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奈良県の財政は大丈夫

県内市町村は、経常収支比率*1が高く、累積赤字をかかえる市町村数が全国でワースト1になるなど、厳しい財政状況が続いています。市町村税や普通交付税などの収入の大半が、必要経費や累積赤字の解消のために使われるという状況がおこっています。
特集では、県内市町村の財政健全化に向けた取り組みや、新たな県・市町村間の連携の形である「奈良モデル」について紹介します。

*1人件費や生活保護費などの必要経費を、市町村税や普通交付税などの収入で割った指数。比率が低いほど、財政にゆとりがあるといえる。
 都道府県や市町村の財政破綻(はたん)を防ぐため、平成19年度に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が制定されました。
 県内では、御所市と上牧町が早期健全化団体*2になるなど、市町村の財政健全化が緊急課題になっています。
*2 赤字や借金返済額などの比率が法に定める「早期健全化基準」を超えた自治体。財政健全化計画の策定や外部機関による監査の実施などが義務づけられる。
 財政状況の厳しい市町村では、市町村税の徴収強化や職員数の削減、借入金の抑制をはじめ、行財政改革に急ピッチで取り組んでいます。
 今回は、早期健全化団体の御所市と上牧町、累積赤字を解消した高取町に、取り組みや今後の展望を伺いました。
 
今回取り上げられなかった36市町村でも、財政健全化に向けて努力しています。
次は、市町村の取り組みを支援する県の施策について紹介します。
 県では、新たな県・市町村間の連携や無利子貸付、県職員の派遣など、各市町村の課題に応じたサポートを行っています。
@「奈良モデル」
 〜県・市町村間の新たな連携の形〜

 国が議論している地域主権改革では、国から県、県から市町村という一方向だけの権限移譲となっています。これに対して、「奈良モデル」では、小規模な町村でも住民サービスが提供できるよう、実行が難しい業務を県がかわりに行う垂直補完や市町村間の水平補完の実現を検討しています。これにより、県と市町村の持つ行政資源を活用して、業務の効率化と質の向上をめざします。
 「奈良モデル」として現在73業務を選び、今年度は、そのうち10業務の検討を行っています。市町村と協議が整ったものから実行し、県独自の地域にあった地方行政の実現をめざします。
奈良モデル

A御所市・上牧町に対する
 市町村財政健全化貸付金の貸付け

 平成20年度決算で早期健全化団体となった御所市と上牧町への支援として、市町村財政健全化貸付金の貸付けを行いました。
●平成21年度 貸付総額 15億円
 (御所市 9億5千万円、上牧町 5億5千万円)
●平成22年度 貸付総額 10億円(予定

B県税務職員の市町村派遣による協働徴収
 県税務職員を市町村に派遣し、市町村税の徴収強化に取り組んでいます。今年度は、御所市に1年間、上牧町と大和高田市にそれぞれ半年間の常駐派遣を実施しています。その他の市町村にも、県職員を随時派遣し、滞納整理を支援しています。
 また、滞納により差し押さえた不動産を売却して税金に充当するため、市町村と県が合同で公売を実施するなど、協働して税収確保に努めています。

 
荒井正吾

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