有機物が温暖化を防ぐ

 現在、地球規模で温暖化が進んでいますが、これは大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、フロンガスなど)の増加が原因であると言われています。これらの中でも二酸化炭素の量が最も多く、排出量の削減や、大気中の二酸化炭素の吸収が求められています。後者の大気中の二酸化炭素の吸収源といえば、森林や植物を思いつく方が多いかと思いますが、実は土壌も吸収源として期待されています。光合成によって植物内に吸収された大気中の二酸化炭素は、植物残渣や堆肥等として土の中に入ると、微生物によって分解され大気中に戻ります。しかし、その一部は分解されにくい土壌有機炭素となり、長期間土壌中に溜まります。この土壌有機炭素の量が増えると、その分大気中の二酸化炭素を吸収したと考えることができます。
 堆肥を畑に1.5t入れると、土壌中の炭素量が1年間で170kg増加し、二酸化炭素に換算すると630kgが土壌に吸収されたという調査結果があります。これは乗用車1台が排出する二酸化炭素の3~4ヶ月分になります。
 土壌中の炭素量は入れる有機物の種類や、栽培管理の方法などによって変わってきます。例えば、種類では、わら堆肥など分解が遅い有機物の方が、また栽培方法では、耕さない栽培の方が増えやすいと言われています。しかし、まだまだ未解明な部分が多いため、国では全国で土壌中の炭素量の調査や、炭素量に影響する要因の解明を進めています。県農業研究開発センターも、県内の農地における土壌中の炭素量の測定や、堆肥を長期間連用することで土壌中の炭素量がどのように変わっていくかを調査しています。
 農地での土づくりでは、有機物を使うことがとても重要です。みなさんも、土づくりをしながら、温暖化を防ぐ活動をやってみませんか。

 

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              炭素の流れ

 

【豆知識】

 有機物を土壌に入れると微生物によって分解され、植物の養分になるとともに、土壌の物理性(保水性、排水性、通気性)を改善します。これを「土づくり」といい、農業を持続的に行っていくには、土づくりは欠かせません。しかし、使い方によっては、逆に作物に悪い影響を与えることがあります。そこで、次の点に注意して使いましょう。(1)分解しにくい有機物(稲わら、籾がら、おがくず、樹皮など)を多く含んでいるものは大量に入れないようにしましょう。微生物が有機物を分解するときに窒素を消費するため、作物の生育に必要な窒素が足りなくなり、生育が悪くなります。(2)家畜ふんを含んだ堆肥は肥料効果があるため、化学肥料を併せて使う時は堆肥の肥料成分量を引いて入れましょう。堆肥の肥料成分量は「堆肥施用量(kg/10a)×含有成分量(%)×肥効率(%)÷10,000」で求めます。窒素成分の肥効率は、牛ふん堆肥は15%、豚ふん堆肥は30%、鶏ふん堆肥は60%です。(3)未熟堆肥を使うと作物が生育障害を起こすことがあるので、充分に腐熟した堆肥を使いましょう。



奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。