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県内産業の活性化と雇用創出
 県では、雇用、消費、投資が県内で活発に循環するしくみをつくり、経済を活性化させることで、「奈良で暮らし、奈良で働く」ことができる地域づくりを目指しています。今回の特集では、県内産業の活性化に向けた県の取り組みについて紹介します。
奈良県の現状と課題
 従来、奈良県は、大阪や京都に隣接していることから、高度経済成長期に大和平野の北西部を中心に、大都市近郊のベッドタウンとして発展してきました。そのため、県内産業の整備や企業の育成などが後回しにされ、県内のGDP(県内総生産)は、最近10年で、全国GDPに占めるシェアが0.78%から0.73%へと低下傾向にあります。
 今後は、大阪や京都に依存してきた雇用や県外へ流出している消費に歯止めをかけ県内で雇用、消費、投資の好循環を作り出し、経済活動を活発化させる必要があります。
 「県外で働き、県外で消費する」から、「奈良で暮らし、奈良で働く」という姿を目指し、県では雇用の場を新たに増やす方策として、①県外企業の県内への誘致や県内企業の増設等の支援、②新たな事業を興してもらうための起業支援、③新しい海外展開への支援、④新産業の創出へのチャレンジのための取り組みなどを行い、将来的な雇用創出につなげていきます。

<出典:平成21年度奈良県県民経済計算>
企業立地により雇用の場を増やす
●企業立地の目指すもの
 雇用の場の創出のため、県では、企業立地の促進に力を入れてきました。中でも、正社員の割合が多く、安定的な雇用を生み出す製造業を中心に、用地情報の提供や補助金、税の優遇、低利融資などの支援、ワンストップ相談窓口の設置など、積極的な企業誘致活動を行っています。
 昨年11月に東京で初めて「企業立地セミナー」を開催し、約150名の関係者の方に参加いただきました。
●これまでの実績
 このような取り組みの結果、平成23年も21件の企業立地を実現し、ここ数年同様、20件台を維持しています。一社あたりの平均敷地面積は17200m2で全国平均を上回り、全国第6位となりました。
 いくつか事例を紹介すると、生駒市の学研高山地区では、高級パッケージ印刷の上六(うえろく)印刷株式会社が昨年12月に操業を開始したほか、プラスチック製品製造の幸信(こうしん)プラスチック株式会社が研究開発型の工場を今年11月に操業予定です。さらに、天理福住工業団地では、今年の秋に、県内で最大規模の敷地面積となる三甲(さんこう)株式会社のプラスチック物流機器製造工場が完成する予定です。
 この他、商業施設も毎年継続的に立地しており、県内での雇用創出に大きな役割を果たしています。
企業誘致の成果
(1)学研高山地区(生駒市)

上六印刷株式会社
約200人の雇用が生まれる
(平成23年12月操業開始、平成24年4月全面操業)

上六印刷株式会社
幸信プラスチック株式会社
約45人の雇用が生まれる
(平成24年11月操業予定)

幸信プラスチック株式会社(イメージ図)
   
(2)天理福住工業団地(天理市)

〜県内最大敷地面積の工場が立地〜
三甲株式会社
当面約130人の雇用が生まれる
(平成24年9月操業予定)

三甲株式会社関西第3工場(イメージ図)
●これからの取り組み
 今年度は、昨年東京で開催した「企業立地セミナー」を東京とともに大阪でも開催します。また、企業立地促進補助金の対象を、製造業と密接な関連を持ち雇用の多く見込まれる特定の物流施設にも広げるなど、支援制度を拡充します。
 今後、西名阪自動車道の大和まほろばスマートIC(インターチェンジ)(平成24年度名古屋行、平成25年度大阪行完成予定)、南北の幹線となる京奈和自動車道などの整備が進むなど、交通アクセスはますます利便性が向上します。これら県の立地環境を積極的に紹介し、平成23年〜26年の4年間も企業立地100件、雇用創出2000人を目指し、戦略的な企業誘致活動を行います。
企業立地セミナー2011 in 東京 株式会社森精機製作所 森社長の講演のようす
起業新時代
 新たに働く場を生み出すために、コミュニティビジネスなどのスモールビジネスの創業を支援します。
 昨年度実施した、ビジネスプランコンテストには、多数の応募があり、高齢化、ネット社会化など、社会的ニーズに対応したものが多く見受けられました。
 今年度も起業機運の醸成、起業家の発掘を図るために「ビジコン奈良2013」を開催します。
211のビジネスプランが寄せられた「ビジコン奈良2012」
新しい海外展開への支援
 少子高齢化により国内市場は縮小傾向にあるため、海外への販路拡大は重要な課題です。今年度は、多くの人口を有し、今後も経済成長が見込まれる中国内陸部や消費大国のアメリカで、「ジャパン・ナラ」として、県内企業の製品や商品を発信し、販路拡大の足がかりをつくる事業を行います。
 具体的には、県と友好交流関係の中国・西安(セイアン)市の高級百貨店における「奈良物産展(仮称)」の開催や北アメリカ最大規模の「ニューヨーク国際ギフトフェア」への出展支援を行います。
中国・西安市の高級百貨店へ出展予定
(出典:JETRO「西安スタイル」より)
新しい産業の創出を目指して
 「Living Science(リビングサイエンス)」をキーワードに新たな産業の創出を目指します。
 リビング サイエンスとは、少子高齢化が抱える医療・健康などのさまざまな課題を解決するため、科学技術を活用して、新たな産業につなげる全国的に珍しい取り組みで、県が打ち出した新しい考え方です。
 例えば、高齢者夫婦世帯や独居老人世帯が特に増えている地域で、ICT(情報通信技術)を活用したネットワークシステムをつくります。高齢者や周囲の人がお互いにコミュニケーションをとりやすくして、高齢者を地域みんなで支え合う体制づくりをしていきます。

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