県政だより奈良

タイトル
 
l春日大社にて
所作の「ヒーヨイヤナー…」の掛け声で、気持ちを一つにする大名行列保存会の皆さん(春日大社にて)。
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 「ヒーヨイヤナー イーヨイマカセー ヤッコラサノサー(今日はいい日やな、そろそろ行こか、まかしとけ)」。
 「春日若宮おん祭」のお渡り式のクライマックス「大名行列」を守るのは「大名行列保存会」のメンバーたち。昭和54年、江戸時代に参勤していた郡山藩や南部奉行所の行列を甦(よみがえ)らせ、以来、奴(やっこ)や侍の装束に身を包み行列のしんがりを務めています。会員は現在約290名。老若男女問わず、広く一般市民が参加して、伝統の祭りを受け継いできました。
 保存会のお務めは、前年の祭り終了時から。装束や道具の修繕に始まり、神々に接する心構えを学ぶなど、心の準備も高めていきます。12月に入ると寒気の中で行列の所作の練習に励み、予行演習を重ね、ついに晴れ舞台を迎えます。
 「おん祭は今年で873回目。創始以来一度も、途絶えたことがありません。これも人々が神様や先人達を敬い感謝して、どんな苦境の年でも“せなあかん”と強い思いを抱いていたからだと思います。八百年あまりの内、我々のお務めなど点にしか過ぎませんが、担える喜びを掛け声と共に感じます」と語るのは、大名行列保存会・会長の中尾義永(よしなが)さん。
「祭りが終われば、神様と食事をする直会(なおらい)をします。皆で鍋を囲むんですよ。同じものを大勢でいただき、親しくなる。祭りとともに大切にしていきたい文化かもしれませんね」
 
一の鳥居の影向の松前 歴史絵巻の華
一の鳥居の影向(ようごう)の松前で。おん祭は正しく継承された時代ごとの芸能風俗が通観できるため“生きた古典芸能博物館”と呼ばれる。 “歴史絵巻の華”大名行列。長さ4mの毛槍を投げ渡す所作は、行列の中でもひときわ喝采を呼ぶ。
 
 
「春日若宮おん祭」
とき 12/15(月)〜12/18(木)
国指定重要無形民俗文化財。日本最古の文化芸能の祭典であり、神楽、舞楽、田楽、能などが次々舞われ、流鏑馬(やぶさめ)や競馬、相撲なども奉納される。17日のお渡り式では華麗な大名行列が練り歩く。
<12/17 の主な日程と場所>
0:00〜遷幸の儀(せんこうのぎ)[場所:若宮神社〜お旅所]/12:00〜お渡式(おわたりしき)[場所:県庁前〜]/14:30〜お旅所祭(おたびしょさい)[場所:お旅所=一の鳥居内・春日野御旅所]/23:00〜還幸の儀(かんこうのぎ)[場所:お旅所〜若宮神社]
毛槍など
左から毛槍(けやり)(黒・白)、大弓(だいきゅう)、先箱(さきばこ)(赤は郡山藩、緑は南部奉行が担ぐ)。大名行列で使用する道具の手入れも保存会が行う。
〈春日若宮おん祭の問い合わせ〉
問 春日若宮おん祭保存会事務局
(春日大社内)
tel 0742・22・7788

〈春日若宮おん祭 大名行列保存会の問い合わせ〉
問 春日若宮おん祭大名行列保存会
(総務担当 野村)
tel 090・1598・9682(携帯)


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