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とっておきの奈良
 古代からの幹線道路、中街道(なかかいどう)(下ツ道(しもつみち))と横大路(よこおおじ)(伊勢街道)。2つの古道が交差する古代の十字路≠ェ八木の町の「札(ふだ)の辻(つじ)」です。江戸時代には豪勢な旅籠が立ち並ぶ宿場町として栄え、今なお、界わいには当時の風情が色濃く残ります。
 そのシンボルが、札の辻に立つ旧旅籠「東の平田家(ひらたけ)」。大階段が残る端麗(たんれい)なこの宿は、今年7月から町の人々の尽力で「八木札の辻交流館」として再生。人々の交流の場として公開されています。かつて町の人々が無償の心で旅人をもてなしたという「接待場(せんたいば)」も用意。無料で湯茶がふるまわれ、往時に想いを馳(は)せつつ、古道歩きの疲れをほぐすことができます。
 昔ながらの情緒と伝統を大切に。そんな町の人々の思いが華やかに形になるのが約300年以上の歴史を持つ「愛宕(あたご)祭」です。
 町の各所に祠(ほこら)を設け、町家の土間などに立山(たてやま)と呼ばれる飾りものをお供えします。その年を象徴するような、人物や風景などを人形などであらわす立山はユニークなものが多く、町家のしつらえも楽しめるとあって観光客にも人気。
 夜店が立ち並び、メイン会場では盛りだくさんの催しが行われます。かつて旅人を見送る際に踊ったという江州音頭(ごうしゅうおんど)の盆踊りも、祭り気分を盛り上げます。
「八木 札の辻交流館」
(市指定文化財・東の平田家)
いにしえのクロスロード「札の辻」に立つ。2階からは往時の風情が残る辻の通りが見渡せる。
問 9時〜17時(月曜休館)
問 橿原市北八木町2丁目1-1
問  0744-26-2684
「愛宕祭」
屋台が並び祠に立山に盆踊り。伝統ある文化も楽しめる愛宕祭。昨年は3日間で3万人以上が祭りの風情を楽しんだ。
問 8月23日(木)・24日(金)・25日(土)18時〜21時
問 メイン会場:晩成(ばんせい)小学校、春日神社
問 愛宕祭奉賛会  0744-23-6943
   
「松尾芭蕉の句碑」
八木地区公民館の前に建つ句碑。八木に泊った折に詠んだとされる、「草臥(くたび)れて 宿かる此(ころ)や 藤の花」の句が刻まれている。
   
「西国(さいごく)三十三所名所図会(めいしょずえ)八木札街(やぎふだのつぢ)」
1848年 暁 鐘成(あかつき かねなり)著 (県立図書情報館蔵より抜粋)
中央の建物が東の平田家。八木について「四方往返の“十字街”なれば(中略)至って賑わし」と記された。
   
「八木まちなみ保存会」
伊勢参拝も大和巡りも西国巡礼も、昔の旅人は札の辻を歩いたものです。周辺には、歴史ある古民家や寺社など名所旧跡がたくさんあります。そんな地区の歴史や継承されてきた文化について学び、交流を重ねて広報をし、地区の発展につながるよう、会員約20名が活動しています。
(談:葛井 潔(くずい きよし)会長)


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