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ふるさと奈良への便り
 
   アニメーションが好きで、学生時代から今までずっと、テレビや映画のアニメ作品の脚本を書いてきました。気がつけば、奈良で過ごした時間の倍ぐらいの時間を、東京で過ごしたことになります。
 そんな私が、強く感じるのは、奈良では過去と現在とが地続きに存在している…ということです。
 幼いころ「ゴリョウサン」と呼んで遊んでいた場所は、聖武天皇の御陵でした。母がおむすびを作ってよく出かけた公園の一角は、万葉人が若菜を摘んだ飛火野です。今思うと、奈良での子供時代には、暮らしのすみずみにまで過去が息づいていました。
 長い歴史を持つ土地には、たくさんの物語が眠っています。私の場合は、そういう環境で育ったことが、脚本を書き続けてこられた大きな支えになっている気がします。
 遷都一三〇〇年。戦争、天災、政治の変化……長い長い時の間の、さまざまなできごとを乗り越えて、奈良が過去のたくさんのものを変わらずに今に残してきたこと。それは、大きな奇跡だと思います。
 例えばバリアフリーの設備やわかりやすいマップや案内板、ちょっと休めるカフェなど、快適な小さな変化を混ぜ込みながらも、このすばらしい奇跡が、そのまま未来の人へと手渡されることを祈っています。
 
 

 

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