじ2(10g)
 ふき(葉付き)20~30本
 ※ふきは包むだけで食べません。
【作り方】
(1)フキは水洗いし乾かしておく。
(2)大豆は紙袋に入れ、レンジで2~3分加熱する。こうばしい香りが出て皮が手で簡単にむける程度まで、様子を見ながら再度1~2分加熱し、煎り大豆にする。
(3)水をたっぷり入れたボウルに煎った大豆を入れ、皮をむく(皮は捨てる)。30分程度そのまま水に浸す。
(4)大豆を浸した汁とともに、大豆と塩少々を加えてご飯を炊く。
(5)炊きあがったら、おにぎりにする。おにぎりは熱いうちにフキの葉で包む。フキの茎の皮をむき(茎の下部2~3cmを折りそのまま皮をむきあげる)、むいたすじを使って包んだ葉をくくる。米俵に似せて整形する。



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。