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見すごすな!幼い子どものSOS 〜児童虐待から子どもを守る〜
見すごすな!幼い子どものSOS 〜児童虐待から子どもを守る〜
 最近、テレビや新聞で、児童虐待のニュースを聞くことが多くなっています。児童虐待は、子どもの心身の成長にダメージを与え、子どもの将来に甚大な影響を及ぼすばかりか、生命を奪ってしまうことさえあります。
 児童虐待とは何か、未然防止や早期発見のために何ができるのか、子どもたちの未来を守るために、一緒に考えてみませんか。
児童虐待とは何か
 「子どもにとって有害な行為」であれば虐待です。
 虐待か、それとも虐待ではないのかという判断は、さまざまな状況や原因があり、容易にはできません。しかし、大切なことは「子どもの視点で考え、判断すること」です。親が一生懸命で、その子をかわいいと思っていても、子どもにとって有害であれば虐待なのです。
〈虐待の種類〉
○身体的虐待…子どもへの暴力(殴る、蹴(け)る、投げ落とす、熱湯をかける、夜間や冬に戸外へ閉め出すなど)
○ネグレクト…食事を与えない、乳幼児を家や車に長時間放置するなど
○心理的虐待…子どもに心理的なダメージを与えるような言動や対応(暴言、脅かし、無視、子どもの目の前で配偶者等に暴力をふるうなど)
○性的虐待…子どもにわいせつな行為をすること、させること
こんな子どもは虐待を受けているかも
児童虐待の種類別件数

年齢別虐待件数
児童虐待防止の取り組み
みんなで見守る
 児童虐待の未然防止、早期発見・早期対応のためには、子どもや子育て家庭に直接関わる人をはじめ、すべての人が、子どもと子育て家庭を「見守る」意識を持っていくことが最も重要です。
県の取り組み
 県では、虐待通報の啓発や、県こども家庭相談センターの充実に向けて取り組んでいます。
 また、子どもや子育て家庭に関わる市町村の担当者や学校の先生に対して対応スキルの向上の研修等を実施しています。
桜井市での事件を受けて
 今年3月、桜井市で児童虐待による餓死という痛ましい事件が起こりました。この事件では、乳幼児健診の未受診児童を「見守る」ことができていなかったことが浮き彫りになりました。
 県では、これを契機に、「奈良県児童虐待対策検討会」(以下、検討会)を設置し、事件の検証を行いました。検討会では、行政の児童福祉と母子保健の連携、乳幼児や就学前児童への見守り体制の強化などを課題として、対策に取り組んでいます。
子どもを「みんなで見守る」
市町村での取り組み
 児童虐待の相談・通報には、市町村が窓口となり、県こども家庭相談センターとともに、対応しています。市町村には、「要保護児童対策地域協議会」が設置されており、関係機関のネットワークを通じて児童虐待の対応、役割分担などの見守り体制をとっています。
 また、地域における多様な子育て支援を実施しており、その中のひとつに「こんにちは赤ちゃん事業」があります。乳児のいる家庭の孤立化を防ぐため、市町村職員等が、生後4か月までの乳児家庭を訪問します。
こんにちは赤ちゃん事業
田原本町健康福祉課社会児童福祉係長の工藤華代(かよ)さんにお話を伺いました
工藤華代(かよ)さん
自宅訪問でゆっくり相談!
 田原本町では助産師が、年間約130人を訪問します。お母さんの体調、母乳のケア、赤ちゃんの身長・体重測定、育児の不安、きょうだいの話も聞きます。育児支援も紹介します。
虐待予防にもつながる
 何か問題がある場合は、助産師から母子保健の担当者に引き継ぎます。日常生活の中での子育ての心配ごとを、お母さんと一緒に考えることで、虐待予防につながっているのではと思います。
ちょっとでも気になったら連絡を!
 虐待かな?と思われることがあると思います。近隣の人にしかわからないので、ちょっと気になる時は、間違っていてもいいので連絡してください。それが、困っている保護者への育児支援のきっかけにもなります。
子育て支援事業
生駒市「子どもサポートセンターゆう」の吉川和博所長にお話を伺いました
あらゆる相談に応じます!
 家庭相談員が常駐し、発達や育児、しつけなど家庭で心配なことや児童虐待など、あらゆる相談に応じています。
子育てサロンでママ友できます
 「みっきランド」は、生駒市在住の乳幼児と保護者が、無料で利用できる常設の遊び場です。子どもを遊ばせながら、子育て相談・情報提供をアドバイザーから受けられます。多くの利用があり、ここで仲良くなるお母さんもたくさんいます。他にも、年齢に応じた子育て支援として「ゆうゆうひろば」を開催しています。今年度から、生後6か月までの乳児と保護者を対象とした「ぴよぴよサロン」も始めました。
市民どうしで子育て支援
 幼稚園や保育所の送迎、学童保育後の預かりなどを会員登録をした人どうしが有償で行う「ファミリー・サポート事業」を実施しています。
遊具も備えた相談コーナー 遊具も備えた相談コーナー
 
子育てサロン「みっきランド」 子育てサロン「みっきランド」
虐待発生後の対応
 児童虐待の相談・通報があれば市町村担当課や県こども家庭相談センターは、子どもに直接会って安全を確認します。虐待が認められると、その程度によっては緊急保護を行います。
 また、家庭に戻ると再び虐待が懸念される場合、児童養護施設や乳児院などの施設への入所や、里親への委託を行っています。
里親としての取り組み
奈良県里親会会長の 城 隆男(じょう たかお)さんに、里親制度についてお話を伺いました。
城 隆男(じょう たかお)さん
里親とは?
 親の病気や虐待など、さまざまな事情から自分の家で生活できない子どもたちを家庭で預かり親に代わり養育しているのが、里親です。県内では、103組が里親登録をしています。養子縁組里親、親族里親、養育里親があります。
深い心の傷を負った子ども
 虐待を受けている場合など、適切な環境で育てられていない子どもの多くは、心に深い傷を負い、たえず警戒し、人への不信感を抱いています。こうした子どもたちが安心して穏やかに過ごせるよう、家庭的な雰囲気を大切にしながら、信頼関係を少しずつ築いていけるように接しています。
多くの人に知ってほしい
 「奈良県里親会」では、野外活動やお楽しみ会などの交流会を開催しています。11月6日・7日には、天理市で全国里親大会を開催します。里親について、多くの人に知っていただき、関心のある方にはぜひ里親となってもらい、子どもたちへの支援にお力をいただければと思っています。
里親としての取り組み
城 隆男(じょう たかお)さん
 児童虐待の「未然防止」「早期発見・早期対応」のためには、県、市町村をはじめすべての人が、子どもと子育て家庭を「みんなで見守る」ことが大切です。  子育て家庭をみんなで応援する気持ちをもって、声かけなどをしてほしいと思います。  また、気になることがあったときには、ためらわず連絡や相談をお願いします。
■問 県こども家庭課 ■0742・27・8605 ■FAX 0742・27・8107

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